01日本証券業協会とは何をする団体か
金融商品取引法に基づく認可金融商品取引業協会です。証券会社などの自主規制機関として、法令より細かいルールを定め、会員を検査し、違反があれば処分します。
| 日証協の役割 | 中身 |
|---|---|
| 自主規制規則の制定 | 法令を補う細かいルールを定める |
| 会員の監査・検査 | 定期的に体制を確かめる |
| 処分 | 過怠金、けん責、会員権の停止・除名 |
| 投資家保護の仕組み | 苦情の受付、FINMACを通じたあっせん |
| 株主コミュニティ制度の運営 | 非上場株式の売買の場 |
| 投資家の投資限度額の管理 | 株式投資型で1社年間50万円を超えないようにする |
| 情報の公表 | 会員名簿、統計、規則 |
6行目が、株式投資型クラウドファンディングに直接効いています。50万円の上限は、協会の規則とプラットフォームのシステムで管理されています。
02加入が必須になる場面
金商法は、金融商品取引業者に協会への加入か、同等の社内規則の整備を求めています。業務の種別によって、どの協会かが変わります。
| 業務 | 加入する協会 | 実務上 | 投資型CFとの関係 |
|---|---|---|---|
| 第一種金融商品取引業 | 日本証券業協会 | 加入が通例 | 株式投資型(第一種少額電子募集) |
| 第二種金融商品取引業 | 第二種金融商品取引業協会 | 加入が通例 | 融資型・事業型 |
| 投資運用業 | 日本投資顧問業協会 | 加入が通例 | — |
| 投資助言・代理業 | 同上 | 同上 | — |
| 不動産特定共同事業 | 協会への加入義務はない | — | 不動産型 |
最後の行に注意してください。不動産特定共同事業には、金商法のような自主規制機関の仕組みがありません。業界団体はありますが、加入が制度上の要件になっているわけではありません。
当サイトが照合できた範囲で、協会への加入が記録されていた事業者は33社でした。
| サービス | 種別 | 運営会社 | 登録番号 | 加入している協会 |
|---|---|---|---|---|
| CREAL | 不動産型 | クリアル株式会社 | 関東財務局長(金商)第2898号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| TORCHES | 不動産型 | TORCHES株式会社 | 四国財務局長(金商)第25号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| REALE | 不動産型 | 株式会社エー・ディー・ワークス | 関東財務局長(金商)第597号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| ジョイントアルファ | 不動産型 | 穴吹興産株式会社 | 四国財務局長(金商)第12号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| ASSECLI | 不動産型 | 株式会社エボルゾーン | 関東財務局長(金商)第3061号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| BATSUNAGU | 不動産型 | 株式会社リムズキャピタル | 関東財務局長(金商)第3493号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| えんfunding | 不動産型 | 株式会社えんホールディングス | 福岡財務支局長(金商)第57号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| TREC Funding | 不動産型 | トーセイ株式会社 | 関東財務局長(金商)第898号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| B-Den | 不動産型 | 株式会社ビーロット | 関東財務局長(金商)第2235号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| ASSET FUNDING | 不動産型 | 株式会社アセットリード | 関東財務局長(金商)第520号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| FC FUNDING | 不動産型 | 株式会社ファンドクリエーション | 関東財務局長(金商)第998号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| Funds | 融資型 | ファンズ株式会社 | 関東財務局長(金商)第3103号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| クラウドバンク | 融資型 | 日本クラウド証券株式会社 | 関東財務局長(金商)第115号 | 日本証券業協会 |
| AGクラウドファンディング | 融資型 | AGクラウドファンディング株式会社 | 関東財務局長(金商)第3272号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| Alterna Bank | 融資型 | SAMURAI証券株式会社 | 関東財務局長(金商)第36号 | 日本証券業協会、第二種金融商品取引業協会 |
| LENDEX | 融資型 | 株式会社LENDEX | 関東財務局長(金商)第2460号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| OwnersBook | 融資型 | ロードスターインベストメンツ株式会社 | 関東財務局長(金商)第3260号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| COMMOSUS | 融資型 | 株式会社コモサス | 関東財務局長(金商)第2973号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| COOL | 融資型 | 株式会社COOL | 関東財務局長(金商)第2229号 | 第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| Pocket Funding | 融資型 | ソーシャルバンクZAIZEN株式会社 | 沖縄総合事務局長(金商)第10号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| J.LENDING | 融資型 | 株式会社ジャルコ | 関東財務局長(金商)第2871号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| CAPIMA | 融資型 | アバンダンティアキャピタル株式会社 | 関東財務局長(金商)第3347号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| Funvest | 融資型 | Fintertech株式会社 | 関東財務局長(金商)第3249号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| 日本マリタイムバンク | 融資型 | 日本マリタイムバンク株式会社 | 関東財務局長(金商)第3308号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| NEXT SHIFT FUND | 融資型 | ネクストシフト株式会社 | 中国財務局長(金商)第48号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| ヤマワケ | 融資型 | WeCapital株式会社 | 関東財務局長(金商)第2768号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| Sunny Proud | 融資型 | 株式会社JRF Global Capital Investments | 関東財務局長(金商)第3469号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| FUNDINNO | 株式投資型 | 株式会社FUNDINNO | 関東財務局長(金商)第2957号 | 日本証券業協会 |
| イークラウド | 株式投資型 | イークラウド株式会社 | 関東財務局長(金商)第3181号 | 日本証券業協会、第二種金融商品取引業協会、資産運用業協会 |
| CF Angels | 株式投資型 | 株式会社CFスタートアップス | 関東財務局長(金商)第3000号 | 日本証券業協会 |
| AngelNavi | 株式投資型 | エクイティファンディング株式会社 | 関東財務局長(金商)第3146号 | 日本証券業協会 |
| セキュリテ | ファンド型(事業型) | ミュージックセキュリティーズ株式会社 | 関東財務局長(金商)第1791号 | 第二種金融商品取引業協会 |
| グローカルクラウドファンディング | ファンド型(事業型) | 株式会社グローカル・クラウドファンディング | 九州財務局長(金商)第20号 | 第二種金融商品取引業協会 |
03協会の規則が、投資家を守っている部分
法令には書かれていないが、協会の規則で定められていることがあります。主なものを挙げます。
| 規則で定められていること | 中身 | 投資家への効き方 |
|---|---|---|
| 非上場株式の勧誘の制限 | 原則として非上場株式の勧誘は禁止。例外として株式投資型などが認められる | 怪しい未上場株の勧誘が減る |
| 投資限度額の管理 | 1社につき年間50万円を超えないようにする | 集中を防ぐ |
| 発行会社の審査 | 事業計画の妥当性を審査する基準 | 最低限の確認がされる |
| 開示の内容 | 募集ページに載せるべき事項 | 判断に必要な情報がそろう |
| 広告の規制 | 誇大な表現の禁止 | 利回りやリスクの表示の適正化 |
| 苦情・紛争の解決 | FINMACによるあっせん | 訴訟より軽い手続きで解決を図れる |
1行目が、この制度の前提です。非上場株式の勧誘は、原則として禁止されています。過去に未公開株の詐欺が多発したためです。株式投資型クラウドファンディングは、その例外として認められた枠組みです。
だから、協会に加入していない業者が非上場株式を勧誘してきたら、それ自体が異常です。会員名簿は日証協のサイトで確認できます。
04FINMACという窓口
証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)は、金融商品取引業者との紛争を扱う機関です。日証協をはじめとする協会が共同で設立しました。
| 段階 | できること | 費用 | 所要期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 相談 | 内容を聞き、助言する | 無料 | 即日〜数日 |
| 苦情の解決の支援 | 事業者に事情を確認し、解決を促す | 無料 | 1〜2か月 |
| あっせん | あっせん委員(弁護士など)が和解の仲介をする | 申立て手数料(金額に応じて数千円〜数万円) | 数か月 |
あっせんは裁判外紛争解決手続(ADR)です。訴訟より早く、費用も軽い。和解が成立すれば、事業者はそれに従います。
| 扱える相手 | 扱えない相手 |
|---|---|
| 金融商品取引業者(第一種・第二種・投資助言・投資運用) | 不動産特定共同事業者 |
| 登録金融機関 | 無登録業者 |
| 加入している協会の会員 | 海外の業者 |
右列の1行目が重要です。不動産型の事業者との紛争は、FINMACでは扱えません。国土交通省や都道府県、国民生活センター、あるいは弁護士に相談することになります。
05自主規制があることと、ないことの差
4種別で、自主規制の有無を並べます。これは投資家保護の仕組みの厚みの差として出ます。
| 種別 | 根拠法 | 自主規制機関 | 紛争の窓口 | 業界としての規則 |
|---|---|---|---|---|
| 株式投資型 | 金商法 | 日本証券業協会 | FINMAC | 詳細な規則がある |
| 融資型 | 金商法+貸金業法 | 第二種金融商品取引業協会 | FINMAC | 同左 |
| 事業型 | 金商法 | 同上 | FINMAC | 同左 |
| 不動産型 | 不特法 | なし(制度上の要件ではない) | 国土交通省・都道府県 | 業界団体の自主的な取り組み |
不動産型だけが、自主規制機関を持たない構造です。これは不動産型が劣っているという意味ではありません。許可制という、金商業より重い参入規制があるからです。
ただし投資家から見ると、紛争が起きたときの窓口が分かりにくいという実務上の差はあります。不動産型の事業者と争いになった場合、許可を出した都道府県か国土交通省に相談し、それで解決しなければ国民生活センターか弁護士、という流れになります。
06よくある質問
登録や許可があれば安全ですか。
違います。登録・許可は最低限の体制と財産的基礎を確かめたもので、集めた資金が正しく使われることの保証ではありません。過去に事故を起こした事業者も、全社が登録業者でした。
登録番号はどこで確かめられますか。
金融商品取引業者は金融庁の「金融商品取引業者登録一覧」、不動産特定共同事業者は国土交通省の一覧で照合できます。どちらも無料で公開されています。
不動産型と融資型で、監督する役所は違いますか。
違います。不動産特定共同事業は国土交通省と都道府県、金融商品取引業と貸金業は金融庁(財務局)です。
元本を保証する商品はありますか。
ありません。出資を集めて元本を保証することは出資法で禁じられています。「元本保証」と書いてある業者には関わらないでください。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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