01海外在住だと、多くの事業者で口座を作れない
結論から書きます。日本国外に居住している場合、多くの事業者では新規の口座を作れません。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 本人確認の要件 | 犯罪収益移転防止法により、日本国内の住所を確認する必要がある |
| 税務上の取扱い | 非居住者への支払いは源泉徴収の扱いが変わる |
| 書面の交付 | 契約書面の到達を確認する必要がある |
| マイナンバー | 支払調書に記載するため、番号が必要 |
| 規約上の制限 | 「日本国内に居住していること」を条件にしている事業者が多い |
1行目の「日本国内の住所」が最初の壁です。本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)に日本の住所が記載されている必要があります。
02すでに口座を持っていて、海外に移る場合
口座を作ったあとで海外に転出する場合の扱いです。事業者に届け出る義務があります。
| 段階 | やること | 起こりうること |
|---|---|---|
| 転出の前 | 各事業者の規約を確認する | 「非居住者になる場合は解約」と定めている事業者がある |
| 転出の前 | 事業者に相談する | 継続できるか、解約が必要かが分かる |
| 転出の前 | 運用中の案件を確認する | 満了まで続けられるか |
| 転出の前 | 書類をすべてダウンロードする | 海外からアクセスできなくなる場合がある |
| 転出のとき | 住所変更の届出 | 規約に従う |
| 転出のあと | 税務上の扱いが変わる | 非居住者の課税 |
4行目が実務的に重要です。海外のIPアドレスからのアクセスを制限している事業者があります。ログインできなくなると、書類も取れません。転出の前に全部落としておいてください。
03非居住者になると、税金の扱いが変わる
日本の税法上、居住者と非居住者では課税のしかたが違います。
| 居住者 | 非居住者 | |
|---|---|---|
| 課税の範囲 | 全世界の所得 | 日本国内源泉所得のみ |
| 匿名組合の分配 | 雑所得・総合課税 | 20.42%の源泉徴収で完結(原則) |
| 確定申告 | 必要な場合がある | 原則として不要(源泉分離) |
| 住民税 | 課税される | 1月1日に住所がなければ課税されない |
| 租税条約 | — | 居住国との条約で税率が変わることがある |
3行目と4行目を合わせると、非居住者は20.42%で完結し、住民税がかからないという形になります。課税所得の高い人にとっては結果的に負担が軽くなることがあります。
ただし5行目に注意してください。居住国の税法では、その国で課税される可能性があります。租税条約により二重課税は調整されますが、手続きが必要です。居住国の税制は国ごとに違うので、現地の専門家に確認してください。
04実務上の選択肢
海外在住でどうしても日本の投資型クラウドファンディングを使いたい場合の選択肢を、実現の可能性とともに並べます。
| 選択肢 | 実現の可能性 | 注意 |
|---|---|---|
| 事業者に個別に相談する | まずこれ。対応している事業者があるかもしれない | 規約を変えてもらうことはできない |
| 日本の住所を残したまま渡航する(短期) | 住民票を抜かない短期の滞在なら、居住者のまま | 実態と異なる届出はしない |
| 帰国後に始める | 確実 | — |
| 日本の家族の名義で投資する | 推奨しない | 原資が自分なら贈与。名義預金の問題も生じる |
| 居住国の同種の商品を探す | 国による | 制度も保護も違う |
4行目は明確に推奨しません。名義を分けても、原資が誰のお金かで税務上は判断されます。年間110万円を超える資金を渡せば贈与税の対象ですし、相続のときに名義預金として扱われる可能性もあります。
2行目についても、実態と異なる届出はしないでください。本人確認の情報に虚偽があれば、契約の解除や、より重い問題につながります。
05帰国したときに、どう再開するか
海外から戻ったあとの手順です。
- 住民票を戻す。転入届を出すと、本人確認書類に日本の住所が記載されます。
- マイナンバーカードを確認する。海外転出時に返納している場合、再交付が必要です。
- 口座を持っていた事業者に連絡する。住所変更の手続きをします。解約していた場合は、新規に作り直します。
- 税務上の居住者に戻る。帰国した日から居住者として扱われます。
- 住民税の課税を確認する。1月1日に日本に住所があるかで決まります。
2行目が見落とされやすい点です。海外転出のときにマイナンバーカードを返納していると、帰国後に再交付を受けるまで本人確認に使えません。運転免許証など、他の書類で代替できる場合もありますが、事業者によって認められる書類が違います。
そして帰国した年の確定申告には注意が必要です。非居住者だった期間と居住者だった期間で課税の範囲が違うので、所得の区分が複雑になります。金額が大きければ、税理士に相談する価値があります。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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