投資総研
カーボンクレジット

カーボンクレジットは、
個人の投資先になるのか

結論から書くと、個人が正規に「買って値上がりを待つ」手段は、確認できた範囲では見当たりません。東証のカーボン・クレジット市場は法人などしか参加できず、J-クレジットの口座も個人は作れません。個人が関われるのは、クレジットを「使う」(オフセットする)ことです。このページは、制度の仕組みと、勧誘されたときの確かめ方をまとめます。

東証の市場の参加者
359者

2026年9月9日現在・個人は不可

排出量取引の上限価格
4,300円/t

2026年度・国が決めた値

同 下限価格
1,700円/t

2026年度

当サイトの案件データで関連
3件

クラファンの実案件

結論

先に結論:個人が「投資」できるかを4つの事実で

  • 東証の市場に、個人は参加できない

    参加者として登録できるのは「法人、政府及び地方公共団体並びに任意団体」です。証券会社のような取次ぎ(委託売買)も認められていません。

    JPX 市場参加者 ↗ JPX FAQ ↗
  • J-クレジットの口座は、個人は作れない

    制度事務局は「個人での口座開設はできません」としています。ただし、代理無効化という形でクレジットを「使う」ことはできます。

    J-クレジット 口座開設 ↗
  • J-クレジットは有価証券ではない

    制度のFAQは「金商法における有価証券や金融商品に該当しません(2022年10月金融庁確認済)」としています。株や投資信託のような投資家保護の枠組みの外にあります。

    J-クレジット FAQ Q13-10 ↗
  • 「カーボン」の名前のETFは、日本株の指数に連動するもの

    JPXのETF一覧(2026年10月1日更新)で確認できた「カーボン」「気候変動」を含む銘柄は、日本株の指数に連動するものでした。クレジットや排出枠に連動する銘柄は見つかりませんでした。

    JPX ETF銘柄一覧 ↗
流れ

クレジットは、どう生まれて、誰が使うのか

  1. CO2を減らす・吸い込む省エネ・太陽光・森林の手入れなど
  2. 国がクレジットとして認証J-クレジット(経産省・環境省・農水省)
  3. 企業どうしで売り買い東証のカーボン・クレジット市場や相対取引
  4. 企業が排出の穴埋めに使う排出量取引(実排出の10%まで)やオフセット
個人が関われるのは、4番目の「使う」だけ

J-クレジット・プロバイダーなどに頼んで、代わりに無効化してもらう(オフセット)形です。お金は戻らない支出で、投資ではありません。3番目の市場での売り買いは、法人などしか参加できません。

J-クレジットと東証の市場の仕組みを詳しく読む

J-クレジットは、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用で減らしたCO2の量や、森林の管理で吸収した量を、国が「クレジット」として認証する制度です。経済産業省・環境省・農林水産省が運営し、2013年度に国内クレジット制度とJ-VER制度を一本化してできました。方法論は、省エネルギー等・再生可能エネルギー・工業プロセス・農業・廃棄物・森林に分かれています。

値段は、制度の上では「プロジェクト実施者と購入希望者間との間の自由な相対取引」で決まり、決められた価格はありません(制度FAQ Q13-5)。

東証のカーボン・クレジット市場は2023年10月11日に開設されました。株式などの金融商品市場とは別の市場で、売買の単位は1t-CO2、注文は指値だけ、約定は午前11時30分と午後3時の1日2回です。対象はJ-クレジットと、GXリーグの超過削減枠です。累計の売買高は2025年9月に100万トンに達しました。

東証の値段は JPX カーボン・クレジット市場日報 ↗ で毎日公表されています。JPXは日報の価格情報を外部に配信するには別の契約が要るとしているため、当サイトは値段を転載していません。

出典

出典:J-クレジット制度について ↗ J-クレジット FAQ ↗ JPX カーボン・クレジット市場 ↗ JPX 制度概要 ↗ JPX 累計売買高100万トン ↗

国が決めた価格

1トンあたりの値段の物差し

0円1,000円2,000円3,000円4,000円5,000円排出量取引の価格の幅(2026年度・国が決めた)下限 1,700円上限 4,300円入札の平均(省エネ他)1,551円入札の平均(再エネ発電)3,246円

1トン(CO2)あたり。排出量取引の上下限は経済産業省の資料、入札の平均は J-クレジット制度事務局の第14回入札(2023年5月、最後の入札)の結果です。2027年度以降の上下限は、前年度の価格に「3%+物価上昇率」を掛けて決まります。

国が決めた値段・国が売った値段を詳しく読む
何の値段か値段(1トンあたり)決めたのは・いつ
排出量取引制度の上限価格4,300円経済産業省・2026年度
排出量取引制度の下限価格1,700円経済産業省・2026年度
J-クレジット入札 再エネ発電(平均落札価格)3,246円制度事務局の第14回入札・2023年5月(最後の入札)
J-クレジット入札 省エネ他(平均落札価格)1,551円同上

排出量取引制度は、CO2の直接排出量が前年度までの3年度平均で10万トン以上の事業者を対象に、2026年度から始まりました。経済産業省の資料では、対象は日本全体で300〜400社程度です。毎年度の排出実績と同じ量の排出枠を持つことが義務になり、J-クレジットなどは実排出量の10%まで使えます。2027年度以降の上下限価格は「前年度の価格に価格上昇率(3%+物価上昇率)を乗じて決定」されます。排出枠の取引市場はGX推進機構が2027年度秋頃に開設する予定で、資料に個人が参加できるとする記載はありません。

制度事務局による入札販売は2023年5月の第14回が最後で、その後は経済産業省が保有クレジットを「売払い」として企業・団体に公募で売っています。2026年度第1回は6者が採択されましたが、価格は公表されていません。

出典

出典:経済産業省「2026年度より開始する排出量取引制度について」 ↗ 経済産業省 排出量取引制度 ↗ 第14回入札結果(PDF) ↗ J-クレジット 入札販売 ↗ 経済産業省 売払いの採択結果 ↗ 同 公募予告 ↗

個人向け

個人ができること・できないこと

個人が補足
○代わりに使ってもらう(オフセット)J-クレジット・プロバイダー経由。お金は戻らない支出
○クレジットを生む事業に出資するクラウドファンディングなど。当サイトのデータで3件。見返りは事業しだい
○関連する事業を持つ会社の株を買う株価はその会社の事業全体で決まる
×東証のカーボン・クレジット市場で売り買いする参加できるのは法人・政府・地方公共団体・任意団体
×J-クレジットの口座を開く制度事務局が「個人での口座開設はできません」としている
×クレジットや排出枠に連動するETFを買うJPXのETF一覧(2026年10月1日)では見当たらない
当サイトの案件データと、詳しい説明

確認できた範囲で、個人が正規に関われる形は次の3つです。どれも「クレジットそのものを買って値上がりを待つ」ものではありません。

  • クレジットを使う(オフセット):口座を持たない人でも、J-クレジット・プロバイダーなどに依頼して代理で無効化してもらえます。自分の排出を打ち消すための支出で、お金は戻りません。J-クレジット オフセット ↗
  • クレジットを生む事業に出資する:森林や再エネなどの事業に、クラウドファンディングで出資する形です。当サイトの案件データで、名前にクレジット・CO2・森林・脱炭素などを含む案件は3件でした(下の表)。出資の見返りは事業の結果しだいで、クレジットの値段に連動するとは限りません。
  • 関連する事業を持つ会社の株を買う:公的な「関連銘柄」の分類は見つかりませんでした。株価はその会社の事業全体で決まります。
案件事業者想定利回り
インドネシア CO2を吸収する森作りファンドセキュリテ—
10年後の未来を育てるユーカリ植林ファンドセキュリテ—
【住宅性能を世界標準に】 健康・快適・脱炭素の住宅普及を担う 高気密・高断熱住宅の紹介サービスCF Angels—

日本で個人が買える、クレジットや排出枠に連動するETF・投資信託が「存在しない」と言い切れる公的な資料は見つけられませんでした。見つかった場合は、このページを直します。

確かめる

勧誘されたときに確かめること

  1. 「東証で個人も買える」と言われたら、事実と違います。

    東証の市場に個人は参加できず、取次ぎも認められていません。

  2. 東証・JPXに似た名前に注意。

    JPXは「日本カーボンクレジット取引所」「日本気候取引所」「JCX」「JGX」「JCEX」などの名称を使う業者を確認しており、東証・JPXとは一切関係ないとしています。JPX ↗

  3. 「排出権そのもの」ではなく、差金決済(CFD)の取引のことがあります。

    国民生活センターは、CO2排出権取引の勧誘の多くが欧州の排出権相場を参照するCFD取引と見られ、「投じた資金を上回る多大な損害を被ることもある」としていました(2013年8月公表。コーナーは2026年9月に終了したため保存版へのリンク)。国民生活センター(保存版) ↗

  4. 相談事例では、1週間足らずで340万円を支払ったものがあります。

    書面の交付がなければクーリング・オフできる可能性がある、とされています。内閣府 沖縄総合事務局 ↗

  5. 自治体も注意を呼びかけています。

    東京都環境局と埼玉県(2025年11月21日掲載)は、排出権取引詐欺やグリーン電力証書詐欺などのトラブルが増えているとして、勧誘を受けても関与しないよう呼びかけています。東京都環境局(PDF) ↗ 埼玉県 ↗

  6. 勧誘してきた会社の名前を調べる。

    登録・許可・行政処分の記録は、当サイトの会社名で調べるで引けます。J-クレジットは有価証券ではないので、登録が無いこと自体は違法の証拠になりませんが、投資家保護の枠組みの外にあることを意味します。

相談件数の参考

参考:日本弁護士連合会の意見書(2011年12月)によると、国民生活センターに寄せられたCO2排出権取引の相談は2010年度57件、2011年度は上半期だけで173件で、70歳以上が54.6%でした。日本弁護士連合会 意見書 ↗

よくある質問

よくある質問

カーボンクレジットに投資して儲けることはできますか?

個人が正規に東証の市場で売買することはできず、J-クレジットの口座も個人は作れません。確認できた範囲で、個人が「買って値上がりを待つ」正規の手段は見当たりませんでした。

個人でもカーボンオフセットはできますか?

できます。J-クレジット・プロバイダーなどに依頼して、代理でクレジットを無効化してもらう形です。投資ではなく支出です。

東証のカーボン・クレジット市場の値段はいくらですか?

JPXの「カーボン・クレジット市場日報」で毎日公表されています。当サイトは、JPXが価格情報の外部配信に契約を求めているため、値段を転載していません。

排出量取引制度の上限価格は?

2026年度は1トンあたり4,300円、下限は1,700円です(経済産業省)。2027年度以降は前年度の価格に「3%+物価上昇率」を掛けて決めます。

関連するページ

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勧められた会社を調べる。

金融庁の登録・国交省の許可・行政処分の記録を、会社名からまとめて引けます。

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