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金投資はインフレに強いか|物価2%以上の8年で勝ったのは4年

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データの時点金は2026年8月・物価は2026年8月まで財務省の金の輸入単価と、総務省の消費者物価指数(全国・総合)・毎週月曜に自動で更新

8年中4年物価2%以上の年に金が上回った

1989年から2025年までの37年のうち、消費者物価が前の年より2%以上上がった年は8年(1989・1990・1991・2014・2022・2023・2024・2025年)でした。そのうち金の年平均の値段が物価より大きく伸びた年は4年(2022・2023・2024・2025年)で、残りの4年(1989・1990・1991・2014年)は物価に負けています。

マイナス 80.0%80.0%マイナス0〜1%未満 70.0%70.0%0〜1%未満1〜2%未満 25.0%25.0%1〜2%未満2%以上 50.0%50.0%2%以上
物価の伸びで年を分けたとき、金の伸びが物価を上回った年の割合

始めた年と金額で計算する →

この記事の内容32の見出し

01先に結論

この記事は過去の数字を並べたもので、これからも同じになるという意味ではありません。金の値段は、財務省の貿易統計の輸入単価(1グラムあたり、卸に近い値)です。個人が買うときの手数料や消費税は入っていません。

02始めた年と金額で計算する

年を選ぶと、その年の金の年平均の値段で買った金が、いまの値段(2026年8月の21,112円/g)でいくらになるかと、同じお金が物価と同じだけ増えていたらいくらかを並べます。金額を切り替えると、結果も比例して変わります。

2000年 その年の金の年平均 962円/g・消費者物価指数 86.9

金で持ち続けた場合(いまの値)2,195,563円
物価と同じだけ増えた場合117,573円
差(金−物価)2,077,990円

金は年平均の輸入単価で買い、2026年8月の輸入単価で評価したとしています。物価は消費者物価指数(総合)の年平均から2026年8月までの伸びです。手数料・消費税・売るときの値段との差・税金は入っていません。将来の予想ではありません。

03「インフレに強い」を、どう確かめたか

  1. 物価が上がる同じ1万円で買える物が減る。消費者物価指数が上がる
  2. ドルで見た金世界の金の値段。日本の物価とは別に、世界のお金の流れで動く
  3. ドル円円安になると、同じドルの金でも円の値段は上がる
  4. 円で見た金ドルで見た金×ドル円で、日本での値段が決まる

「金はインフレに強い」とよく言われます。この記事では、それを次のように言い換えて確かめました。

  1. 同じ年の比べ方:消費者物価の年平均が前の年より2%以上上がった年に、金の輸入単価の年平均も前の年より伸びたか。伸び方が物価より大きければ「上回った(勝った)」と数えます。
  2. 月の比べ方:毎月の前年同月比で、物価の伸びと金の伸びを比べます。年平均ではならされてしまう動きを見るためです。
  3. 続いた期間の比べ方:物価の前年同月比が2%以上の月が続いた期間に、物価と金がそれぞれどれだけ上がったか。

2%という線は、物価が「はっきり上がっている」と言える目安として置きました。日本で物価の前年比が2%以上になった年は、この30年あまりで多くありません。そのため、数えられる年は少なく、1年ごとの結果のばらつきが大きいことに注意してください。

上の図のとおり、日本で売り買いされる金の値段は「ドルで見た金の値段」と「ドル円」の掛け算でほぼ決まります。日本の物価が上がっても、ドルで見た金が下がり、円高が進めば、円の金の値段は下がります。この記事の後半では、物価2%以上の年について、この2つに分けて見ていきます。

04物価が上がった年に、金はどう動いたか

1989年から2025年までの毎年について、消費者物価の年平均の前年比と、金の輸入単価の年平均の前年比を並べました。「物価で直した金」は、金の年平均を物価指数で割った値の前年比で、金で買える物の量がどれだけ増えたか(減ったか)を表します。新しい年から順です。

年消費者物価金の年平均差物価で直した金物価と比べて
2025年+3.19%+39.5%+36.3ポイント+35.2%上回った
2024年※+2.75%+33.3%+30.5ポイント+29.7%上回った
2023年※+3.26%+16.5%+13.2ポイント+12.8%上回った
2022年+2.51%+18.6%+16.0ポイント+15.7%上回った
2021年−0.24%+5.2%+5.4ポイント+5.5%上回った
2020年−0.02%+29.2%+29.2ポイント+29.2%上回った
2019年+0.50%+3.3%+2.8ポイント+2.8%上回った
2018年+0.97%−0.8%−1.8ポイント−1.8%下回った
2017年+0.48%+5.7%+5.2ポイント+5.2%上回った
2016年−0.11%+0.6%+0.7ポイント+0.7%上回った
2015年+0.78%+0.7%−0.1ポイント−0.1%下回った
2014年+2.77%−2.5%−5.3ポイント−5.2%下回った
2013年+0.34%+3.0%+2.6ポイント+2.6%上回った
2012年−0.05%+6.2%+6.2ポイント+6.2%上回った
2011年−0.29%+15.3%+15.6ポイント+15.6%上回った
2010年−0.70%+20.9%+21.6ポイント+21.8%上回った
2009年−1.35%+0.2%+1.6ポイント+1.6%上回った
2008年+1.39%+11.5%+10.1ポイント+9.9%上回った
2007年+0.05%+18.5%+18.4ポイント+18.4%上回った
2006年+0.22%+39.3%+39.1ポイント+39.0%上回った
2005年−0.24%+10.7%+10.9ポイント+11.0%上回った
2004年−0.02%+6.4%+6.4ポイント+6.4%上回った
2003年−0.26%+7.0%+7.3ポイント+7.3%上回った
2002年−0.91%+17.9%+18.8ポイント+19.0%上回った
2001年−0.72%+9.0%+9.7ポイント+9.8%上回った
2000年−0.68%−6.5%−5.8ポイント−5.8%下回った
1999年−0.34%−16.5%−16.1ポイント−16.2%下回った
1998年+0.67%−4.5%−5.2ポイント−5.2%下回った
1997年+1.70%−2.3%−4.0ポイント−4.0%下回った
1996年+0.14%+14.0%+13.8ポイント+13.8%上回った
1995年−0.11%−7.4%−7.3ポイント−7.3%下回った
1994年+0.68%+2.2%+1.6ポイント+1.5%上回った
1993年+1.26%−7.0%−8.3ポイント−8.2%下回った
1992年+1.73%−3.4%−5.1ポイント−5.0%下回った
1991年+3.28%−18.1%−21.3ポイント−20.7%下回った
1990年+3.06%+0.4%−2.6ポイント−2.6%下回った
1989年+2.29%−7.0%−9.3ポイント−9.1%下回った
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※の年は、輸入単価が相場と合わない月を除いたため、12か月そろっていません(2023年は6か月・2024年は11か月)。年平均は値のある月だけで出しています。

消費者物価の前年比金の年平均の前年比
0%20%40%199219962000200420082012201620202024金の年平均の前年比 +39.5%消費者物価の前年比 +3.2%

37年全体では、金の伸びが物価の伸びを上回った年は24年でした。物価の前年比は多くの年で−1%から+3%の間に収まっていますが、金の前年比は−18%から+40%まで大きく動いています。金の値動きの幅は物価の何倍も大きいので、「物価より上がったか」は、ほとんど金の側の動きで決まります。

05物価の伸びで年を分けると

物価の前年比で年を4つに分け、それぞれで金が物価を上回った年の数と、金の伸びの中央値を出しました。

物価の前年比年の数金が物価を上回った年割合金の伸び(中央値)物価で直した金(中央値)
マイナス(物価が下がった年)15年12年80%+6.4%+6.4%
0〜1%未満10年7年70%+3.2%+2.7%
1〜2%未満4年1年25%−2.9%−4.5%
2%以上8年4年50%+8.5%+5.1%
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物価が2%以上上がった年の勝率(4/8)は、物価がマイナスや0〜1%の年より低くなっています。「物価が高い年ほど金が物価に勝ちやすい」という形にはなっていません。順位相関(37年)も-0.10で、「ほとんど関係がない」の水準でした。

ただし、年の数が少ないことに注意が必要です。2%以上の年は8年しかなく、1年の結果で割合が12ポイント動きます。この表は「こういう年が何回あったか」を示すもので、確率を言えるほどの数ではありません。

06物価2%以上の年:ドルで見た金と、ドル円に分ける

円で見た金の値段は、ドルで見た金の値段(1トロイオンスあたり)とドル円の掛け算です。物価2%以上の年について、金の伸びを2つに分けました。ドルで見た金は、輸入単価×31.1034768÷その月のドル円(FRBの月平均)で当サイトが出した換算値です。

年消費者物価金(円)金(ドルで見た値)ドル円(+は円安)物価と比べて
1989年+2.29%−7.0%−13.5%+7.7%下回った
1990年+3.06%+0.4%−4.4%+4.9%下回った
1991年+3.28%−18.1%−11.7%−7.1%下回った
2014年+2.77%−2.5%−10.2%+8.5%下回った
2022年+2.51%+18.6%−0.7%+19.8%上回った
2023年+3.26%+16.5%+8.1%+6.9%上回った
2024年+2.75%+33.3%+24.2%+7.8%上回った
2025年+3.19%+39.5%+41.2%−1.2%上回った
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1989〜1991年は、ドルで見た金が下がった年が多く、とくに1991年は円高も重なって金の円の値段は大きく下がりました。金が物価を上回った年を見ると、2022年は円安が大きく(ドルで見た金−0.7%・ドル円+19.8%)、2023年はドルで見た金の値上がりが大きく(ドルで見た金+8.1%・ドル円+6.9%)、2024年はドルで見た金の値上がりが大きく(ドルで見た金+24.2%・ドル円+7.8%)、2025年はドルで見た金の値上がりが大きく(ドルで見た金+41.2%・ドル円−1.2%)でした。円安とドルで見た金の値上がりの、どちらか(または両方)が大きかった年に、金は物価を上回っています。物価が上がったから金が上がったというより、「同じ時期に、世界の金の値上がりと円安が起きていた」と読むのが数字に合っています。

日本の物価が上がる理由の1つは、円安で輸入品が高くなることです。円安は、円で見た金の値段も押し上げます。そのため、円安が原因の物価上昇では、金と物価が同じ方向に動きやすくなります。逆に、国内の需要や税の変化で物価が上がった年は、金とは関係なく物価だけが動きます。

07消費税の引き上げと、物価2%以上の年

物価2%以上の年には、消費税の導入・引き上げがあった年が含まれます。消費税は1989年4月に3%で始まり、1997年4月に5%、2014年4月に8%、2019年10月に10%(軽減税率8%)へ上がりました。税率が上がると、多くの物やサービスの値段が一度に上がるため、消費者物価の前年比も押し上げられます。

消費税の変更その年の消費者物価その年の金の年平均物価と比べて
1989年4月 導入(3%)+2.29%−7.0%下回った
1997年4月 5%へ+1.70%−2.3%下回った
2014年4月 8%へ+2.77%−2.5%下回った
2019年10月 10%へ+0.50%+3.3%上回った
2020年(前年10月の引き上げの影響が残る年)−0.02%+29.2%上回った
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1989年と2014年は、消費税の影響もあって物価が2%以上になった年で、どちらも金は物価を下回りました。税による物価の上昇は、世界の金の値段やドル円とは関係がないためです。物価2%以上の年を「税で上がった年」と「それ以外」に分けると、金が勝った年はすべて「それ以外」の年に入ります。

なお、2019年10月の引き上げは年の終わりに近く、軽減税率や同じ時期の幼児教育の無償化もあって、年平均の物価はあまり動いていません。

08月ごとに見ると:前年同月比

年平均では、1年の中の動きがならされます。そこで、1989年1月から2026年8月までの毎月について、物価と金の前年同月比を比べました(金の値がない月とその1年後の月は除く)。

物価の前年同月比月の数金が物価を上回った月割合金の前年同月比(中央値)いちばん低いいちばん高い
マイナス156か月117か月75%+8.3%−29.3%+59.1%
0〜1%未満137か月89か月65%+4.9%−24.2%+79.9%
1〜2%未満57か月25か月44%−0.7%−18.6%+83.4%
2〜3%未満51か月30か月59%+5.7%−26.5%+66.8%
3%以上37か月20か月54%+7.0%−36.4%+48.8%
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物価の前年同月比が2%以上だった88か月のうち、金の前年同月比が物価を上回ったのは50か月(57%)でした。月ごとの順位相関は-0.09(ほとんど関係がない)です。

月で見ても、金の前年同月比の幅は、物価の帯に関係なく大きく広がっています。同じ「物価3%以上」の月でも、金が大きく下がった月と大きく上がった月の両方があります。

09物価2%以上の月を、円安の月と円高の月に分ける

物価の前年同月比が2%以上だった88か月を、ドル円(FRBの月平均)が前の年の同じ月より円安だったか、円高だったかで分けました。

その月のドル円月の数金が物価を上回った月割合金の前年同月比(中央値)ドル円の前年同月比(中央値)
円安(ドル円が前年同月より上)64か月42か月66%+11.8%+8.8%
円高(ドル円が前年同月より下)24か月8か月33%−8.0%−7.7%
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同じ「物価2%以上」の月でも、円安の月と円高の月では、金が物価を上回った割合がはっきり違います。物価が上がっているかどうかより、為替がどちらに動いたかのほうが、円で見た金の結果を大きく左右してきました。

物価2%以上の月のうち、金の前年同月比が高かった月と低かった月です。

月物価の前年同月比金の前年同月比
2025年12月+2.02%+66.8%
2025年10月+2.86%+54.7%
2025年11月+2.75%+53.4%
2025年2月+3.56%+48.8%
2024年11月+2.93%+41.7%
2024年10月+2.30%+41.3%
…
1991年3月+3.67%−36.4%
1991年1月+3.94%−29.4%
1991年9月+2.73%−26.5%
1990年11月+3.83%−26.4%
1991年2月+3.55%−23.6%
1991年8月+3.25%−22.7%

金が大きく下がった月は1991年前後、大きく上がった月は2025年前後に集まっています。どちらも物価は2%以上で、物価の高さだけでは金の向きを説明できません。

10金と物価は、動く大きさが違う

1989〜2025年の年ごとの前年比について、真ん中の値・いちばん低い年・いちばん高い年・ばらつき(標準偏差)を並べました。

前年比の中央値いちばん低い年いちばん高い年ばらつき(標準偏差)±10%以上動いた年
消費者物価(総合)+0.3%−1.3%+3.3%1.3ポイント0年
金(円)+5.2%−18.1%+39.5%13.5ポイント15年
金(ドルで見た値)+4.7%−15.5%+41.2%14.4ポイント21年
ドル円+0.1%−13.1%+22.2%9.2ポイント10年
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物価のばらつきは1.3ポイントなのに対し、金は13.5ポイントで、およそ10倍です。物価が10%以上動いた年は一度もありませんが、金は何度もあります。これほど動く大きさが違うと、「物価より上がったか」は、物価の側ではなく金の側の動きでほとんど決まります。物価が2%上がる年に、金が10%下がることも、30%上がることもあったのは、このためです。

ドルで見た金とドル円も、それぞれ物価より大きく動いています。円で見た金の動きは、この2つが同じ向きに動いた年に大きくなり、反対向きに動いた年は打ち消し合って小さくなります。

112021年からの物の値段と、金

物価が上がり始めた2021年からの年ごとに、分類ごとの物価の前年比と金を並べました。暮らしで目に入りやすい食料・エネルギー・米・電気代・外食・家賃です。

年総合食料エネルギー米類電気代外食家賃金
2021年−0.2%+0.0%+4.0%−3.2%+0.0%+0.3%+0.1%+5.2%
2022年+2.5%+4.4%+17.1%−4.3%+20.0%+3.1%+0.1%+18.6%
2023年+3.3%+8.1%−6.0%+3.8%−13.0%+5.4%+0.1%+16.5%
2024年+2.7%+4.3%+3.8%+27.7%+7.3%+2.6%+0.2%+33.3%
2025年+3.2%+6.8%+3.6%+67.5%+5.3%+4.0%+0.3%+39.5%
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食料や米は2023年以降も大きく上がり、エネルギーや電気代は年によって上がったり下がったりしています。家賃はほとんど動いていません。同じ「物価が上がった」でも、何が上がったかは年ごとに違い、金の動きはそのどれとも一対一には対応していません。

12物価の物差しを変えても同じか

消費者物価指数には、天候で大きく動く生鮮食品を除いた「コア」や、さらにエネルギーも除いた「コアコア」があります。物差しを変えると、どの年が「物価2%以上」になるかが変わります。

物価の物差し2%以上の年の数その年金が上回った年の数その年
総合8年1989・1990・1991・2014・2022・2023・2024・20254年2022・2023・2024・2025
生鮮食品を除く総合(コア)9年1989・1990・1991・1992・2014・2022・2023・2024・20254年2022・2023・2024・2025
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)8年1989・1990・1991・1992・2014・2023・2024・20253年2023・2024・2025
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コアコアは、エネルギーの値上がりが入らないぶん、2%以上になる年が少なくなります。どの物差しで数えても、金が物価を上回った年と下回った年の両方があり、「物価が上がった年には金も勝つ」とは言えない点は同じでした。

13物価2%以上が続いた期間の、物価と金

物価の前年同月比が2%以上の月が3か月以上続いた期間を取り出し、その期間の始まる前の月から終わりの月までに、物価と金がそれぞれどれだけ上がったかを比べました。始まる前の月の金の値が除外月のときは、その前の月の値を使っています。

期間長さ物価の伸び金の伸び物価と比べて
1989年4月〜1991年12月33か月+9.3%−8.9%下回った
1997年8月〜1997年11月4か月+0.3%+1.5%上回った
2008年7月〜2008年9月3か月+0.5%−6.4%下回った
2014年4月〜2015年3月12か月+2.3%+4.2%上回った
2022年4月〜2022年12月9か月+3.0%+7.2%上回った
2024年10月〜2025年2月5か月+1.6%+23.2%上回った
2025年4月〜2025年12月9か月+1.7%+48.7%上回った
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7つの期間のうち、金が物価を上回ったのは5つでした。物価の高い時期が長く続いたときほど、物価の伸びの合計は大きくなります。それでも、期間の中で金が下がっていれば、物価との差は広がります。

142つの時期を、3か月ごとにたどる

物価2%以上の年が固まっている2つの時期を、3か月ごとの前年同月比でたどりました。物価・円で見た金・ドルで見た金・ドル円の4つです(金の値がない月は飛ばしています)。

月物価金(円)金(ドルで見た値)ドル円
1989年3月+1.1%−6.9%−9.3%+2.7%
1989年6月+2.9%−7.6%−18.2%+13.0%
1989年9月+2.6%−11.0%−17.6%+8.0%
1989年12月+2.6%+13.9%−2.0%+16.2%
1990年3月+3.7%+6.9%−9.0%+17.4%
1990年6月+2.3%−10.6%−16.2%+6.7%
1990年9月+2.7%+22.1%+27.9%−4.6%
1990年12月+3.8%−21.1%−15.3%−6.8%
1991年3月+3.7%−36.4%−29.0%−10.4%
1991年6月+3.4%−5.3%+4.1%−9.1%
1991年9月+2.7%−26.5%−24.2%−3.0%
1991年12月+2.6%+0.4%+4.9%−4.4%
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月物価金(円)金(ドルで見た値)ドル円
2022年3月+1.2%+21.7%+11.5%+9.1%
2022年6月+2.4%+19.2%−2.0%+21.7%
2022年9月+3.0%+22.4%−5.9%+30.1%
2022年12月+4.0%+20.3%+1.5%+18.5%
2023年3月+3.3%+11.4%−1.2%+12.7%
2023年12月+2.6%+20.7%+13.1%+6.7%
2024年12月+3.7%+33.1%+24.6%+6.8%
2025年6月+3.4%+29.2%+41.1%−8.5%
2025年9月+2.9%+40.3%+35.6%+3.4%
2025年12月+2.0%+66.8%+64.6%+1.4%
2026年3月+1.4%+83.4%+72.2%+6.5%
2026年6月+1.7%+46.8%+31.9%+11.3%
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1989〜1991年の12つの時点のうち、ドルで見た金の前年同月比がマイナスだったのは9つ、円で見た金がマイナスだったのは8つでした。物価は2〜4%で続いていたのに、金は下がる時点が多かったことになります。途中の1990年9月だけ、ドルで見た金が大きく上がっています。同じ年の8月にイラクがクウェートに侵攻した後の動きで、出来事の前後の値動きは金は有事に上がったかで比べています。2022年以降は、はじめは円安が金の円の値段を押し上げ、その後はドルで見た金の値上がりが大きくなっています。どちらの時期も、物価の数字はほぼ同じ幅で動いていたのに、金の道のりはまったく違いました。

15物価が高かった数年をまとめて見る

物価2%以上の年は、2014年を除くと、1989〜1991年と2022年以降に固まっています。この2つの時期を、それぞれまとめて見ました(始まる前の年の年平均から、最後の年の年平均まで)。

時期消費者物価金(円)金(ドルで見た値)ドル円(+は円安)
1989〜1991年+8.9%−23.5%−27.0%+5.0%
2022〜2025年+12.2%+156.8%+88.2%+36.3%
横にスクロールすると残りの列が見えます

1989〜1991年は、物価が3年で+8.9%上がる一方、金の年平均は−23.5%でした。ドルで見た金が−27.0%、ドル円が+5.0%で、ドル円は円安で円の金の値段を押し上げる向きでしたが、ドルで見た金の下落がそれを大きく上回りました。

2022〜2025年は、物価が+12.2%上がり、金の年平均は+156.8%でした。ドルで見た金が+88.2%、ドル円が+36.3%です。同じ「物価が高い時期」でも、金の結果は正反対でした。違いを生んだのは物価ではなく、ドルで見た金とドル円です。

16物価2%以上の年だけをつなぐと

物価2%以上の8年の前年比だけを掛け合わせると、物価は+25.6%、金の年平均は+91.5%になります。物価が高かった年だけをつなげて見れば、金は物価を大きく上回ったことになります。

ただし、その中身は偏っています。1989〜1991年の3年だけをつなぐと金は−23.5%、2014年以降の年だけでは+150.4%です。合計の結果は、最近の数年の大きな値上がりでほとんど決まっています。「物価が高い年の金」をまとめて1つの数字にすると、こうした時期による違いが見えなくなります。

17国債の利回りと比べると

このサイトは、投資先を国債と比べています。物価2%以上の年について、その年の最初の営業日の10年国債の利回り(財務省)と、その年の物価・金を並べました。国債の利回りが物価の伸びより低ければ、その年に新しく10年国債を買った人の利息は、その年の物価の伸びに届いていないことになります。

年10年国債の利回り(年初)消費者物価国債−物価金の年平均金−物価
1989年4.796%(1989年1月4日)+2.29%+2.50ポイント−7.0%−9.3ポイント
1990年5.707%(1990年1月4日)+3.06%+2.65ポイント+0.4%−2.6ポイント
1991年6.475%(1991年1月4日)+3.28%+3.20ポイント−18.1%−21.3ポイント
2014年0.725%(2014年1月6日)+2.77%−2.05ポイント−2.5%−5.3ポイント
2022年0.104%(2022年1月4日)+2.51%−2.40ポイント+18.6%+16.0ポイント
2023年0.491%(2023年1月4日)+3.26%−2.77ポイント+16.5%+13.2ポイント
2024年0.649%(2024年1月4日)+2.75%−2.10ポイント+33.3%+30.5ポイント
2025年1.145%(2025年1月6日)+3.19%−2.05ポイント+39.5%+36.3ポイント
横にスクロールすると残りの列が見えます

8年のうち、年初の10年国債の利回りが、その年の物価の伸びを上回っていたのは3年でした。1989〜1991年の年初の10年国債の利回りは4.80〜6.47%で、物価の伸びを上回った年は3年でした。2022年以降は0.10〜1.15%で、物価の伸びを上回った年は0年です。金が物価を上回った年もありますが、国債と違って、値段が下がれば元本も減ります。

国債の利回りは、買った時点で満期までの利息が決まります。物価が上がっても下がっても利息は変わらない一方、元本は満期に額面で戻ります。金は利息がない代わりに、値段そのものが物価や為替とは別に大きく動きます。インフレへの備えとして比べるときは、この性質の違いを先に押さえておく必要があります。国債の利率と物価の関係は金利が上がると個人向け国債はどうなるかの記事でも扱っています。

18物の値段と、金の値段の伸びを比べる

消費者物価指数には、食料・エネルギーなどの分類ごとの指数もあります。1988年と2025年の年平均の倍率、2020年と2025年の年平均の倍率を、金と並べました。

1988年→2025年2020年→2025年
金(輸入単価の年平均)9.17倍2.70倍
総合1.32倍1.12倍
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア)1.28倍1.10倍
食料1.64倍1.26倍
エネルギー1.51倍1.23倍
電気代(品目)1.22倍1.18倍
ガソリン(品目)1.52倍1.30倍
米類1.81倍2.06倍
外食1.59倍1.16倍
家賃(類)1.21倍1.01倍

1988年からの長い期間で見ると、金は9.17倍で、並べた9の物の値段の分類すべてより大きく伸びています(9つを上回る)。2020年からでも、金は2.70倍でした。長い期間で見た「物価に負けない」は、数字の上では当てはまります。

ただし、これは始めと終わりの2点の比べ方です。前の節までで見たとおり、途中には物価が上がっているのに金が下がった年が何度もあります。「長い期間で見ると物価より伸びた」ことと、「物価が上がった年に金も上がった」ことは別のことです。金を買った時期ごとの結果のばらつきは金の買い時、値段そのものの長い推移は金価格の推移にまとめています。

19物価が下がった年の金

反対に、物価が前の年より下がった年(15年)も見ておきます。1990年代の終わりから2010年代の初めは、物価がほとんど上がらないか、下がる年が続きました。

年消費者物価金の年平均ドルで見た金ドル円
1995年−0.11%−7.4%+0.7%−7.9%
1999年−0.34%−16.5%−3.9%−13.1%
2000年−0.68%−6.5%−1.5%−5.2%
2001年−0.72%+9.0%−3.3%+12.7%
2002年−0.91%+17.9%+14.5%+3.1%
2003年−0.26%+7.0%+15.7%−7.5%
2004年−0.02%+6.4%+13.8%−6.7%
2005年−0.24%+10.7%+8.3%+1.8%
2009年−1.35%+0.2%+11.0%−9.5%
2010年−0.70%+20.9%+29.2%−6.2%
2011年−0.29%+15.3%+26.7%−9.2%
2012年−0.05%+6.2%+5.7%+0.1%
2016年−0.11%+0.6%+12.1%−10.1%
2020年−0.02%+29.2%+32.0%−2.1%
2021年−0.24%+5.2%+2.2%+2.8%
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物価が下がった15年のうち、金が物価を上回ったのは12年でした。2000年代はドルで見た金の値段が長く上がり続けた時期で、日本の物価が下がっていても、円の金の値段は上がりました。金は「インフレのときだけ上がるもの」ではなく、日本の物価とは別の理由で動いてきたことが、この表からも分かります。

20同じ月どうしで比べ直す

2023年は相場と合わない月を除いたため6か月分しか値がなく、ほかの年と月の組み合わせが違います。そこで、物価2%以上の年について、前の年と同じ月だけで金の平均を取り直して、結果が変わるかを確かめました。

年比べた月の数金の伸び(同じ月どうし)金の伸び(年平均)物価
1989年12か月−7.0%−7.0%+2.29%
1990年12か月+0.4%+0.4%+3.06%
1991年12か月−18.1%−18.1%+3.28%
2014年12か月−2.5%−2.5%+2.77%
2022年12か月+18.6%+18.6%+2.51%
2023年6か月+17.0%+16.5%+3.26%
2024年5か月+35.5%+33.3%+2.75%
2025年11か月+41.2%+39.5%+3.19%
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同じ月どうしで比べても、どの年も「物価を上回ったか、下回ったか」の結果は変わりませんでした。

212026年はどうか(1〜8月)

2026年は年の途中なので、上の表には入れていません。2026年1月から8月までの平均を、前の年の同じ月の平均と比べると、消費者物価は+1.57%、金の輸入単価は+55.7%でした。年が終わったときの年平均は、残りの月で変わります。

この記事の数字は、財務省と総務省の公表に合わせて毎月入れ替わります。年が明けて12か月そろった時点で、上の表にもその年が加わります。

22エネルギーや食料が大きく上がった年の金

物価の上がり方は、年によって中身が違います。総務省の同じ統計にある「エネルギー」「食料」の指数で、エネルギーが前の年より8%以上、または食料が3%以上上がった年を取り出し、金の動きを並べました。

年エネルギー食料物価(総合)金の年平均物価と比べて
1990年+3.4%+4.1%+3.06%+0.4%下回った
1991年+2.4%+4.8%+3.28%−18.1%下回った
2008年+9.0%+2.6%+1.39%+11.5%上回った
2014年+6.5%+3.8%+2.77%−2.5%下回った
2015年−7.2%+3.1%+0.78%+0.7%下回った
2022年+17.1%+4.4%+2.51%+18.6%上回った
2023年−6.0%+8.1%+3.26%+16.5%上回った
2024年+3.8%+4.3%+2.75%+33.3%上回った
2025年+3.6%+6.8%+3.19%+39.5%上回った
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エネルギーや食料が大きく上がった9年のうち、金が物価(総合)を上回ったのは5年でした。エネルギーの値段は原油の値段とドル円で動くため、円安の年にはエネルギーと金が同じ方向に動きやすくなります。原油が下がった年はエネルギーだけが下がり、金とは別の動きになります。

反対に、エネルギーが5%以上下がった年は4年(2009・2015・2016・2023年)あり、その年の金は2009年+0.2%、2015年+0.7%、2016年+0.6%、2023年+16.5%でした。

235年ごとに区切ると

1年ごとの比べ方では、年によるぶれが大きく出ます。そこで2025年から5年ずつさかのぼって区切り、5年間で物価と金がそれぞれどれだけ上がったかを比べました(区切りの始まる前の年の年平均から、最後の年の年平均まで)。

5年間物価の伸び金の伸び物価で直した金物価と比べて
1991〜1995年+7.0%−30.3%−34.9%下回った
1996〜2000年+1.5%−17.0%−18.2%下回った
2001〜2005年−2.1%+61.9%+65.5%上回った
2006〜2010年−0.4%+123.0%+123.9%上回った
2011〜2015年+3.6%+23.7%+19.4%上回った
2016〜2020年+1.8%+40.7%+38.2%上回った
2021〜2025年+11.9%+170.2%+141.3%上回った
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7つの5年間のうち、金が物価を上回ったのは5つでした。5年間の物価の伸びは多くの区切りで数%にとどまる一方、金の伸びは大きなマイナスから大きなプラスまで広がっています。5年という長さでも、金が物価を下回る区切りはありました。どの5年を切り取るかで、結果は大きく変わります。

24物価2%以上の年の、次の年はどうだったか

物価が大きく上がった年の次の年に、物価と金がどう動いたかも並べました。過去にどうだったかの記録で、次に物価が上がったときに同じになるという意味ではありません。

年その年の物価その年の金次の年の物価次の年の金次の年、物価と比べて
1989年 → 1990年+2.29%−7.0%+3.06%+0.4%下回った
1990年 → 1991年+3.06%+0.4%+3.28%−18.1%下回った
1991年 → 1992年+3.28%−18.1%+1.73%−3.4%下回った
2014年 → 2015年+2.77%−2.5%+0.78%+0.7%下回った
2022年 → 2023年+2.51%+18.6%+3.26%+16.5%上回った
2023年 → 2024年+3.26%+16.5%+2.75%+33.3%上回った
2024年 → 2025年+2.75%+33.3%+3.19%+39.5%上回った
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7回のうち、次の年も物価が2%以上だったのは5回、次の年に金が物価を上回ったのは3回でした。金の次の年の結果は、その年の結果と同じ向きの場合も、反対の場合もありました。

25年の初めに持っていたら:前の年の12月から12月まで

年平均どうしの比べ方は、1年中少しずつ買った人の結果に近いものです。年の初めに持っていた金を年の終わりまで持っていた場合に近づけるため、前の年の12月と、その年の12月の輸入単価を比べました。物価は12月の前年同月比です。12月の値が除外月のときは、その前の月の値を使っています。

年金(前の年の12月→12月)物価(12月の前年同月比)物価と比べて
1989年+13.9%+2.62%上回った
1990年−21.1%+3.83%下回った
1991年+0.4%+2.58%下回った
2014年+11.8%+2.46%上回った
2022年+20.3%+4.03%上回った
2023年+20.7%+2.58%上回った
2024年+33.1%+3.67%上回った
2025年+66.8%+2.02%上回った
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この比べ方でも、物価2%以上の8年のうち金が物価を上回ったのは6年でした。年平均で比べたときと勝ち負けが入れ替わった年は2年です。12月の1か月の値は、年平均より大きくぶれます。どの月で区切るかで結果が変わることも、金と物価の関係を読むときの注意点です。

26海外の数字ではなく、日本の数字で比べる理由

「金はインフレに強い」という説明では、米国の物価と、ドルで見た金の長い期間の数字が使われることがよくあります。米国の数字は期間が長く、資料も多いからです。

しかし、日本に住んで円で暮らす人にとって大事なのは、円で見た金の値段と日本の物価の関係です。ドルで見た金が物価に勝っていても、その間に円高が進めば、円で見た金の伸びは小さくなります。反対に、ドルで見た金が横ばいでも、円安が進めば円の金の値段は上がります。1989〜1991年や2022年の結果は、ドルで見た金の数字だけを見ていると分かりません。

この記事が財務省の輸入単価と総務省の消費者物価指数を使ったのは、どちらも日本の公的な統計で、円で、月ごとに、1988年から続けて取れるからです。輸入単価は個人の買値ではありませんが、日本に入ってくる金の値段の動きをそのまま映しています。

27物価に合わせて元本が動く国債との違い

物価への備えを考えるとき、金と並んで名前が出るのが物価連動国債です。財務省が発行する国債で、元本が全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の動きに合わせて増えたり減ったりします。物価が上がれば元本と利息も増えるので、仕組みそのものが物価に結びついています。2013年度以降に発行されたものには、満期のときの元本が額面を下回らない仕組み(フロア)が付いています。

金はこれと違い、物価に結びつく仕組みを持っていません。この記事で見たとおり、物価が上がった年に金が下がったことも、物価が下がった年に金が大きく上がったこともあります。「物価と同じだけ増えること」を求めるのか、「物価とは別の動きをする資産を持つこと」を求めるのかで、比べる相手が変わります。

国債(固定金利)・物価連動国債・金の3つは、物価が上がったときの動き方がそれぞれ違います。どれがよいかは目的と期間によるもので、この記事は特定の商品をすすめるものではありません。

28自分で確かめる手順

  1. 物価の数字を取る。総務省統計局の「消費者物価指数」の全国の結果から、総合指数の年平均(または月ごとの前年同月比)を取ります。e-Statで、年平均の前年比も公表されています。
  2. 金の数字を取る。財務省の貿易統計の「統計品別推移表」で、輸入の統計品目7108.12(加工していない金)の数量と金額を取り、金額÷数量で1グラムあたりの値段を出します。ある月だけ極端に安い値が出ることがあるので、前後の月と比べて相場と合わない月は除きます。
  3. 同じ物差しで比べる。年平均どうし、または同じ月どうしで、物価と金の伸びを比べます。期間の始めと終わりの選び方で結果が変わるので、いくつかの区切り方で試します。
  4. ドルで見た金とドル円に分ける。FRBのドル円の月平均を使い、金の円の値段を2つに分けると、勝ち負けの理由が見えてきます。
  5. 自分の買い方に置き換える。実際に買うときの手数料・消費税・売るときの値段の差を差し引くと、結果はこの記事の数字より低くなります。

29この記事に出てくる言葉

インフレ(インフレーション)
物やサービスの値段が全体として上がり続けること。同じ金額のお金で買える物が減ります。
消費者物価指数(CPI)
家計が買う物やサービスの値段の動きを、ある年を100として表した指数。総務省統計局が毎月公表しています。この記事は2025年=100の全国の総合指数を使いました。
前年比・前年同月比
前の年(の同じ月)と比べてどれだけ変わったかの割合。季節による動きを除くため、月の比べ方では同じ月どうしで比べます。
コア・コアコア
総合から生鮮食品を除いたものがコア、さらにエネルギーも除いたものがコアコア。天候や原油の値段で大きく動く部分を外して、物価の流れを見るための物差しです。
輸入単価
財務省の貿易統計の、輸入の金額÷数量。金地金の卸に近い値段の目安で、個人が店で買う値段とは違います。
ドルで見た金
円の輸入単価を、その月のドル円で割って1トロイオンス(約31.1グラム)あたりに直した、当サイトの換算値。海外の取引所の値段そのものではありません。
物価で直した金
金の値段を物価指数で割った値。金で買える物の量が増えたか減ったかを表します。
順位相関
2つの数字の並び順がどれだけそろっているかを−1から1で表した値。0に近いほど関係が弱いことを示します。
物価連動国債
元本が消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)に合わせて増減する国債。財務省が発行しています。

30この比べ方で分からないこと

31よくある質問

金はインフレに強いのですか。

長い期間の始めと終わりで比べると、金は物価より大きく伸びました(1988年から2025年で、金9.17倍・物価1.32倍)。一方、物価が前の年より2%以上上がった8年のうち、金がその年の物価を上回ったのは4年でした。年ごとに見ると、物価が上がった年に金も上がるとは限りません。

物価が上がった年に、金が下がったことはありますか。

あります。1989・1990・1991・2014年は、物価が2%以上上がった年ですが、金の年平均は物価を下回りました。このうち3年は、金の年平均そのものが前の年より下がっています。

なぜ、物価と金は同じように動かないのですか。

円で見た金の値段は、ドルで見た金の値段とドル円の掛け算で決まり、どちらも日本の物価とは別の理由で動くためです。円安で物価が上がった時期は金も上がりやすく、税の引き上げで物価が上がった年は金とは関係なく物価だけが動きました。

インフレへの備えとして、国債と金はどう違いますか。

国債は買った時点で利息と満期の額面が決まり、物価が上がっても利息は増えません。金は利息がなく、値段が物価とは別に大きく動きます。この記事の数字では、物価2%以上の年に金が物価を上回った年と下回った年の両方がありました。

エネルギーや食料が上がった年は、金も上がりましたか。

エネルギーが8%以上、または食料が3%以上上がった9年のうち、金が物価(総合)を上回ったのは5年でした。円安でエネルギーが上がった年は金も上がりやすく、原油そのものの値上がりや天候による食料の値上がりの年は、金とは別の動きになりました。

5年くらい持てば、金は物価に勝ちますか。

5年ずつに区切った7つの期間のうち、金が物価を上回ったのは5つでした。下回った期間もあり、どの5年を切り取るかで結果は変わります。

年の初めに買って年末まで持った場合も同じですか。

前の年の12月から12月までで比べても、物価2%以上の8年のうち金が物価を上回ったのは6年でした。区切る月を変えると結果が入れ替わる年もあるので、1年の勝ち負けより、何で動いたかを見るほうが役に立ちます。

円安のときは、金を持っていたほうがよかったのですか。

物価2%以上の月のうち、ドル円が前の年より円安だった月は、金が物価を上回った割合が高くなりました(66%)。円高の月は33%です。ただし、これは過去の記録で、為替がこれからどう動くかは分かりません。

金の値段は、物価よりどれくらい大きく動きますか。

1989〜2025年の年ごとの前年比のばらつき(標準偏差)は、物価が1.3ポイント、金が13.5ポイントでした。金の年ごとの動きは、物価のおよそ10倍の大きさです。

物価が下がっている時期に、金を持つ意味はありますか。

この記事の数字では、物価が前の年より下がった15年のうち12年で、金の年平均は物価を上回りました。ただし、これはドルで見た金が長く上がった2000年代を多く含むためで、物価が下がれば金が上がるという関係ではありません。

ドルで見た金と円で見た金、どちらで考えればよいですか。

円で暮らし、円で物を買う人にとっては、円で見た金と日本の物価を比べるのが合っています。ドルで見た金が上がっていても、同じ時期に円高が進めば円で見た金の伸びは小さくなり、物価に届かないことがあります。この記事の1989〜1991年や2014年は、その例です。

輸入単価から除いた月があると、結果は変わりませんか。

除いたのは前後6か月の中央値の半分を下回った7か月で、相場と合わない値です。物価2%以上の年について、前の年と同じ月だけで比べ直しても、勝ち負けの結果は変わりませんでした。

2%という線に意味はありますか。

物価が「はっきり上がっている」と言える目安として置いた線です。線を1%や3%に変えると、数える年や結果は変わります。月ごとの表では、0〜1%未満から3%以上まで5つの帯に分けて結果を出しています。

32この記事の数字は、どこから取ったか

使ったのは次の3つの公表データだけです。

輸入単価は、卸に近い値です。個人が地金を買うときの手数料、消費税、買値と売値の差は入っていません。月ごとの輸入の中身(大きさや品位の違い)によっても値がぶれます。また、前後6か月の中央値の半分を下回った7か月(2023年1月・2023年4月・2023年6月・2023年7月・2023年8月・2023年9月・2024年3月)は、相場と合わない値(品位の低いものの輸入などが混ざったと思われる値)として除き、その月は「値なし」として扱いました。

ドルで見た値(1トロイオンスあたりドル)は、輸入単価×31.1034768÷その月のドル円で当サイトが出した換算値で、海外の取引所の値段そのものではありません。

年平均は値のある月だけで計算しました。物価2%以上の年は、消費者物価指数(総合・2025年=100)の年平均の前年比が2%以上の年です。指数は小数1桁で公表されているため、総務省が公表する前年比と小数点以下で少し違う年があります。国債の利回りは財務省「国債金利情報」の10年債(各年の最初の営業日)です。分類ごとの物価指数は総務省の同じ統計の「食料」「エネルギー」などの系列です。

この記事は、金の売買や特定の商品・事業者をすすめるものではありません。過去の値動きは、これからの値動きを示すものではありません。

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5,002万円金に入れていたら
10年前に1,000万円を投資していたら、いまいくら?23の投資先の中で4位。ただし途中で高値から−15%下がった時期がありました。ほかの投資先と並べて比べられます。
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