結論から言うと、外貨建て保険は「保険会社が外貨で払う約束」で、円での受取額は為替しだいです。変額保険は運用の結果で増減し、解約返戻金には一般に最低保証がありません。早い時期の解約では払い込んだ額を下回ることが多い、と金融庁も書いています。
外貨建て(定額)保険は保険会社が外貨で払う約束をするが、円に換えた額は為替で動き、会社の破綻でも減りうる
官公庁・業界団体など
外貨建て保険は、保険料の払い込みや保険金の受け取りを米ドルなどの外貨で行う保険です。
生命保険協会「市場リスクを有する保険商品への加入にあたって留意すべき事項」 ↗ 金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅱ-4 業務の適切性 ↗変額保険・変額個人年金保険は、株式や債券などで運用し、その実績で年金額や解約返戻金が増減します。
生命保険協会「市場リスクを有する保険商品への加入にあたって留意すべき事項」 ↗ 金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅱ-4 業務の適切性 ↗金融庁は、外貨建保険は長期保有が前提で、契約後早い段階の解約返戻金は解約控除などにより一時払保険料を下回る場合が多い、と説明しています。
金融庁「外貨建保険の共通KPIに関する分析」(2026年3月17日、2025年3月末基準) ↗ 金融庁「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果」(2025年7月1日) ↗生命保険協会によると、銀行などの代理店で売られた外貨建て保険・年金の新契約に関する苦情は、2019年度の2,822件が最も多く、2025年度は744件でした。
生命保険協会「外貨建て保険・年金に係る苦情受付件数について」 ↗ 金融庁「同モニタリング結果(2025事務年度)」(2026年7月29日) ↗●あてはまる △条件つき ○あてはまらない(トップの「リスクとリターンの3段」と同じ物差し)
ほかの投資先と同じ項目で並べた表は投資先の一覧にあります。段は「返す約束があるか」で分けています(バランス(ミドルリスク・ミドルリターン))。
外貨建て保険は、保険料や保険金・年金のやりとりを米ドルやユーロなどの外貨で行う保険です。終身保険、養老保険、個人年金保険など、いろいろなタイプがあります。為替リスクがあり、受け取るときに円高になっていれば、円での受取額は契約時より少なくなることがあります。
| 種類 | 何が約束されるか | 何で増減するか |
|---|---|---|
| 外貨建て保険(定額) | 外貨での保険金・年金など | 為替(円に換えた額) |
| 変額保険・変額個人年金保険 | 最低保証は商品による。解約返戻金は一般に最低保証なし | 特別勘定の運用実績 |
| 市場価格調整(MVA)付き | 年金原資の最低保証あり | 解約時の市場金利(解約返戻金) |
変額保険・変額個人年金保険は、保険会社の「特別勘定」で株式や債券などを運用し、その実績で保険金や年金、解約返戻金の額が増減します。金融庁の監督指針は、運用の実績で将来の保険金等の額が変わり、不確実であること、損をするおそれがあることを契約概要に書くよう求めています。
このため当サイトでは、外貨建てで保険金額などが決まっている保険(定額)を2段目に置きます。一方、変額保険の運用部分には返す約束がなく、3段目に近いものとして扱います。外貨建てで、しかも変額という商品もあります。
このほか、年金原資には最低保証があるものの、解約返戻金が市場金利で増減する「市場価格調整(MVA)」付きの商品もあります。積立期間中に解約すると、払い込んだ保険料を下回ることがあります。
生命保険会社が破綻した場合、補償の対象となる契約は、破綻時点の「責任準備金等」の90%まで補償されると保険業法等で定められています(高予定利率契約を除く)。
責任準備金は、将来の支払いに備えて保険会社が積み立てているお金で、一般に払い込んだ保険料の合計より少なくなります。また、保険金・年金の90%が補償されるわけではなく、変額個人年金保険の年金原資保証額の90%が補償されるわけでもありません。
銀行で入った変額個人年金保険も、預金ではないため預金保険では守られず、生命保険の保護制度で守られます。破綻後は予定利率などの見直しで保険金額が減ったり、一定期間、解約時にさらに差し引かれる「早期解約控除」が設けられたりすることがあります。
なお、最低保証の無い運用実績連動型の保険契約の「特定特別勘定」の部分は補償の対象外です(企業年金向けの保険などが該当)。
金融庁の監督指針は、外貨建て保険の契約概要に「外国通貨により契約を締結することにより、特別に生じる手数料等の説明」を載せることを求めています。変額保険では、保険契約関係費や資産運用関係費などの諸費用を載せることになっています。
変額個人年金保険では、契約中は保険契約関係費や資産運用関係費などが、解約時は解約控除などが積立金から差し引かれるのが一般的です。
金融庁は2025年7月、保険会社は外貨建一時払保険の販売手数料は開示しているが、顧客が負担するコスト全体(保険契約関係費の総額)は開示していないと指摘し、生命保険協会に開示に向けた取り組みを期待しました。販売手数料が初年度に偏る体系が乗換販売の一因だとし、2025年4月以降に手数料を平らにする動きがあるとも書いています。
金融庁の共通KPIの分析では、外貨建保険を持つ顧客のうち運用損益がプラスの人の割合(155事業者の単純平均)が、2024年3月末の約8割から、2025年3月末には7割弱に下がりました。
保険料を払った人と満期保険金・解約返戻金を受け取る人が同じなら所得税の対象です。一時金で受け取れば一時所得で、受け取った額から払い込んだ保険料を引き、さらに特別控除50万円を引いた額の2分の1が課税の対象です。年金で受け取れば雑所得になります。払った人と受け取る人が違えば贈与税の対象です。
| 受け取り方 | 所得の種類 | ポイント |
|---|---|---|
| 一時金(本人が払い本人が受け取る) | 一時所得 | (受取額-払込保険料-50万円)×1/2が課税対象 |
| 年金 | 雑所得 | 受け取る年金から対応する保険料を引く |
| 5年以内の一時払養老保険等の差益 | 金融類似商品 | 20.315%の源泉分離課税 |
| 払った人と受け取る人が違う | 贈与税 | ― |
一時払養老保険などで一定の要件を満たすもののうち、保険期間が5年以下のもの、または5年以内に解約したものの差益は、20.315%の源泉分離課税で課税が終わります。
外貨でのやりとりは、所得税法57条の3により、取引した時の為替相場で円に換算して所得を計算します。東京国税局の文書回答事例では、支払保険料はその支払日の仲値(TTM)で換算するという照会者の見解が認められています。
生命保険協会は、銀行などの代理店で発生した外貨建て保険・年金の新契約に関する苦情件数を公表しています。2014年度992件から増え、2019年度に2,822件、その後は減って2025年度は744件(苦情発生率0.02%)でした。2026年度第1四半期は109件です。2025年度の数字は2026年7月6日に訂正されています。
| 年度 | 苦情件数 | 苦情発生率 |
|---|---|---|
| 2014 | 992 | 0.12% |
| 2015 | 1,239 | 0.10% |
| 2016 | 1,665 | 0.10% |
| 2017 | 1,888 | 0.09% |
| 2018 | 2,543 | 0.08% |
| 2019 | 2,822 | 0.08% |
| 2020 | 1,866 | 0.05% |
| 2021 | 1,375 | 0.04% |
| 2022 | 1,288 | 0.04% |
| 2023 | 1,102 | 0.03% |
| 2024 | 742 | 0.02% |
| 2025 | 744 | 0.02% |
国民生活センターには、2018年度に外貨建て生命保険の相談が538件寄せられ、2014年度(144件)の3倍以上になりました。70歳以上が約半数で、平均契約購入金額は1,000万円前後でした。「定期預金のつもりが外貨建て変額個人年金保険だった」「元本保証と言われた」といった事例が挙がっています。
金融庁は「顧客本位の業務運営に関する原則」を2017年に定め、2024年9月に改訂しました。2026年7月29日のモニタリング結果でも、ターゲット型外貨建一時払保険の乗換販売を、商品を変えながら繰り返し起きる課題の一つに挙げています。
銀行で勧められても、契約の相手は生命保険会社で、預金ではありません。国民生活センターには、定期預金のつもりが外貨建て変額個人年金保険だったという相談が寄せられています。
生命保険協会「市場リスクを有する保険商品 よくあるご質問」 ↗ 国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」(2020年2月20日) ↗契約概要には、円に換えた保険金が契約時より少なくなり損をするおそれと、外貨で契約することで特別にかかる手数料等の説明が載っているはずです。変額保険なら諸費用と運用の不確実さも載っています。
金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅱ-4 業務の適切性 ↗早い時期の解約返戻金は、解約控除などで一時払保険料を下回ることが多いと金融庁は説明しています。市場価格調整(MVA)付きなら、金利でも増減します。
金融庁「外貨建保険の共通KPIに関する分析」(2026年3月17日、2025年3月末基準) ↗ 生命保険協会「市場リスクを有する保険商品への加入にあたって留意すべき事項」 ↗金融庁は、目標値に届いて解約し、すぐ同じ種類の保険に入り直すと販売手数料が再びかかり、ほとんどのケースで経済合理性が無いとしています。目標値を引き上げて続ける方法もあると書いています。
金融庁「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果」(2025年7月1日) ↗外貨建て保険には元本割れのリスクがあります。国民生活センターは、勧誘されてもすぐに契約せず、届いた保険証券をすぐ確認し、不安なら消費者ホットライン188に相談するよう呼びかけています。
国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」(2020年2月20日) ↗クーリング・オフは、書面を受け取った日と申込日の遅い方から8日以内(会社によっては9日以上)です。一時払いで適用がない場合はその旨の書面が渡されます。外貨建てでは、クーリング・オフしても為替で損が出ることがあります。
生命保険協会「市場リスクを有する保険商品 よくあるご質問」 ↗ 国民生活センター「外貨建て生命保険の相談が増加しています!」(2020年2月20日) ↗必ずではありません。解約控除や手数料が差し引かれ、市場価格調整があれば金利でも増減します。国民生活センターには「円安になったので解約したが、思った以上に金額が増えていない」という相談が寄せられています。
守られません。保険は預金ではないため、生命保険会社の保険契約者保護制度で守られます。補償は破綻時点の責任準備金等の90%までで、払い込んだ保険料や保険金の90%ではありません。
商品によります。死亡給付金や年金原資に最低保証がある商品とない商品があります。解約返戻金には一般に最低保証がありません。
外貨でのやりとりは取引した時の為替相場で円に換算して所得を計算します(所得税法57条の3)。本人が払って本人が一時金で受け取るなら、円に換算した受取額から払込保険料を引いて一時所得として計算するのが基本です。個別の扱いは税務署で確かめてください。
生命保険協会の集計(銀行等代理店で発生した新契約)では、2019年度の2,822件をピークに減り、2025年度は744件でした。金融庁は乗換販売などの課題が繰り返し起きていると指摘しています。
このページの事実は2026-10-05に一次資料で確かめたものです。制度や金利は変わることがあります。