01償還されたお金には、3つの選択肢しかない
運用が終わって資金が戻ったとき、できることは3つです。
| 選択肢 | 中身 | 向く場面 |
|---|---|---|
| 同じ事業者の次の案件に出す | 回転させる | その事業者の割合が上限内なら |
| 別の事業者の案件に出す | 配分を調整する | 1社に偏ってきたとき |
| 銀行口座に戻す | 使う、または置いておく | 総額が上限に達したとき、使う予定があるとき |
1行目がいちばん自然な動きで、いちばん集中を作ります。「同じ事業者で問題なく償還されたから、また同じところに」という判断を繰り返すと、気づいたときには1社に寄っています。
02償還のときに、必ず確かめること
償還の通知が来たら、次に進む前に確かめることがあります。
| 確かめること | なぜ | どこで |
|---|---|---|
| 元本が全額戻ったか | 元本割れしていないか | 取引履歴、償還の明細 |
| 分配が想定どおりだったか | 想定利回りに届いたか | 同上 |
| 源泉徴収された額 | 確定申告に使う | 同上 |
| 運用期間が予定どおりだったか | 延長があったか | 当初の募集ページと照合 |
| 運用の報告があったか | 事業者の情報開示の姿勢が分かる | お知らせ |
| 何に投資していたかを振り返る | 次の判断の材料 | 募集ページの記録 |
1行目と2行目は別の数字です。元本が全額戻っても、分配が想定より少ないことがあります。賃料が想定を下回った、売却価格が想定に届かなかった、といった場合です。
この差を記録しておくと、その事業者の想定利回りがどれくらい実現するかが分かってきます。数件たまれば、判断の材料になります。
03空き期間が、実効利回りを下げる
償還されてから次の案件に出すまでの日数を空き期間といいます。この間、資金は利回りを生みません。
| 運用期間 | 空きなし | 2週間空く | 1か月空く | 2か月空く |
|---|---|---|---|---|
| 3ヶ月の案件(年6%) | 年6.0% | 年5.1% | 年4.5% | 年3.6% |
| 6ヶ月の案件(年6%) | 年6.0% | 年5.5% | 年5.1% | 年4.5% |
| 12ヶ月の案件(年6%) | 年6.0% | 年5.8% | 年5.5% | 年5.1% |
| 24ヶ月の案件(年6%) | 年6.0% | 年5.9% | 年5.8% | 年5.5% |
3ヶ月の案件を回す場合、1か月空くだけで実効利回りは6%から4.5%に落ちます。短期の案件ほど影響が大きい。
| 空き期間を減らす方法 | 中身 | 注意 |
|---|---|---|
| 複数社に口座を持つ | どこかで案件が出ている | 管理が増える |
| 募集の通知を受け取る | 出たらすぐ気づける | — |
| デポジットに置いておく | すぐ出せる | 事業者側に資金がある時間が長くなる |
| 満了時期をずらす | 一度に全額が戻らないようにする | — |
| 条件の悪い案件に出す | やってはいけない | 空きを埋めるために質を下げるのは本末転倒 |
04償還のたびに、配分を見直す
償還は配分を調整する機会です。運用中は動かせないので、このタイミングでしか調整できません。
- 管理表で総額を確認する。決めた上限を超えていないか。
- 事業者ごとの割合を確認する。1社が30%を超えていないか。
- 種別の内訳を確認する。2種別以上に分かれているか。
- 偏っていたら、別の事業者に回す。
- 総額が上限に達していたら、受け取る。
- 使う予定があるなら、そちらに充てる。
5行目が、再投資を続けると総額がじわじわ増えることへの対処です。「戻ったから次に」を繰り返すと、当初決めた金額を超えていることがあります。
年に一度でよいので、投資に回している総額が資産全体の中で適切かを確かめてください。収入や生活の状況が変われば、適切な金額も変わります。
05償還の記録を、次に活かす
償還が終わった案件の記録は、その事業者を評価する唯一の材料です。残しておくべき項目を挙げます。
| 記録すること | 何が分かるか |
|---|---|
| 想定利回りと、実際の分配 | 想定がどれくらい実現するか |
| 予定の運用期間と、実際の期間 | 延長があったか |
| 運用中の報告の回数と内容 | 情報開示の姿勢 |
| 償還から入金までの日数 | 事務の速さ |
| 問い合わせへの対応 | サポートの質 |
| 募集ページに書かれていたことと、結果 | 説明の正確さ |
3〜5件たまると、その事業者の実像が見えてきます。比較サイトの評価より、自分の記録のほうが正確です。
そして、この記録があると金額を増やす判断ができます。「実績があるから増やす」ではなく、「想定どおりに運用され、報告も丁寧だったから、上限の範囲で増やす」という判断になります。この違いは小さく見えて、大きい。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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