投資総研
地方債

地方債は、
国債の代わりになるのか

結論から言うと、地方債は都道府県や市が返すと約束した債券で、満期まで持てば額面で返ってきます。総務省は、国が元利償還の財源を保障する仕組みがあると説明しています。ただし個人向け国債と違い、途中で現金にするには市場で売るしかなく、そのときの値段によっては損が出ます。

3段のどこ
バランス

都道府県や市が元本と利子を払うと約束する債券。満期まで持てば額面で返るが、途中で売るとそのときの値段になる

確かめた出典
16件

官公庁・業界団体など

結論

先に結論

しくみ

お金の流れと、4つのリスク

  1. 自治体にお金を貸す募集期間に取扱金融機関で
  2. 自治体が利子を払う
  3. 途中で売るならそのときの値段
  4. 満期に額面で戻る多くは5年
⚠ 住民参加型は募集期間が2週間程度と短めです。
○元本割れ元本が減ることがある:あてはまらない
△途中換金途中で換金しにくい:条件つき
●値動き売るときの値段が動く:あてはまる
○為替為替で円の額が動く:あてはまらない

●あてはまる △条件つき ○あてはまらない(トップの「リスクとリターンの3段」と同じ物差し)

買い方

どうやって買う?

  • 地元の自治体を応援しながら住民参加型の地方債募集期間に、取扱金融機関で
    1. 自治体や地方債協会のサイトで発行予定を見る
    2. 募集期間(2週間程度)に取扱いの銀行・証券会社で申し込む
    3. 満期(多くは5年)まで持てば額面で戻る
    • 1万円〜10万円単位(銘柄による)
    • 途中で売るとそのときの値段
    • 利子に20.315%
発行

住民参加型の地方債の発行

個人が買える住民参加型市場公募地方債の、年度ごとの発行の数と額です。

年度発行の数発行額備考
令和8年度7本120億円円建ての利率 2.08〜2.394%
令和7年度15本321億円円建ての利率 1.1〜1.839%(外貨建て1本を含む)
令和6年度12本280億円円建ての利率 0.576〜1.008%(外貨建て1本を含む)
令和5年度13本272億円円建ての利率 0.24〜0.87%(外貨建て1本を含む)
令和4年度7本182億円円建ての利率 0.1〜0.439%(外貨建て1本を含む)
令和3年度6本156億円円建ての利率 0.05〜0.16%(外貨建て1本を含む)
令和2年度7本163億円円建ての利率 0.08〜0.2%(外貨建て1本を含む)
令和元年度8本153億円円建ての利率 0.05〜0.2%(外貨建て1本を含む)
平成30年度13本209億円円建ての利率 0.05〜0.3%(外貨建て1本を含む)
平成29年度13本182億円円建ての利率 0.05〜0.25%(外貨建て1本を含む)
平成28年度24本373億円円建ての利率 0.05〜1%(外貨建て1本を含む)
平成27年度64本1,486億円円建ての利率 0.06〜1%(外貨建て1本を含む)
平成26年度72本1,746億円円建ての利率 0.1〜1%(外貨建て1本を含む)
平成25年度79本1,864億円円建ての利率 0.13〜1%
平成24年度81本2,028億円円建ての利率 0.12〜1.2%
平成23年度84本2,137億円円建ての利率 0.22〜1%
平成22年度90本2,441億円円建ての利率 0.23〜1%
平成21年度89本2,488億円円建ての利率 0.36〜1.08%
平成20年度97本2,649億円円建ての利率 0.7〜1.54%
平成19年度114本3,083億円円建ての利率 0.74〜3.3%
平成18年度121本3,513億円円建ての利率 0.9〜1.98%
平成17年度109本3,445億円円建ての利率 0.18〜1.44%
平成16年度93団体(総務省の資料。本数は不明)3,280億円
平成15年度79団体(総務省の資料。本数は不明)2,680億円
平成14年度34団体(総務省の資料。本数は不明)1,640億円

2026年度(令和8年度)に発行されたもの

発行体発行日発行額期間利率
福島県2026-05-2915億円5年2.080%
神戸市2026-07-2725億円5年2.140%
宮城県2026-07-295億円5年2.148%
兵庫県、姫路市、加古川市、南あわじ市、淡路市2026-08-1020億円5年2.148%
埼玉県2026-08-3140億円5年2.182%
高知県2026-08-315億円5年2.182%
仙台市2026-09-2810億円5年2.394%
出典と計算の方法

出典:一般財団法人 地方債協会「住民参加型市場公募地方債 発行実績」(地方債協会調べ)。2002〜2004年度は総務省「地方債の概要と最近の状況 平成18年度」。本数は協会の表の行数(同じ団体の別の回・別の年限も1本と数える)、発行額は表の「発行額計」です。利率の幅と外貨建ての有無は、協会の表を基に当サイトが集計しました。2014年度以降の発行額には、東京都の外貨建て債(1本)が協会の換算額で含まれています。地方債協会 ↗(2026-10-05確認)

比べる

ほかの投資先と同じ6つの項目で

利回りの目安
固定金利(発行ごとに決まる)発行条件は総務省・地方債協会・各自治体のサイトで公表される
いくらから
1万円〜10万円(銘柄による)埼玉県の個人向けは各公債1万円、神戸市の市民債は購入単位10万円
元本は誰が守るか
発行した自治体が返す約束満期まで持てば額面で償還
途中で換金できるか
途中は市場で売却(時価)値下がりしていれば売却損が出る
税金
利子に20.315%特定公社債の利子。源泉徴収のうえ申告分離課税(申告しないことも選べる)
どこで買うか
募集を取り扱う銀行・証券会社住民参加型は募集期間が2週間程度と短い

ほかの投資先と同じ項目で並べた表は投資先の一覧にあります。段は「返す約束があるか」で分けています(バランス(ミドルリスク・ミドルリターン))。

くわしく

仕組み:市場公募地方債と、その中の住民参加型

市場公募地方債は、広く投資家に購入を募る方法で発行される地方債です。地方債協会によると、全国型市場公募地方債を発行する(予定を含む)団体は61団体で、令和8年度の発行計画額は総額5兆9,797億円です(総務省)。

詳しく読む

住民参加型市場公募地方債は、主に個人向けに発行される地方債です。神戸市は、こうべ市民債を「個人の方を対象とした満期一括償還、固定金利の債券」で、金融機関の窓口で販売し、集めた資金を公共施設の整備等に使うと説明しています。

総務省と地方債協会は、住民参加型市場公募地方債の継続的な発行に向けた研修会を開いています。

出典と計算の方法

出典:地方債協会「地方債の商品性」 ↗ 総務省「令和8年度全国型市場公募地方債発行計画額」 ↗ 神戸市「こうべ市民債」 ↗ 地方債協会「住民参加型市場公募地方債に関する研修会」 ↗

くわしく

発行状況:住民参加型は年300億円前後

地方債協会の集計では、住民参加型の発行額は令和6年度が12本・280億円、令和7年度が15本・321億円です(どちらも東京都の外貨建て債100億円程度を含む)。

発行団体名称発行日発行額(億円)年限表面利率
福島県第8回ふくしま復興・創生県民債令和8年5月29日155年満期一括2.080%
神戸市令和8年度第1回こうべ市民債令和8年7月27日255年満期一括2.140%
宮城県宮城県公募公債第1回1号(個人向け)令和8年7月29日55年満期一括2.148%
兵庫県・姫路市など令和8年度兵庫県市町共同公募債令和8年8月10日205年満期一括2.148%
埼玉県埼玉県第2回公募公債(個人向け)令和8年8月31日405年満期一括2.182%
高知県高知県令和8年度第2回公募公債(個人向け)令和8年8月31日55年満期一括2.182%
仙台市仙台市第9回グリーンボンド公募公債令和8年9月28日105年満期一括2.394%
詳しく読む

総務省が令和8年4月1日に公表した令和8年度の発行予定では、時期と金額が決まっているのが7団体・計85億円で、宮城県・埼玉県・東京都・川崎市・神戸市・兵庫県と県内4市の共同発行は「未定」でした。

令和8年度は9月末までに次の7本が発行されています。

出典と計算の方法

出典:地方債協会「住民参加型市場公募地方債 発行実績」 ↗ 総務省「令和8年度住民参加型市場公募地方債の発行予定」 ↗

くわしく

買い方:募集期間に、取扱金融機関の窓口で

新しく発行される市場公募地方債は、引受機関(募集取扱い機関)である証券会社・金融機関等を通じて買えます。すでに発行された地方債は、証券会社・金融機関に問い合わせます。

詳しく読む

神戸市の令和8年度第1回こうべ市民債は、募集期間が7月8日から22日、購入単位10万円、取扱金融機関は銀行2行と証券会社10社でした。神戸市は、事前手続きが要る場合があるので販売開始前に取扱金融機関に問い合わせるよう案内しています。

埼玉県第2回公募公債(個人向け)の発行要項では、各公債の金額は1万円、引受・募集取扱会社は証券会社3社です。

出典と計算の方法

出典:総務省「地方債の商品性」 ↗ 神戸市「こうべ市民債」 ↗ 埼玉県「第2回公募公債(個人向け)発行要項」 ↗

くわしく

税金:特定公社債として扱われます

国税庁は、地方債を特定公社債等に含めています。特定公社債等の利子は、受け取るときに15.315%(ほかに地方税5%)が源泉徴収され、申告分離課税の対象ですが、確定申告しないことも選べます。

詳しく読む

地方債は「上場株式等」にも含まれ、売ったときの譲渡益は申告分離課税(所得税15%・住民税5%、ほかに復興特別所得税)です。

障害者等に当たる人は、特別マル優で額面350万円までの利子を非課税にできます。

出典と計算の方法

出典:国税庁 No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得) ↗ 国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税) ↗

くわしく

国債とくらべると

個人向け国債は、発行から1年たてばいつでも中途換金でき、国が額面100円につき100円で買い取ります(直前2回分の利子相当額は差し引かれます)。最低1万円からです。

個人向け国債住民参加型の地方債(例)
返す約束をする相手国発行した都道府県・市
最低金額1万円1万円〜10万円(銘柄による)
途中で換金発行1年後から国が額面で買い取る市場で売却(時価。損益が出る)
買える時期毎月発行発行団体ごとに年1〜2回程度、募集期間は短い
利子の税金20.315%20.315%
詳しく読む

地方債には、このような発行体による額面での買い取りはありません。途中で現金にするには証券会社などに売ることになり、金利の動きによっては売却損が出ます。

返す約束をしているのは国ではなく自治体です。総務省は、地方債はどの団体が発行しても確実に元利償還が行われる仕組みだと説明しています。

出典と計算の方法

出典:財務省「個人向け国債 商品概要」 ↗ 神戸市「こうべ市民債」 ↗ 総務省「地方債に関するQ&A」 ↗

確かめる

勧誘されたとき・契約する前に確かめること

  1. 発行体と発行条件を公式資料で確かめる

    市場公募地方債の発行予定・条件は、総務省、地方債協会、各自治体のサイトで公表されています。勧誘された銘柄が載っているか、利率・年限・発行日が一致するかを確かめます。

    総務省「地方債の商品性」 ↗ 地方債協会「住民参加型市場公募地方債 発行実績」 ↗
  2. 満期前に売ると損が出ることがある

    途中換金は市場での売却になり、価格は日々変動します。売却損が出るおそれがあることを、購入前に取扱金融機関で確かめます。

    神戸市「こうべ市民債」 ↗
  3. 買える時期と事前手続き

    住民参加型の募集期間は2週間程度です。口座開設など事前手続きが要る場合があります。

    神戸市「こうべ市民債」 ↗
  4. 自治体のサイトの情報は勧誘ではない

    自治体は、サイト上の発行要項は情報提供が目的で、販売・購入の勧誘を目的とするものではないと断っています。買うかどうかは取扱金融機関の説明を受けて決めます。

    埼玉県「令和8年度市場公募債発行実績」 ↗
よくある質問

よくある質問

地方自治体が破綻したら、お金は戻りませんか?

総務省は、地方公共団体は破産法の適用がなく、現行法制上は破産しないと説明しています。地方債は当事者間で合意した場合等を除き当初の約定どおり支払われる、というのが政府見解だとしています。

その自治体に住んでいないと買えませんか?

銘柄によります。対象者の条件は発行ごとの募集条件で決まるため、取扱金融機関で確かめてください。

いくらから買えますか?

銘柄によって違います。埼玉県の個人向け公募公債は各公債の金額が1万円、神戸市のこうべ市民債は購入単位10万円です。

利子にかかる税金は?

地方債は特定公社債等に当たり、利子から20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%)が源泉徴収されます。申告分離課税の対象ですが、申告しないことも選べます。

国債とどちらが利率が高いですか?

発行のたびに条件が決まるため、一概には言えません。発行条件は地方債協会や各自治体のサイトで、個人向け国債の条件は財務省のサイトで確かめられます。

このページの事実は2026-10-05に一次資料で確かめたものです。制度や金利は変わることがあります。

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