01運用期間中は、原則として引き出せない
これがこの商品の大前提です。運用が始まったら、満了まで資金は動かせません。
| 段階 | 引き出せるか | 理由 |
|---|---|---|
| 申込み後、募集期間中 | 取り消せる事業者が多い | まだ運用が始まっていない |
| 募集成立後、運用開始前 | 事業者による | 資金が物件や貸付先に回る直前 |
| 運用開始後 | 原則できない | 資金が投資対象に回っている |
| 運用期間の満了 | 償還される | — |
| 運用期間の延長中 | できない | 延長の原因が売却の遅れなら、解約の原資がない |
5行目がいちばん問題になります。「いつでも解約できます」という説明は、平常時の話です。物件が売れずに期間が延びているとき、事業者に解約に応じる現金はありません。
02解約や譲渡を認めている事業者
契約上、途中解約や持分の譲渡を認めている事業者があります。ただし条件と手数料があります。
| 形 | 中身 | 条件 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 途中解約 | 事業者が持分を買い取る、または解約に応じる | 事業者の承認。所定の期間の前に申し出る | 解約手数料 |
| 持分の譲渡 | 他の投資家に譲る | 事業者の承認。相手を自分で見つける場合もある | 譲渡手数料 |
| 事業者によるマッチング | 事業者が譲渡の相手を探す | 買い手がいること | 手数料 |
| できない | 契約で認めていない | — | — |
実際の扱いは事業者ごとに違います。契約締結前交付書面と約款で確かめてください。募集ページに「途中解約可」と書いてあっても、条件が付いているのが通例です。
| 確かめること | 書面のどこ |
|---|---|
| 解約できるかどうか | 解約に関する事項 |
| 申し出の期限 | 同上 |
| 手数料の額 | 同上、または手数料の欄 |
| 事業者が応じない場合があるか | 「当社が認めた場合に限る」などの記載 |
| 譲渡できるかどうか | 譲渡に関する事項 |
| 譲渡の相手を自分で探すのか | 同上 |
03現金が必要になったときの、実際の選択肢
運用期間中に資金が必要になった場合、実務的にできることを並べます。
| 順 | 選択肢 | 実現の可能性 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 1 | 他の資産から充てる | いちばん現実的 | なし |
| 2 | 生活防衛資金を使う | そのための資金 | なし |
| 3 | 事業者に解約を申し出る | 契約で認めていれば。応じない場合もある | 解約手数料 |
| 4 | 持分の譲渡を申し出る | 同上 | 譲渡手数料 |
| 5 | 満了を待つ | 確実だが、時期は選べない | なし |
| 6 | 借入で当面をしのぐ | 推奨しない。金利が利回りを上回る | 利息 |
1行目と2行目が答えです。投資型クラウドファンディングは、現金が必要になったときの選択肢にはなりません。だからこそ、生活防衛資金を先に確保しておく必要があります。
6行目は明確に推奨しません。カードローンの金利は年14〜18%です。想定利回り6%の案件を解約せずに持ち続けるために年15%で借りるのは、差し引きでマイナスになります。
04資金を拘束しない設計にする
事前にできる対策です。運用期間の設計で、資金の拘束をコントロールできます。
| やり方 | 中身 | 効き方 |
|---|---|---|
| 短い案件を選ぶ | 3〜6ヶ月の案件 | 拘束される期間が短い |
| 満了の時期をずらす | 同じ時期に集中させない | 数か月ごとに資金が戻る形を作れる |
| 階段状に出す | 3ヶ月・6ヶ月・9ヶ月・12ヶ月の案件を1件ずつ | 3ヶ月ごとに資金が戻る |
| 金額を抑える | 投資に回す総額を減らす | 拘束される絶対額が減る |
| 解約を認めている事業者を選ぶ | 契約で認めている事業者 | 平常時のみ有効 |
3行目の「階段状」が、実務的にいちばん効きます。期間の違う案件を組み合わせると、定期的に資金が戻る形を作れます。
| 月 | 戻る資金 | そのとき決めること |
|---|---|---|
| 3ヶ月後 | 3ヶ月案件の元本+分配 | 使うか、次の案件に回すか |
| 6ヶ月後 | 6ヶ月案件の元本+分配 | 同上 |
| 9ヶ月後 | 9ヶ月案件の元本+分配 | 同上 |
| 12ヶ月後 | 12ヶ月案件の元本+分配 | 同上 |
この形にしておくと、3ヶ月ごとに「使うかどうか」を判断する機会が来ます。全額を12ヶ月案件に入れていると、1年間まったく動かせません。
05それでも延長されることがある
最後に、短い案件を選んでも延長されることを確認しておきます。
| 延長が起きやすい案件 | 理由 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 短期・売却益型・出口未定 | 期限までに買い手が付かなければ、値下げか延長 | 「売却により償還」と書いてあり、買い手が未定 |
| 開発・再生案件 | 工期の遅れ | 工事を伴う案件 |
| 海外案件 | 現地の事情、送金 | 所在国が海外 |
| 賃料型で稼働率が低い | 分配の原資が足りない | 稼働率の記載 |
だから、「3ヶ月だから大丈夫」ではなく、「6ヶ月でも困らないか」で考えるのが現実的です。
延長の通知が来たときに確かめることは、次の4つです。
| 確かめること | 問題のある回答 |
|---|---|
| 延長の理由 | 「諸般の事情により」だけ |
| 新しい終了予定日 | 「当面の間」 |
| 延長期間中の分配 | 賃料型なのに分配が止まっている |
| 同じ事業者の他の案件でも延長が出ているか | 複数で出ていれば、事業者側の問題の可能性 |
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
途中でやめられますか。
運用期間中は原則としてやめられません。一部の事業者が譲渡や解約に対応していますが、手数料がかかり、応じてもらえない場合もあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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