投資総研
データ記事

ビットコインが盗まれた事件と処分|交換業者への40件から

読む目安:「先に結論」だけなら1分/全部で約35分(21千字)

データの時点2026年6月25日公表分まで金融庁「行政処分事例集」の暗号資産交換業者への処分と、登録一覧(令和8年9月1日現在)・毎週月曜に自動で更新

40件・21社交換業者への行政処分

金融庁の行政処分事例集で、業態が暗号資産交換業者の処分は40件、法人番号で数えて21社でした(名前で数えると24社)。そのうち、暗号資産の外部への流出が理由に書かれているのは3社(コインチェック、テックビューロ、DMM Bitcoin)です。

体制不備 9.0件9.0件体制不備流用 6.0件6.0件流用マネロン 6.0件6.0件マネロン未履行 4.0件4.0件未履行流出 3.0件3.0件流出出金停止 3.0件3.0件出金停止
処分の理由ごとの件数(40件・当サイトが処分の詳細の文言で1つに分類)
この記事に出てくる言葉暗号資産レバレッジ手数料分別管理

01先に結論

流出した金額や被害の大きさは、行政処分事例集には書かれていません。この記事は、金融庁が公表した処分の記録と登録一覧だけを数えたもので、特定の交換業者をすすめたり、避けるよう求めたりするものではありません。

02行政処分事例集には、何が書かれているか

金融庁は、銀行・証券会社・保険会社などへの行政処分を「行政処分事例集」というExcelにまとめています。当サイトが取得した版は全2,816件で、最も新しい公表日は2026年6月25日でした。このうち業態の欄に「暗号資産交換業者」とある40件を、この記事で全部読みました。

欄書かれていること
年度・公表日処分を公表した日。40件は平成29年度(2018年1月29日)から令和6年度(2024年9月26日)まで
金融機関等名処分を受けたときの会社名。その後に名前が変わっても、書き直されない
法人番号国税庁が会社ごとに付ける13けたの番号。名前が変わっても同じ
処分の種類業務改善命令・業務停止命令・登録拒否など
処分の内容「経営管理態勢の構築等」「業務停止」など、命じた中身の要約
主たる処分原因「内部管理態勢の不備」「法令違反」など、処分の理由の大まかな分類
詳細(無題の欄)「仮想通貨の外部への不正流出」「職員による顧客財産の私的流用」など、具体的な理由
解除の有無業務停止などが解除されたか(済・未)。一部は数字が入っていて、意味は書かれていない

この記事では、最後の「詳細」の欄の文言で、処分の理由を1件ごとに1つに分類しました。分類は当サイトによるもので、金融庁の分け方ではありません。同じ処分に複数の理由が書かれているときは、上の分類の表の上にあるもの(流出、流用など)を優先しています。

03暗号資産が盗まれた(流出した)処分

詳細の欄に「流出」とある処分は3件、3社です。

公表日交換業者(処分のときの名前)処分の種類処分の内容詳細
2018/1/29コインチェック業務改善命令経営管理態勢の強化等仮想通貨の外部への不正流出
2018/9/25テックビューロ業務改善命令顧客被害への的確な対応等仮想通貨の外部への不正流出
2024/9/26DMM Bitcoin業務改善命令適正かつ確実な業務運営の確保等システムリスク管理態勢等及び暗号資産の流出リスクへの対応についての不備
横にスクロールすると残りの列が見えます

コインチェック:事例集には2件の記録があり、最初は2018年1月29日、最後は2018年3月8日です。いまの登録一覧にはコインチェック株式会社として載っていて、登録日は2019年1月11日です。流出の処分のあと、347日たってから登録を受けたことになります。処分のときは、登録の審査を受けながら営業していた交換業者(みなし業者)でした。

テックビューロ:事例集には3件の記録があり、最初は2018年3月8日、最後は2018年9月25日です。いまの登録一覧には、同じ法人番号の交換業者は載っていません。

DMM Bitcoin:事例集には1件の記録があり、最初は2024年9月26日、最後は2024年9月26日です。いまの登録一覧には、同じ法人番号の交換業者は載っていません。

流出した暗号資産の種類や金額、利用者への補償の中身は、事例集には書かれていません。それらは各社や金融庁のその時々の発表に書かれたもので、この記事では扱いません。ここで分かるのは、流出のあとに金融庁がどんな処分をしたか、そしてその交換業者がいまどうなっているかです。

流出の処分のうち、システムの体制だけを理由にした処分(システム障害)と、流出そのものを理由にした処分は別に数えています。同じ交換業者が、システム障害で処分を受けたあとに流出で再び処分を受けた例もあります。

04処分の理由の分類

40件を、詳細の欄の文言で1つずつ分類しました。

理由(当サイトの分類)件数交換業者処分を受けた交換業者(処分のときの名前)
暗号資産の流出3件3社コインチェック、テックビューロ、DMM Bitcoin
顧客の財産の流用6件3社ビットステーション、エターナルリンク、BMEX
預かり資産の出金停止3件1社FTX Japan
運転資金の不足3件1社エクシア・デジタル・アセット
命令の未履行・再発防止の不十分4件4社コインチェック、FSHO、Avacus、スプリームス
マネロン対策の不備6件3社FSHO、フィスコ仮想通貨取引所、CoinBest
システム障害2件2社テックビューロ、GMOコイン
新しい暗号資産の販売(IEO)の体制1件1社CoinBest
利用者への説明・委託先の管理3件2社ブルードリームジャパン、QUOINE
経営・内部管理の体制の不備9件9社ミスターエクスチェンジ、バイクリメンツ、Last Roots、みんなのビットコイン、ビットバンク、テックビューロ、bitFlyer、ビットポイントジャパン、BTCボックス
横にスクロールすると残りの列が見えます

暗号資産が盗まれた処分は40件のうち3件で、残りの多くは交換業者の体制の問題です。会社の中の人が利用者の財産を使い込んだ(流用)、怪しい取引を届け出る体制がなかった(マネロン対策)、取締役会が機能していなかった、といった理由のほうが多く並びます。

利用者から見ると、盗まれることと使い込まれることは、どちらも「預けた財産が戻らないおそれ」です。登録業者には、利用者の財産を交換業者の財産と分けて管理する決まりがあり、処分の多くはその決まりが守れる体制かどうかを問うものでした。

年ごとの件数と、理由に出てくる言葉の件数は暗号資産の無登録業者の記事でも数えています。ここでは1件ずつの中身と、交換業者のその後を追います。

05全40件の一覧

暗号資産交換業者への処分40件を、公表日の順に並べました。「理由の分類」は当サイトの分類、「解除」は事例集の「解除の有無」の欄です(済・未以外の記載は「—」)。

公表日交換業者(処分のときの名前)法人番号処分の種類処分の内容詳細理由の分類解除
2018/1/29コインチェック1010001148860業務改善命令経営管理態勢の強化等仮想通貨の外部への不正流出暗号資産の流出済
2018/3/8コインチェック1010001148860業務改善命令経営体制の抜本的な見直し等業務改善命令に対する再発防止策の実施等が不十分な状況命令の未履行・再発防止の不十分済
2018/3/8テックビューロ1120001184556業務改善命令内部管理態勢強化等システム障害発生等システム障害済
2018/3/8ミスターエクスチェンジ4290001067782業務改善命令経営管理態勢の構築等内部監査の未実施、利用者財産の不適切な管理等経営・内部管理の体制の不備未
2018/3/8FSHO6020001107869業務停止命令業務停止疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の未整備マネロン対策の不備済
2018/3/8FSHO6020001107869業務改善命令内部管理態勢強化等疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の未整備マネロン対策の不備—
2018/3/8ビットステーション6180001124469業務停止命令業務停止職員による顧客財産の私的流用顧客の財産の流用済
2018/3/8ビットステーション6180001124469業務改善命令内部管理態勢強化等職員による顧客財産の私的流用顧客の財産の流用—
2018/3/8GMOコイン7011001113188業務改善命令内部管理態勢強化等システム障害発生等システム障害済
2018/3/8バイクリメンツ8010401122104業務改善命令経営管理態勢の構築等内部監査の未実施、利用者財産の不適切な管理、帳簿書類の一部未作成等経営・内部管理の体制の不備—
2018/4/6Last Roots4010401125234業務改善命令経営管理態勢の構築等内部監査の未実施等経営・内部管理の体制の不備済
2018/4/6エターナルリンク5010501030713業務停止命令業務停止職員による顧客財産の流用、疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の未整備等顧客の財産の流用済
2018/4/6エターナルリンク5010501030713業務改善命令内部管理態勢強化等職員による顧客財産の流用、疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の未整備等顧客の財産の流用済
2018/4/6FSHO6020001107869業務停止命令業務停止疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の未整備等マネロン対策の不備済
2018/4/6FSHO6020001107869業務改善命令内部管理態勢強化等疑わしい取引の届出義務を的確に履行する態勢の未整備等マネロン対策の不備—
2018/4/11ブルードリームジャパン2180003017476業務停止命令業務停止利用者への説明義務の未履行、委託先の管理不十分等利用者への説明・委託先の管理済
2018/4/11ブルードリームジャパン2180003017476業務改善命令内部管理態勢強化等利用者への説明義務の未履行、委託先の管理不十分等利用者への説明・委託先の管理—
2018/4/13BMEX2040001085893業務停止命令業務停止顧客財産の流用、合理的な経営計画の未策定等顧客の財産の流用済
2018/4/13BMEX2040001085893業務改善命令内部管理態勢強化等顧客財産の流用、合理的な経営計画の未策定等顧客の財産の流用—
2018/4/25みんなのビットコイン7010401128837業務改善命令経営管理態勢の構築等内部監査の未整備等経営・内部管理の体制の不備済
2018/6/7FSHO6020001107869登録拒否登録拒否2回にわたる業務改善命令の未履行等命令の未履行・再発防止の不十分—
2018/6/22ビットバンク1010801024625業務改善命令経営管理態勢の構築等社内規程と業務実態のかい離等経営・内部管理の体制の不備済
2018/6/22テックビューロ1120001184556業務改善命令経営管理態勢の構築等当社が直面する経営課題に対する対応不備等経営・内部管理の体制の不備済
2018/6/22bitFlyer2011101068824業務改善命令経営体制の抜本的な見直し等監査等委員会及び取締役会の牽制機能の形骸化、当局等へ事実と異なる説明を行う企業風土等経営・内部管理の体制の不備済
2018/6/22ビットポイントジャパン6011001109930業務改善命令経営管理態勢の構築等取締役会機能の形骸化等経営・内部管理の体制の不備済
2018/6/22QUOINE7010401115356業務改善命令経営管理態勢の構築等委託先の管理不十分、法定帳簿の未作成等利用者への説明・委託先の管理済
2018/6/22BTCボックス7020001104824業務改善命令経営管理態勢の構築等取締役会及び取締役等機能の形骸化等経営・内部管理の体制の不備済
2018/9/25テックビューロ1120001184556業務改善命令顧客被害への的確な対応等仮想通貨の外部への不正流出暗号資産の流出済
2019/6/21フィスコ仮想通貨取引所1120101054642業務改善命令経営管理態勢の構築等法令等遵守態勢の不備等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係るリスク管理態勢の不備等マネロン対策の不備済
2020/12/24Avacus9180001136255業務改善命令経営管理態勢の構築等報告徴収命令に対する報告義務違反等命令の未履行・再発防止の不十分未
2022/11/10FTX Japan7010401115356業務停止命令業務停止利用者からの預かり資産の出金停止等預かり資産の出金停止済
2022/11/10FTX Japan7010401115356業務改善命令利用者の保護に万全の措置を講じること等利用者からの預かり資産の出金停止等預かり資産の出金停止未
2022/11/30エクシア・デジタル・アセット4010401125234業務停止命令業務停止運転資金の不足等運転資金の不足済
2022/11/30エクシア・デジタル・アセット4010401125234業務改善命令利用者の保護に万全の措置を講じること等運転資金の不足等運転資金の不足未
2022/12/9FTX Japan7010401115356業務停止命令業務停止利用者からの預かり資産の出金停止等預かり資産の出金停止済
2022/12/27エクシア・デジタル・アセット4010401125234業務停止命令業務停止運転資金の不足等運転資金の不足済
2023/5/12スプリームス6180001124469業務改善命令経営管理態勢の構築等報告徴収命令に対する報告義務違反等命令の未履行・再発防止の不十分未
2024/6/14CoinBest3010001185935業務停止命令業務停止内部管理態勢(含む新規暗号資産の販売(IEO)態勢)の不備新しい暗号資産の販売(IEO)の体制済
2024/6/14CoinBest3010001185935業務改善命令経営管理態勢の構築等経営管理態勢、内部管理態勢(含む新規暗号資産の販売態勢)、内部監査態勢及びマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の不備マネロン対策の不備未
2024/9/26DMM Bitcoin5010401128129業務改善命令適正かつ確実な業務運営の確保等システムリスク管理態勢等及び暗号資産の流出リスクへの対応についての不備暗号資産の流出済
横にスクロールすると残りの列が見えます

解除の欄は、「済」が27件、「未」が6件、数字が入っているものが7件でした。業務停止命令は期間が決まっていて、期間が終われば解除されます。業務改善命令は、交換業者が改善の計画を出し、それが実行されたと金融庁が判断するまで続くものです。

06処分は、何を命じたか

事例集の「処分の内容」の欄は、金融庁が交換業者に何を命じたかの要約です。40件を、この欄の書き方で数えました。

処分の内容(事例集の表記)件数交換業者
経営管理態勢の構築等13件13社
業務停止11件8社
内部管理態勢強化等8件7社
経営体制の抜本的な見直し等2件2社
利用者の保護に万全の措置を講じること等2件2社
経営管理態勢の強化等1件1社
登録拒否1件1社
顧客被害への的確な対応等1件1社
適正かつ確実な業務運営の確保等1件1社

いちばん多いのは、経営や内部管理の体制を作り直すよう求めるものです。業務改善命令を受けた交換業者は、改善の計画を金融庁に出し、その実行の状況を定期的に報告します。「業務停止」は、新しい口座の受け付けや、新しい取引の受け付けなど、業務の全部または一部を一定期間止めさせるものです。「利用者の保護に万全の措置を講じること」は、交換業者が業務を続けられなくなった場面で、預かっている財産を利用者に返すことを最優先にさせるための命令です。

07処分の理由ごとに、利用者に起きうること

処分の理由は交換業者の側の問題ですが、利用者から見ると、それぞれ違うことが起きます。理由の分類ごとに、利用者の側で起きうることと、確かめたい点を並べました。

理由(当サイトの分類)利用者に起きうること確かめたい点
暗号資産の流出預けていた暗号資産が盗まれる。補償の有無と時期は交換業者の判断と財務の余力によるネットにつながない保管の割合、履行保証暗号資産の説明
顧客の財産の流用預けた円や暗号資産が、会社の中の人に使い込まれる分別管理の監査を受けているか
預かり資産の出金停止出金ができなくなり、返ってくるまでに時間がかかる親会社やグループの状況、資産を国内に置いているか
運転資金の不足交換業者の経営が続かず、業務が止まる交換業者の決算の公表、純資産の大きさ
マネロン対策の不備本人確認や取引の確認が厳しくなり、取引や出金に時間がかかることがある本人確認の手続きがきちんとしているか
システム障害取引や出金が一時的にできなくなる障害の公表と、その後の対応
経営・内部管理の体制の不備すぐに困ることは少ないが、ほかの問題の下地になる処分のあとの改善の報告

どの理由でも、利用者が自分でできることは限られます。そのうえで、登録を受けた交換業者を選ぶ、預ける額を必要な分にとどめる、使わない暗号資産を置きっぱなしにしない、という基本は、どの理由にも効きます。

08処分の理由は、事例集ではどう分けられているか

事例集には、詳細の欄とは別に「主たる処分原因」という欄があり、金融庁が理由を大まかに分けています。この欄の書き方で数え、当サイトの分類のどれに当たるかを並べました。

主たる処分原因(事例集の表記)件数当サイトの分類
法令違反、法令等遵守にかかる内部管理態勢の不備10件顧客の財産の流用、マネロン対策の不備、利用者への説明・委託先の管理
経営管理態勢、内部管理態勢の不備8件経営・内部管理の体制の不備、利用者への説明・委託先の管理、マネロン対策の不備、暗号資産の流出
暗号資産交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人に該当5件運転資金の不足、新しい暗号資産の販売(IEO)の体制、マネロン対策の不備
業務を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人に該当3件預かり資産の出金停止
システムリスクにかかる内部管理態勢の不備2件システム障害
経営管理態勢及び業務運営態勢の不備2件経営・内部管理の体制の不備
法令違反、法令遵守等にかかる内部管理態勢の不備2件マネロン対策の不備
経営管理態勢及び内部管理態勢の不備2件経営・内部管理の体制の不備
法令違反2件命令の未履行・再発防止の不十分
内部管理態勢の不備等1件暗号資産の流出
経営管理態勢及び内部管理態勢の重大な不備等1件命令の未履行・再発防止の不十分
仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が行われていない法人に該当1件命令の未履行・再発防止の不十分
業務改善命令に対する履行不十分1件暗号資産の流出

「内部管理態勢の不備」「法令違反」のような大まかな言葉の中に、流出・流用・マネロン対策などの具体的な理由が入っています。同じ「経営管理態勢、内部管理態勢の不備」でも、取締役会が機能していなかった交換業者と、社内の決まりと実際の業務がずれていた交換業者があります。処分を読むときは、大まかな欄だけでなく、詳細の欄まで見るのが大切です。

09同じ日に、何社もまとめて処分された日

40件のうち、同じ日に2社以上へ処分が出た日が3日あります。

公表日交換業者の数処分の件数交換業者(処分のときの名前)
2018/3/87社9件コインチェック、テックビューロ、ミスターエクスチェンジ、FSHO、ビットステーション、GMOコイン、バイクリメンツ
2018/4/63社5件Last Roots、エターナルリンク、FSHO
2018/6/226社6件ビットバンク、テックビューロ、bitFlyer、ビットポイントジャパン、QUOINE、BTCボックス
横にスクロールすると残りの列が見えます

どの日も、最初の流出の処分(2018年1月29日)から半年ほどの間に出たものです。この時期の処分には、登録を受けた交換業者と、登録の審査中に営業していたみなし業者の両方が入っています。

同じ日に、同じ交換業者へ業務停止命令と業務改善命令がそろって出た組は9組ありました。業務を一定期間止めさせたうえで、体制を直す計画を出させる、という組み合わせです。業務停止命令が出た交換業者は8社です。

10同じ交換業者への、くり返しの処分

21社のうち6社は、日をあけて2回以上処分を受けています(同じ日の業務停止と業務改善の組は1回と数えています)。

交換業者(処分のときの名前)処分の公表日前の処分からの日数理由(当サイトの分類)
コインチェック2018/1/29、2018/3/838日暗号資産の流出、命令の未履行・再発防止の不十分
テックビューロ2018/3/8、2018/6/22、2018/9/25106日、95日システム障害、経営・内部管理の体制の不備、暗号資産の流出
FSHO2018/3/8、2018/4/6、2018/6/729日、62日マネロン対策の不備、命令の未履行・再発防止の不十分
ビットステーション → スプリームス2018/3/8、2023/5/121891日顧客の財産の流用、命令の未履行・再発防止の不十分
Last Roots → エクシア・デジタル・アセット2018/4/6、2022/11/30、2022/12/271699日、27日経営・内部管理の体制の不備、運転資金の不足
QUOINE → FTX Japan2018/6/22、2022/11/10、2022/12/91602日、29日利用者への説明・委託先の管理、預かり資産の出金停止
横にスクロールすると残りの列が見えます

くり返しの処分には、2つの形があります。1つは、最初の処分で求めた改善が進まず、もう一度処分を受ける形です。命令の未履行が理由の処分は、この形です。もう1つは、業務停止の期間が終わる前に、期間を延ばす形の処分です。どちらも、最初の処分の時点で問題が片付かなかったことを示しています。

112018年の一斉の処分は、何を問題にしたか

40件のうち28件が2018年に公表され、対象は17社でした。理由の分類で数えると次のとおりです。

理由(当サイトの分類)2018年の件数
経営・内部管理の体制の不備9件
顧客の財産の流用6件
マネロン対策の不備4件
利用者への説明・委託先の管理3件
暗号資産の流出2件
命令の未履行・再発防止の不十分2件
システム障害2件

2018年1月の流出の処分のあと、この年は、登録を受けた交換業者とみなし業者の両方に処分が続きました。理由には、暗号資産が盗まれたことよりも、交換業者の中の体制の問題が多く並びます。内部監査をしていない、帳簿を作っていない、怪しい取引を届け出る体制がない、社員が利用者の財産を使い込んだ、といった理由です。

2018年に処分を受けた17社のうち、いまの登録一覧に法人番号で見つかるのは8社です。残りの交換業者は、登録を受けられなかったか、事業をやめたか、ほかの会社に事業を移しています。この年は、国内の交換業者が大きく入れ替わった年でもありました。

122020年5月の施行のあとの処分

管理の決まりが強まった2020年5月1日より後に公表された処分は11件、6社でした。そのうち、施行の前にも処分を受けていた交換業者は3社です。

Avacus:2020年12月24日に業務改善命令。理由は「報告徴収命令に対する報告義務違反等」。いまの登録一覧には載っていません。

QUOINE → FTX Japan:2022年11月10日に業務停止命令、2022年11月10日に業務改善命令、2022年12月9日に業務停止命令。理由は「利用者からの預かり資産の出金停止等」。いまの登録一覧には株式会社 Custodiemとして載っています。

Last Roots → エクシア・デジタル・アセット:2022年11月30日に業務停止命令、2022年11月30日に業務改善命令、2022年12月27日に業務停止命令。理由は「運転資金の不足等」。いまの登録一覧にはGate Japan株式会社として載っています。

ビットステーション → スプリームス:2023年5月12日に業務改善命令。理由は「報告徴収命令に対する報告義務違反等」。いまの登録一覧には載っていません。

CoinBest:2024年6月14日に業務停止命令、2024年6月14日に業務改善命令。理由は「内部管理態勢(含む新規暗号資産の販売(IEO)態勢)の不備」。いまの登録一覧にはOSL Japan株式会社として載っています。

DMM Bitcoin:2024年9月26日に業務改善命令。理由は「システムリスク管理態勢等及び暗号資産の流出リスクへの対応についての不備」。いまの登録一覧には載っていません。

施行のあとの処分は、件数こそ少ないものの、出金停止・運転資金の不足・流出と、利用者の財産に直接かかわる理由が目立ちます。決まりが強まったことで、財産を分けて管理する仕組みは整いましたが、交換業者の経営が続けられなくなる危険や、システムから盗まれる危険がなくなったわけではありません。

13処分を受けた交換業者は、いまどうなっているか

処分を受けた21社を法人番号でまとめ、いまの登録一覧(令和8年9月1日現在)に同じ法人番号があるかを調べました。会社名の欄の「→」は、事例集の中で名前が変わったものです。

交換業者(処分のときの名前)法人番号件数処分の種類処分の公表日いまの登録一覧
コインチェック10100011488602件業務改善命令22018/1/29〜2018/3/8コインチェック(登録2019/1/11)
テックビューロ11200011845563件業務改善命令32018/3/8〜2018/9/25載っていない
ミスターエクスチェンジ42900010677821件業務改善命令12018/3/8載っていない
FSHO60200011078695件業務停止命令2、業務改善命令2、登録拒否12018/3/8〜2018/6/7載っていない
ビットステーション → スプリームス61800011244693件業務改善命令2、業務停止命令12018/3/8〜2023/5/12載っていない
GMOコイン70110011131881件業務改善命令12018/3/8GMOコイン(登録2017/9/29)
バイクリメンツ80104011221041件業務改善命令12018/3/8載っていない
Last Roots → エクシア・デジタル・アセット40104011252344件業務改善命令2、業務停止命令22018/4/6〜2022/12/27Gate Japan(登録2019/11/27)
エターナルリンク50105010307132件業務停止命令1、業務改善命令12018/4/6載っていない
ブルードリームジャパン21800030174762件業務停止命令1、業務改善命令12018/4/11載っていない
BMEX20400010858932件業務停止命令1、業務改善命令12018/4/13載っていない
みんなのビットコイン70104011288371件業務改善命令12018/4/25楽天ウォレット(登録2019/3/25)
ビットバンク10108010246251件業務改善命令12018/6/22ビットバンク(登録2017/9/29)
bitFlyer20111010688241件業務改善命令12018/6/22bitFlyer(登録2017/9/29)
ビットポイントジャパン60110011099301件業務改善命令12018/6/22載っていない
QUOINE → FTX Japan70104011153564件業務改善命令2、業務停止命令22018/6/22〜2022/12/9Custodiem(登録2017/9/29)
BTCボックス70200011048241件業務改善命令12018/6/22BTCボックス(登録2017/9/29)
フィスコ仮想通貨取引所11201010546421件業務改善命令12019/6/21Zaif(登録2017/9/29)
Avacus91800011362551件業務改善命令12020/12/24載っていない
CoinBest30100011859352件業務停止命令1、業務改善命令12024/6/14OSL Japan(登録2020/9/23)
DMM Bitcoin50104011281291件業務改善命令12024/9/26載っていない
横にスクロールすると残りの列が見えます

いまの登録一覧に法人番号で見つかったのは10社、見つからなかったのは11社です。見つからない交換業者は、登録を受けられなかった、登録をやめた、ほかの会社に事業を移したなどの理由で、一覧から外れています。理由は一覧と事例集からは分かりません。

見つかった10社のうち6社は、処分のときと今とで名前が違います。たとえば、事例集の中だけでも名前が変わっている交換業者があり、いまの一覧ではさらに別の名前になっている交換業者もあります。名前で探すと、過去の処分にたどり着けません。法人番号で引くのが確実です。法人番号は、登録一覧に載っています。

なお、処分を受けたことは、いまの交換業者の状態を示すものではありません。経営者や株主が入れ替わり、体制を作り直した交換業者もあります。過去の記録は、確かめる材料の1つとして読んでください。

14取引所が閉鎖・破綻したら、預けた暗号資産はどうなるか

  1. 円は信託利用者から預かった円は、信託銀行などに信託して交換業者の財産と分ける
  2. 暗号資産は分けて保管利用者の暗号資産は交換業者の分と分け、大部分をネットにつながない方法で保管する
  3. ネット上の分には備えネットにつながった状態で預かる分は、同じ種類・同じ量の暗号資産を別に持つ
  4. 優先して返す交換業者が破綻しても、利用者は預けた暗号資産から他の債権者より先に返してもらえる

登録業者には、利用者から預かった財産を交換業者の財産と分けて管理する決まりがあります。2020年5月1日に施行された改正資金決済法で、この決まりが強まりました。主なものは次の4つです。

  1. 円は信託する。利用者から預かった円などの金銭は、信託銀行などに信託して、交換業者の財産と分けます。
  2. 暗号資産は分けて、ネットから離して保管する。利用者の暗号資産は交換業者の暗号資産と分け、内閣府令で、その95%以上をネットにつながない方法(コールドウォレットなど)で管理することになっています。
  3. ネットにつながった分には、同じものを別に持つ。利用者の暗号資産をネットにつながった状態で管理する分については、同じ種類・同じ量の暗号資産(履行保証暗号資産)を交換業者が自分で持つ決まりです。盗まれたときに返すための備えです。
  4. 利用者は優先して返してもらえる。交換業者が破綻したとき、利用者は交換業者が管理する利用者の暗号資産から、ほかの債権者より先に返してもらう権利(優先弁済権)があります。

分けて管理しているかどうかは、毎年、公認会計士や監査法人の監査を受けることになっています。

実際に交換業者が業務を続けられなくなった例として、事例集には2件、処分の内容に「利用者の保護に万全の措置を講じること」と書かれた処分があります(FTX Japan、エクシア・デジタル・アセット)。理由は「預かり資産の出金停止」と「運転資金の不足」でした。このうちFTX Japanには、第一種金融商品取引業者としても、資産の国内保有命令が8件(公表日は2022年11月10日、2022年12月9日、2023年3月9日、2023年6月9日、2023年9月8日、2023年12月8日、2024年3月8日、2024年6月7日)出ています。交換業者の財産を国外に移さないよう命じるもので、日本の利用者に返す財産を国内にとどめるための処分です。

ただし、決まりがあることと、全額が必ず戻ることは別です。返すまでに時間がかかることも、手続きの間は出金できないこともあります。また、これらは登録業者の決まりです。無登録の業者や海外の業者に預けた財産には、この決まりは及びません。

152017年と2020年で、管理の決まりはどう変わったか

交換業者が利用者の財産をどう管理するかの決まりは、登録制が始まった2017年4月と、改正法が施行された2020年5月で、次のように変わりました。

2017年4月〜2020年5月〜
呼び名仮想通貨・仮想通貨交換業暗号資産・暗号資産交換業
利用者の円などの金銭交換業者の金銭と分けて管理信託銀行などへの信託で分けて管理
利用者の暗号資産交換業者の暗号資産と分けて管理分けて管理し、大部分をネットにつながない方法で保管
ネットにつながった状態の分法令の決まりなし同じ種類・同じ量の暗号資産(履行保証暗号資産)を交換業者が持つ
交換業者が破綻したとき利用者を優先する法律の決まりなし利用者に優先弁済権
証拠金取引(レバレッジ)資金決済法の登録の対象外金融商品取引法の対象(第一種金融商品取引業の登録などが要る)

事例集の40件のうち、施行の前に公表されたものは29件、後に公表されたものは11件です。詳細の欄の言葉も、施行の前の処分では「仮想通貨の外部への不正流出」のように「仮想通貨」と書かれ、業態の欄はいまの呼び名の「暗号資産交換業者」にそろえられています。

16流出に備える「責任準備金」とは

「責任準備金」という言葉は、金融商品取引法の「金融商品取引責任準備金」を指すことが多い言葉です。証券会社などの第一種金融商品取引業者が、取引の事故で生じた損失に備えて積み立てるお金です。暗号資産の証拠金取引(レバレッジ取引)を扱う交換業者は第一種金融商品取引業の登録が要るので、その交換業者にはこの準備金の決まりがかかります。

一方、暗号資産の現物を預かる交換業そのものについて、流出に備えるために法律が求めているのは、前の節の「履行保証暗号資産」です。ネットにつながった状態で預かる利用者の暗号資産と同じ種類・同じ量を、交換業者が別に持っておきます。お金で積み立てる準備金ではなく、同じ暗号資産を持っておく形の備えです。

事例集にも、両方の登録を持つ交換業者への処分があります。40件のうち、業態に「第一種金融商品取引業者」も書かれた処分は3件でした。取引している交換業者がどの登録を持っているかは、暗号資産交換業者の登録一覧と、金融商品取引業者の登録一覧の両方で確かめられます。

17日本では、いつから登録業者から買えたか

ビットコインは2009年に動き始めました。日本では、登録の決まりができる前から売り買いの場はあり、2014年には東京の交換所(マウントゴックス)が経営破綻しています。国内で交換業を行う者に登録が求められるようになったのは、改正資金決済法が施行された2017年4月1日からです。

施行の日に、すぐ登録業者が生まれたわけではありません。いまの一覧で最も早い登録日は2017年9月29日で、施行から181日後です。この日に登録された交換業者が、いまの一覧に8社残っています。施行の前から営業していた交換業者は、登録の審査を受けている間も営業を続けることができました(みなし業者)。

次の表は、いまの登録一覧に残っている交換業者が、各年の終わりの時点で何社登録を受けていたかを数えたものです。右の列は、そのうちいまビットコインを扱っている交換業者の数です。

時点登録を受けていた交換業者(いまの一覧に残る交換業者)うち、いまBTCを扱う交換業者
2017年末11社11社
2018年末11社11社
2019年末15社14社
2020年末17社16社
2021年末24社22社
2022年末26社24社
2023年末26社24社
2024年末26社24社
2025年末26社24社
いま(令和8年9月1日)27社25社

この表は、いまの一覧に残っている交換業者だけで数えています。途中で登録をやめた交換業者や、事業をほかの会社に移して一覧から消えた交換業者は入っていないので、各年の実際の登録業者の数とは違います。登録の年ごとの社数と登録日の全社の表は暗号資産の詐欺被害はいくらかの記事に載せています。

18登録と処分の年表

制度の変わり目と、登録一覧・事例集の日付を1つの年表にしました。制度の日付は法律の施行日、それ以外は当サイトがデータから拾った日付です。

日付出来事
2017/4/1改正資金決済法の施行。仮想通貨交換業が登録制になる。施行前から営業していた交換業者は、登録の審査中も営業を続けられた(みなし業者)
2017/9/29最初の登録。いまの一覧に残る交換業者のうち8社がこの日の登録
2018/1/29交換業者への最初の処分の公表(コインチェック・業務改善命令。理由は仮想通貨の外部への不正流出)
2018/3/87社に9件の処分が同じ日に公表される
2018/4/63社に5件の処分が同じ日に公表される
2018/6/7FSHOに登録拒否(2回にわたる業務改善命令の未履行等)
2018/6/226社に6件の処分が同じ日に公表される
2018/9/25テックビューロへの業務改善命令(理由は仮想通貨の外部への不正流出)
2020/5/1改正資金決済法・金融商品取引法の施行。呼び名が「暗号資産」に。利用者の暗号資産の管理の決まりが強まり、証拠金取引が金融商品取引法の対象になる
2022/11/10FTX Japanへの業務停止命令(利用者からの預かり資産の出金停止等)
2022/11/10FTX Japanへの業務改善命令(利用者からの預かり資産の出金停止等)
2022/11/30エクシア・デジタル・アセットへの業務停止命令(運転資金の不足等)
2022/11/30エクシア・デジタル・アセットへの業務改善命令(運転資金の不足等)
2022/12/9FTX Japanへの業務停止命令(利用者からの預かり資産の出金停止等)
2022/12/27エクシア・デジタル・アセットへの業務停止命令(運転資金の不足等)
2024/9/26DMM Bitcoinへの業務改善命令(理由はシステムリスク管理態勢等及び暗号資産の流出リスクへの対応についての不備)
2026/8/21いまの一覧で最も新しい登録(Laser Digital Japan)

処分は28件が2018年に集まり、その後は数年に1〜数件のペースです。2020年5月の改正の施行のあとも、出金停止や運転資金の不足、流出による処分が出ています。決まりが強まっても、処分がなくなったわけではありません。

19登録の年ごとに見た、処分の記録

いまの登録一覧の交換業者を登録の年で分け、行政処分事例集に記録がある交換業者を数えました。「事例集のどこかに記録」は業態を問わず、「交換業者としての処分」は業態が暗号資産交換業者の記録です。

登録の年交換業者事例集のどこかに記録交換業者としての処分交換業者
2017年11社6社6社マネーパートナーズ、Custodiem、bitFlyer、ビットバンク、GMOコイン、ビットトレード、BTCボックス、Zaif、SBI VCトレード、FINX JCrypto、COINHUB
2019年4社3社3社コインチェック、楽天ウォレット、S.BLOX、Gate Japan
2020年2社1社1社オーケーコイン・ジャパン、OSL Japan
2021年7社0社0社デジタルアセットマーケッツ、マーキュリー、BACKSEAT暗号資産交換業、HashKey Japan、Coinbase、ガイア、Crypto Garage
2022年2社0社0社メルコイン、Binance Japan
2026年1社0社0社Laser Digital Japan
横にスクロールすると残りの列が見えます

処分の記録がある交換業者は、2017年に登録された交換業者に多くなっています。2018年の一斉の処分は、その時点で営業していた交換業者が対象だったためです。交換業者としての処分の記録がある10社のうち、7社は登録の後に、3社は登録の前(みなし業者として営業していた時期など)に処分を受けています。

いまの名前最初の処分登録日処分から登録までの日数
コインチェック2018/1/292019/1/11347日
Gate Japan2018/4/62019/11/27600日
楽天ウォレット2018/4/252019/3/25334日
横にスクロールすると残りの列が見えます

登録の前に処分を受けた交換業者は、処分のあとに体制を整え、あらためて登録を受けたことになります。処分の記録があることと、いま登録を受けていることは、両立します。

反対に、登録を受けたあとで処分を受けた7社について、登録日から最初の処分までの日数を数えました。

いまの名前登録日最初の処分登録からの日数理由(当サイトの分類)
GMOコイン2017/9/292018/3/8160日システム障害
ビットバンク2017/9/292018/6/22266日経営・内部管理の体制の不備
bitFlyer2017/9/292018/6/22266日経営・内部管理の体制の不備
Custodiem2017/9/292018/6/22266日利用者への説明・委託先の管理
BTCボックス2017/9/292018/6/22266日経営・内部管理の体制の不備
Zaif2017/9/292019/6/21630日マネロン対策の不備
OSL Japan2020/9/232024/6/141,360日新しい暗号資産の販売(IEO)の体制
横にスクロールすると残りの列が見えます

登録の審査を通った交換業者でも、1年もたたずに処分を受けた例があります。登録は「その時点で決まりを満たす体制がある」と認められたことで、その後もずっと問題が起きないという保証ではありません。

20登録番号の欠けている番号

登録番号は財務局ごとに順に付けられます。いまの一覧で使われていない番号は次のとおりです。

所管いまの一覧の最大の番号一覧にない番号
関東財務局第32号第5号、第9号、第10号、第17号、第19号、第21号、第22号
近畿財務局第4号第2号、第3号

欠けている番号は、登録をやめた交換業者、ほかの会社と一緒になった交換業者、所管が移った交換業者などの番号です。どの交換業者の番号だったかは、いまの一覧からは分かりません。古い資料やウェブサイトに登録番号が書いてあっても、いまの一覧で同じ番号の交換業者を確かめてください。

一覧の注記には、旧登録番号:近畿財務局長 第00003号 旧登録日:平成29年12月1日という記載があります。所管が変わると、登録番号も変わります。

21取引する交換業者の処分歴を、自分で確かめる手順

  1. 登録一覧で交換業者を探す。暗号資産交換業者登録一覧で、取引しようとしている交換業者の名前(アプリやサービスの名前ではなく、運営交換業者の名前)を探し、法人番号を控えます。
  2. 法人番号で事例集を探す。行政処分事例集のExcelを開き、法人番号の列で控えた番号を検索します。会社名が変わっていても、過去の処分が見つかります。
  3. 詳細の欄を読む。見つかったら「主たる処分原因」だけでなく、詳細の欄で具体的な理由を読みます。流出・流用・出金停止なのか、体制の不備なのかで、意味が違います。
  4. その後の改善を確かめる。業務改善命令のあとは、交換業者が改善の状況を公表していることがあります。金融庁の報道発表もあわせて確かめます。
  5. レバレッジ取引をするなら、もう1つの登録も見る。暗号資産の証拠金取引は、金融商品取引業者の登録一覧で確かめます。処分も、業態が第一種金融商品取引業者として記録されていることがあります。
  6. 預ける額を決める。処分歴があってもなくても、使う予定のない暗号資産を交換業者に置きっぱなしにしないことが、流出や出金停止への備えになります。

この記事の表は、上の手順の1と2を、処分を受けた全部の交換業者について当サイトが行った結果です。最新の状況は、金融庁の一覧と事例集で確かめてください。

22自分の暗号資産が盗まれたら

ここまでは交換業者から流出した例でした。個人のアカウントやウォレットから盗まれた場合は、まず次のことを行います。

  1. 取引している交換業者に、すぐ連絡する。アカウントを止めてもらい、出金の記録を確かめます。
  2. パスワードと二段階認証を変える。同じパスワードをほかのサービスで使っていれば、それも変えます。
  3. 警察に相談する。都道府県警察のサイバー犯罪の相談窓口、または警察相談専用電話(#9110)です。
  4. 「取り戻せる」という連絡には応じない。被害にあった人に、回収をうたって手数料を取る二次被害が起きています。

交換業者のシステムから盗まれたのではなく、自分のアカウントの情報を盗まれて送金された場合、交換業者が補償するかどうかは利用規約によります。登録業者の分別管理の決まりは、交換業者が利用者の財産を守るためのもので、個人のアカウントの乗っ取りまで補償するものではありません。

23この記事に出てくる言葉

行政処分事例集
金融庁が公表している、金融機関などへの行政処分の一覧(Excel)。
業務改善命令
体制の不備を直すよう求める処分。営業は続けられます。
業務停止命令
一定の期間、業務の全部または一部を止めさせる処分。
登録拒否
登録の申請を認めない処分。みなし業者が受けると、営業を続けられなくなります。
みなし業者
2017年4月の登録制の開始より前から営業していて、登録の審査を受けている間、営業を続けることが認められた交換業者。
法人番号
国税庁が会社ごとに付ける13けたの番号。会社名が変わっても変わりません。
コールドウォレット
インターネットにつながない状態で暗号資産を管理する方法。
履行保証暗号資産
ネットにつながった状態で預かる利用者の暗号資産と同じ種類・同じ量を、交換業者が別に持っておくもの。
優先弁済権
交換業者が破綻したとき、利用者が預けた暗号資産から、ほかの債権者より先に返してもらえる権利。

24よくある質問

国内の交換業者から、ビットコインが盗まれたことはありますか。

あります。金融庁の行政処分事例集で、詳細に暗号資産の流出が書かれた処分は3件・3社(コインチェック、テックビューロ、DMM Bitcoin)でした。流出した金額は事例集には書かれていません。

交換業者が破綻したら、預けた暗号資産は戻りますか。

登録業者には、利用者の財産を交換業者の財産と分けて管理する決まりと、利用者が優先して返してもらえる権利(優先弁済権)があります。ただし全額が必ず戻るという保証ではなく、手続きに時間がかかることもあります。無登録の業者には、この決まりは及びません。

処分を受けた交換業者とは、取引しないほうがよいですか。

処分の記録は、その時点の問題を示すもので、いまの状態を示すものではありません。この記事は、交換業者をすすめたり避けるよう求めたりするものではありません。処分の理由と、その後の改善の報告を、金融庁と交換業者の公表資料で確かめてください。

交換業者の名前が変わっていたら、過去の処分はどう調べますか。

法人番号で調べます。登録一覧に法人番号が載っているので、その番号で行政処分事例集を探すと、名前が変わる前の記録も見つかります。

日本でビットコインを登録業者から買えるようになったのはいつですか。

交換業の登録制は2017年4月1日に始まり、いまの一覧で最も早い登録日は2017年9月29日です。それより前から国内で売り買いの場はありましたが、登録の決まりはありませんでした。

処分を受けた交換業者のうち、いまも登録されている交換業者はどれくらいありますか。

法人番号で数えると、処分を受けた21社のうち10社が、いまの登録一覧に載っています。そのうち6社は、処分のときと名前が違います。

2020年5月の改正で、流出は起きなくなりましたか。

なくなってはいません。事例集では、施行のあとにも出金停止・運転資金の不足・流出を理由とする処分がありました(施行のあとの処分は11件)。決まりは、起きたときに利用者の財産を守るためのもので、事故そのものを防ぎきるものではありません。

責任準備金があれば、流出しても補償されますか。

責任準備金は金融商品取引業者の決まりで、暗号資産の現物の預かりについては、同じ種類・同じ量の暗号資産を別に持つ「履行保証暗号資産」の決まりがあります。どちらも、すべての損失を補償することを約束するものではありません。

25この記事の数字は、どこから取ったか

使ったのは次の一次資料です。

処分と登録は、法人番号の完全一致だけでつないでいます(社名の部分一致は使っていません)。処分の理由の分類は、当サイトが詳細の欄の文言で付けたものです。制度の説明は、資金決済法・金融商品取引法とその内閣府令の決まりのうち、施行日(2017年4月1日・2020年5月1日)と仕組みが確かなものだけを書きました。流出の金額・補償の中身は事例集に無いため書いていません。金融庁のデータは公共データ利用規約(PDL1.0)にもとづいて使い、当サイトが加工しています。

一覧はいずれも取得した時点のもので、その後の登録・廃業・処分は反映していません。最新の状況は、金融庁・各財務局の一覧で確かめてください。当サイトは金融商品取引業者ではなく、特定の事業者をすすめたり、避けるよう求めたりするものではありません。

投資がはじめての方へ:言葉 → 始める段 → 3つの質問 → 国債と比べる → 会社を確かめる5ステップを見る →

同じテーマの記事

暗号資産の記事全4本

暗号資産のページで全部見る

関連するページ

関連するページ

投資先を、同じ項目で比べる。

いくらから・元本は誰が守るか・途中で換金できるか・税金を、今月の国債と並べて見られます。

投資先の一覧へ →