- 01先に結論
- 02「財務上の特約」の欄に書かれるもの
- 031口の金額で分けた、財務上の特約の付き方
- 04財務上の特約:担保提供制限は、どこまでの債務を対象にしているか
- 05財務上の特約:純資産額や利益の維持を約束している社債
- 06財務上の特約:業種ごとに見た、個人向けの単位の社債の特約
- 07財務上の特約:特約に違反すると、何が起きるか
- 08財務上の特約:ほかの借金の不履行で、社債も期限前に返済になるか
- 09財務上の特約:電力債の切り替えで、特約の付き方はどう変わったか
- 10財務上の特約:1口100万円以下の152本の特約
- 11財務上の特約:財務制限条項は、投資家を守るか
- 12目論見書と、EDINETの書類の関係
- 13目論見書:書類の欄を、上から順に
- 14目論見書:格付の欄を読む
- 15目論見書:どの格付会社の格付を取っているか
- 16目論見書:格付を取っていない社債
- 17目論見書:社債管理者の欄を読む
- 18目論見書:手取金の使途を読む
- 19目論見書:発行にかかる費用
- 20目論見書:「参照情報」の欄:有価証券報告書のあとに何が変わったか
- 21目論見書:愛称の付いた社債
- 22目論見書:年限の分かれ方
- 23目論見書:1本を例に、全部の欄を読む(ソフトバンクグループ 第70回)
- 24倒産:社債の順位を、1口の金額ごとに数える
- 25倒産:保証付の社債
- 26倒産したとき、誰が手続きをするか
- 27倒産:社債権者集会で決まること
- 28倒産したら、いくら戻るか
- 29倒産の前に、書類で確かめられること
- 30よくある質問
- 31この記事の数字は、どこから取ったか
01先に結論
社債の「財務制限条項」は、発行書類では「財務上の特約」という欄に書かれています。2024年5月24日から2026年9月30日までにEDINETへ出た901本を読むと、1口100万円以下の152本(欄が読めた147本)のうち、純資産額や利益の水準を約束する条項が付いていたのは23本で、多くは「担付切換条項」だけか、財務上の特約そのものが付いていませんでした。
財務制限条項は、会社の財務が悪くなったときに、社債を持つ人が期限前に返済を求めたり、担保を付けさせたりするための約束です。ただ、それは「倒産を防ぐ」仕組みではなく、「悪くなった時点で、ほかの債権者に遅れずに手を打てるようにする」仕組みです。この記事では、実際の書類で条項の中身と付き方を数えます。
個人向け社債の目論見書(発行登録追補目論見書)は、EDINETに出る発行登録追補書類と同じ「募集要項」を中心にできています。2024年5月24日から2026年9月30日までに出た1口100万円以下の社債152本の書類を全部読むと、読むべき欄は「利率」「償還期限(期限前償還)」「銘柄の名前と担保(順位)」「財務上の特約」の4か所で、ほかの欄は、その4か所を補う情報でした。
| 4か所 | 書類のどこ | 152本での実際 |
|---|---|---|
| 利率 | 「利率」欄が1つか、期間ごとに分かれているか | 当初固定+見直しは11本(すべて劣後債など) |
| 期間 | 「償還期限」と「期限前償還」 | 期限前償還の定めがあるのは18本 |
| 順位 | 銘柄の名前(劣後特約付・一般担保付)と「担保」欄 | 劣後16本・一般担保付23本 |
| 財務制限 | 「財務上の特約」の2つの欄 | 純資産・利益の維持が付くのは23本 |
この記事では、書類の欄を上から順に、実際の記載がどう分かれていたかを数え、最後に1本を例に全部の欄を読みます。
社債の発行会社が倒産すると、社債を持つ人は、会社に残った財産からほかの債権者と一緒に配当を受けることになります。全額が戻るとは限りません。戻る額を決めるのは、主に次の3つです。
- 順位:一般担保付・無担保・劣後のどれか(書類の銘柄の名前と「担保」欄)
- 誰が手続きをするか:社債管理者がいるか、財務代理人だけか(「社債管理の委託」欄)
- 会社にどれだけ財産が残っているか:これは書類からは分からない
2024年5月24日から2026年9月30日までに出た社債901本の書類で、1と2を数えました。過去に社債が実際に払われなかった事例と、そのときの回収率は、当サイトのデータでは確かめられていません。
02「財務上の特約」の欄に書かれるもの
発行書類の募集要項には、「財務上の特約(担保提供制限)」と「財務上の特約(その他の条項)」の2つの欄があります。書類に出てくる条項を、中身ごとにまとめました。
| 条項 | 書類の書き方の例 | 意味 |
|---|---|---|
| 担保提供制限 | 「他の社債のために担保提供を行う場合には、本社債のためにも同順位の担保権を設定する」 | ほかの債権者だけが担保を取ることを防ぐ。範囲が「社債間限定」のものは、銀行借入に担保を付けても働かない |
| 担付切換条項 | 「社債管理者と協議のうえ、いつでも本社債のために担保権を設定することができる」 | 発行体が自分の判断で、無担保の社債を担保付に切り換えられる |
| 特定資産の留保 | 「特定の資産を本社債以外の債務に対し担保提供を行わないことを約することができる」 | 特定の資産を、この社債のために取っておく |
| 純資産額維持 | 「純資産の部の金額を…以上に維持しなければならない」 | 純資産がその水準を下回ると、特約違反になる |
| 利益維持 | 「経常損益が2期連続して損失となった場合」など | 赤字が続くと、特約違反になる |
書類の中には、担付切換条項を自分で定義しているものがあります(501本)。たとえばイーレックス 第3回の書類は、こう書いています。
「担付切換条項とは、純資産額維持条項等当社の財務指標に一定の事由が生じた場合に期限の利益を喪失する旨の特約を解除するために担保権を設定する旨の特約または当社が自らいつでも担保権を設定することができる旨の特約をいう。」
つまり担付切換条項は、それ自体が財務の水準を約束するものではなく、財務制限に引っかかったときに、担保を付けることで期限前の返済を避ける道として使われる条項です。
031口の金額で分けた、財務上の特約の付き方
「財務上の特約(その他の条項)」の欄を、当サイトが中身で分けて数えました。1本に複数の条項が付くことがあるので、横に足しても本数にはなりません。
| 区分 | 本数 | 特約なし | 担付切換だけ | 純資産額維持 | 利益維持 | 特定資産の留保 | 欄が読めなかった |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 個人向けの記載・1口10万円以下 | 46本 | 3本 | 17本 | 9本 | 3本 | 12本 | 5本 |
| 1口100万円・記載なし | 106本 | 36本 | 54本 | 11本 | 0本 | 5本 | 0本 |
| 機関投資家向け | 749本 | 665本 | 35本 | 18本 | 7本 | 27本 | 2本 |
機関投資家向けの社債は、大半が「その他の条項」を付けていません。1口100万円以下の社債は、担付切換条項だけを付けたものが中心です。純資産額や利益の水準を約束する条項は、どの区分でも一部に限られていました。
04財務上の特約:担保提供制限は、どこまでの債務を対象にしているか
「財務上の特約(担保提供制限)」は、対象の範囲で意味が大きく変わります。銘柄の名前に「社債間限定同順位特約付」とあるものは、ほかの社債に担保を付けるときだけ働きます。銀行からの借入に担保を付けても、この社債には何も起きません。
| 区分 | 社債間限定 | 借入金も含む | 付いている(範囲は本文参照) | 付いていない | 欄なし |
|---|---|---|---|---|---|
| 個人向けの記載・1口10万円以下 | 29本 | 0本 | 1本 | 11本 | 5本 |
| 1口100万円・記載なし | 59本 | 0本 | 0本 | 43本 | 4本 |
| 機関投資家向け | 608本 | 0本 | 2本 | 101本 | 38本 |
社債間限定ではないものの例として、ソフトバンクグループ 第70回の書類は、担保提供の対象を「当社が国内で既に発行した、又は当社が国内で今後発行する他の社債」としていて、名前に「社債間限定」とは書かれていませんが、読むと対象は国内の社債です。範囲は、名前だけでなく欄の文言で確かめる必要があります。
一般担保付の社債(66本)のうち64本は、担保提供制限を「付いていない」としていました。法律で優先順位が与えられているためで、ある電力会社の書類は「本社債は一般担保付であり、財務上の特約は付されていない」と書いています。
05財務上の特約:純資産額や利益の維持を約束している社債
「純資産額維持」「利益維持」「負債倍率」の条項が付いていた社債を、発行体ごとにまとめました(43本・9社)。基準は最も新しい回の書類の文言です。
| 発行体 | 本数 | 条項 | 純資産額の基準 | 1口100万円以下の回 | 回 |
|---|---|---|---|---|---|
| アイザワ証券グループ | 24本 | 純資産額維持 | 前年同期末の50%以上 | あり | 第1回〜第24回 |
| あかつき本社 | 8本 | 純資産額維持 | 前年同期末の50%以上 | あり | 第53回〜第60回 |
| 近鉄グループホールディングス | 4本 | 利益維持 | — | あり | 第133回〜第136回 |
| ジャパンインベストメントアドバイザー | 2本 | 純資産額維持・利益維持 | 前事業年度末の75%以上 | — | 第2回〜第3回 |
| ソフトバンクグループ | 1本 | 純資産額維持 | 3,698億円以上 | あり | 第70回 |
| フージャースホールディングス | 1本 | 純資産額維持・利益維持 | 前事業年度末の75%以上 | — | 第2回 |
| 名古屋鉄道 | 1本 | 利益維持 | — | あり | 第76回 |
| ケイアイスター不動産 | 1本 | 純資産額維持・利益維持・負債倍率 | 600億円以上かつ前事業年度末の75%以上 | — | 第1回 |
| いちご | 1本 | 純資産額維持・利益維持 | 前事業年度末の75%以上 | — | 第2回 |
基準の決め方は大きく2つに分かれました。「前年同期末(前事業年度末)の純資産額の何%以上」と、その時点の純資産に比べて決めるものと、「○億円以上」と金額で決めるものです。前年比で決めるものは、1年で純資産が半分や4分の3を下回るような急な悪化でないと違反になりません。
06財務上の特約:業種ごとに見た、個人向けの単位の社債の特約
| 業種 | 本数 | 特約なし | 担付切換だけ | 純資産・利益の維持あり | 担保提供制限あり |
|---|---|---|---|---|---|
| 電力 | 66本 | 20本 | 45本 | 0本 | 46本 |
| 銀行・証券・保険の持株会社 | 20本 | 16本 | 3本 | 0本 | 4本 |
| 証券会社の持株会社(自社グループで販売) | 19本 | 0本 | 0本 | 19本 | 0本 |
| その他の事業会社 | 17本 | 0本 | 14本 | 1本 | 17本 |
| ノンバンク(カード・リース) | 11本 | 0本 | 8本 | 0本 | 11本 |
| ネット金融グループ | 8本 | 0本 | 0本 | 0本 | 3本 |
| 鉄道 | 8本 | 3本 | 0本 | 3本 | 5本 |
| 不動産 | 3本 | 0本 | 1本 | 0本 | 3本 |
電力会社の社債のうち一般担保付のものは財務上の特約を付けておらず、2025年4月以降の無担保の電力債は担保提供制限(社債間限定)と担付切換条項を付ける形でした。純資産や利益の維持を約束しているのは、自社グループで売る証券会社の持株会社の社債と、一部の事業会社の社債です。
07財務上の特約:特約に違反すると、何が起きるか
財務上の特約に違反したときの扱いは、同じ書類の「期限の利益喪失に関する特約」に書かれています。期限の利益の喪失とは、満期を待たずに、すぐに返済しなければならなくなることです。書類に出てくる事由を、区分ごとに数えました。
| 期限の利益を失う事由 | 個人向けの記載・1口10万円以下 | 1口100万円・記載なし | 機関投資家向け |
|---|---|---|---|
| 破産・民事再生・会社更生の申立て | 38本(83%) | 81本(76%) | 621本(83%) |
| ほかの社債の期限の利益喪失 | 34本(74%) | 78本(74%) | 606本(81%) |
| 借入金の期限の利益喪失 | 38本(83%) | 81本(76%) | 641本(86%) |
| 保証債務を履行できない | 38本(83%) | 81本(76%) | 635本(85%) |
| 差押・競売など信用を害する事実 | 38本(83%) | 80本(75%) | 48本(6%) |
| 許認可の取消し | 8本(17%) | 11本(10%) | 13本(2%) |
| 財務上の特約への違背 | 36本(78%) | 71本(67%) | 603本(81%) |
1口100万円以下の152本のうち19本は、「本社債権者の請求により」期限の利益を失う、と書かれていました。違反が起きても自動で返済が始まるわけではなく、社債権者(または社債管理者)が請求する手順を踏む形です。
08財務上の特約:ほかの借金の不履行で、社債も期限前に返済になるか
「期限の利益喪失」の欄には、ほかの社債や借入金が返せなくなったときに、この社債も期限前に返済になる、という条項(クロスデフォルト)がよく入っています。ただし多くの書類は、対象になる債務の合計額に下限を付けていて、それより小さい不履行では働きません。その下限の金額を数えました。
| 区分 | 5億円 | 10億円 | 15億円 | 30億円 | 50億円 | その他 | 読めなかった |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 個人向けの記載・1口10万円以下 | 19本 | 13本 | 0本 | 0本 | 0本 | 1本 | 13本 |
| 1口100万円・記載なし | 14本 | 65本 | 0本 | 0本 | 0本 | 0本 | 27本 |
| 機関投資家向け | 340本 | 281本 | 0本 | 4本 | 15本 | 5本 | 104本 |
下限は5億円か10億円がほとんどでした。小さな借入の延滞では、社債の期限前返済は起きない設計です。
09財務上の特約:電力債の切り替えで、特約の付き方はどう変わったか
電力会社の社債(劣後債を除く)を四半期ごとに分け、財務上の特約の付き方を数えました。
| 四半期 | 本数 | 一般担保付 | 担保提供制限あり | 担付切換あり |
|---|---|---|---|---|
| 2024年3Q | 2本 | 2本 | 0本 | 0本 |
| 2024年4Q | 14本 | 12本 | 2本 | 1本 |
| 2025年1Q | 7本 | 6本 | 1本 | 1本 |
| 2025年2Q | 16本 | 0本 | 16本 | 16本 |
| 2025年3Q | 16本 | 0本 | 16本 | 15本 |
| 2025年4Q | 10本 | 0本 | 10本 | 10本 |
| 2026年1Q | 4本 | 0本 | 4本 | 3本 |
| 2026年2Q | 14本 | 0本 | 14本 | 10本 |
| 2026年3Q | 13本 | 0本 | 13本 | 9本 |
一般担保付から無担保に切り替わった2025年4月以降、電力債にも担保提供制限と担付切換条項が付くようになりました。法律上の優先順位がなくなった分を、契約上の約束で補う形です。
10財務上の特約:1口100万円以下の152本の特約
全件の一覧です。「その他の条項」は当サイトの分類、「クロスデフォルトの下限」は期限の利益喪失の欄にある、ほかの債務の不履行が何円を超えたらこの社債も期限前返済になるか、の金額です。
| 発行体 | 回 | 提出 | 担保 | 担保提供制限 | その他の条項 | クロスデフォルトの下限 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アイザワ証券グループ | 第24回 | 2026年9月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| ソフトバンクグループ | 第70回 | 2026年9月 | 無担保 | 付いている(範囲は本文参照) | 担付切換・純資産額維持 | 150億円 |
| 東北電力 | 第586回 | 2026年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第409回 | 2026年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 光通信 | 第58回 | 2026年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 光通信 | 第59回 | 2026年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| アイザワ証券グループ | 第23回 | 2026年8月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 三菱HCキャピタル | 第31回 | 2026年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 10億円 |
| 三井住友トラストグループ | 第25回 | 2026年8月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| あかつき本社 | 第60回 | 2026年8月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| トヨタファイナンス | 第2回 | 2026年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| イオン | 第31回 | 2026年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| アイザワ証券グループ | 第22回 | 2026年7月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 中国電力 | 第471回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| クレディセゾン | 第121回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| プレミアグループ | 第2回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 第42回 | 2026年7月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 第43回 | 2026年7月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| マネックスファイナンス | — | 2026年7月 | 無担保 | 欄なし | 読めず | — |
| SBIホールディングス | 第48回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 近鉄グループホールディングス | 第135回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 利益維持・担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 大東建託 | 第2回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 四国電力 | 第337回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東北電力 | 第585回 | 2026年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| みずほフィナンシャルグループ | 第34回 | 2026年7月 | 無担保 | 欄なし | なし | — |
| みずほフィナンシャルグループ | 第35回 | 2026年7月 | 無担保 | 欄なし | なし | — |
| アイザワ証券グループ | 第21回 | 2026年6月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| あかつき本社 | 第59回 | 2026年6月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| プレミアムウォーターホールディングス | 第13回 | 2026年6月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 東北電力 | 第584回 | 2026年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| アイザワ証券グループ | 第20回 | 2026年5月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 中国電力 | 第470回 | 2026年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中国電力 | 第469回 | 2026年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北陸電力 | 第377回 | 2026年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東京地下鉄 | 第65回 | 2026年5月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 東京地下鉄 | 第66回 | 2026年5月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 東京地下鉄 | 第67回 | 2026年5月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| あかつき本社 | 第58回 | 2026年5月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 東北電力 | 第582回 | 2026年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東北電力 | 第583回 | 2026年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 野村ホールディングス | 第5回 | 2026年5月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| アイザワ証券グループ | 第19回 | 2026年4月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| あかつき本社 | 第57回 | 2026年4月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 光通信 | 第56回 | 2026年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 光通信 | 第57回 | 2026年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| GENDA | 第3回 | 2026年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 東北電力 | 第581回 | 2026年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東急 | 第22回 | 2026年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 10億円 |
| 東北電力 | 第580回 | 2026年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| アイザワ証券グループ | 第18回 | 2026年3月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| あかつき本社 | 第56回 | 2026年3月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 東北電力 | 第579回 | 2026年3月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| SBIホールディングス | 第1回 | 2026年3月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 名古屋鉄道 | 第76回 | 2026年3月 | 無担保 | 社債間限定 | 利益維持・担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| T&Dホールディングス | 第7回 | 2026年3月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 三菱HCキャピタル | 第24回 | 2026年2月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 10億円 |
| 光通信 | 第55回 | 2026年2月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| アイザワ証券グループ | 第17回 | 2026年2月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 東急不動産ホールディングス | 第33回 | 2026年2月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| マネックスファイナンス | — | 2026年2月 | 無担保 | 欄なし | 読めず | — |
| アイザワ証券グループ | 第16回 | 2026年1月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 東北電力 | 第578回 | 2026年1月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| クレディセゾン | 第116回 | 2026年1月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| SBIホールディングス | 第46回 | 2026年1月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| アイザワ証券グループ | 第15回 | 2026年1月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| あかつき本社 | 第55回 | 2026年1月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 中部電力 | 第578回 | 2025年12月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 四国電力 | 第336回 | 2025年12月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北陸電力 | 第376回 | 2025年11月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| ひろぎんホールディングス | 第2回 | 2025年11月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 10億円 |
| アイザワ証券グループ | 第14回 | 2025年11月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 北海道電力 | 第408回 | 2025年11月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| IDOM | 第3回 | 2025年11月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| GENDA | 第2回 | 2025年11月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 光通信 | 第54回 | 2025年10月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| SBIホールディングス | 第48回 | 2025年10月 | 無担保 | 欄なし | 読めず | — |
| 三菱HCキャピタル | 第21回 | 2025年10月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 10億円 |
| 光通信 | 第52回 | 2025年10月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 光通信 | 第53回 | 2025年10月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 第1回 | 2025年10月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 三井住友フィナンシャルグループ | 第21回 | 2025年10月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 三井住友フィナンシャルグループ | 第22回 | 2025年10月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| あかつき本社 | 第54回 | 2025年9月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 三井住友ファイナンス&リース | 第51回 | 2025年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 中部電力 | 第576回 | 2025年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中部電力 | 第577回 | 2025年9月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| ちゅうぎんフィナンシャルグループ | 第4回 | 2025年9月 | 無担保 | 欄なし | なし | — |
| イオン | 第28回 | 2025年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 北陸電力 | 第375回 | 2025年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| オリックス | 第225回 | 2025年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| あかつき本社 | 第53回 | 2025年8月 | 無担保 | 付いていない | 純資産額維持 | — |
| 北海道電力 | 第405回 | 2025年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第406回 | 2025年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第407回 | 2025年8月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| クレディセゾン | 第112回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 京王電鉄 | 第46回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 第40回 | 2025年7月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 三菱UFJフィナンシャル・グループ | 第41回 | 2025年7月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 北陸電力 | 第374回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 近鉄グループホールディングス | 第133回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 利益維持・担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 東北電力 | 第576回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東北電力 | 第577回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| マネックスファイナンス | — | 2025年7月 | 無担保 | 欄なし | 読めず | — |
| 中部電力 | 第573回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中部電力 | 第574回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中部電力 | 第575回 | 2025年7月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東京建物 | 第36回 | 2025年6月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第403回 | 2025年6月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第404回 | 2025年6月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 楽天カード | 第10回 | 2025年6月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| JERA | 第31回 | 2025年6月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 10億円 |
| 野村ホールディングス | 第3回 | 2025年6月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 東北電力 | 第575回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中国電力 | 第467回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中国電力 | 第468回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東北電力 | 第573回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東北電力 | 第574回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北陸電力 | 第373回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 大和証券グループ本社 | 第47回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中部電力 | 第572回 | 2025年5月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第401回 | 2025年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北海道電力 | 第402回 | 2025年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 東北電力 | 第572回 | 2025年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 北陸電力 | 第372回 | 2025年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| 中部電力 | 第571回 | 2025年4月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 10億円 |
| SBIホールディングス | 第47回 | 2025年3月 | 無担保 | 欄なし | 読めず | — |
| 中国電力 | 第465回 | 2025年3月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 中国電力 | 第466回 | 2025年3月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 中部電力 | 第570回 | 2025年3月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 北海道電力 | 第399回 | 2025年2月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 北海道電力 | 第400回 | 2025年2月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 東北電力 | 第571回 | 2025年2月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| クレディセゾン | 第109回 | 2025年1月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| ちゅうぎんフィナンシャルグループ | 第2回 | 2024年12月 | 無担保 | 欄なし | なし | — |
| 北陸電力 | 第371回 | 2024年12月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| T&Dホールディングス | 第1回 | 2024年12月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換 | 5億円 |
| 沖縄電力 | 第36回 | 2024年11月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 東北電力 | 第570回 | 2024年11月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 北海道電力 | 第397回 | 2024年11月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 北海道電力 | 第398回 | 2024年11月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 東北電力 | 第569回 | 2024年11月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| アサヒグループホールディングス | 第24回 | 2024年10月 | 無担保 | 社債間限定 | 担付切換・特定資産の留保 | 5億円 |
| 北海道電力 | 第395回 | 2024年10月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 北海道電力 | 第396回 | 2024年10月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 東北電力 | 第568回 | 2024年10月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 中国電力 | 第463回 | 2024年10月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 中国電力 | 第464回 | 2024年10月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 北陸電力 | 第370回 | 2024年10月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 中国電力 | 第462回 | 2024年9月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
| 三井住友トラスト・ホールディングス | 第21回 | 2024年8月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 三井住友トラスト・ホールディングス | 第22回 | 2024年8月 | 無担保 | 付いていない | なし | — |
| 東北電力 | 第567回 | 2024年8月 | 一般担保付 | 付いていない | なし | 10億円 |
11財務上の特約:財務制限条項は、投資家を守るか
| 守れること | 守れないこと |
|---|---|
| 財務が悪くなった時点で、期限前の返済を求める根拠になる | 会社にお金が無ければ、請求しても返ってこない |
| ほかの社債だけに担保が付くのを防ぐ(担保提供制限) | 社債間限定なら、銀行借入に担保が付いても止められない |
| 純資産や利益が基準を割った時点で、特約違反という区切りができる | 前年比の基準は、ゆっくり悪化する会社では働きにくい |
| 担保を付けさせる交渉の材料になる | 担付切換条項があれば、発行体は担保を付けることで期限前返済を避けられる |
この期間に出た社債について、実際に財務上の特約に違反して期限の利益を失った例は、当サイトの持つデータでは確かめられません。EDINETの発行書類は発行時の約束を示すもので、その後に違反したかどうかは、発行体の臨時報告書や有価証券報告書を個別に読む必要があります。「効いた事例」を数えることは、この記事ではできていません。
12目論見書と、EDINETの書類の関係
この記事で読んだ社債は、あらかじめ「発行登録書」を出しておき、社債を出すたびに「発行登録追補書類」をEDINETに出す仕組みで発行されたものです。証券会社が交付する目論見書は、この追補書類の募集要項に表紙などを加えたもの、と書類から読み取れます。たとえばソフトバンクグループ 第70回の書類の「その他の記載事項」には、目論見書に加える事項として「表紙に当社の社章を記載」「表紙に本社債の愛称を記載」とだけ書かれていました。1口100万円以下の152本のうち32本の書類に、このような「目論見書に記載しようとしている事項」の記載がありました。
つまり、EDINETの書類を読めば、目論見書の中身はほぼ読めます。申込期間の前でも、書類が出た日から読めるのが利点です。
13目論見書:書類の欄を、上から順に
募集要項の欄を書類の順に並べ、152本で実際にどう書かれていたかを数えました。
| 欄 | 書かれていること | 152本での内訳 | 読むときの問い |
|---|---|---|---|
| 銘柄 | 発行体名・回号・「無担保」「劣後特約付」「社債間限定同順位特約付」などの付記 | 劣後16本・一般担保付23本・保証付5本・無担保108本 | 順位と特約の要約が名前に入っている |
| 各社債の金額 | 1口の金額 | 1万円4本・10万円30本・50万円2本・100万円116本 | 当サイトは10万円以下を個人向けとして数えている |
| 利率 | 年○%。劣後債は期間ごとに分かれる | 1つの利率141本・当初固定+見直し11本 | 見直しがあるなら、いつから何に連動するか |
| 利払日 | 毎年○月○日及び○月○日 | 年2回と読めたもの133本 | 受け取る時期 |
| 償還期限・償還の方法 | 満期日。期限前償還・買入消却の定め | 期限前償還の定めあり18本・買入消却の定めあり147本 | 発行体が途中で返せるか |
| 申込期間・払込期日 | 申込の初日と最終日、払込日 | 申込期間2日以上78本・1日74本 | いつまでに申し込むか |
| 担保 | 「担保及び保証は付されておらず」など | 一般担保23本、それ以外は無担保 | 倒産時の順位 |
| 財務上の特約 | 担保提供制限・その他の条項 | その他の条項が付いていないもの39本 | 財務制限の中身 |
| (注)信用格付 | 格付会社と格付 | 取得あり128本・「信用格付はない」24本 | 第三者の信用評価 |
| (注)期限の利益喪失 | 期限前に返済になる事由 | クロスデフォルトの下限が読めたもの112本 | どんなときに早く返してもらえるか |
| 社債の引受け | 証券会社と引受金額・手数料 | 引受人あり127本 | どこで買えるか |
| 社債管理の委託 | 社債管理者(銀行など) | 社債管理者147本・財務代理人5本 | 倒産時に誰が動くか |
| 手取金の使途 | 集めたお金を何に使うか | 124本で分類できた | 返済の原資と事業の関係 |
14目論見書:格付の欄を読む
書類の(注)に、格付会社から取得した格付が書かれています。152本のうち24本は「信用格付はない」と書かれていました。下は、年限3〜5年の普通社債に限って、R&IとJCRのうち高い方の格付ごとに利率を並べたものです(年限をそろえないと、格付の差と年限の差が混ざるため)。
| 格付 | 本数 | 利率の中央値 | 範囲 | 発行体 |
|---|---|---|---|---|
| AAA | 1本 | 2.248% | 2.248〜2.248% | 東京地下鉄 |
| AA | 12本 | 1.534% | 0.900〜2.642% | T&Dホールディングス・オリックス・三井住友ファイナンス&リース・三菱HCキャピタル・中国電力・京王電鉄・東北電力 |
| AA- | 8本 | 1.519% | 0.854〜2.448% | JERA・ひろぎんホールディングス・アサヒグループホールディングス・クレディセゾン・北海道電力 |
| A+ | 16本 | 1.802% | 0.894〜3.021% | 光通信・北海道電力・北陸電力・名古屋鉄道・四国電力・大和証券グループ本社・東急不動産ホールディングス |
| A | 1本 | 2.090% | 2.090〜2.090% | 大東建託 |
| A- | 6本 | 2.502% | 1.568〜2.689% | SBIホールディングス・プレミアグループ・近鉄グループホールディングス |
| BBB+ | 2本 | 3.055% | 2.450〜3.660% | IDOM・プレミアムウォーターホールディングス |
この期間は金利が上がり続けたので、同じ格付でも出た時期で利率が大きく違います。格付と利率の関係は、同じ時期の社債どうしで比べてください。
15目論見書:どの格付会社の格付を取っているか
書類に書かれた格付会社の組み合わせを、1口の金額の区分で比べました(上位6つ)。
| 区分 | 格付会社 | 本数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1口100万円以下 | JCR・R&I | 84本 | 55% |
| 1口100万円以下 | 格付なし | 24本 | 16% |
| 1口100万円以下 | R&I | 23本 | 15% |
| 1口100万円以下 | JCR | 11本 | 7% |
| 1口100万円以下 | JCR・R&I・ムーディーズ | 9本 | 6% |
| 1口100万円以下 | R&I・S&P・ムーディーズ | 1本 | 1% |
| 機関投資家向け | JCR・R&I | 309本 | 41% |
| 機関投資家向け | R&I | 215本 | 29% |
| 機関投資家向け | JCR | 122本 | 16% |
| 機関投資家向け | JCR・R&I・ムーディーズ | 35本 | 5% |
| 機関投資家向け | 格付なし | 35本 | 5% |
| 機関投資家向け | JCR・R&I・S&P・ムーディーズ | 20本 | 3% |
個人向けの単位の社債では、R&IとJCRの2社から取る組み合わせが多く、格付を取らない社債も一部にあります。海外の格付会社(ムーディーズ・S&P)の格付を載せる社債は、どちらの区分でも少数でした。
16目論見書:格付を取っていない社債
「信用格付はない」と書かれていた社債を、発行体ごとにまとめました。
| 発行体 | 本数 | 業種 | 社債の管理 | 1口 |
|---|---|---|---|---|
| アイザワ証券グループ | 11本 | 証券会社の持株会社(自社グループで販売) | 社債管理者 | 100万円 |
| あかつき本社 | 8本 | 証券会社の持株会社(自社グループで販売) | 社債管理者 | 100万円 |
| マネックスファイナンス | 3本 | ネット金融グループ | 財務代理人 | 1万円 |
| SBIホールディングス | 2本 | ネット金融グループ | 財務代理人 | 10万円 |
格付がない社債は、第三者の信用評価が書類にないので、発行体の有価証券報告書で財務を自分で読む必要があります。書類の「参照情報」の欄に、参照すべき有価証券報告書の事業年度と提出日が書かれています。
17目論見書:社債管理者の欄を読む
会社法第702条は、社債を発行するときは社債管理者を定めなければならないとし、例外を「各社債の金額が1億円以上である場合」などとしています。会社法施行規則第169条は、もう1つの例外を「社債の総額を各社債の金額の最低額で除して得た数が50を下回る場合」としています。1口100万円以下の社債は、この例外に当たらない限り社債管理者を置く必要があります。152本の内訳は、社債管理者147本・財務代理人5本でした。
| 社債管理者 | 本数 | 発行体(一部) |
|---|---|---|
| みずほ銀行 | 82本 | GENDA・IDOM・SBIホールディングス・イオン・プレミアグループ・プレミアムウォーターホールディングス・中国電力・光通信・北海道電力・北陸電力・四国電力・ |
| 三井住友銀行 | 18本 | JERA・アサヒグループホールディングス・クレディセゾン・トヨタファイナンス・三井住友トラストグループ・三井住友トラスト・ホールディングス・中部電力・大和証券グ |
| ファースト信託 | 16本 | あかつき本社・アイザワ証券グループ |
| 三菱UFJ銀行 | 14本 | T&Dホールディングス・ちゅうぎんフィナンシャルグループ・ひろぎんホールディングス・オリックス・クレディセゾン・三菱HCキャピタル・名古屋鉄道・大東建託・近鉄グ |
| りそな銀行 | 6本 | T&Dホールディングス・三菱UFJフィナンシャル・グループ |
| 三井住友信託 | 5本 | 三井住友ファイナンス&リース・三井住友フィナンシャルグループ・京王電鉄・東急不動産ホールディングス |
| ほがらか信託 | 3本 | あかつき本社 |
| 野村信託 | 2本 | みずほフィナンシャルグループ |
| あおぞら銀行 | 1本 | ソフトバンクグループ |
社債管理者は、社債権者のために弁済を受け、債権を保全するための一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持ちます(会社法第705条第1項)。財務代理人は発行体の代理人で、書類にも「社債権者に対していかなる義務も負わない」と書かれています。倒産のときに誰が社債権者のために動くかが、この欄で分かります。
18目論見書:手取金の使途を読む
「手取金の使途」の欄に出てくる言葉を、業種ごとに数えました(1本に複数当たるもの、どれにも当たらないものがあります)。
| 業種 | 社債の償還 | 借入金の返済 | 設備資金 | 運転資金 | グループ会社への貸付・投融資 | カード・割賦の実行資金 | 環境・社会の適格事業 | 買収 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 電力 | 46 | 20 | 49 | 0 | 50 | 0 | 9 | 0 |
| 銀行・証券・保険の持株会社 | 2 | 3 | 1 | 4 | 12 | 0 | 3 | 0 |
| 証券会社の持株会社(自社グループで販売) | 8 | 0 | 0 | 11 | 11 | 0 | 0 | 0 |
| その他の事業会社 | 7 | 5 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 |
| ノンバンク(カード・リース) | 5 | 1 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0 | 0 |
| ネット金融グループ | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 鉄道 | 4 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 |
| 不動産 | 0 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
「社債の償還」と書かれていれば、借り換えのための社債です。「グループ会社への貸付」なら、返済の原資は子会社からの返済に頼る部分があります。使途は、発行体がこの社債をなぜ出すのかを示す欄です。
19目論見書:発行にかかる費用
「新規発行による手取金の額」の欄には、払込金額の総額と発行諸費用の概算額が書かれています。1通に1回号だけの書類について、発行額に対する費用の割合を業種ごとに並べました。
| 業種 | 本数 | 最小 | 中央値 | 最大 |
|---|---|---|---|---|
| 電力 | 42本 | 0.28% | 0.37% | 0.49% |
| 銀行・証券・保険の持株会社 | 10本 | 0.47% | 0.56% | 1.50% |
| ノンバンク(カード・リース) | 11本 | 0.51% | 0.64% | 7.50% |
| その他の事業会社 | 11本 | 0.45% | 0.65% | 1.50% |
| ネット金融グループ | 3本 | 0.66% | 0.66% | 0.76% |
| 鉄道 | 5本 | 0.62% | 0.70% | 1.07% |
| 不動産 | 3本 | 0.80% | 0.88% | 0.95% |
| 証券会社の持株会社(自社グループで販売) | 19本 | 1.20% | 1.25% | 3.70% |
費用は発行体が負担するもので、買う人の利回りからは引かれません。自社グループで売る社債は取扱手数料が高く、費用の割合も大きくなっています。
20目論見書:「参照情報」の欄:有価証券報告書のあとに何が変わったか
発行登録追補書類は、会社の概況を直近の有価証券報告書に任せ、その後に変わったことだけを「参照書類の補完情報」に書きます。「事業等のリスク」について「変更その他の事由はありません」と書いた書類が90本、変更や追加を書いた書類が17本、どちらとも読み取れなかったものが45本でした。
| 業種 | 変更なし | 変更・追加あり | 読み取れず |
|---|---|---|---|
| 電力 | 30本 | 9本 | 27本 |
| 銀行・証券・保険の持株会社 | 9本 | 6本 | 5本 |
| 証券会社の持株会社(自社グループで販売) | 19本 | 0本 | 0本 |
| その他の事業会社 | 12本 | 1本 | 4本 |
| ノンバンク(カード・リース) | 8本 | 0本 | 3本 |
| ネット金融グループ | 5本 | 0本 | 3本 |
| 鉄道 | 5本 | 1本 | 2本 |
| 不動産 | 2本 | 0本 | 1本 |
「変更・追加あり」の書類は、有価証券報告書のあとに起きたこと(買収・訴訟・業績の変化など)が書かれている可能性があるので、その部分は必ず読んでください。
21目論見書:愛称の付いた社債
書類に愛称が書かれていた社債です(21本)。ある書類は、目論見書の表紙に愛称を載せると書いていました。当サイトは、愛称のある社債を「個人向けの記載がある社債」として数えています。
| 愛称 | 発行体 | 提出 | 1口 | 利率 | 年限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 福岡ソフトバンクホークスボンド | ソフトバンクグループ | 2026年9月 | 100万円 | 4.750% | 7年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2026年8月 | 100万円 | 2.000% | 1年 |
| TOYOTA Wallet つむぐボンド | トヨタファイナンス | 2026年8月 | 10万円 | 1.720% | 1年 |
| カープレミア債 | プレミアグループ | 2026年7月 | 10万円 | 2.536% | 3年 |
| 大東建託債 | 大東建託 | 2026年7月 | 10万円 | 2.090% | 3年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2026年6月 | 100万円 | 2.000% | 1年 |
| プレミアムWボンド | プレミアムウォーターホールディングス | 2026年6月 | 10万円 | 3.660% | 4年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2026年5月 | 100万円 | 2.000% | 1年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2026年4月 | 100万円 | 2.000% | 1年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2026年3月 | 100万円 | 2.000% | 1年 |
| SBI START債 | SBIホールディングス | 2026年3月 | 1万円 | 2.150% | 3年 |
| Try&Discover債 | T&Dホールディングス | 2026年3月 | 10万円 | 1.897% | 5年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2026年1月 | 100万円 | 1.500% | 1年 |
| Gulliver=IDOM債 | IDOM | 2025年11月 | 10万円 | 2.450% | 3年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2025年9月 | 100万円 | 1.500% | 1年 |
| A・bond(あかつき債) | あかつき本社 | 2025年8月 | 100万円 | 1.500% | 1年 |
| 京王れーるボンド | 京王電鉄 | 2025年7月 | 50万円 | 1.380% | 5年 |
| 東京建物 Brillia サステナビリティボンド | 東京建物 | 2025年6月 | 10万円 | 1.760% | 7年 |
| 楽天カードマン債 | 楽天カード | 2025年6月 | 10万円 | 1.680% | 1年 |
| JERA債 | JERA | 2025年6月 | 100万円 | 1.504% | 5年 |
| Try&Discover債 | T&Dホールディングス | 2024年12月 | 100万円 | 0.989% | 5年 |
22目論見書:年限の分かれ方
「償還期限」と「払込期日」から計算した年限を、1口の金額の区分で数えました。
| 区分 | 1年以下 | 2〜3年 | 4〜5年 | 6〜10年 | 11年以上 | 読めず |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 個人向けの記載・1口10万円以下 | 11本 | 11本 | 17本 | 2本 | 0本 | 5本 |
| 1口100万円・記載なし | 12本 | 3本 | 16本 | 61本 | 14本 | 0本 |
| 機関投資家向け | 17本 | 147本 | 276本 | 195本 | 41本 | 73本 |
個人向けの記載や1口10万円以下の社債は5年以下が中心で、10年を超える長い年限は1口100万円以上の社債に偏っています。「読めず」には、償還期限を定めない永久劣後債や、償還期限の書き方がほかと違う書類が含まれます。
23目論見書:1本を例に、全部の欄を読む(ソフトバンクグループ 第70回)
最後に、この期間で最も発行額(予定)の大きかった個人向け社債を例に、書類の欄を1つずつ読みました。
| 欄 | 書かれていたこと(当サイトの読み取り) |
|---|---|
| 銘柄 | ソフトバンクグループ株式会社第70回無担保社債 |
| 愛称 | 福岡ソフトバンクホークスボンド |
| 各社債の金額 | 100万円 |
| 利率 | 4.75% |
| 利払日 | 毎年3月17日及び9月17日 |
| 償還期限 | 2033年9月16日 |
| 申込期間 | 2026年9月7日〜2026年9月16日(10日) |
| 払込期日 | 2026年9月17日 |
| 担保 | 担保及び保証は付されていない |
| 財務上の特約(担保提供制限) | 付いている(範囲は本文参照) |
| 財務上の特約(その他の条項) | 担付切換・純資産額維持 |
| 信用格付 | JCRA |
| 社債管理者 | あおぞら銀行 |
| 引受 | 11社(主幹事 野村證券) |
| 引受手数料 | 額面100円につき1.10円 |
| クロスデフォルトの下限 | 150億円 |
利率が高い社債ほど、格付・財務上の特約・手取金の使途を丁寧に読む価値があります。この例では、純資産額を一定額以上に維持する条項が付いていました。
24倒産:社債の順位を、1口の金額ごとに数える
| 区分 | 本数 | 一般担保付 | 保証付 | 無担保(普通) | 劣後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 個人向けの記載・1口10万円以下 | 46本 | 3本 | 5本 | 38本 | 0本 |
| 1口100万円・記載なし | 106本 | 20本 | 0本 | 70本 | 16本 |
| 機関投資家向け | 749本 | 43本 | 2本 | 628本 | 76本 |
一般担保付は、電力会社と東京メトロの社債で、法律(電気事業法の附則、東京地下鉄株式会社法第3条)により「一般の先取特権に次ぐ」先取特権が与えられているものです。劣後は、ほかの債権より後に払われる約束をしたものです(破産法第99条第2項の約定劣後破産債権)。それ以外の「無担保(普通)」は、銀行借入や取引先への支払いと同じ順位です。
25倒産:保証付の社債
銘柄の名前に「保証付」とある社債が7本ありました。発行体が払えないときは、保証した会社が払う約束です。
| 発行体 | 回 | 提出 | 1口 | 保証した会社 |
|---|---|---|---|---|
| マネックスファイナンス | — | 2026年7月 | 1万円 | マネックスグループ株式会社 |
| 近鉄グループホールディングス | 第135回 | 2026年7月 | 10万円 | 近畿日本鉄道株式会社 |
| 近鉄グループホールディングス | 第136回 | 2026年7月 | 1億円 | 近畿日本鉄道株式会社 |
| マネックスファイナンス | — | 2026年2月 | 1万円 | マネックスグループ株式会社 |
| 近鉄グループホールディングス | 第133回 | 2025年7月 | 10万円 | 近畿日本鉄道株式会社 |
| 近鉄グループホールディングス | 第134回 | 2025年7月 | 1億円 | 近畿日本鉄道株式会社 |
| マネックスファイナンス | — | 2025年7月 | 1万円 | マネックスグループ株式会社 |
保証付の社債では、発行体(子会社)だけでなく、保証した会社(親会社)の財務も読む必要があります。
26倒産したとき、誰が手続きをするか
会社法第702条は、社債には原則として社債管理者を置くことを求め、各社債の金額が1億円以上の場合などを例外にしています(会社法施行規則第169条は、総額を最低額で割った数が50未満の場合も例外とする)。例外に当たる社債では、社債管理補助者を置くこともできます(会社法第714条の2)。
| 区分 | 社債管理者 | 社債管理補助者 | 財務代理人だけ | 読み取れず |
|---|---|---|---|---|
| 個人向けの記載・1口10万円以下 | 41本 | 0本 | 5本 | 0本 |
| 1口100万円・記載なし | 106本 | 0本 | 0本 | 0本 |
| 機関投資家向け | 93本 | 16本 | 638本 | 2本 |
社債管理者は、社債権者のために弁済を受け、債権を保全するための一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持ちます(会社法第705条第1項)。社債管理補助者は、破産手続参加などの行為をする権限を持ち、委託の契約の範囲でそれ以上のこともします(会社法第714条の4)。
一方、財務代理人は発行体の代理人です。財務代理人だけの社債のうち77本の書類には、財務代理人が社債権者に対して義務を負わない旨が書かれていました。3本の書類には、発行体が払わないときは「社債権者が自ら」権利を守る行為をしなければならない、と明記されていました。1口1億円の機関投資家向けは財務代理人だけのものが大半、1口100万円以下は社債管理者を置くものが大半、という分かれ方でした。
27倒産:社債権者集会で決まること
倒産の前後で、元本の減額や支払いの猶予などを話し合うのが社債権者集会です。会社法は決議の条件を次のように定めています(第724条)。
| 決議の種類 | 条件 |
|---|---|
| 普通の決議 | 出席した議決権者の議決権の総額の2分の1を超える同意 |
| 社債管理者が行う和解・期限の猶予などの決議(第706条第1項各号の行為など) | 議決権者の議決権の総額の5分の1以上で、かつ、出席した議決権者の議決権の総額の3分の2以上の同意 |
社債権者の側から集会を開くよう求める条件も、多くの書類に書かれています。1口100万円以下の152本のうち146本は、「本種類の社債の総額の10分の1以上に当たる社債を有する社債権者」が招集を請求できる、としていました。個人が1人でこの割合を持つことはまずないので、実際には社債管理者が中心になって動くことになります。
28倒産したら、いくら戻るか
戻る額は、会社に残った財産と、ほかの債権者の債権の額で決まります。同じ順位の債権は、額の割合に応じて配当を受けます(破産法第194条第2項)。
| 順位 | 考え方 |
|---|---|
| 一般担保付の社債 | 一般の先取特権に次ぐ順位なので、普通の債権より先に配当を受ける |
| 無担保(普通)の社債 | 銀行借入・取引先への支払いなどと同じ順位で、残った財産を債権額に応じて分ける |
| 劣後債 | ほかの債権が全額払われた後でないと受け取れない |
実際の回収率は、倒産した会社ごとの財産の状況で大きく違います。当サイトは、過去の社債の不払い事例と回収率の一次資料を集められていないので、ここで数字は示しません。
29倒産の前に、書類で確かめられること
| 確かめること | 書類のどこ | 理由 |
|---|---|---|
| 順位 | 銘柄の名前・「担保」欄 | 一般担保付・無担保・劣後で、戻る順番が違う |
| 保証 | 銘柄の名前(「保証付」) | 親会社などの保証があるか |
| 社債管理者 | 「社債管理の委託」欄 | 倒産時に社債権者のために動く人がいるか |
| 期限の利益喪失 | (注)期限の利益喪失に関する特約 | どんなときに期限前に返済を求められるか |
| 格付 | (注)信用格付 | 第三者の評価。取得していない社債もある |
30よくある質問
財務制限条項が付いている社債の方が安全ですか。
安全とは言い切れません。条項は悪化したときに手を打てる根拠ですが、返すお金が無ければ返ってきません。この期間は、条項の付いた社債は一部に限られていました。
「社債間限定同順位特約付」とは何ですか。
ほかの社債に担保を付けるときは、この社債にも同じ順位の担保を付ける、という担保提供制限です。対象は社債だけで、銀行借入は含みません。
担付切換条項は投資家に有利ですか。
発行体が自分の判断で担保を付けられる条項です。財務制限に引っかかったときに、担保を付けて期限前の返済を避けるために使われることがある、と書類自身が説明しています。
財務上の特約はどこで読めますか。
EDINETで発行体名を検索し、発行登録追補書類を開くと、募集要項の中に「財務上の特約」の欄があります。書類の「その他の記載事項」には、目論見書に追加で載せる事項(表紙の社章や愛称など)が書かれていて、募集要項そのものは同じです。
目論見書はどこで手に入りますか。
申し込む証券会社が交付します。中身の中心になる募集要項は、EDINETの発行登録追補書類でも読めます。
有価証券報告書まで読む必要がありますか。
格付がない社債や、利率が同じ時期の社債より高い社債では、発行体の財務を有価証券報告書で読むことをすすめます。書類の「参照情報」の欄に、どの報告書を参照すべきかが書かれています。
4か所だけ読めば十分ですか。
利率・期間・順位・財務制限の4か所で、条件の骨格は分かります。そのうえで、格付と社債管理者、手取金の使途を確かめると、判断の材料がそろいます。
社債は預金保険で守られますか。
守られません。社債は預金ではありません。
倒産したら、社債の手続きは自分でするのですか。
社債管理者がいる社債は、社債管理者が社債権者のために手続きをします。財務代理人だけの社債では、書類に社債権者が自ら権利を守る必要があると書かれています。
一般担保付なら全額戻りますか。
全額が戻る保証ではありません。ほかの債権者より先に配当を受けられるというだけです。
過去に個人向け社債が払われなかったことはありますか。
この記事では、過去の不払い事例を一次資料で確かめられていないため、書いていません。
31この記事の数字は、どこから取ったか
使ったのは、金融庁のEDINETに提出された発行登録追補書類の本文です。2024年5月24日から2026年9月30日までに提出された596通(901回号)を、1日ずつ提出書類の一覧をたどって集め、1通ずつ本文を読みました。
- EDINET API(提出書類一覧・書類本文)
- 1口の金額と書類の記載で分けた内訳:個人向けの記載か1口10万円以下のもの46本、1口100万円以下で記載のないもの106本、機関投資家向け(1口1億円など)749本
遡れるのは約2.3年分です。EDINETは書類を縦覧期間のあいだしか公開しないため、それより前の発行はこの方法では取れません。この期間は、日本の金利が上がり始めた時期にあたります。ここで数えた傾向が、別の時期にもそのまま当てはまるとは限りません。
書類の文言は機械で読み取っています。読み取れなかった欄は「—」または件数から外し、そのことを本文に書きました。発行額は書類の時点の予定額で、後から訂正されることがあります。
財務上の特約の中身は、欄の文言から当サイトが機械で分けたものです。1本に複数の条項が付くものは、それぞれに数えています。
当サイトは金融商品取引業者ではなく、この記事は特定の社債の勧誘ではありません。社債は発行体が倒産すれば元本が戻らないことがあり、預金保険の対象でもありません。
- EDINET API(提出書類一覧・書類本文)
- 1口の金額と書類の記載で分けた内訳:個人向けの記載か1口10万円以下のもの46本、1口100万円以下で記載のないもの106本、機関投資家向け(1口1億円など)749本
- 会社法第702条・第714条の2・第724条、会社法施行規則第169条(e-Gov法令検索)
欄の内訳は、書類の文言を当サイトが機械で読み取って数えたものです。
- EDINET API(提出書類一覧・書類本文)
- 1口の金額と書類の記載で分けた内訳:個人向けの記載か1口10万円以下のもの46本、1口100万円以下で記載のないもの106本、機関投資家向け(1口1億円など)749本
- 会社法第702条・第714条の2・第724条、会社法施行規則第169条(e-Gov法令検索)
- 破産法第65条・第98条・第99条・第194条(e-Gov法令検索)
- 電気事業法 附則第10項〜第21項、東京地下鉄株式会社法第3条(e-Gov法令検索)
順位・保証・社債管理の区分は、銘柄の名前と書類の欄から当サイトが分けたものです。

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