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中小企業経営強化税制の即時償却と税額控除|4つの類型、どちらを選ぶか、対象外の設備

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01先に結論

中小企業経営強化税制は、青色申告の中小企業者等が経営力向上計画の認定を受け、その計画に書いた新品の設備を取得して国内の指定事業に使ったとき、即時償却か取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人は7%)を選べる制度です(租税特別措置法42条の12の4。個人は10条の5の3)。対象になるのは、令和9年3月31日までの取得です。2026年9月30日時点の条文で確かめています。

設備の要件は4つの類型(A 生産性向上設備、B 収益力強化設備、D 経営資源集約化に資する設備、E 経営規模拡大設備等)で決まり、類型ごとに証明・確認をする機関と順番が違います。証明書・確認書の日付は計画の申請日以前、計画の認定は原則として設備の取得前、取得後に申請する例外は取得日から60日以内の到達と年度内の認定が条件です。

即時償却で初年度に先取りになる損金は、設備の種類で大きく違います。本文の7つの設備では、取得価額に対して50%(デジタル印刷システム)から92%(店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下))でした。

この記事は、中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」の令和7年7月8日版(令和7年度税制改正対応版)を使っています。この版は令和8年度改正の前のもので、器具備品などの最低取得価額(30万円)が古くなっています。金額と期限は現行の条文で確かめ直しました。

中小企業経営強化税制では、同じ設備について即時償却か取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超の法人は7%)のどちらかを選びます(租税特別措置法42条の12の4第1項・第2項)。即時償却は損金を前に寄せるだけで、耐用年数の全体で見た損金の合計は変わりません。税額控除は法人税そのものを減らし、後で取り戻されることはありません。

課税所得5通り×取得価額3通り×資本金の区分2通りの30通りで、12年分の法人税(国税)を計算しました。割引なしで比べると30通りのうち28通りで税額控除の方が法人税の減り方が大きく、年5%で割り引いても24通りで税額控除が上回りました。即時償却が上回ったのは、年5%の割引で4通りです。税額控除が負けるのは、所得に比べて設備が大きく、「法人税額の20%」という控除の上限に当たって控除を使い切れないときです。

法人税率は、資本金1億円以下の法人の年800万円以下の所得に15%、超える部分に23.2%で計算し、地方税(地方法人税・住民税・事業税)は含めていません。2026年9月30日時点の条文です。

02制度の骨組み

項目内容根拠
使える人青色申告の中小企業者等(資本金1億円以下の法人など。大規模法人の子会社・適用除外事業者などを除く)で、経営力向上計画の認定を受けた特定事業者等措法42条の12の4第1項、措法42条の6第1項・措令27条の6第1項
期間平成29年4月1日〜令和9年3月31日に取得等措法42条の12の4第1項
設備生産等設備を構成する機械装置・工具・器具備品・建物附属設備・一定のソフトウエア(E類型は建物も)で、計画に記載されたもの同項、中小企業等経営強化法施行規則16条
新品「製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないもの」措法42条の12の4第1項
使い方国内にある自社の指定事業の用に供する同項
効果(A・B・D)即時償却(取得価額−普通償却限度額を特別償却)か、税額控除10%(資本金3,000万円超は7%)同条第1項第1号・第2項、措令27条の12の4第3項
効果(E・建物と附属設備)特別償却15%(一定の建物25%)か税額控除1%(同2%)同条第1項第2号ロ・第2項第2号
税額控除の上限投資促進税制と合わせて、その年度の調整前法人税額の20%。超えた分は1年繰越し同条第2項〜第4項
リース所有権移転外リースで取得した設備は即時償却の対象外(税額控除は可)同条第5項
申告明細書の添付と、特定経営力向上設備等であることを証する書類の添付同条第6項・第7項、措令27条の12の4第4項

「生産等設備」は、国税庁の措置法通達42の12の4−2が、製造業の工場、小売業の店舗、自動車整備業の作業場のように、収益を稼ぐ活動に直接使う減価償却資産で構成されるものと説明しています。本店・寄宿舎などの建物、事務用の器具備品、乗用自動車、福利厚生施設は当たらないとされています。指定事業は主たる事業でなくてもよく(同42の12の4−6)、指定事業とほかの事業に共通して使う設備は全部を指定事業に使ったものとして扱います(同42の12の4−7)。

即時償却と税額控除のどちらが有利かは、会社の利益の水準で変わります。特別償却と税額控除の比べ方を別の記事で計算しました。

034つの類型

類型設備の要件証明・確認するところ事前の確認対象の設備計画認定後の報告
A 生産性向上設備一定期間内に販売されたモデルで、生産性の指標(単位時間当たり生産量・歩留まり率・投入コスト)が旧モデル比で年平均1%以上向上工業会等(設備メーカー経由で証明書)—機械装置・測定工具及び検査工具・器具備品・建物附属設備・ソフトウエア(情報収集と分析・指示の機能を持つもの)—
B 収益力強化設備年平均の投資利益率7%以上の投資計画に記載された、目的の達成に必要不可欠な設備経済産業局(確認書)公認会計士または税理士機械装置・工具・器具備品・建物附属設備・ソフトウエア投資計画の実施状況報告
D 経営資源集約化に資する設備修正ROAまたは有形固定資産回転率が計画期間に応じて一定以上上がる投資計画の設備。事業承継等を行った後に取得するもの経済産業局(確認書)公認会計士または税理士同上事業承継の報告・状況報告
E 経営規模拡大設備等売上高10億円超90億円未満の法人で、売上高100億円超を目指す投資計画(投資利益率7%以上・給与の増加など)。建物の新設・増設を伴うもの経済産業局(確認書)公認会計士または税理士機械装置・工具・器具備品・建物及び附属設備・ソフトウエア実施状況報告、給与増加割合の報告
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D類型の目標は、計画期間3年・4年・5年に応じて、修正ROAが0.3・0.4・0.5ポイント以上、または有形固定資産回転率が2%・2.5%・3%以上上がることです(中小企業等経営強化法施行規則16条2項3号)。C類型(デジタル化設備)は令和7年度改正で除かれ、B類型の投資利益率は5%から7%に上がりました(財務省「令和7年度税制改正の解説」、国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」18ページ)。

E類型は個人事業主は使えません(手引き8ページ)。E類型を計画に書いた法人は、中小企業投資促進税制と少額減価償却資産の特例も使えなくなります(措法42条の6第1項、67条の5第1項のかっこ書き)。

04最低取得価額と、A類型の販売開始時期

設備A・B・D類型E類型手引き(令和7年7月版)の記載A類型の販売開始時期
機械及び装置1台160万円以上1台160万円以上160万円以上10年以内
工具(Aは測定工具・検査工具)1台40万円以上1台40万円以上30万円以上5年以内
器具及び備品1台40万円以上1台40万円以上30万円以上6年以内
建物附属設備一の設備60万円以上建物と附属設備の合計1,000万円以上60万円以上14年以内
ソフトウエア一のソフトウエア70万円以上70万円以上70万円以上5年以内
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現行の租税特別措置法施行令27条の12の4第2項は、工具・器具及び備品を「一台又は一基の取得価額が四十万円以上のもの」としています。国税庁の改正の概要(令和8年度)によると、令和8年4月1日以後に取得等をするものから30万円以上が40万円以上に上がりました(改正措令附則16条)。手引きの令和7年7月版と、国税庁のタックスアンサー No.5434 はまだ30万円と書いているので、注意してください。1台かどうかは「通常1単位として取引される単位ごと」に判定し、本体と一体で使う附属機器は含めて判定できます(措置法通達42の12の4−4)。

A類型の販売開始時期は、「事業者が当該設備を導入した日の○年前の日の属する年度(1月1日から12月31日まで)開始の日以後」に販売が始まった型式であることです(中小企業等経営強化法施行規則16条1項1号の表)。導入日から逆算すると、次の日以後に販売が始まった型式が対象になります。

導入日機械装置(10年)器具備品(6年)測定・検査工具(5年)建物附属設備(14年)ソフトウエア(5年)
2026年10月1日2016年1月1日以後2020年1月1日以後2021年1月1日以後2012年1月1日以後2021年1月1日以後
2027年3月15日2017年1月1日以後2021年1月1日以後2022年1月1日以後2013年1月1日以後2022年1月1日以後
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「最新モデルである必要はありません」と手引き(3ページ)にあるとおり、条件は販売開始の時期と、旧モデルとの比較です。比べる相手の旧モデルがない設備やソフトウエアは、販売開始時期の要件だけになります(同規則16条1項1号)。

05申請の流れ

どの類型も「証明・確認 → 経営力向上計画の申請と認定 → 設備の取得 → 事業に使う → 税務申告に書類を添付」の順です。類型ごとの手順を、手引きの4・7・9ページから表にしました。

段階A類型B・D類型E類型
1設備ユーザーが設備メーカーに証明書の発行を依頼(設備取得前)確認申請書を作り、公認会計士・税理士の事前確認書を受ける100億宣言を行う。確認申請書を作り、公認会計士・税理士の事前確認書を受ける
2メーカーが証明書とチェックシートを作り、工業会等の確認を受ける本社所在地の経済産業局に予約のうえ提出・説明(郵送・オンライン可)経済産業局に提出・説明
3工業会等が証明書を発行し、メーカー経由でユーザーへ経済産業局が確認書を発行(説明から概ね1か月以内)経済産業局が確認書を発行(概ね1か月以内)。確認申請と計画申請は同じ事業年度
4計画に設備を記載し、証明書の写しを添えて主務大臣に申請(証明書の日付は申請日以前)計画に設備を記載し、確認書の写しを添えて申請(確認書の日付は申請日以前)同左。建物の着工は確認申請より後、取得は計画の認定後
5認定(標準処理期間30日)認定(標準処理期間30日)認定(標準処理期間30日)
6設備を取得し、指定事業に使う設備を取得し、指定事業に使う(Dは事業承継等の後)設備を取得し、給与増加割合の報告書を経済産業局に提出
7申告書に証明書・申請書・認定書の写しを添付申告書に確認書・確認申請書・申請書・認定書の写しを添付同左と給与増加割合の報告書の写し
8—実施状況の報告(Bは投資計画、Dは事業承継等)投資計画の実施状況報告(計画期間の終了まで毎年)
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経営力向上計画の認定は、中小企業等経営強化法17条にもとづいて主務大臣が行います。計画には、経営力向上の目標・指標・内容と実施時期・必要な資金と調達方法・経営力向上設備等の種類を書きます(同条2項)。計画に従って事業が行われていないと認められるときは、認定が取り消されることがあります(同法18条2項)。

手引きは、どの類型でも「税務の要件(取得価額や事業の用に供する等)を満たさない場合は、税制の適用が受けられない」と注意しています。認定を受けたことと、税の要件を満たしたことは別です。

06順番を間違えると、どうなるか

手引き11ページの「設備の取得時期について」は、認定の後に設備を取得するのが原則で、例外として、計画の申請前に取得した場合でも次の2つを満たせば対象になるとしています。

場面手引きの書き方結果
認定の後に取得(原則)経営力向上計画の認定を受けてから設備を取得対象
取得してから申請(例外)設備取得日から60日以内に計画申請書が行政庁に到達する必要60日を過ぎた到達は対象外
例外で、年度をまたいで認定遅くとも設備を取得し事業の用に供した年度内に認定を受ける必要。「当該事業年度を超えて認定を受けた場合、税制の適用を受けることはできません」対象外
D類型・E類型で先に取得事業承継等の実施後に取得する必要があるため例外措置は使えない(D)。E類型も例外措置は使えない対象外
A・B類型で、証明書・確認書の申請が取得の後A・B類型の申請は設備取得より前に行う必要がある対象外
証明書・確認書の日付が計画申請日より後証明書・確認書の日付は経営力向上計画の申請日以前である必要がある要件を満たさない
E類型で、建物を認定前に取得・確認申請前に着工建物及びその附属設備の取得は認定後。確認書申請日より前に着工された建物は投資計画に記載できない対象外

例外で申請する場合は、「60日以内の到達」と「年度内の認定」の両方が要ります。取得日を1日目として60日目(手引きは「設備取得日から起算して60日目」)と、年度末から標準処理期間の30日をさかのぼった日を並べると、実際に申請を届けるべき日は次のようになります。

設備の取得日事業年度の末日60日目(到達の期限)年度末の30日前標準処理期間で年度内に認定が出る到達日の目安
2026年10月1日2027年3月31日2026年11月29日2027年3月1日2026年11月29日(取得から59日)
2027年1月20日2027年3月31日2027年3月20日2027年3月1日2027年3月1日(取得から40日)
2027年2月25日2027年3月31日2027年4月25日2027年3月1日2027年3月1日(取得から4日)
2027年3月20日2027年3月31日2027年5月18日2027年3月1日標準処理期間では年度内に間に合わない
2026年11月10日2026年12月31日2027年1月8日2026年12月1日2026年12月1日(取得から21日)
2026年12月10日2026年12月31日2027年2月7日2026年12月1日標準処理期間では年度内に間に合わない
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取得が年度末に近いほど、効くのは60日の期限ではなく「年度内の認定」の方です。標準処理期間はあくまで目安で、書類の不備があれば延びます。この表の6例のうち2例は、取得した時点で年度末まで30日を切っていて、標準処理期間どおりでは年度内の認定が見込めません。決算の直前に設備を入れる予定なら、先に認定を受けておく「原則」の順番にするのが確実です。

指定期間は令和9年3月31日までなので、それより後に取得した設備は、延長がなければ対象外です。3月決算の会社にとっては、令和8年4月からの事業年度が現行の期限内で最後の年度になります。

07B類型とE類型の数字の目安

B類型の投資利益率は、「設備の取得等をする年度の翌年度以降、取得等をする設備の耐用年数のうち最も長い耐用年数の全部を経過するまでの間の各年度において増加する営業利益と減価償却費の合計額を平均した額」を、その年度の設備の取得価額の合計額で割って計算します(中小企業等経営強化法施行規則16条2項2号)。7%以上になるには、営業利益と減価償却費の合計が年平均で次の額以上増える計画が必要です。

設備投資額必要な年平均の増加額(7%)参考:改正前の5%
500万円35万円25万円
1,000万円70万円50万円
3,000万円210万円150万円
1億円700万円500万円

減価償却費は会計上のもので、税の即時償却の額ではありません(手引き6ページの注)。3〜5年の任意の期間を超える年度は、その期間の最終年度の伸び率で延ばして計算します。

E類型は、計画の認定から2年以内に導入する設備の取得価額の合計が、1億円か、取得する前の事業年度の売上高の5%の、いずれか高い方以上であることが条件です(手引き8ページ)。売上高ごとに下限を計算すると、次のとおりです。

前事業年度の売上高売上高の5%投資額の下限決め手
11億円5,500万円1億円1億円
20億円1億円1億円1億円
30億円1.5億円1.5億円売上高の5%
50億円2.5億円2.5億円売上高の5%
89億円4.45億円4.45億円売上高の5%
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対象になる売上高(10億円超90億円未満)のうち、売上高が20億円を超えると5%の方が1億円を上回ります。表の5例では3例で売上高の5%が下限を決めていました。E類型の建物・附属設備は即時償却ではなく特別償却15%(給与の増加が5%以上なら25%)か税額控除1%(同2%)で、機械装置などは他の類型と同じく即時償却か税額控除です。一の生産等設備を構成する設備の取得価額の合計が60億円を超える部分は対象になりません(措法42条の12の4第1項第2号イ)。

08即時償却で、初年度にどれだけ先取りになるか

即時償却は、普通償却限度額に「取得価額から普通償却限度額を控除した金額」を特別償却限度額として足す形で、取得価額の全額をその年度に損金にできる仕組みです(措法42条の12の4第1項第1号)。普通償却と比べた先取りの額を、設備の種類ごとに計算しました。事業年度を通して使った場合で、法人税率は23.2%を毎年同じと置き、時間の価値は即時償却と普通償却の税の差を年3%・年6%で割り引いたものです。

設備区分耐用年数償却方法取得価額普通償却の初年度即時償却で先取り取得価額に対する割合初年度の法人税の差時間の価値(3%)時間の価値(6%)
食料品の製造ライン機械及び装置10年定率法1,500万円300万円1,200万円80%278.4万円31.6万円57.6万円
デジタル印刷システム機械及び装置4年定率法800万円400万円400万円50%92.8万円4.7万円8.9万円
自動車整備の設備機械及び装置15年定率法600万円79.8万円520.2万円87%120.7万円19.5万円34.3万円
飲食店の厨房設備機械及び装置8年定率法300万円75万円225万円75%52.2万円4.9万円9万円
試験・測定機器器具及び備品5年定率法200万円80万円120万円60%27.8万円1.7万円3.2万円
店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下)建物附属設備13年定額法400万円30.8万円369.2万円92%85.7万円14.6万円25.8万円
生産管理のソフトウエアソフトウエア5年定額法300万円60万円240万円80%55.7万円3.9万円7.4万円
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食料品の製造ライン80%デジタル印刷システム50%自動車整備の設備87%飲食店の厨房設備75%試験・測定機器60%店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下)92%生産管理のソフトウエア80%
  • 食料品の製造ライン80%
  • デジタル印刷システム50%
  • 自動車整備の設備87%
  • 飲食店の厨房設備75%
  • 試験・測定機器60%
  • 店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下)92%
  • 生産管理のソフトウエア80%

初年度の先取りの割合は、デジタル印刷システム(耐用年数が短く、定率法で初年度にもともと多く償却する)の50%から、店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下)の92%まで開きます。建物附属設備とソフトウエアは定額法しか使えないので(法人税法施行令48条の2第1項)、同じ耐用年数でも先取りは大きくなります。事業年度の途中で使い始めた場合、普通償却は月割り(法人税法施行令59条)ですが、即時償却は全額なので、決算月に使い始めた製造ラインなら先取りは1,475万円になります。

ただし、残る得(時間の価値)は取得価額の数%です。割り引く率を年6%と高めに置いた場合でも、取得価額に対して1.1%(デジタル印刷システム)から6.4%(店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下))でした。初年度の法人税の差(表の9列目)が、そのまま得になるわけではありません。先取りした損金は後の年の償却がなくなる形で取り戻され、設備を売れば売値が利益になります。

使った年数は、食料品の製造ライン=別表第二「1 食料品製造業用設備」、デジタル印刷システム=別表第二「7 印刷業又は印刷関連業用設備 デジタル印刷システム設備」、自動車整備の設備=別表第二「53 自動車整備業用設備」、飲食店の厨房設備=別表第二「48 飲食店業用設備」、試験・測定機器=別表第一 器具及び備品「試験又は測定機器」、店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下)=別表第一 建物附属設備「冷暖房設備(冷凍機の出力が二十二キロワット以下のもの)」、生産管理のソフトウエア=別表第三「ソフトウエア その他のもの」です(耐用年数省令)。

09普通償却は、何年で追いつくか

即時償却は初年度に全額を損金にし、普通償却は耐用年数をかけて同じ額に近づきます。前の表の設備で、普通償却の累計が取得価額の50%・90%に届くのが何年目か、3年目までの累計が何%かを数えました。

設備耐用年数償却方法累計50%に届く年累計90%に届く年3年目までの累計帳簿価額が1円になる年
食料品の製造ライン10年定率法4年目9年目49%10年目
デジタル印刷システム4年定率法初年度4年目88%4年目
自動車整備の設備15年定率法5年目13年目35%15年目
飲食店の厨房設備8年定率法3年目7年目58%8年目
試験・測定機器5年定率法2年目5年目78%5年目
店舗の冷暖房設備(冷凍機22kW以下)13年定額法7年目12年目23%13年目
生産管理のソフトウエア5年定額法3年目5年目60%5年目
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累計が90%に届くのは、早い設備で4年目、遅い設備で13年目です。即時償却と普通償却の差は、この期間ずっと「先に減った税」として会社に残り、その後は差がなくなります。耐用年数が長く定額法の設備ほど、差の残る期間が長くなります。

10個人事業主が使う場合

個人(青色申告の中小事業者)の規定は、租税特別措置法10条の5の3です。法人の42条の12の4と骨組みは同じですが、次の点が違います。

法人(42条の12の4)個人(10条の5の3)
税額控除の率10%(資本金3,000万円超の法人は7%)10%
税額控除の上限調整前法人税額の20%調整前事業所得税額の20%
控除しきれない額翌事業年度に繰越し翌年に繰越し
償却しきれない額特別償却不足額を翌事業年度に繰越し(措法52条の2)翌年分の事業所得で必要経費に(10条の5の3第2項)
E類型使える使えない(手引き8ページ)
リース所有権移転外リースは即時償却の対象外同じ(同条第6項)

手引きの注2は、特別償却について「限度額まで償却費を計上しなかった場合、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます」としています。利益が小さい年に全額を損金にして欠損を出すか、一部だけ償却して翌年に回すかは、翌年の利益の見込みで選ぶことになります。欠損金の繰越しとの比べ方は特別償却と税額控除の記事で計算しています。

11指定事業の範囲

設備は「指定事業」に使う必要があります。経営強化税制の指定事業は中小企業投資促進税制(措法42条の6第1項)と同じで、手引き3ページは次の事業を挙げています。

分野手引きに挙がっている事業
製造・建設・一次産業製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業
流通・運輸卸売業、小売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、郵便業、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業
サービス料理店業その他の飲食店業、旅行業、損害保険代理業、不動産業、情報通信業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)
エネルギーガス業
対象にならない例電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)など

料亭・バー・キャバレー・ナイトクラブなどは、生活衛生同業組合の組合員が営むものだけが指定事業です。性風俗関連特殊営業は除かれます(手引き3ページの注)。「物品賃貸業」が挙がっていても、法人税の条文は指定事業の用から貸付けの用を除いているので、設備を貸して使う形は対象になりません(措法42条の6第1項のかっこ書き)。

計画を認定された後に設備を追加するときは、変更の認定を受けます(中小企業等経営強化法18条1項)。手引き11ページは、変更で設備を追加する場合も、取得後60日以内の申請の到達が必要としています。

12この制度の改正の流れ

中小企業経営強化税制は、指定期間の始まり(平成29年4月1日)からの制度で、延長のたびに対象が見直されてきました。確かめられた改正だけを並べます。

改正中身適用確かめた資料
令和5年度委託型のコインランドリー業・暗号資産マイニング業の設備を除外。期限を令和7年3月31日まで延長令和5年4月1日以後に申請・認定された計画の設備財務省「令和5年度税制改正の解説」、国税庁 改正の概要(令和5年度)47ページ
令和7年度C類型(デジタル化設備)を除外。B類型の投資利益率を5%から7%へ。A類型の指標を見直し。暗号資産マイニング業の設備を全面的に除外。E類型を新設。期限を令和9年3月31日まで延長E類型などは令和7年4月1日以後の取得。施行規則の見直しは同日以後に申請・認定された計画財務省「令和7年度税制改正の解説」、国税庁 改正の概要(令和7年度)18〜19ページ
令和8年度工具・器具備品の最低取得価額を30万円以上から40万円以上へ令和8年4月1日以後の取得等国税庁 改正の概要(令和8年度)17ページ
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現行の期限は令和9年3月31日です。延長されるかどうかは、この記事の時点では条文に書かれていません。

13対象にならないもの

経営力向上計画に書いても、次のものは対象になりません。これまでに当サイトが条文・手引きで確かめたものです。

対象外根拠
中古の設備措法42条の12の4第1項「製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないもの」
国外で使う設備同項「国内にある当該中小企業者等の営む事業の用」
指定事業でない事業に使う設備(電気業・水道業・鉄道業・航空運輸業・銀行業・娯楽業(映画業を除く)など)同項(措法42条の6第1項の指定事業)、手引き3ページ
貸付けの用に使う設備措法42条の6第1項の指定事業の用のかっこ書き
事務用の器具備品・本店の建物・乗用自動車など措置法通達42の12の4−2(生産等設備に当たらない)
医療保健業を行う事業者の医療機器・建物附属設備中小企業等経営強化法施行規則16条2項・3項
主として電気の販売を行うための発電設備同規則16条2項・3項(経済産業大臣が定めるもの)
管理のおおむね全部を他に委託するコインランドリー業(主要な事業であるものを除く)の設備同規則16条2項・3項
暗号資産マイニング業の設備同規則16条2項・3項
所有権移転外リースの設備(即時償却だけ)措法42条の12の4第5項

このうち、委託型のコインランドリーと暗号資産マイニングは、節税をうたう投資の対象として勧められることがある設備です。いつ、どの文言で外されたかを、この後の節で追います。

14対象外① 委託型コインランドリー:除外の条文

ここからは、対象外とされた設備のうち、委託型のコインランドリーを見ます。

制度除外の文言条文
中小企業経営強化税制(A・B・D類型)「洗濯機、乾燥機その他の洗濯に必要な設備(共同洗濯設備として病院、寄宿舎その他の施設内に設置されているものを除く。)を設け、これを公衆に利用させる事業(主要な事業であるものを除く。次項において「コインランドリー業」という。)の用に供するもの(その管理のおおむね全部を他の者に委託するものに限る。)」を除く中小企業等経営強化法施行規則16条2項
中小企業経営強化税制(E類型)「コインランドリー業の用に供するもの(その管理のおおむね全部を他の者に委託するものに限る。)」を除く同規則16条3項
中小企業投資促進税制(機械及び装置)「その管理のおおむね全部を他の者に委託するもの」で、「要する人件費が少額なサービス業として財務省令で定める事業(…中小企業者等の主要な事業であるものを除く。)の用に供するもの」を除く措法42条の6第1項第1号、措令27条の6第2項
同上(事業の中身)「洗濯機、乾燥機その他の洗濯に必要な設備(共同洗濯設備として病院、寄宿舎その他の施設内に設置されているものを除く。)を設け、これを公衆に利用させる事業」措規20条の3第1項

中小企業庁の手引き(令和7年7月8日版)も、各類型の対象設備の注に「コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するもの又は暗号資産マイニング業の用に供する資産を除きます」と書いています。

病院や寄宿舎の中に置く共同洗濯設備は、そもそも「コインランドリー業」の定義から外れています。除外されるのは、公衆に使わせる洗濯の事業です。

15委託型コインランドリー:どんな形なら除かれるのか

条文は、「主要な事業でない」ことと「管理のおおむね全部を他の者に委託する」ことの両方がそろったときに除く、という作りです。組み合わせで読むと次のとおりです。

コインランドリー業は店の管理は経営強化税制(施行規則16条)投資促進税制(措令27条の6)
主要な事業でない管理のおおむね全部を他に委託除かれる除かれる(機械及び装置)
主要な事業でない自社で管理この文言では除かれないこの文言では除かれない
主要な事業である管理のおおむね全部を他に委託この文言では除かれないこの文言では除かれない
主要な事業である自社で管理この文言では除かれないこの文言では除かれない
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「この文言では除かれない」は、この除外規定に当たらないという意味で、ほかの要件(経営力向上計画の認定、類型の要件、新品、指定事業、生産等設備など)を満たすかは別に確かめる必要があります。

投資促進税制の側では、「主要な事業」に当たるものを財務省令が定めています(措規20条の3第2項)。

主要な事業に当たるもの措規20条の3第2項
継続的に中小企業者等の経営資源(事業の用に供される不動産、事業に関する従業者の有する技能又は知識(租税に関するものを除く。)その他これらに準ずるもの)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業第1号
中小企業者等が行う主要な事業に付随して行う事業第2号

「技能又は知識」から「租税に関するもの」がわざわざ除かれているので、税の知識を活かしているというだけでは主要な事業になりません。経営強化税制の施行規則16条にも「主要な事業であるものを除く」とありますが、同じ規則の中にこの判定の基準は書かれていません。投資促進税制の基準がそのまま当てはまるかは、当サイトは確かめられていません。

16委託型コインランドリー:いつから外れたか

制度改正適用確かめた資料
中小企業投資促進税制令和5年度改正(措法42条の6第1項第1号、措令27条の6、措規20条の3)令和5年4月1日以後に取得・製作する機械装置(改正法附則39条)財務省「令和5年度税制改正の解説」332ページ、国税庁 改正の概要(令和5年度)45〜46ページ
中小企業経営強化税制令和5年度改正(中小企業等経営強化法施行規則16条2項)令和5年4月1日以後に受ける認定のうち、同日以後に申請された経営力向上計画に記載された設備(改正施行規則附則4条)財務省「令和5年度税制改正の解説」349ページ、国税庁 改正の概要(令和5年度)47ページ
経営強化税制のE類型令和7年度改正で新設。新設のときから委託型コインランドリー業を除外(施行規則16条3項)令和7年4月1日以後の取得財務省「令和7年度税制改正の解説」
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経営強化税制の除外は、設備を取得した日ではなく、経営力向上計画の申請と認定の日で決まります。令和5年3月31日までに申請した計画に書いた設備は、従前どおりとされました。財務省の解説は、除外される資産が「仮に経営力向上計画に記載されていたとしても、その資産は対象資産には該当しません」と念を押しています。

17委託型コインランドリー:「理由」について公的な資料に書かれていること

「委託型が外れた理由」について、当サイトが読んだ公的な資料には、除外の目的を述べた文は見つかりませんでした。読んだ資料と、そこに書かれていたことを並べます。

資料書かれていたこと理由の記載
財務省「令和5年度税制改正の解説」除外の要件(管理のおおむね全部の委託・人件費が少額な一定のサービス業)、主要な事業の判定、適用関係なし
国税庁「令和5年度 法人税関係法令の改正の概要」改正後の対象資産の表と、コインランドリー業の定義なし
租税特別措置法施行令27条の6第2項除外の対象を「要する人件費が少額なサービス業として財務省令で定める事業」と規定条文上の呼び方のみ
中小企業庁の手引き(令和7年7月8日版)対象設備の注に除外を記載なし

条文が「人件費が少額なサービス業」と呼んでいることから、無人に近い形で運営でき、管理を丸ごと外に任せられる事業を念頭に置いていることは読み取れます。ただ、それを「節税目的の投資を外すため」などと言い換えた公的な文書は確認できていないので、当サイトは理由を断定しません。

18コインランドリーの設備の耐用年数

コインランドリーの設備の耐用年数について、耐用年数省令には近い行が2つあります。

別表行耐用年数
別表第二(機械及び装置)49 洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備13年
別表第一(器具及び備品)1 家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品(他の項に掲げるものを除く。)の「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器」6年

別表第二は、業種ごとの「設備」として機械及び装置を区分する表です。コインランドリーの洗濯機・乾燥機が、店舗の設備一式として別表第二の49に当たるのか、個々の機器として器具及び備品に当たるのかを、国税庁が示した文書は当サイトでは確認できていません。減価償却の節税商品のページでも「確認中」としています。この記事の計算では13年を基本にし、6年と10年は比較のための仮の年数として置いています。

19委託型で即時償却が使えないと、何が変わるか

2,000万円(仮)の設備で、即時償却を初年度100%として当サイトの繰り延べ計算機と同じ式(calc)で計算し、普通償却(定率法)との割引後(年5%)の差を、耐用年数3通りで並べました。法人税率23.2%。13年は別表第二の49、6年は別表第一の電気洗濯機等の行、10年は比較のための仮の年数です。

売る時期と売値即時償却の税の減少(5%)差:13年差:10年(仮)差:6年
6年目の初めに30%で売る354.9万円63.5万円55.2万円35.6万円
10年目の初めに10%で売る434.1万円82.2万円66万円35.6万円
14年目の初めに0%で売る464万円86.4万円66万円35.6万円
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名目の税の減少はどの場合も(取得価額−売値)×23.2%で同じで、差は割引の分だけです。耐用年数が短いほど、長く持つほど、差は縮みます。

20除外に当たらないコインランドリーなら、制度の効果はどれくらいか

自社で管理する、またはコインランドリー業が主要な事業である場合は、委託型の除外には当たりません。ほかの要件(経営力向上計画の認定と類型の要件、投資促進税制なら1台160万円以上の機械装置であることなど)をすべて満たしたと仮定して、2,000万円の設備(耐用年数13年と置く)で初年度の損金と法人税の差を並べます。

使う制度初年度の損金初年度の法人税の減少(23.2%)根拠税額控除
普通償却だけ308万円71.5万円法人税法31条—
投資促進税制の特別償却(30%)908万円210.7万円措法42条の6第1項—
投資促進税制の税額控除(7%)308万円71.5万円措法42条の6第2項(資本金3,000万円以下)140万円
経営強化税制の即時償却2,000万円464万円措法42条の12の4第1項—
経営強化税制の税額控除(10%)308万円71.5万円措法42条の12の4第2項(資本金3,000万円以下)200万円
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洗濯業は、手引きの指定事業の一覧に「洗濯・理容・美容・浴場業」として入っています。投資促進税制の対象は機械及び装置(1台160万円以上。措令27条の6)で、器具及び備品は対象ではありません。設備が機械及び装置と器具及び備品のどちらに当たるかは、前の節のとおり確認できていないので、この表は「当てはまるとしたら」の大きさです。

21対象外② 暗号資産マイニング:令和5年から令和7年へ

改正条文・資料の書き方適用
令和5年度「コインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除きます。)の用に供する設備等でその管理のおおむね全部を他の者に委託するもの」を除外(財務省の解説)令和5年4月1日以後に受ける認定のうち、同日以後に申請された計画の設備(改正施行規則附則4条)
令和7年度「対象となる設備等から、暗号資産マイニング業の用に供する設備等が除外されました」。これまで除かれていたのは主要な事業以外・委託のものだったが、改正により、それ以外のものも対象資産に該当しないこととされた(財務省の解説の注)令和7年4月1日以後に受ける認定のうち、同日以後に申請された計画の設備(改正施行規則附則2条)
現行施行規則16条2項「…コインランドリー業の用に供するもの(その管理のおおむね全部を他の者に委託するものに限る。)及び暗号資産マイニング業の用に供するものを除く。」。E類型の16条3項も同じ—

現行の条文では、コインランドリー業には「委託するものに限る」の限定が付いていますが、暗号資産マイニング業には付いていません。自社で管理していても、マイニングが本業でも、経営強化税制の対象外です。国税庁の「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」も、A類型・B類型・D類型から「暗号資産マイニング業の用に供する設備が除外されました」としています。

除外の理由を述べた公的な文書は、財務省の解説・国税庁の改正の概要・中小企業庁の手引きのどれにも見つかりませんでした。

22マイニング:計画をいつ出したかで、どう変わってきたか

経営強化税制の除外は、設備を取得した日ではなく、経営力向上計画の申請と認定の時期で適用が決まります(改正施行規則附則)。申請・認定の時期と、事業の形の組み合わせで並べました。

計画の申請・認定マイニングは設備の管理は施行規則16条の除外
令和5年3月31日までに申請主要な事業でない管理を委託マイニングを名指しした除外はない
令和5年3月31日までに申請主要な事業でない自社で管理マイニングを名指しした除外はない
令和5年3月31日までに申請主要な事業管理を委託マイニングを名指しした除外はない
令和5年3月31日までに申請主要な事業自社で管理マイニングを名指しした除外はない
令和5年4月1日〜令和7年3月31日に申請・認定主要な事業でない管理を委託除外
令和5年4月1日〜令和7年3月31日に申請・認定主要な事業でない自社で管理この除外には当たらない
令和5年4月1日〜令和7年3月31日に申請・認定主要な事業管理を委託この除外には当たらない
令和5年4月1日〜令和7年3月31日に申請・認定主要な事業自社で管理この除外には当たらない
令和7年4月1日以後に申請・認定主要な事業でない管理を委託除外
令和7年4月1日以後に申請・認定主要な事業でない自社で管理除外
令和7年4月1日以後に申請・認定主要な事業管理を委託除外
令和7年4月1日以後に申請・認定主要な事業自社で管理除外
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令和7年4月1日以後に申請・認定された計画では、4通りのすべてが除外です。「この除外には当たらない」「名指しの除外はない」は、ほかの要件(類型の要件・指定事業・国内・新品など)を満たすかどうかとは別の話です。

23マイニング:ほかの特例の条文

租税特別措置法・同施行令の全文を「暗号資産」「マイニング」で検索すると、該当する条文はありませんでした(当サイトが持っている2026年9月時点の全文で検索)。マイニングを名指しした除外は、経営強化税制の根拠である中小企業等経営強化法施行規則にだけあります。

ただし、名指しの除外がないことは、ほかの特例が使えることを意味しません。中小企業投資促進税制は対象の設備(1台160万円以上の機械装置など)と指定事業が限られていて、マイニングがどの指定事業に当たるかを示した資料は確認できていません。少額減価償却資産の特例(1点40万円未満)も、貸付けの用に供する資産は除かれるなどの要件があります。個別には税理士に確認してください。

24マイニングの所得の扱い

論点国税庁の情報(令和7年12月26日)の書き方項目
マイニングで得た暗号資産取得時点の価額(時価)が所得の計算上の総収入金額(法人税では益金の額)1−7
マイニングにかかった費用所得の計算上の必要経費(法人税では損金の額)1−7
得た暗号資産の取得価額マイニング(採掘)などで取得した場合は、取得時点の価額(時価)1−5の注

マイニングで得た暗号資産は、得た時点で時価が収入になり、その時価が取得価額になります。後で売ったときは、売った額とこの取得価額の差が、改めて所得になります。

個人の場合にマイニングの所得が雑所得になるか事業所得になるかを、1−7ははっきり書いていません(2−2は暗号資産の「取引」の所得区分についての項目です)。この記事では、所得区分を断定しません。

25マイニングマシンの償却:4年か5年か

1,000万円のマシン(仮の数字)を、耐用年数4年と5年で償却した場合です。法人は償却方法を選ばなければ定率法(法人税法施行令53条)、個人は定額法(所得税法施行令125条)です。事業年度を通して使った場合です。

法人・4年(定率法)累計法人・5年(定率法)累計個人・4年(定額法)個人・5年(定額法)
初年度500万円500万円400万円400万円250万円200万円
2年目250万円750万円240万円640万円250万円200万円
3年目125万円875万円144万円784万円250万円200万円
4年目125万円1,000万円108万円892万円250万円200万円
5年目0万円1,000万円108万円1,000万円0万円200万円
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法人の定率法では、4年なら初年度に500万円、5年なら400万円を償却します。耐用年数4年の定率法の償却率は0.500、改定償却率は1.000で(耐用年数省令 別表第十)、3年目に保証額を下回るかどうかで4年目の額が決まります。4年と5年の差は、初年度で取得価額の1割、2年目までの累計で11%です。

26マイニング:もし即時償却できたら、の差

「即時償却できる」と説明された場合に、実際には普通償却になるとどれだけ違うかを、売る時期と売値(取得価額に対する残価の割合)ごとに計算しました。売るまでに減る税と、売ったときの税(売値−帳簿価額に23.2%)を合わせ、年5%で割り引いています(初年度は割り引かない)。暗号資産の価格・採掘の難しさ・電気代は分からないので、税の時期の部分だけを計算しています。

売る時期残価即時償却の税の減少(名目)即時償却(5%)通常4年(5%)通常5年(5%)即時−4年即時−5年
2年目の初め0%232万円232万円226.5万円225.4万円5.5万円6.6万円
2年目の初め10%208.8万円209.9万円204.4万円203.3万円5.5万円6.6万円
2年目の初め20%185.6万円187.8万円182.3万円181.2万円5.5万円6.6万円
2年目の初め40%139.2万円143.6万円138.1万円137万円5.5万円6.6万円
3年目の初め0%232万円232万円223.8万円221.6万円8.2万円10.4万円
3年目の初め10%208.8万円211万円202.8万円200.5万円8.2万円10.4万円
3年目の初め20%185.6万円189.9万円181.8万円179.5万円8.2万円10.4万円
3年目の初め40%139.2万円147.8万円139.7万円137.4万円8.2万円10.4万円
4年目の初め0%232万円232万円222.6万円219.4万円9.4万円12.6万円
4年目の初め10%208.8万円212万円202.6万円199.4万円9.4万円12.6万円
4年目の初め20%185.6万円191.9万円182.5万円179.3万円9.4万円12.6万円
4年目の初め40%139.2万円151.8万円142.4万円139.3万円9.4万円12.6万円
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名目では、即時償却でも普通償却でも、税の減少は「(取得価額−売値)×23.2%」で同じです。割り引いた後の差(即時−5年)は、6.6万円から12.6万円でした。早く売るほど、普通償却でも売ったときに帳簿価額を損金にできるので、差は小さくなります。残価が高いほど、売ったときの税が大きくなるのはどちらも同じです。

即時償却の列は、当サイトの繰り延べ計算機と同じ式(初年度100%)で計算しました。即時償却が使えないことで失うのは「即時−4年」「即時−5年」の列の額で、取得価額に対して0.7%〜1.3%です。初年度の法人税の差(139.2万円:5年の場合)とは桁が違います。

27マイニングを勧められたときに確かめること

確かめること理由
即時償却・税額控除の根拠として示された条文経営強化税制は、暗号資産マイニング業の設備を除いている(中小企業等経営強化法施行規則16条2項・3項)
耐用年数を何年とし、どの別表のどの行によるか4年・5年などの区分を示した国税庁の文書は確認できていない
マシンを置く場所経営強化税制・投資促進税制は国内で使うことが要件。海外に置く形の説明なら、そもそも国内の要件から確かめる
売るときの見込み額出口の税まで入れないと、得の大きさは分からない(繰り延べ計算機)
採掘した暗号資産の扱い得た時点の時価が収入になり、売ったときに再び差額が所得になる(国税庁の情報1−7・1−5)

28税額控除:2つの選択肢の中身

即時償却(特別償却)税額控除
減るもの所得(損金が増える)法人税額
額取得価額−普通償却限度額を、普通償却に上乗せ取得価額×10%(資本金3,000万円超の法人は7%)
上限なし(欠損になる分は欠損金として繰越し)その年度の調整前法人税額の20%(中小企業投資促進税制の控除と合わせて)
使い切れないとき特別償却不足額は翌事業年度に繰越し(措法52条の2)。欠損金は10年繰越し(法人税法57条)控除しきれない額は翌事業年度に繰越し(1年)
後の年への影響後の年の償却がなくなり、その分の税が増える償却は通常どおり。控除した税は戻らない
所有権移転外リース使えない使える
根拠措法42条の12の4第1項・第5項同条第2項〜第4項、措令27条の12の4第3項

条文は、税額控除を「前項の規定の適用を受けないとき」に使えるとしています(同条第2項)。同じ設備に両方は使えません。設備が複数あれば、設備ごとにどちらかを選べます。

比べ方の要点は1つです。税額控除を選ぶと償却は通常どおりなので、何もしない場合と比べた法人税の減少は、実際に使えた控除額そのものです。即時償却の減少は、損金を前に寄せたことで生じる「時間の価値」と、年によって税率(15%か23.2%か)が違うことによる差だけです。

29税額控除:計算の置き方

令和9年3月31日より後に始まる事業年度の15%の軽減税率は、現行の措法42条の3の2の期限の後なので、延長される前提で置いています。

30税額控除:全部の組み合わせ

資本金取得価額課税所得(毎年)使えた控除控除の使用率即時償却の減少(割引なし)税額控除の減少(割引なし)即時償却の減少(5%)税額控除の減少(5%)5%で多い方
3,000万円以下(10%)500万円300万円12.6万円25%0万円12.6万円9.2万円12.3万円税額控除
3,000万円以下(10%)500万円800万円42.6万円85%0万円42.6万円10.7万円41.6万円税額控除
3,000万円以下(10%)500万円1,500万円50万円100%0万円50万円16.5万円50万円税額控除
3,000万円以下(10%)500万円3,000万円50万円100%0万円50万円16.5万円50万円税額控除
3,000万円以下(10%)500万円6,000万円50万円100%0万円50万円16.5万円50万円税額控除
3,000万円以下(10%)1,500万円300万円1.8万円1%0万円1.8万円11.6万円1.7万円即時償却
3,000万円以下(10%)1,500万円800万円31.8万円21%0万円31.8万円27万円31万円税額控除
3,000万円以下(10%)1,500万円1,500万円87.9万円59%-65.6万円87.9万円-16.1万円85.7万円税額控除
3,000万円以下(10%)1,500万円3,000万円150万円100%0万円150万円49.5万円148.2万円税額控除
3,000万円以下(10%)1,500万円6,000万円150万円100%0万円150万円49.5万円150万円税額控除
3,000万円以下(10%)3,000万円300万円0万円0%0万円0万円0万円0万円同じ
3,000万円以下(10%)3,000万円800万円15.6万円5%0万円15.6万円34.9万円15.1万円即時償却
3,000万円以下(10%)3,000万円1,500万円62.8万円21%-131.2万円62.8万円-45.7万円61.2万円税額控除
3,000万円以下(10%)3,000万円3,000万円202万円67%-65.6万円202万円33.4万円197.1万円税額控除
3,000万円以下(10%)3,000万円6,000万円300万円100%0万円300万円99万円297万円税額控除
3,000万円超(7%)500万円300万円12.6万円36%0万円12.6万円9.2万円12.3万円税額控除
3,000万円超(7%)500万円800万円35万円100%0万円35万円10.7万円34.3万円税額控除
3,000万円超(7%)500万円1,500万円35万円100%0万円35万円16.5万円35万円税額控除
3,000万円超(7%)500万円3,000万円35万円100%0万円35万円16.5万円35万円税額控除
3,000万円超(7%)500万円6,000万円35万円100%0万円35万円16.5万円35万円税額控除
3,000万円超(7%)1,500万円300万円1.8万円2%0万円1.8万円11.6万円1.7万円即時償却
3,000万円超(7%)1,500万円800万円31.8万円30%0万円31.8万円27万円31万円税額控除
3,000万円超(7%)1,500万円1,500万円87.9万円84%-65.6万円87.9万円-16.1万円85.7万円税額控除
3,000万円超(7%)1,500万円3,000万円105万円100%0万円105万円49.5万円105万円税額控除
3,000万円超(7%)1,500万円6,000万円105万円100%0万円105万円49.5万円105万円税額控除
3,000万円超(7%)3,000万円300万円0万円0%0万円0万円0万円0万円同じ
3,000万円超(7%)3,000万円800万円15.6万円7%0万円15.6万円34.9万円15.1万円即時償却
3,000万円超(7%)3,000万円1,500万円62.8万円30%-131.2万円62.8万円-45.7万円61.2万円税額控除
3,000万円超(7%)3,000万円3,000万円202万円96%-65.6万円202万円33.4万円197.1万円税額控除
3,000万円超(7%)3,000万円6,000万円210万円100%0万円210万円99万円210万円税額控除
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30通りのうち、控除を全額使えたのは13通り、20%の上限に当たって使い切れなかったのは17通りでした。使い切れなかったのは、課税所得が小さく設備が大きい組み合わせです(所得300万円・設備500万円、所得300万円・設備1,500万円、所得300万円・設備3,000万円、所得800万円・設備500万円、所得800万円・設備1,500万円、所得800万円・設備3,000万円、所得1,500万円・設備1,500万円、所得1,500万円・設備3,000万円、所得3,000万円・設備3,000万円)。

即時償却の「割引なし」の減少は、30通りのうち24通りで0円で、6通りではマイナス(何もしない場合より法人税が増える)でした。損金の合計は同じなので、割引なしで差が出るのは税率の段差だけです。たとえば毎年の所得が1,500万円で1,500万円の設備を即時償却すると、1年目の所得は0になり、損金のうち800万円分は15%の部分を減らすだけです。通常の償却なら、毎年の損金はいつも800万円を超える23.2%の部分から引かれます。この差が、即時償却のマイナスになっています。

31税額控除:割引率を変えると、勝ち負けは何通り動くか

即時償却の価値は、税を後に回す「時間の価値」なので、割引率が高いほど大きくなります。割引率ごとに、税額控除と即時償却のどちらの減少が大きいかを数えました。

割引率税額控除が多い即時償却が多い同じ
年0%2802
年2%2442
年5%2442
年8%2082
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年8%で割り引いても、税額控除が多いのは20通りです。時間の価値が税額控除に追いつくには、かなり高い割引率が要ります。毎年1,500万円の所得で1,500万円の設備(10%)の場合、即時償却の減少が控除額(87.9万円)に並ぶのは年26.2%で割り引いたときでした。

割引率は、会社にとってのお金の価値です。借入れの金利や、手元資金を事業に回したときの利回りが目安になります。年に数%の会社では、税額控除を上限まで使えるかぎり、税額控除が有利という結果が動きませんでした。

32税額控除:20%の上限に当たらない所得の目安

税額控除が負けるのは、控除を使い切れないときだけです。1年目と繰越しの2年目の調整前法人税額の20%で控除を使い切れる、課税所得(毎年同じ額と置く)の下限を計算しました。

取得価額控除額(10%)使い切れる所得の下限控除額(7%)使い切れる所得の下限
300万円30万円554万円21万円404万円
500万円50万円911.6万円35万円673.3万円
1,000万円100万円1,540.3万円70万円1,217.1万円
1,500万円150万円2,169.1万円105万円1,684.2万円
3,000万円300万円4,055.5万円210万円3,085.7万円
5,000万円500万円6,570.7万円350万円4,954.3万円
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たとえば1,500万円の設備(10%の控除150万円)なら、毎年の所得がおよそ2,169.1万円以上あれば、2年で控除を使い切れます。これより所得が小さい会社は、使えなかった控除が消えます。同じ年度に中小企業投資促進税制の控除も受けると、20%の枠を分け合うので、下限はさらに上がります。

33税額控除:控除はどこで消えるか

控除を使い切れない場合に、1年目・2年目にいくら使え、いくら消えるかを、10%の控除で並べました。

毎年の所得取得価額控除額1年目に使えた2年目に使えた使えずに消えた
300万円500万円50万円6万円6.6万円37.4万円
800万円500万円50万円21万円21.6万円7.4万円
800万円1,500万円150万円15万円16.8万円118.2万円
1,500万円1,500万円150万円42.6万円45.3万円62.1万円
1,500万円3,000万円300万円28.6万円34.2万円237.2万円
3,000万円3,000万円300万円98.2万円103.8万円98万円
6,000万円3,000万円300万円237.4万円62.6万円0万円
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通常の償却は1年目がいちばん大きいので、設備が大きいほど1年目の所得と法人税額が小さくなり、20%の枠も小さくなります。控除の枠は「設備を入れた後の」法人税額で決まる点に注意してください。

資本金の区分(10%か7%か)で、年5%の割引での勝ち負けが入れ替わった組み合わせは、15通りの中にありませんでした。7%の方が控除額が小さいぶん、20%の枠に収まりやすく、使用率は上がります。

34税額控除:設備が2台あれば、1台ずつ選べる

即時償却と税額控除は設備ごとに選べます。1,500万円の設備を2台入れる年に、「2台とも税額控除」「2台とも即時償却」「1台は即時償却、1台は税額控除」の3つを、年5%で割り引いた法人税の減少で比べました(10%の控除)。

毎年の所得2台とも税額控除2台とも即時償却1台ずついちばん多い
800万円15.1万円(控除15.6万円)34.9万円(控除0万円)21.9万円(控除0万円)2台とも即時償却
1,500万円61.2万円(控除62.8万円)-45.7万円(控除0万円)10.5万円(控除31.4万円)2台とも税額控除
3,000万円197.1万円(控除202万円)33.4万円(控除0万円)194.4万円(控除150万円)2台とも税額控除
6,000万円297万円(控除300万円)99万円(控除0万円)199.5万円(控除150万円)2台とも税額控除
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4つの所得のどれでも、「1台ずつ」はいちばん多くなりませんでした。いちばん多かったのは、所得800万円では2台とも即時償却、それより大きい所得では2台とも税額控除でした。1台を即時償却にすると1年目の所得が下がり、もう1台の税額控除の枠(法人税額の20%)も小さくなるので、組み合わせは互いの効果を削り合います。所得の小さい会社では控除の枠がほとんどなく、所得の大きい会社では2台分の控除が枠に収まる、という両端に分かれました。

35税額控除:耐用年数が長い設備ほど、即時償却の価値は上がる

即時償却の時間の価値は、通常の償却が遅いほど(耐用年数が長いほど)大きくなります。1,500万円の設備で、耐用年数だけを変えて比べました(18年分の法人税、10%の控除)。

耐用年数毎年の所得即時償却の減少(5%)税額控除の減少(5%)即時償却の減少(8%)税額控除の減少(8%)
4年1,500万円-47.4万円59.7万円-39.9万円58.7万円
4年3,000万円14.1万円147.2万円21.6万円145.7万円
7年1,500万円-33.1万円76.8万円-16.9万円75.7万円
7年3,000万円32.5万円147.9万円48.7万円146.8万円
10年1,500万円-16.1万円85.7万円6.9万円84.5万円
10年3,000万円49.5万円148.2万円72.5万円147.2万円
15年1,500万円8.9万円93.4万円40万円92.1万円
15年3,000万円74.5万円148.4万円105.6万円147.5万円
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耐用年数が長いほど即時償却の減少は大きくなりますが、この表の8行では、8行で税額控除の減少の方が大きいままでした(割引率5%と8%の両方)。即時償却が有利になるのは、控除を使い切れない場合か、割引率が非常に高い場合に限られます。

36税額控除:中小企業投資促進税制でも同じ比べ方ができる

中小企業投資促進税制(措法42条の6)は、1台160万円以上の機械装置などについて、取得価額の30%の特別償却か7%の税額控除を選ぶ制度です。税額控除を選べるのは、資本金3,000万円以下などの「特定中小企業者等」だけです(同条第2項、措令27条の6)。控除の上限は、経営強化税制と同じく調整前法人税額の20%です。耐用年数10年の機械で、特別償却30%(残りは定率法で償却)と7%の控除を、同じ置き方で比べました。

取得価額毎年の所得特別償却の減少(割引なし)特別償却の減少(5%)使えた控除税額控除の減少(5%)5%で多い方
500万円300万円0万円5.1万円12.6万円12.3万円税額控除
500万円800万円0万円5.1万円35万円34.3万円税額控除
500万円1,500万円0万円7.8万円35万円35万円税額控除
500万円3,000万円0万円7.8万円35万円35万円税額控除
500万円6,000万円0万円7.8万円35万円35万円税額控除
1,500万円300万円0万円9.1万円1.8万円1.7万円特別償却
1,500万円800万円0万円15.2万円31.8万円31万円税額控除
1,500万円1,500万円-4.1万円19.3万円87.9万円85.7万円税額控除
1,500万円3,000万円0万円23.4万円105万円105万円税額控除
1,500万円6,000万円0万円23.4万円105万円105万円税額控除
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10通りのうち9通りで税額控除の方が多くなりました。特別償却は30%だけ先取りする分、即時償却より時間の価値がさらに小さく、控除との差は開きます。資本金3,000万円を超える法人は、投資促進税制では特別償却しか選べません。

37税額控除:年ごとに見ると

課税所得が毎年1,500万円の会社が、1,500万円の設備を買った場合の年ごとの法人税です。

通常の償却何もしない場合の法人税即時償却を選んだ場合税額控除を選んだ場合
1年目300万円2,128,000円0円1,702,400円
2年目240万円2,267,200円2,824,000円1,813,760円
3年目192万円2,378,560円2,824,000円2,378,560円
4年目153.6万円2,467,648円2,824,000円2,467,648円
5年目122.9万円2,538,918円2,824,000円2,538,918円
6年目98.3万円2,595,935円2,824,000円2,595,935円
7年目98.3万円2,595,935円2,824,000円2,595,935円
8年目98.3万円2,595,935円2,824,000円2,595,935円
9年目98.3万円2,595,935円2,824,000円2,595,935円
10年目98.3万円2,595,935円2,824,000円2,595,935円
11年目0万円2,824,000円2,824,000円2,824,000円
12年目0万円2,824,000円2,824,000円2,824,000円
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12年の合計は、何もしない場合30,408,000円、即時償却31,064,000円、税額控除29,528,960円です。即時償却は1年目の法人税を大きく減らしますが、2年目から償却がなくなる分だけ毎年の法人税が増え、合計ではかえって656,000円増えています。税額控除は1年目の減少が控除額の87.9万円だけですが、それがそのまま合計の減少です。

38税額控除:利益が年ごとに動く会社

毎年同じ所得が続く会社は少ないので、1,500万円の設備(10%)で、所得の動き方を5つ置きました。

所得の動き使えた控除即時償却の減少(割引なし)税額控除の減少(割引なし)即時償却の減少(5%)税額控除の減少(5%)5%で多い方
毎年1,500万円87.9万円-65.6万円87.9万円-16.1万円85.7万円税額控除
1年目だけ5,000万円、後は800万円150万円98.4万円150万円130.4万円150万円税額控除
1年目300万円、2年目から3,000万円114.9万円0万円114.9万円36.2万円109.5万円税額控除
1年目は500万円の赤字、2年目から2,000万円31.4万円-65.6万円31.4万円-26.2万円29.9万円税額控除
毎年800万円31.8万円0万円31.8万円27万円31万円税額控除
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5つとも、年5%で割り引いても税額控除の方が多くなりました。1年目の所得が小さい・赤字の会社では、税額控除が1年目の20%の上限に当たり、繰越しの1年を過ぎた分が消えます。1年目だけ所得が大きい会社では、即時償却の損金がすべて23.2%の部分に当たり、後の年の15%の部分で取り戻されるので、即時償却の減少は割引なしでもプラスになります。それでも、控除を使い切れるこの例では税額控除が上回りました。設備を買う年の所得と、翌年の所得の見込みが、選び方を決める材料になります。

39税額控除:この計算に入れていないもの

個別の判断は、翌年以降の利益の見込みと、他の税額控除の予定を含めて、税理士と確認してください。制度の要件と手続きは経営強化税制の記事にまとめています。

40よくある質問

即時償却と税額控除は、両方使えますか。

同じ設備では、どちらか一方です。税額控除は即時償却を受けない場合に使えます(措法42条の12の4第2項「前項の規定の適用を受けないとき」)。

器具備品の最低額は30万円ですか、40万円ですか。

令和8年4月1日以後に取得等をするものは40万円以上です(措令27条の12の4第2項、改正措令附則16条)。それより前の取得は30万円以上でした。手引きの令和7年7月版とタックスアンサー No.5434 は30万円のままです。

先に設備を買ってしまいました。まだ間に合いますか。

取得日から60日以内に計画の申請書が届き、取得して事業に使った事業年度のうちに認定を受ければ対象になりえます。ただしD類型・E類型は例外が使えず、A・B類型は証明書・確認書の申請が取得より前である必要があります。

中古の設備は使えますか。

使えません。条文が「製作若しくは建設の後事業の用に供されたことのないもの」に限っています。

個人事業主も使えますか。

A・B・D類型は使えます(所得税は措法10条の5の3)。E類型は個人事業主は使えません。

即時償却した設備を売ったら、どうなりますか。

帳簿価額が残っていないので、売った額がほぼそのまま利益になり課税されます。前倒しした損金は、売ったときに取り戻される形です。

自社で管理するコインランドリーなら、即時償却を使えますか。

委託型の除外には当たらなくなりますが、それだけで使えるわけではありません。経営力向上計画の認定、類型の要件、新品、指定事業(洗濯業は指定事業に入っています)などを満たす必要があります。

コインランドリーの設備の耐用年数は13年ですか。

別表第二の「洗濯業…用設備」は13年ですが、コインランドリーの機器がそれに当たるのか、器具及び備品に当たるのかを示した国税庁の文書は確認できていません。

マイニングが本業の会社なら、経営強化税制を使えますか。

使えません。令和7年度改正で、暗号資産マイニング業の設備は、主要な事業かどうかや管理を委託しているかどうかにかかわらず対象外になりました(令和7年4月1日以後に申請・認定された計画から)。

マイニングで採掘した暗号資産には、いつ税がかかりますか。

取得した時点の時価が収入(法人は益金)になります(国税庁の情報1−7)。その後に売れば、売った額と取得時の時価との差が所得になります。

即時償却と税額控除を、同じ設備で両方使えますか。

使えません。税額控除は、その設備について即時償却(特別償却)の適用を受けない場合に使えます(措法42条の12の4第2項)。

資本金が3,000万円を超えると、なぜ7%なのですか。

条文の作りで、原則は7%、資本金3,000万円以下など政令で定める法人以外の中小企業者等は10%です(措法42条の12の4第2項第1号、措令27条の12の4第3項)。理由は条文には書かれていません。

控除しきれなかった分は、何年繰り越せますか。

翌事業年度の1年だけです(措法42条の12の4第3項・第4項)。翌年度も調整前法人税額の20%が上限です。

赤字の年に設備を買ったら、どちらがよいですか。

赤字の年は法人税額がないので、税額控除はその年は使えず、翌年に繰り越せる分も翌年の20%までです。即時償却なら欠損金として10年繰り越せます。本文の「利益が年ごとに動く会社」の表を見てください。

リースで設備を入れた場合は。

所有権移転外リース取引で取得した設備は、即時償却は使えませんが、税額控除は使えます(措法42条の12の4第5項)。

41この記事の数字は、どこから取ったか

法令は e-Gov 法令検索の現行の条文で、国税庁の資料は公表されているページで、2026年9月30日に確かめました。税制は毎年改正されます。

表の数字は、この記事の中で条文の式どおりに計算した「計算の例」で、実際の商品の条件ではありません(繰り延べ計算機の式を使った表は、/depreciation/ の計算機と同じ式です)。この記事は特定の商品の勧誘ではなく、個別の税務判断は税理士に確認してください。

自分の数字で確かめる:節税商品の本当の得

慣れてきたら

    「計算の例」は実際の商品の条件ではありません。出口(売却・契約終了)で戻る額は、帳簿の価値がほぼ0になっているので、そのまま利益として課税されるとしています。 法人は実効税率30%の例です。手数料・出口の額・出口の税率を変えた詳しい計算は減価償却の繰り延べ計算で。

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