投資総研
ANNUAL SURVEY 2026

投資型クラウドファンディング実態調査2026

不動産型・融資型・株式投資型・ファンド型の事業者110社を、 1社ずつ確認しました。公表されている数字だけを使い、推計は含みません。 取得できなかったものは、取得できなかったと明記しています。

掲載110社 登録簿で確認95社 募集中12社 株式投資型839案件 行政処分2,816件

要旨要旨

投資型クラウドファンディングの事業者を1社ずつ確認し、公表されている数字だけを集めた。推計は使っていない。取れなかったものは、取れなかったと書いている。

項目数内訳
掲載した事業者110社不動産型80・融資型20・株式投資型5・ファンド型5
うち、いま募集中の案件がある12社残り84社は、募集の間が空いているか、一覧を公開していない
公的な登録簿で裏が取れた95社国交省の不特法許可一覧、金融庁の金商業者登録と法人番号で突合
電子取引業務の許可を持つ121社不動産特定共同事業の許可277社のうちの数。ただし許可を持つことと、個人向けに募集していることは別
うち個人が買えるサービス約80社許可121社のうち56社を調べたところ、募集サイトを持たないか、適格特例投資家(プロ)限定だった
融資型の借り手131社累計1,425.4億円。うち上場企業78社
株式投資型の募集839件665社が調達。合計170.4億円、延べ82,437人が出資
株式投資型で2026年に募集があったPF5社中2社FUNDINNOとイークラウドのみ。残る3社は最後の募集から1年以上
ファンド型の最長データ1,037件セキュリテの2001年以降。4種別で最も長い記録
行政処分の記録2,816件金融庁の行政処分事例集。うち金融商品取引業者は1,507件
募集を終了・撤退した事業者20社処分で退場した10社のうち9社が融資型、自主的に終了した10社は全部が不動産型
不成立案件を公開している1社110社を13項目で確認。最も公開が少ない項目

この調査は、各社の公式サイトと公的な登録簿から取得できた範囲をまとめたもので、市場規模の推計ではありません。取得の方法と、取れなかったものについては方法の章に書いています。

01不動産型 80社

80社掲載している不動産型
7社いま募集中の案件がある
121社電子取引業務の許可を持つ
50社劣後出資比率を公表

事業者の7割が不動産型に集まっている。掲載110社のうち80社。ただし、いま募集中の案件があるのは7社で、8割は動いていない。

不動産型は、不動産特定共同事業法(不特法)にもとづく。 国土交通省の許可一覧によれば、許可を受けた事業者は277社あり、 そのうちインターネットで契約まで完結する電子取引業務を扱えるのが121社ある。

「121社が参入」は、投資家から見た数ではない

この121社という数字が、参入の多さを示す根拠としてよく使われる。 だが許可を持つことと、個人向けに募集していることは別だ。

当サイトはこの121社と掲載80社を突き合わせ、 差分の56社を1社ずつ調べた。結果は次のとおりだった。

つまり、121社という数字は許可の数であって、個人が口座を作って買える先の数ではない。 そして実際に買える先の中でも、調査時点で募集中の案件があったのは7社だった。 121という数字と、7という数字の間には、これだけの開きがある。

段階数意味
不特法の許可事業者(国交省)277社第1号〜第4号のいずれかを持つ
うち電子取引業務を扱える121社ネットで契約まで完結できる許可
個人向けに募集しているとみられる約80社当サイトの掲載数。主要な比較サイトの掲載とほぼ一致
ファンド一覧を取得できた28社機械が読める形で公開している
いま募集中の案件がある7社調査時点
取得できた案件410件うち金額が判明したのは236件

事業者がここまで増えた理由は、参入要件にある。 不特法には小規模不動産特定共同事業という枠があり、資本金1,000万円で登録できる。 金融商品取引業の登録より軽い。2017年の法改正で電子取引業務が認められて以降、 不動産会社の参入が続いた。ただしこの枠には、1事業あたり1億円・1投資家あたり100万円という 上限がついている。詳しくは小規模不動産特定共同事業の記事にまとめた。

投資家から見た不動産型の特徴は、優先劣後構造を採る案件が多いことだ。 運営会社が自ら出資し、損失が出たときにその分から先に減らす仕組みで、 110社のうち劣後出資比率を公表しているのは55社だった。 劣後の厚さと、それが効かない場面については 優先劣後構造の記事で45社の全数表を出している。

何円から買えるのか

投資家から見て最初に効くのは、1口いくらかだ。掲載110社の最低投資額を数えると、 6割以上が1万円からだった。

1万円64社5〜10万円24社1〜5万円6社10万円超2社
  • 1万円64社
  • 5〜10万円24社
  • 1〜5万円6社
  • 10万円超2社
最低投資額の分布(掲載110社)

1万円という金額は、不特法の小規模特例で1投資家あたり100万円という上限があることと、 投資家を広く集めたいという事業者側の都合の両方から来ている。 ただし少額で買えることと、買える案件があることは別の話で、 人気案件は募集開始から数分で埋まることもある。

劣後出資はどれくらい積まれているか

不動産型80社のうち、劣後出資比率を公表しているのは50社。 その分布がこれだ。

081515社10%未満12社10〜20%10社20〜30%10社30〜50%3社50%以上
  • 10%未満15社
  • 10〜20%12社
  • 20〜30%10社
  • 30〜50%10社
  • 50%以上3社
劣後出資比率の分布(公表している50社)

中央値は13%で、 最も多いのは10%未満の15社だった。30%以上を積んでいるのは10社にとどまる。 劣後が10%なら、物件価格が10%下がった時点で投資家の元本が削られ始める。 一方で劣後を厚くすると運営会社の負担が増えるため、利回りとのトレードオフになる。

想定利回りの上限を公表している社で中央値を取ると 8.0%だった。 劣後の厚さと利回りの関係、そして劣後が効かない場面については 優先劣後構造の記事で全数表を出している。

募集中7社という数字の読み方。これは調査時点で募集中の案件を掲載していた社数で、廃業や休止を意味しない。不動産型は1案件あたりの運用期間が数ヶ月から数年あり、次の組成まで間が空くのが普通です。ただし、一覧そのものを公開していない社も含まれるため、この数字だけで稼働状況は判断できません。

02融資型 20社

20社で1,425.4億円。事業者数は不動産型の3割以下だが、動いている金額は最も大きい。借り手131社のうち78社が上場企業だった。

融資型は、投資家から集めた資金を事業者が企業に貸し付け、利息を分配する形をとる。 根拠となる法律が2つあるのが特徴で、募集には金融商品取引法(第二種金融商品取引業)、 貸付には貸金業法(貸金業登録)が要る。掲載20社のうち 17社は 金融庁の登録簿で確認できた。

項目数
掲載20社
いま募集中の案件がある2社
借り手として名前が公表されている企業131社
うち上場企業78社
借り手側の公表資料から積み上げた累計調達額1,425.4億円
取得できた案件66件(うち金額判明48件)
上場企業78社非上場53社
  • 上場企業78社
  • 非上場53社
融資型の借り手131社の内訳

1社あたりの金額が大きくなるのは、借り手に上場企業が多いためだ。 131社のうち78社、 60%が上場企業で、 1件あたりの調達額が不動産型の小口案件とは桁が違う。 借り手を実名で公表している事業者と、その内訳は 調達企業一覧にまとめた。

一方で、融資型は過去に最も多くの行政処分が出た種別でもある。 第8章で見るとおり、処分を受けて退場した10社のうち9社が融資型だった。 2017年から2021年にかけて、募集時の表示と実際の資金使途が違う事例が続いた。 その記録は行政処分の記事に残している。

借り手の累計調達額は、各事業者の公表資料から積み上げたもので、集計期間が社ごとに揃っていません。事業者ごとの運営開始時期が違うため、他の種別との単純比較はできません。

03株式投資型 5社

2社2026年に募集があったPF(5社中)
839件累計の募集
8件EXIT(0.95%)
82,437人延べ出資者

プラットフォーム5社のうち、2026年に募集があったのは2社だけだった。募集件数も2021年の165件をピークに減っている。

株式投資型は、未上場企業の株式を個人が買う形をとる。 2015年の金融商品取引法改正で制度化され、2017年に最初の募集が始まった。 当サイトは5つのプラットフォームの募集839件を集計した。 調達した企業は665社、合計170.4億円、 延べ82,437人が出資している。

年募集件数募集したプラットフォーム
201717FUNDINNO17
201839FUNDINNO39
201953FUNDINNO52・ユニコーン1
202099FUNDINNO77・ユニコーン13・CF Angels6・イークラウド2・AngelNavi1
2021165FUNDINNO125・ユニコーン18・CF Angels15・イークラウド7
2022162FUNDINNO137・ユニコーン8・CF Angels8・イークラウド7・AngelNavi2
202382FUNDINNO65・イークラウド13・CF Angels2・AngelNavi2
202495FUNDINNO74・イークラウド16・CF Angels5
202599FUNDINNO86・イークラウド13
202628FUNDINNO24・イークラウド4
08216517201739201853201999202016520211622022822023952024992025282026
  • 201717
  • 201839
  • 201953
  • 202099
  • 2021165
  • 2022162
  • 202382
  • 202495
  • 202599
  • 202628
株式投資型の募集件数の推移(2026年は9月時点の途中)

2021年が165件でピークだった。 2026年は9月時点で28件で、通年の2025年(99件)とは 比較できないが、プラットフォームの数そのものが減っている。

プラットフォーム募集件数成立不成立最初の募集最後の募集
FUNDINNO6964551732017-042026-05
イークラウド624762020-072026-04
ユニコーン4025142019-072022-10
CF Angels3621132020-082024-11
AngelNavi5502020-022023-05
FUNDINNO696件イークラウド62件ユニコーン40件CF Angels36件AngelNavi5件
  • FUNDINNO696件
  • イークラウド62件
  • ユニコーン40件
  • CF Angels36件
  • AngelNavi5件
プラットフォーム別の募集件数(累計)

ユニコーンは2022年10月、AngelNaviは2023年5月、CF Angelsは2024年11月を最後に、 新しい募集が確認できない。2026年に募集があったのはFUNDINNOとイークラウドの2社だった。 そしてFUNDINNOが696件、全体の 83%を占めている。

どんな分野が調達しているか

839件を分野で分けると、上位3分野で全体の約35%を占める。

医療・ヘルスケア・バイオ115件食・農林水産96件プラットフォーム・その他91件IT・ソフトウェア87件広告・メディア・エンタメ78件小売・EC・D2C72件旅行・スポーツ・生活サービス70件IoT・ロボット・ハードウェア60件人材・教育46件AI・データ33件エネルギー・環境・素材30件金融・フィンテック28件不動産・建設・まちづくり25件モビリティ・物流8件
  • 医療・ヘルスケア・バイオ115件
  • 食・農林水産96件
  • プラットフォーム・その他91件
  • IT・ソフトウェア87件
  • 広告・メディア・エンタメ78件
  • 小売・EC・D2C72件
  • 旅行・スポーツ・生活サービス70件
  • IoT・ロボット・ハードウェア60件
  • 人材・教育46件
  • AI・データ33件
  • エネルギー・環境・素材30件
  • 金融・フィンテック28件
  • 不動産・建設・まちづくり25件
  • モビリティ・物流8件
株式投資型の分野別募集件数

医療・ヘルスケア・バイオが{'n': 115, 'ok': 73, 'ng': 29, 'amt': 2285350000}件で最も多い。 研究開発に時間と資金がかかり、銀行融資や事業収益では賄いにくい分野が上位に来ている。 一方でモビリティ・物流は8件と少ない。 分野ごとの成立率は分野別の記事に分けてまとめた。

不成立はどれくらい起きているか

プラットフォームごとに、募集が目標に届かなかった割合を出すと差が大きい。

FUNDINNO173件 / 25%イークラウド6件 / 10%ユニコーン14件 / 35%CF Angels13件 / 36%AngelNavi0件 / 0%
  • FUNDINNO173件 / 25%
  • イークラウド6件 / 10%
  • ユニコーン14件 / 35%
  • CF Angels13件 / 36%
  • AngelNavi0件 / 0%
プラットフォーム別の不成立率

ユニコーンは40件中14件、35%が不成立だった。 イークラウドは62件中6件で10%。募集前の審査の厳しさと、 掲載する案件の数をどう取るかの違いが出ている。

投資家から見て最も重要なのは、お金が戻ったかどうかだ。 839件のうち、M&Aや上場で回収されたことが確認できたのは8件、 0.95%にとどまる。 未上場株は取引所で売れないため、回収の手段が限られる。 内訳はEXIT実績の記事に全件出した。 また、募集が目標に届かなかった不成立は 206件あり、こちらは 不成立案件の記事にまとめている。

2026年の件数は9月時点の途中集計です。通年の年と並べて増減を論じることはできません。また、成立・不成立の判定は各プラットフォームの公表表示にもとづきます。

04ファンド型 5社

5社掲載しているファンド型
1,037件セキュリテの募集記録
2001年最も古い募集
2社いま募集中の案件がある

4種別で最も歴史が長いのがファンド型だ。セキュリテ1社だけで1,037件、2001年からの記録がある。他の3種別の「20年後」を見られる唯一の型でもある。

ファンド型(事業型)は、特定の事業に出資し、その売上から分配を受ける形をとる。 根拠は金融商品取引法(第二種金融商品取引業)で、株式投資型と同じだが、 買うのは株式ではなく匿名組合出資持分になる。 酒蔵、漁業、飲食店、海外の農園まで対象が広い。

項目数
掲載5社
いま募集中の案件がある2社
取得できた案件53件(うち金額判明38件)
セキュリテの募集記録1,037件(2001年〜)
2000年代62件2010年代695件2020年代209件
  • 2000年代62件
  • 2010年代695件
  • 2020年代209件
セキュリテの募集件数(年代別)

この型の価値は、時間が経ったあとに何が起きるかを見られることにある。 不動産型の多くは2017年以降に始まったため、10年を超える運用結果がまだない。 セキュリテは2001年から募集を続けており、償還まで終わった案件が積み上がっている。 分配が想定どおりに出た案件と、出なかった案件の両方が記録に残っている。

事業型の比較は事業投資型の記事に、 元本が戻らなかった案件の集計は元本割れの記事にまとめた。

セキュリテの1,037件は1社のデータであり、ファンド型全体を代表するものではありません。他4社については取得できた案件が限られます。

05金額と社数のねじれ

80社不動産型(事業者数1位)
1,425億円融資型(金額1位)
5.9倍融資型 ÷ 不動産型の金額比
12社全体でいま募集中

事業者の数と、動いている金額が噛み合っていない。事業者の7割が集まる不動産型より、20社しかない融資型のほうが、確認できた金額は大きかった。

4つの種別は同じ「クラウドファンディング」と呼ばれるが、根拠となる法律が違い、事業者の数も違う。まず事業者数から見る。

種別事業者数根拠となる法律いま募集中構成比
不動産型80社不動産特定共同事業法7社73%
融資型20社金融商品取引法・貸金業法2社18%
株式投資型5社金融商品取引法1社5%
ファンド型5社金融商品取引法2社5%

掲載110社のうち80社、7割が不動産型に集まっている。 株式投資型とファンド型は5社ずつしかない。ところが金額で見ると順番が変わる。

種別事業者数確認できた金額根拠にしたデータ
融資型20社1,425.4億円借り手131社の調達額の累計
不動産型80社242.5億円取得できた410件のうち金額が判明した236件
株式投資型5社170.4億円839件の募集のうち成立したもの
ファンド型5社53.5億円取得できた53件のうち金額が判明した38件
事業者数確認できた金額(億円)不動産型80社243億円融資型20社1,425億円株式投資型5社170億円ファンド型5社54億円
事業者数と金額は噛み合っていない

融資型は20社で1,425.4億円。 事業者数では不動産型の3割以下なのに、確認できた金額は約5.9倍ある。

理由は借り手の側にある。融資型の借り手131社のうち 78社が上場企業で、1件あたりの金額が大きい。 対して不動産型は、1棟のマンションや1区画を小口にして売る形が中心で、 1件あたりが小さいかわりに件数が出る。

もう一つのねじれは、募集中の社数だ。 不動産型は80社のうち募集中が7社、 つまり91%は調査時点で募集していなかった。 事業者の数が多いことと、選べる案件が多いことは、別の話になる。

この比較には限界がある。融資型の1,425.4億円は借り手側の公表資料から積み上げた累計で、集計期間が揃っていない。不動産型の242.5億円は、当サイトが取得できた410件だけの合計で、一覧を機械が読める形で公開している社が限られるため、実際の金額はこれより大きくなる。1社あたりで見ると融資型71.3億円、不動産型8.7億円だが、不動産型の分母はデータを取得できた28社であり、80社ではない。種別間で金額の大小を断定できる調査ではない。

06情報公開の実態

1社不成立案件を残している
3社過去案件を残している
7社応募率を公開している
99社登録番号を公開している

110社のうち、募集が集まらなかった案件の記録を残していたのは1社だった。過去の案件そのものを残しているのも3社。この業界は、うまくいかなかった記録を手元に置いていない。

投資家が事業者を選ぶとき、最後に効くのは情報公開の姿勢だ。 当サイトは掲載110社の公式サイトに実際にアクセスし、 13項目について公開しているかどうかを確認した。 結果は次のとおり。

登録・許可番号99社 / 90%代表者93社 / 85%所在地87社 / 79%設立56社 / 51%劣後出資比率55社 / 50%出金手数料53社 / 48%入出金の方法43社 / 39%累計実績35社 / 32%ファンド一覧12社 / 11%応募率7社 / 6%募集方式6社 / 5%過去案件を残す3社 / 3%不成立案件1社 / 1%
  • 登録・許可番号99社 / 90%
  • 代表者93社 / 85%
  • 所在地87社 / 79%
  • 設立56社 / 51%
  • 劣後出資比率55社 / 50%
  • 出金手数料53社 / 48%
  • 入出金の方法43社 / 39%
  • 累計実績35社 / 32%
  • ファンド一覧12社 / 11%
  • 応募率7社 / 6%
  • 募集方式6社 / 5%
  • 過去案件を残す3社 / 3%
  • 不成立案件1社 / 1%
110社のうち、その項目を公開している社数

上位にあるのは登録番号(99社)、代表者(93社)、 所在地(87社)で、これらは法令や景品表示の観点から書かざるを得ない項目だ。 一方で下位に並ぶのは、すべて投資判断に直結する実績の情報になっている。

とくに差が大きいのは次の3つだ。

種別ごとに平均点を出すと、意外な順番になった。

不動産型(80社)平均53点融資型(20社)平均36点株式投資型(5社)平均30点ファンド型(5社)平均23点
  • 不動産型(80社)平均53点
  • 融資型(20社)平均36点
  • 株式投資型(5社)平均30点
  • ファンド型(5社)平均23点
種別ごとの情報公開の平均点

事業者数が最も多く、参入要件が最も軽い不動産型が、いちばん公開している。 逆に、金融商品取引業の登録が要るファンド型と株式投資型のほうが点が低い。 参入のハードルの高さと、情報公開の積極性は、この調査では一致しなかった。

理由として考えられるのは競争環境の差だ。不動産型は80社が 同じ投資家を取り合っているため、公開することが差別化になる。 株式投資型は実質2社、ファンド型は5社で、比べられる相手が少ない。 ただしこれは本調査の数字から直接示せるものではなく、解釈である。

点数の散らばり

平均だけでは実態が見えないので、110社の点数を帯で分けた。

0163216社20点未満26社20〜40点32社40〜60点30社60〜80点6社80点以上
  • 20点未満16社
  • 20〜40点26社
  • 40〜60点32社
  • 60〜80点30社
  • 80点以上6社
情報公開スコアの分布(110社)

13項目すべてを公開している社はなかった。 上位に来るのは、ファンド一覧を機械可読で出し、過去案件を残し、応募率まで公開している少数の事業者になる。 どの項目を公開しているかは社ごとに違い、 点が高い社ほど、投資家が後から検証できる情報を残しているという関係になっている。

各社の採点結果は透明性スコアに全社分を出している。 実際にデータを公開している事業者については 情報公開している10社の記事にまとめた。

この採点は、調査時点で公式サイトから確認できたかどうかを見たものです。会員登録後にのみ閲覧できる情報は「公開していない」として扱っています。また、公開の有無を見たものであって、内容の正確さを評価したものではありません。

07投資家保護の厚み

同じ「クラウドファンディング」でも、守られる範囲は法律ごとに違う。根拠法が4種類あり、許可制か登録制か、劣後があるかないかで、損失が出たときの扱いが変わる。

種別根拠となる法律参入投資家側の主な備え
不動産型不動産特定共同事業法許可制(小規模は登録制)優先劣後構造。公表は55社
融資型金融商品取引法・貸金業法登録制担保・保証の設定。借り手の開示
株式投資型金融商品取引法登録制年間投資上限(1社50万円)
ファンド型金融商品取引法登録制事業者の分別管理

最も大きな違いは、不動産型だけが許可制だという点だ。 登録制は要件を満たせば登録される。許可制は行政の裁量が入る。 ただし不動産型でも、小規模不動産特定共同事業は登録制で、 資本金1,000万円で始められる代わりに1事業1億円・1投資家100万円の上限がつく。

投資家側の備えとして最も知られているのが、不動産型の優先劣後構造だ。 運営会社が自ら出資し、損失が出たときにその分から先に減る。 劣後が30%なら、物件価格が30%下がるまで投資家の元本は理屈のうえでは守られる。 ただしこれが効かない場面がある。 賃料収入が止まった場合、物件が売れない場合、運営会社自体が破綻した場合だ。 55社の全数表と、劣後の厚さ別の耐性計算は 優先劣後構造の記事に出している。

株式投資型には、投資家1人あたり1社年間50万円という上限がある。 これは投資家を守るための規制だが、同時に分散しにくさも生む。 配分の考え方は年間50万円の記事にまとめた。

4種別を横断した保護の比較は 投資家保護の記事で詳しく扱っている。

ここに書いたのは制度の枠組みであり、個別の案件の安全性を示すものではありません。当社は金融商品取引業者ではなく、特定の事業者や案件を推奨する立場にありません。

08退場した20社

20社退場した事業者
9社処分退場10社のうち融資型
10社自主終了10社のうち不動産型
3社過去案件を残している

処分などで退場した10社のうち9社が融資型、自主的に募集を終えた10社は10社すべてが不動産型だった。退場の仕方が、種別できれいに分かれている。

まず、行政処分や事業の問題をきっかけに退場した事業者。

サービス運営会社年経緯種別
みんなのクレジット株式会社みんなのクレジット2017業務停止命令。募集時の表示と資金使途の相違融資型
グリーンインフラレンディングJCサービス株式会社2018行政処分。募集資金の目的外流用融資型
トラストレンディング株式会社トラストファイナンス2018業務停止命令融資型
クラウドリース株式会社クラウドリース2019行政処分融資型
maneomaneoマーケット株式会社2018業務改善命令。以後、募集を停止融資型
TATERU Funding株式会社TATERU2018親会社の融資書類改ざん問題によりサービス終了不動産型
SBIソーシャルレンディングSBIソーシャルレンディング株式会社2021貸付先の事業実態をめぐる問題で撤退・廃業融資型
LCレンディングLCレンディング株式会社—サービス終了融資型
クラウドクレジットクラウドクレジット株式会社—海外向け貸付。サービス終了融資型
FUELオンラインファンドFUEL株式会社—サービス終了融資型

9社が融資型だった。2017年から2021年にかけて集中している。 共通していたのは、募集ページに書かれていた資金使途と、実際の使われ方が違ったという点だ。 当時は借り手を匿名にすることが認められていたため、外から検証できなかった。 2019年に金融庁が借り手の情報開示を認める方針を示し、いまは実名を出す事業者が増えている。

次に、処分ではなく自主的に募集を終えた事業者。

サービス運営会社経緯種別
72CROWD.株式会社インヴァランス2025年12月に電子取引業務を終了不動産型
アレグリアファンド株式会社GREEDY2025年3月31日にサイトを閉鎖—
Renosyクラファン株式会社GA technologiesサービス終了不動産型
X-Crowd株式会社インテリックスサービス終了不動産型
LANDNET Funding株式会社ランドネットサービス終了不動産型
みんなdeマンション経営株式会社明光トレーディングサービス終了不動産型
おにぎりファンディングきらめき不動産株式会社サービス終了不動産型
みんなで資産運用大和財託株式会社サービス終了不動産型
ぽちぽちFUNDINGアイディ株式会社サービス終了不動産型
CRE Funding株式会社シーアールイーサービス終了不動産型
Mr.FUNDMAKERMr.LAND株式会社サービス終了不動産型

こちらは10社すべてが不動産型で、不祥事によるものではない。 運営会社は不動産業として存続しており、クラウドファンディング事業だけを畳んでいる。 参入が軽い分、撤退も軽い。第1章で見たとおり不特法の小規模特例は資本金1,000万円で登録でき、 1事業1億円の上限がある。組成が続かなければ、事業として成り立たなくなる。

投資家から見ると、この2つの退場は意味が違う。前者は元本が毀損した事例を含むが、 後者は運用中の案件を満了させてから終えている場合が多い。 ただし撤退後にサイトが閉じると、過去の実績が確認できなくなる。 第6章で見た「過去案件を残しているのは3社」という数字は、 撤退が起きたときに効いてくる。

各社の経緯は撤退事業者の記事に、 行政処分の詳細は行政処分の記事に残した。

種別の分類は当サイトによるものです。また、ここに挙げた事業者は当サイトが把握できた範囲であり、小規模な事業者の撤退は捕捉できていない可能性があります。

09行政処分2,816件

2,816件行政処分事例集の全記録
1,507件うち金融商品取引業者
156件登録取消し
369件業務停止命令

金融庁の行政処分事例集には2,816件の記録がある。うち金融商品取引業者に対するものは1,507件。誰でもExcelで取得でき、法人番号で事業者と突き合わせられる。

投資型クラウドファンディングの事業者は、金融商品取引業者か不動産特定共同事業者として 登録・許可を受けている。金融商品取引業者については、金融庁が「行政処分事例集」を公表しており、 いつ・どの会社に・どんな処分が出たかを誰でも確認できる。 当サイトはこのExcelを取得して全2,816件を読み込み、法人番号で照合した。

業務改善命令1,626件業務廃止命令628件業務停止命令369件登録取消し156件資産の国内保有命令16件是正命令6件勧告4件役員解任命令3件
  • 業務改善命令1,626件
  • 業務廃止命令628件
  • 業務停止命令369件
  • 登録取消し156件
  • 資産の国内保有命令16件
  • 是正命令6件
  • 勧告4件
  • 役員解任命令3件
処分の種類(全2,816件)

年度別に見ると、多い年と少ない年の差が大きい。

平成30年度89件平成29年度194件平成28年度1,047件平成27年度31件平成26年度37件平成25年度40件平成24年度55件平成23年度71件平成22年度73件平成21年度102件平成20年度91件平成19年度83件
  • 平成30年度89件
  • 平成29年度194件
  • 平成28年度1,047件
  • 平成27年度31件
  • 平成26年度37件
  • 平成25年度40件
  • 平成24年度55件
  • 平成23年度71件
  • 平成22年度73件
  • 平成21年度102件
  • 平成20年度91件
  • 平成19年度83件
年度別の処分件数(直近12年度)

この記録の使い方は単純で、気になる事業者の法人番号を調べ、この一覧に名前があるかを見る。 法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで検索できる。社名は変わることがあるが、法人番号は変わらない。 当サイトは掲載110社について同じ照合を済ませてあり、 各サービスのページに結果を出している。

注意したいのは、処分の記録がないことは安全の証明ではないという点だ。 新しく登録した事業者には、そもそも記録が積み上がる時間がない。 また、この事例集は金融商品取引業者を対象としており、 不動産特定共同事業者への処分は国土交通省・都道府県の所管で、別の経路で公表される。

全件の内訳と、確認の手順は 行政処分の記事にまとめた。

行政処分事例集には銀行・保険会社・貸金業者への処分も含まれます。投資型クラウドファンディングに関係するのは金融商品取引業者に対する1,507件で、さらにそのうち当サイト掲載事業者に該当するものはごく一部です。

102026年の論点

この調査から見えた論点を3つ挙げる。いずれも本調査の数字から言えることに限り、市場予測は含まない。

1. 事業者の数と、選べる案件の数は別である

不動産型は80社あるが、調査時点で募集中だったのは7社。 掲載110社全体でも12社だった。 「121社が参入」という数字と、投資家が実際に選べる案件の数は一致しない。 比較サイトが社数を競う一方で、投資家にとっての選択肢は別に数える必要がある。

2. 記録が消えると、検証できなくなる

過去案件を残しているのは3社、不成立案件は1社だった。 第8章のとおり、撤退した事業者は10社ある。撤退とサイト閉鎖が重なると、 その事業者が過去に何をしたかを外から確かめる手段がなくなる。 想定利回りと実績のずれを検証できるのは、記録を残している事業者に限られる。

3. 株式投資型はプラットフォームの数が減っている

5社のうち2026年に募集があったのは2社。 FUNDINNOが全839件の 83%を占める。 EXITが確認できたのは8件で、 0.95%だった。 制度として2017年に始まって10年近いが、 投資家が回収を経験した事例はまだ限られている。

次回版では、当サイトが毎日記録している募集状況の履歴を使い、 募集開始から満額までの時間と最終的な応募率を出したい。 これはどの事業者も公表しておらず、日々の差分を自分で貯めるしかない数字で、 現在715案件ぶんの蓄積がある。

ここに書いたのは本調査の数字から読み取れる範囲の整理であり、市場の将来や個別事業者の見通しを示すものではありません。

方法方法:データの取り方と限界

この調査で何をして、何ができなかったかを書く。数字を引用する前に、ここを読んでほしい。

取得の方法

母集団と、取れていないもの

段階数意味
電子取引業務の許可121社国交省の許可一覧。許可の数であって、募集している数ではない
当サイトの掲載110社不動産型は80社。差分56社を確認したところ、募集サイトを持たないかプロ向け限定だった
一覧ページを特定できた88社URLは分かった
一覧を機械可読で取得できた46社案件情報まで取り出せた。残りは構造上取り出せていない
いま募集中の案件がある12社調査時点
公的な登録簿で裏が取れた95社残り16社は表記ゆれ等による突合の失敗とみられる

この調査で言えないこと

更新

募集状況は毎日取得している。この調査は年1回更新し、 /report/2027/ として次回版を公開する予定である。 本ページの数字は2026-09時点のもの。

元データ

この調査で使った集計は、各ページで個別に公開している。

CSVでダウンロード

表計算ソフトでそのまま開けるCSV(UTF-8・BOM付き)です。再集計や図の作り直しにお使いください。

引用について。出典として「投資総研『投資型クラウドファンディング実態調査2026』」と記載いただければ、図表・CSVを含め自由にお使いいただけます。ウェブで使う場合は、このページ(https://invest.protocol.ooo/report/2026/)へのリンクを添えてください。数字を引くときは、上の「方法」に書いた時点と限界も一緒に示してください。数字の解釈についてのお問い合わせはお問い合わせから受け付けています。

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