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金投資はやめとけと言われる理由|1988年の値段に戻るまで18年

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データの時点2026年8月までの値財務省 貿易統計の金の輸入単価と、財務省の国債金利(2026年9月まで)・毎週月曜に自動で更新

216か月1988年1月の値段に戻るまで

金の輸入単価を3か月の平均で見ると、1988年1月の水準を1988年2月に下回り、2000年11月に−50.1%まで下がって、元の水準に戻ったのは2006年1月でした。その18年あまり、金には利子が1円も付いていません。

差なし 35.2%35.2%差なし差2% 41.6%41.6%差2%差5% 49.1%49.1%差5%差8% 57.1%57.1%差8%
1年持って売った場合に損だった月の割合(売買の差を往復で入れた例)

01先に結論

「金投資はやめとけ」と言われる理由は、おおむね次の5つです。それぞれを、財務省の金の輸入単価と国債金利で確かめました。

一方で、1988年1月から2026年8月までに金の輸入単価は11.2倍になり、20年持った場合は217か月のどれも買値を下回っていません。「やめとけ」の理由はどれもデータで確かめられる事実ですが、当てはまるかどうかは、持つ期間・金利の水準・買い方で変わりました。この記事は、金を買うことも、やめることもすすめるものではありません。

025つの理由を、データで確かめた結果

言われる理由確かめたこと結果
利子が付かない10年持った金と、10年国債の税引後の利子337か月中87か月で金が下
元の値段に戻るまで長い1988年1月の水準に戻るまで(3か月平均)216か月
税金が分かりにくい国税庁の決まり(総合課税・5年超は2分の1・特別控除50万円)利益の額と持った期間で課税される額が変わる
保管に手間と費用保管料を例として置いた計算100万円を持ち、年1万円なら10年で1割
売買の差がある往復の差を入れた損の割合1年持って損:差なし35%→差5%で49%

表の下から順に、どれも「金の値段が上がっていれば目立たないが、上がらなかった時期には重くのしかかる」性質を持っています。利子がないことは、金利が高い時期ほど、売買の差は持つ期間が短いほど、効き方が大きくなります。次の節から、1つずつ見ていきます。

03理由1:利子が付かない

金は持っているだけでは何も生みません。預金や国債には利子が付き、株には配当があることがありますが、金の収益は「買った値段と売った値段の差」だけです。そこで、金を10年持った場合と、同じ月に10年国債を買って満期まで持った場合の利子を比べました。国債は、その月の最初の営業日の10年国債の利回り(財務省)で額面で買い、利子は受け取ったまま足しただけで、増やし直していません。

買った年(1月)金:10年の増減10年国債の利回り国債:10年の利子(税引後)多い方
2016年+466%0.26%2.1%金が多い
2015年+177%0.33%2.6%金が多い
2014年+131%0.72%5.8%金が多い
2012年+65%1.00%8.0%金が多い
2011年+73%1.17%9.3%金が多い
2010年+49%1.32%10.6%金が多い
2009年+80%1.21%9.7%金が多い
2008年+68%1.47%11.8%金が多い
2007年+90%1.72%13.7%金が多い
2006年+95%1.45%11.6%金が多い
2005年+241%1.40%11.2%金が多い
2004年+194%1.40%11.2%金が多い
2003年+241%0.91%7.3%金が多い
2002年+242%1.40%11.2%金が多い
2001年+259%1.64%13.1%金が多い
2000年+239%1.74%13.9%金が多い
1999年+131%2.09%16.7%金が多い
1998年+149%1.90%15.2%金が多い
1997年+74%2.82%22.6%金が多い
1996年+56%3.26%26.1%金が多い
1995年+17%4.68%37.4%国債が多い
1994年+1%3.46%27.7%国債が多い
1993年+9%4.88%39.0%国債が多い
1992年−8%5.55%44.4%国債が多い
1991年−25%6.47%51.8%国債が多い
1990年−49%5.71%45.7%国債が多い
1989年−36%4.80%38.4%国債が多い
1988年−36%4.37%35.0%国債が多い
横にスクロールすると残りの列が見えます

すべての月で比べると、337か月のうち、金の10年の増減が国債の利子を下回ったのは87か月でした。そのうち61か月は、金が買値そのものを下回っています。5年で同じ比べ方をすると(5年国債)、397か月のうち135か月で金が下でした。

買った年代比べた月の数金が国債の利子を下回った月の数
1980年代2424(100%)
1990年代12063(52%)
2000年代1200(0%)
2010年代730(0%)

金が国債に負けたのは、1988年1月から1995年3月までに買った月に集まっています。負けた月の10年国債の利回りは3.46%〜7.98%で、10年の税引後の利子は+27.7%〜+63.8%でした。その一方で、金の値段は下がるか、ほとんど上がりませんでした。2000年代以降に買った月は、国債の利回りが低く、金の値段も上がったので、ほとんどで金が上回っています。

「利子が付かない」ことの重さは、金利の水準で変わります。2026年8月の10年国債の利回りは2.82%です。金利がゼロに近い時期には目立たなかった「利子がないこと」が、金利のある時期には、金を持つことの見えない費用になります。

04個人向け国債(変動10年)と比べると

個人が実際に買える個人向け国債の変動10年で、同じ比べ方をしました。財務省が公表する各回の利率(半年ごとに見直し)を、10年間(20回分)の税引後で足しています。いまと同じ利率の決め方(基準金利×0.66)になった第35回以降で、10年たった回だけです。

発行の月金:10年の増減利率(初めの半年→最後の半年)国債:10年の利子(税引後)多い方
2016年8月+379%0.05%→1.39%2.24%金が多い
2016年7月+395%0.05%→1.23%2.12%金が多い
2016年6月+402%0.05%→1.10%2.01%金が多い
2016年5月+420%0.05%→1.08%1.94%金が多い
2016年4月+435%0.05%→1.06%1.90%金が多い
2016年3月+480%0.05%→0.97%1.79%金が多い
2016年2月+451%0.17%→0.96%1.75%金が多い
2016年1月+466%0.21%→1.00%1.71%金が多い
2015年12月+399%0.21%→0.84%1.65%金が多い
2015年11月+475%0.22%→0.93%1.59%金が多い
2015年10月+519%0.28%→0.92%1.59%金が多い
2015年9月+290%0.26%→0.83%1.51%金が多い
2015年8月+266%0.34%→0.75%1.51%金が多い
2015年7月+278%0.30%→0.71%1.43%金が多い
2015年6月+242%0.28%→0.65%1.43%金が多い
2015年5月+236%0.24%→0.57%1.32%金が多い
2015年4月+210%0.26%→0.61%1.32%金が多い
2015年3月+204%0.20%→0.61%1.26%金が多い
2015年2月+200%0.20%→0.72%1.29%金が多い
2015年1月+177%0.31%→0.69%1.27%金が多い
2014年12月+178%0.29%→0.57%1.29%金が多い
2014年11月+229%0.34%→0.50%1.23%金が多い
2014年10月+203%0.34%→0.47%1.22%金が多い
2014年9月+174%0.34%→0.49%1.15%金が多い
2014年8月+179%0.37%→0.40%1.15%金が多い
2014年7月+183%0.40%→0.46%1.16%金が多い
2014年6月+184%0.40%→0.60%1.22%金が多い
2014年5月+177%0.42%→0.51%1.20%金が多い
2014年4月+169%0.40%→0.43%1.19%金が多い
2014年2月+127%0.48%→0.28%1.18%金が多い
2014年1月+131%0.43%→0.29%1.14%金が多い
2013年10月+119%0.51%→0.33%1.22%金が多い
2012年10月+72%0.53%→0.12%1.40%金が多い
2012年7月+89%0.57%→0.05%1.54%金が多い
2012年4月+84%0.64%→0.05%1.61%金が多い
2012年1月+65%0.72%→0.05%1.81%金が多い
2011年10月+55%0.72%→0.09%1.88%金が多い
2011年7月+56%0.77%→0.05%2.10%金が多い
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比べられた38回のうち、金が国債の利子より多かったのは38回でした。これらの回の利率は、のべ760回の半年のうち52%が下限の0.05%で、その間に金の値段は大きく上がったので、差は大きく開いています。一方で、比べられるのは2011年から2016年ごろに買った回だけで、1990年代のように金利が高く金が下がった時期は、個人向け国債の発行前のため入っていません。

05買った時の金利の高さで分けると

金を買った月の10年国債の利回りで、買った月を4つに分けました。利回りが高い月ほど、金を選んだことで手放した利子は大きくなります。

買った月の10年国債の利回り比べた月の数金が国債の利子を下回った月の数金:10年の増減(真ん中)国債:10年の利子(真ん中・税引後)その月の年
4%以上8383(100%)−25%40.7%1988〜1995年
2〜4%394(10%)+59%23.7%1993〜1999年
1〜2%1530(0%)+131%11.7%1997〜2012年
1%未満620(0%)+189%4.9%1998〜2016年
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利回りが高い組ほど、金が国債の利子を下回った割合が高くなっています。ただし、金利の高かった月は1980年代の終わりから1990年代の前半に、低かった月は2000年代以降に集まっています。金利の高さそのものが金の値動きを決めたのか、たまたま同じ時期に金の値下がりが重なったのかは、この比べ方では分けられません。

06全部を金にしなかった場合

「やめとけ」か「買え」かの二択ではなく、お金の一部だけを金にした場合も計算しました。残りは1年国債を毎年乗り換え(税引後)、途中で割合を直さずに持ち続けたとしています。100%は全部を金にした場合、0%は全部を国債にした場合です。

持った期間金の割合比べた月の数元本を割った月の数いちばん悪い結果真ん中いちばん良い結果
5年0%39793(23%)−1%+1%+24%
5年10%39727(7%)−2%+6%+33%
5年20%39746(12%)−5%+10%+67%
5年30%39755(14%)−8%+11%+100%
5年50%39785(21%)−13%+17%+166%
5年100%397116(29%)−38%+33%+331%
10年0%33774(22%)−1%+2%+32%
10年10%3370(0%)+4%+13%+51%
10年20%3370(0%)+4%+18%+103%
10年30%3371(0%)±0%+25%+155%
10年50%33744(13%)−15%+41%+259%
10年100%33761(18%)−52%+80%+519%
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10年持った場合、全部を金にすると337か月のうち61か月で元本を割り、いちばん悪い結果は−52%でした。金を1割にすると、元本を割った月は0か月、いちばん悪い結果は+4%です。5年では、金を3割にすると元本を割った月が55か月、5割では85か月でした。

金の割合を小さくすると、値下がりの時期の損は小さくなる代わりに、値上がりの時期の増え方も小さくなります。どの割合がよいかは、このデータからは決まりません。「やめとけ」という言葉は全部か0かの話になりがちですが、割合を決めて持つという考え方もある、ということです。

071年で大きく下がった月

買ってから1年で、輸入単価がいちばん大きく下がった10か月です。100万円分を買っていた場合の額と、同じ1年のドルで見た金とドル円の動きを並べました。

買った月1年後の増減100万円あたりドルで見た金ドル円
1990年3月−36%−363,678円−29%−10%
1990年1月−29%−294,435円−23%−8%
1998年9月−29%−293,010円−11%−21%
1990年9月−26%−264,930円−24%−3%
1989年11月−26%−264,139円−18%−10%
2014年10月−24%−241,750円−32%+11%
1990年2月−24%−236,101円−15%−10%
1998年8月−23%−230,076円−2%−22%
1990年8月−23%−226,747円−17%−7%
1998年7月−22%−215,812円−7%−15%
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大きく下がった月は1989年・1990年・1998年・2014年に買った月でした。1年で3割前後下がった時期があり、短い期間で使うお金を金に置くと、こうした年に当たる可能性があります。大きく下がった年は、ドルで見た金そのものの下落と、円高が重なっていることが多くありました。

08年あたりに直すと、差はどれだけか

10年持った金の増減を年あたりの率に直し、同じ月の10年国債の税引後の利回りを引きました。マイナスなら、その月に買った金は、1年あたりで国債の利子に届かなかったことになります。

0428527−8ポイント未満33−8〜−428−4〜0480〜+485+4〜+868+8〜+1248+12ポイント以上
  • −8ポイント未満27
  • −8〜−433
  • −4〜028
  • 0〜+448
  • +4〜+885
  • +8〜+1268
  • +12ポイント以上48
10年持った金の年あたりの増減から、10年国債の税引後の利回りを引いた差(買った月の数)

337か月のうち、差がマイナスだったのは88か月、差の真ん中は+4.9ポイントでした。いちばん大きいマイナスは−13.1ポイント、いちばん大きいプラスは+19.7ポイントです。同じ「10年持った」でも、国債との差は年あたりで十数ポイント上にも下にも開いていて、金を持つことの結果の幅の広さを表しています。

095年ごとの区切りで、金と国債を並べる

1988年から5年ごとに区切り、各区切りの初めの1月に金を買って5年後の1月に売った場合と、同じ月に5年国債を買って満期まで持った場合の税引後の利子を並べました。

期間金の増減5年国債の利回り国債の利子(税引後)多い方
1988〜1993年−33%4.26%17.1%国債が多い
1993〜1998年−4%4.24%17.0%国債が多い
1998〜2003年+13%1.26%5.0%金が多い
2003〜2008年+120%0.30%1.2%金が多い
2008〜2013年+55%0.97%3.9%金が多い
2013〜2018年+9%0.20%0.8%金が多い
2018〜2023年+56%−0.10%−0.4%金が多い
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7つの区切りのうち、金が国債の利子より多かったのは5つでした。区切りの初めに国債の利回りが高かった時期ほど国債が有利で、利回りがほとんどゼロだった時期は、金の値動きだけで結果が決まっています。区切り方を1年ずらすだけで結果が変わる区切りもあるので、1つの区切りの結果を、金全体の評価にしないことが大切です。

105年で比べると

同じ比べ方を、5年で行いました。金を5年持った場合と、同じ月に5年国債を買って満期まで持った場合の、税引後の利子です。

買った年(1月)金:5年の増減5年国債の利回り国債:5年の利子(税引後)多い方
2021年+265%−0.10%−0.4%金が多い
2020年+174%−0.14%−0.6%金が多い
2019年+117%−0.19%−0.7%金が多い
2017年+51%−0.11%−0.4%金が多い
2016年+55%0.03%0.1%金が多い
2015年+1%0.02%0.1%金が多い
2014年+6%0.23%0.9%金が多い
2013年+9%0.20%0.8%金が多い
2012年+9%0.35%1.4%金が多い
2011年+12%0.43%1.7%金が多い
2010年+47%0.49%2.0%金が多い
2009年+69%0.68%2.7%金が多い
2008年+55%0.97%3.9%金が多い
2007年+74%1.29%5.2%金が多い
2006年+75%0.83%3.3%金が多い
2005年+131%0.58%2.3%金が多い
2004年+74%0.62%2.5%金が多い
2003年+120%0.30%1.2%金が多い
2002年+97%0.55%2.2%金が多い
2001年+105%0.96%3.8%金が多い
2000年+47%1.01%4.1%金が多い
1999年+33%1.50%6.0%金が多い
1998年+13%1.26%5.0%金が多い
1997年−11%1.86%7.4%国債が多い
1996年−24%2.22%8.9%国債が多い
1995年−20%4.18%16.7%国債が多い
1994年−24%2.35%9.4%国債が多い
1993年−4%4.24%17.0%国債が多い
1992年+4%5.55%22.2%国債が多い
1991年−1%6.74%27.0%国債が多い
1990年−36%5.92%23.7%国債が多い
1989年−15%4.00%16.0%国債が多い
1988年−33%4.26%17.1%国債が多い
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5年では、397か月のうち135か月(34%)で金が国債の利子を下回りました。10年より割合が高いのは、5年では金の値下がりの時期を抜け出す前に売る月が多くなるからです。持つ期間が短いほど、利子がないことよりも、値動きそのものの影響が大きくなります。

11使うときは、売るしかない

金には利子がないので、持っている金からお金を使うときは、その分を売ることになります。100万円を金で持ち、1年ごとに5万円分を売って使った場合と、100万円を1年国債で乗り換え(税引後)、毎年5万円を引き出した場合を、10年後の残りで比べました。

始めた年(1月)金:10年後の残り(万円)国債:10年後の残り(万円)残りが多い方
2016年435.849.5金が多い
2015年173.949.3金が多い
2014年142.949.4金が多い
2013年90.949.6金が多い
2012年95.649.7金が多い
2011年105.249.9金が多い
2010年92.850.1金が多い
2009年127.050.4金が多い
2008年103.450.9金が多い
2007年130.051.5金が多い
2006年137.151.5金が多い
2005年265.051.5金が多い
2004年218.651.4金が多い
2003年245.151.2金が多い
2002年248.251.1金が多い
2001年265.151.4金が多い
2000年241.851.4金が多い
1999年149.251.6金が多い
1998年140.851.7金が多い
1997年84.551.7金が多い
1996年73.652.0金が多い
1995年58.453.9金が多い
1994年41.454.9国債が多い
1993年51.357.5国債が多い
1992年42.161.4国債が多い
1991年32.966.9国債が多い
1990年11.671.9国債が多い
1989年23.774.1国債が多い
1988年19.976.3国債が多い
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すべての月で始めた338通りのうち、金の残りが国債の残りより少なかったのは76通りでした。金の残りがいちばん少なかったのは1990年9月に始めた場合で、10年後に8.6万円でした(国債は70.0万円)。残りが30万円を下回ったのは41通りです。

値段が下がった年にも同じ額を売ると、同じ5万円を得るために多くの量を手放すことになり、その後に値段が戻っても、戻る量が減っています。利子や分配のある資産なら、元本を売らずに使える部分がありますが、金ではそれがありません。金を「使うためのお金」の置き場所にするときに、この点が重くなります。

12取り崩しの条件を変えると

取り崩す額と年数を変えて、すべての月で始めた場合をまとめました。100万円から始め、1年ごとに決まった額を、金は売って、国債は引き出して使います。

年数取り崩す額比べた始め方の数金の残りが少なかった数途中で金を使い切った数金の残り:いちばん少ない(万円)金の残り:真ん中(万円)国債の残り:真ん中(万円)
10年毎年3万円33873(22%)024.4140.771.6
10年毎年5万円33876(22%)08.6111.651.4
20年毎年3万円21831(14%)028.8224.042.6
20年毎年5万円21841(19%)350.0132.42.1
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20年・毎年5万円の取り崩しでは、途中で金を使い切った始め方が35通りありました。値段が下がった時期に売り続けたため、20年たつ前に金が残らなくなった場合です。国債の側は、20年で100万円を引き出すので、利子がほとんどない時期には残りはほぼ0になります。

20年の取り崩しは、比べられるのが2000年代の前半までに始めた場合だけなので、1990年代の値下がりと、その後の大きな値上がりの両方を含みます。金の残りの真ん中が国債より多くても、いちばん少ない場合との開きが大きいことが、金で取り崩すことの不安定さを表しています。

13いまの国債金利なら、金はどれだけ上がれば利子に届くか

財務省の国債金利(2026年9月29日)で、いま国債を買って満期まで持った場合の税引後の利子の合計を出し、金が同じ期間でそれ以上に上がらないと利子に届かない「最低ライン」としました。売買の差5%を入れた場合のラインも並べています。右の2列は、過去のすべての月について、同じ年数で金がそのラインを超えた割合です(いまのラインを過去の値動きに当てはめたもので、これからの見込みではありません)。

年数国債金利(いま)税引後の利子の合計売買の差5%を入れた最低ライン過去に金が利子を超えた割合(比べた月の数)差5%のラインを超えた割合
1年1.692%1.3%6.7%62%(438)47%
3年2.116%5.1%10.6%64%(416)57%
5年2.425%9.7%15.4%60%(397)55%
10年3.082%24.6%31.1%75%(337)74%
20年3.887%61.9%70.5%96%(217)94%
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国債の金利が上がるほど、金が超えなければならないラインは高くなります。金利がほとんどゼロだった時期には、金は「下がらなければ国債と同じ」でしたが、いまはそうではありません。過去に超えた割合は、金が大きく上がった時期を含む結果なので、そのまま将来に当てはまるものではありません。

141988年1月の100万円は、どうなったか

1988年1月に100万円で金を買った場合と、同じ100万円で1年国債を買い、満期のたびに税引後の利子ごと次の1年国債に乗り換えた場合を、毎年1月の時点で並べました(1月の値がない年は次の月)。

金(輸入単価)1年国債を毎年乗り換え(税引後)
0万円500万円1,000万円19901995200020052010201520202025金(輸入単価) 1,209万円1年国債を毎年乗り換え(税引後) 135万円
年(1月)金(万円)1年国債を乗り換え(万円)多い方
1988年100100.0金が多い
1989年88103.1国債が多い
1990年101106.2国債が多い
1991年71111.6国債が多い
1992年68117.9国債が多い
1993年67122.6国債が多い
1994年75126.0国債が多い
1995年64127.5国債が多い
1996年70130.0国債が多い
1997年71130.6国債が多い
1998年64131.0国債が多い
1999年57131.6国債が多い
2000年52132.2国債が多い
2001年53132.4国債が多い
2002年63132.8国債が多い
2003年73132.9国債が多い
2004年75132.9国債が多い
2005年76132.9国債が多い
2006年109132.9国債が多い
2007年124133.0国債が多い
2008年160133.7金が多い
2009年131134.4国債が多い
2010年175134.7金が多い
2011年192134.8金が多い
2012年216135.0金が多い
2013年247135.1金が多い
2014年222135.2金が多い
2015年258135.3金が多い
2016年214135.3金が多い
2017年236135.3金が多い
2018年269134.9金が多い
2019年235134.8金が多い
2020年260134.6金が多い
2021年331134.5金が多い
2022年357134.3金が多い
2023年*418134.2金が多い
2024年511134.2金が多い
2025年713134.2金が多い
2026年1,209134.7金が多い
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*の年は1月の値がないため、2023年2月の値です。

39回の時点のうち、国債の乗り換えが金を上回っていたのは20回でした。2010年1月以降は、ずっと金が上回っています。2026年8月の時点では、金が1,125万円、国債の乗り換えが135.3万円です。

同じ100万円でも、どの時点で比べるかで「どちらが良かったか」の答えは入れ替わります。1990年代に金を持っていた人にとっては「やめとけ」が当たっていて、2010年代以降まで持ち続けた人には当たらなかった、ということです。国債の乗り換えは値下がりがない代わりに、2000年代以降は利子がほとんど付かず、元本はほとんど増えていません。

15理由2:元の値段に戻るまで長い

金の値段は、一度下がると長く戻らないことがありました。月ごとのぶれをならすため、輸入単価を3か月の平均で見ると、1988年1月の水準を下回ったのは1988年2月、底は2000年11月(−50.1%)、元の水準に戻ったのは2006年1月で、216か月(18年)かかりました。

年の初めに買った人ごとに、3か月平均が買った時の水準を3%以上下回った後、元の水準に戻るまでに36か月以上かかった年を並べました。右の2列は、同じ月に10年国債を買っていた場合の、戻るまでの期間の税引後の利子(受け取ったまま足したもの)と、1年国債の乗り換えでの増え方です。

買った年(1月)戻った年/月戻るまで途中のいちばん低い値10年国債の利回り待つ間の利子:10年国債待つ間の増え方:1年国債の乗り換え
1988年2006/1216か月(18.0年)−50%4.37%+63.0%+32.9%
1990年2006/1192か月(16.0年)−49%5.71%+73.0%+25.1%
1992年2004/1144か月(12.0年)−32%5.55%+53.3%+12.7%
1997年2003/1182か月(6.8年)−31%2.82%+15.4%+1.8%
1998年2002/350か月(4.2年)−22%1.90%+6.3%+1.4%
1999年2002/136か月(3.0年)−15%2.09%+5.0%+1.0%
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戻るまでがいちばん長かったのは1988年1月に買った場合の216か月でした。戻るまでに36か月以上かかった年は1988年・1990年・1992年・1997年・1998年・1999年です。戻るまで10年以上かかった3つの年では、その間に10年国債を持っていれば、税引後で+53.3%〜+73.0%の利子が付いていました。「元の値段に戻った」ことは、損がなかったことと同じではありません。

値段の下落の局面そのもの(最高値・底・戻った月の一覧)は金価格の推移の記事に、購入月ごとに最後に買値を下回った月は金の買い時の記事にあります。この記事は、待っている間に失った利子に絞りました。

16理由3:税金が分かりにくい

金地金や金貨を売って利益が出たときは、原則として譲渡所得として、給与などのほかの所得と合わせて税率が決まる総合課税になります(国税庁 No.3161)。預金や国債の利子が、受け取るときに20.315%が差し引かれて終わる(源泉分離課税)のとは、仕組みが違います。

ほかに譲渡所得がないとして、利益の額ごとに「給与などに足して課税される額」を計算しました。税額は、ほかの所得と合わせた税率で決まるので、人によって違います。

売って出た利益持った期間が5年以内:課税される額5年を超える:課税される額
300,000円0円0円
500,000円0円0円
1,000,000円500,000円250,000円
2,000,000円1,500,000円750,000円
5,000,000円4,500,000円2,250,000円

利益が50万円以下なら、ほかに譲渡所得がなければ課税される額はありません。5年を超えて持つと、課税される額は半分になります。金のETF(上場投資信託)は上場株式などと同じく20.315%の申告分離課税で、NISAの成長投資枠の対象の銘柄もあります。持ち方で税金の扱いが変わることも、金が「分かりにくい」と言われる理由の1つです。

17税金を、過去の値に当てはめると

各年の1月に100万円分の金を買い、2026年8月に売ったとして、利益と「給与などに足して課税される額」を計算しました。輸入単価での計算で、手数料・消費税は入れていません。ほかに譲渡所得がないとしています。

買った年(1月)持った期間区分利益課税される額(円)
2026年0.6年短期−69,850円0
2025年1.6年短期+578,075円78,075
2024年2.6年短期+1,201,232円701,232
2023年3.5年短期+1,693,862円1,193,862
2022年4.6年短期+2,146,788円1,646,788
2021年5.6年長期+2,398,606円949,303
2020年6.6年長期+3,323,531円1,411,765
2019年7.6年長期+3,783,460円1,641,730
2018年8.6年長期+3,189,265円1,344,632
2017年9.6年長期+3,764,353円1,632,176
2016年10.6年長期+4,263,738円1,881,869
2015年11.6年長期+3,365,008円1,432,504
2014年12.6年長期+4,078,004円1,789,002
2013年13.6年長期+3,548,682円1,524,341
2012年14.6年長期+4,200,335円1,850,168
2011年15.6年長期+4,872,709円2,186,354
2010年16.6年長期+5,431,818円2,465,909
2009年17.6年長期+7,598,811円3,549,405
2008年18.6年長期+6,045,251円2,772,626
2007年19.6年長期+8,049,983円3,774,991
2006年20.6年長期+9,288,402円4,394,201
2005年21.6年長期+13,889,484円6,694,742
2004年22.6年長期+13,948,524円6,724,262
2003年23.6年長期+14,492,625円6,996,312
2002年24.6年長期+16,796,342円8,148,171
2001年25.6年長期+20,090,709円9,795,355
2000年26.6年長期+20,832,265円10,166,132
1999年27.6年長期+18,883,029円9,191,514
1998年28.6年長期+16,533,261円8,016,631
1997年29.6年長期+14,783,343円7,141,672
1996年30.6年長期+15,052,159円7,276,080
1995年31.6年長期+16,460,756円7,980,378
1994年32.6年長期+14,085,245円6,792,622
1993年33.6年長期+15,851,692円7,675,846
1992年34.6年長期+15,455,027円7,477,514
1991年35.6年長期+14,842,563円7,171,282
1990年36.6年長期+10,177,953円4,838,977
1989年37.6年長期+11,819,115円5,659,557
1988年38.6年長期+10,249,427円4,874,714
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持った期間が5年以内で課税される額が出たのは4つの年、5年を超えて課税される額が出たのは34つの年でした。長く持った金ほど利益が大きく、課税される額も大きくなります。総合課税なので、同じ課税される額でも、給与などが多い人ほど税率は高くなります。金の売却益を1つの年にまとめて出すと、その年の税率が上がることもあります。

18消費税は、買うときも売るときも動く

金地金を店頭で買うときは、消費税がかかります。一方で、地金商の買取価格も、消費税を含んだ額で示されるのが一般的です。そのため、買った時と売る時で消費税の税率が違うと、その差が手取りに表れます。税抜の値段が買った時と売る時で同じだったとして、税率の時期ごとに計算しました(税抜100万円の金を買い、税抜100万円で売る例)。

買った時期その時の税率買うときに払った額(万円)売るときに受け取る額(税率10%・万円)差
1989年3月まで0%100110+10.0%
1989年4月〜1997年3月3%103110+6.8%
1997年4月〜2014年3月5%105110+4.8%
2014年4月〜2019年9月8%108110+1.9%
2019年10月から10%110110±0.0%
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消費税の導入前や税率の低い時期に買った金を、いま売ると、税率の差の分だけ手取りが増える計算です。反対に、これから税率が下がるようなことがあれば、その差の分だけ減ります。消費税は、金そのものの値動きとは別に、手取りを動かす要素です。実際の買取価格の示し方は業者によるので、売る前に確かめてください。

19理由4:保管に手間と費用がかかる

地金や金貨を手元に置くと、盗難や紛失、火事への備えが自分の負担になります。銀行の貸金庫や、業者の保管サービスを使えば、毎年の費用がかかります。保管の費用を例として年1万円・年2万円とし、持っている額に対する重さを計算しました(実在のサービスの料金ではありません)。

持っている額保管の費用(例・年)1年の割合10年の合計10年の合計の割合
1,000,000円10,000円1.0%100,000円10.0%
1,000,000円20,000円2.0%200,000円20.0%
3,000,000円10,000円0.3%100,000円3.3%
3,000,000円20,000円0.7%200,000円6.7%
5,000,000円10,000円0.2%100,000円2.0%
5,000,000円20,000円0.4%200,000円4.0%
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100万円を持ち、保管に年1万円かかると、10年で持っている額の10%です。10年持った金の増減の真ん中は+80%でしたが、それは値上がりの大きかった時期を含む結果で、増えなかった時期には保管の費用がそのまま損になります。持っている額が小さいほど、決まった額の費用は重くなります。

純金積立やETFでは、保管は業者や信託の側が行いますが、その費用は年会費や信託報酬として払っています。保管の手間がない代わりに、業者の経営が傾いたときの扱いを確かめる必要があります。純金積立の費用の効き方は純金積立のデメリットと損の記事で計算しています。

20理由5:買う値段と売る値段に差がある

店頭の金には、業者が売る値段(販売価格)と、買い取る値段(買取価格)があり、その差が売買の費用になります。差の大きさは業者や商品の大きさで違うので、往復で2%・5%・8%の例を置き、輸入単価で計算した結果に当てはめました。「往復5%」は、買って売るまでに、値段の5%を差として払う、という意味です。

持った期間比べた月の数損だった月の数:差なし差2%差5%差8%
1年438154(35%)182(42%)215(49%)250(57%)
3年416120(29%)136(33%)151(36%)169(41%)
5年397116(29%)123(31%)143(36%)157(40%)
10年33761(18%)64(19%)65(19%)68(20%)
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1年持った場合、差なしでは35%だった損の割合が、差5%で49%、差8%で57%になります。差5%を入れると、値上がりしていたのに損になった月が61か月ありました。10年持てば、差8%でも損の割合は18%から20%にしか上がりません。売買の差は、持つ期間が短いほど重くなります。

買った月から、値上がりが売買の差を初めて上回るまでに何か月かかったかも数えました(最後の5年に買った月は除く)。

往復の差比べた月の数差を上回るまでの月数(真ん中)1年以内に上回った月の数5年たっても上回らなかった月の数
2%404333315
5%404628938
8%4041023863
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買ってすぐに売ると、値段が変わっていなくても、差の分だけ損になります。短い間に売り買いをくり返すほど、この差が何度もかかります。

21売買の差の重さは、買った時期でも変わる

往復5%の差を入れたときの損の割合を、買った年代ごとに分けました。矢印の左が差なし、右が差5%です。

買った年代1年持った3年持った5年持った
1980年代58%→71%(24か月)100%→100%(24か月)100%→100%(24か月)
1990年代67%→82%(120か月)65%→74%(120か月)69%→80%(120か月)
2000年代14%→25%(120か月)0%→1%(120か月)0%→0%(120か月)
2010年代34%→52%(120か月)15%→31%(120か月)8%→20%(113か月)
2020年代4%→11%(54か月)0%→0%(32か月)0%→0%(20か月)
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値段が下がり続けた1990年代に買った月は、差がなくても損の割合が高く、差を入れるとさらに上がります。値上がりの続いた時期に買った月は、差を入れても損の割合はあまり上がりません。売買の差は、値上がりが小さい時期ほど、結果を損の側に押し出します。

22金を持つ理由として語られることとの関係

「やめとけ」の反対側には、「インフレに強い」「有事に強い」「円安に強い」といった、金を持つ理由として語られることがあります。当サイトは、それぞれを別の記事で確かめています。

どの記事でも、「いつも当てはまる」という結果にはなっていません。金を持つ理由も、やめる理由も、どの時期を見るかで強くも弱くもなります。この記事の「やめとけ」の5つの理由は、金を持つと決めた場合にも、費用と期間の見積もりとして使えるものです。

23輸入単価と、店頭で売り買いする値段の違い

この記事の金の値段は、財務省の貿易統計にある輸入単価です。卸に近い値で、個人が店頭で買う値段は、これに業者の利幅や手数料、消費税が加わって高くなり、売る値段は低くなります。この記事の結果は、店頭で売り買いした場合より良く出ています。売買の差の節で例を当てはめたのは、この違いを補うためです。

また、輸入単価は、その月に輸入された金の中身(大きさや品位、契約の時期)で、相場とは別にぶれます。相場と合わない値の月は除きましたが、1か月ごとの値には、店頭の値段にはない上下のぶれが残っています。3か月の平均を使った節があるのは、このぶれをならすためです。

24国債の側にも、気をつける点がある

この記事は金を国債と比べていますが、国債にも気をつける点があります。市場で売り買いする国債は、満期の前に売ると、金利の動きによっては買った値段より安くなります。個人向け国債は、発行から1年たつまでは原則として換金できず、換金するときは直前2回分の税引前の利子相当額(に0.79685を掛けた額)が差し引かれます。また、利子が物価の上がり方に届かなければ、元本が戻っても、買える物の量は減ります。

物価で見た国債の価値は個人向け国債の「元本保証」はどこまでか、金と物価の関係は金はインフレに強いかの記事で扱っています。「金はやめとけ」と同じように、「国債なら安心」も、物価や換金の時期を入れると条件付きの話になります。

25「やめとけ」が当てはまらなかった時期

ここまでの5つの理由は、どれも金の値段が上がらなかった時期に重くなるものでした。反対に、2000年代以降に買って長く持った場合は、利子がないことも、売買の差も、値上がりに隠れて目立ちませんでした。

輸入単価で、1年持って買値を下回ったのは438か月のうち154か月(35%)、20年持って下回ったのは217か月のうち0か月でした。持つ期間が長いほど損の割合は小さくなりましたが、20年の結果が出ているのは2000年代前半までに買った月だけで、その後の大きな値上がりをすべて含んでいます。同じ結果が、これからも続くとは限りません。

「やめとけ」と「買っておけばよかった」は、どちらも、どの時期を切り取るかで言えてしまいます。大切なのは、自分が使う予定のお金の時期と、金が何年も戻らなかった時期があったという事実を、並べて考えることです。

26自分に当てはまるかを確かめる

  1. 何年持つつもりか。数年のうちに使うお金なら、売買の差と値下がりの両方が重くなります。この記事の計算では、1年持って損だった月は、差5%を入れると49%ありました。
  2. 利子のつく置き場所と比べたか。同じお金を国債に置いた場合の利子を、金の値上がりの「最低ライン」として考えると、金を持つことの費用が見えます。いまの国債の利率は個人向け国債のページで確かめられます。
  3. 持ち方の費用を知っているか。地金は売買の差と保管、純金積立は手数料と年会費、ETFは信託報酬と売買手数料。どれが、いくらかかるか。
  4. 税金の扱いを知っているか。地金や純金積立の利益は総合課税で、5年を超えて持つかどうかで課税される額が変わります。ETFは申告分離課税です。
  5. 何年も戻らないことを受け止められるか。1988年1月の水準に戻るまで216か月かかった時期がありました。その間、使う予定のないお金かどうか。

27この記事に出てくる言葉

輸入単価
財務省の貿易統計で、輸入された金の金額を量で割った1グラムあたりの値。卸に近い値です。
3か月の平均
その月と前の2か月の輸入単価の平均。1か月だけ飛んだ値の影響を小さくするために使いました。
10年国債の利回り
財務省が公表する、残りの期間が10年の国債の市場の利回り。この記事では、その月に額面で買えばこの率の利子が付くものとして計算しました。
総合課税・源泉分離課税・申告分離課税
総合課税はほかの所得と合計して税率を決める方法、源泉分離課税は受け取るときに一定の率が差し引かれて終わる方法、申告分離課税はほかの所得と分けて一定の率で申告する方法です。
譲渡所得の特別控除
譲渡所得から1年に50万円まで差し引ける額。金の売却益が小さいときは、課税される額が出ないことがあります。
支払調書
業者が、誰にいくら支払ったかを税務署に出す書類。金地金などは1回の売却が200万円を超えると出されます。
販売価格・買取価格
業者が金を売る値段と買い取る値段。その差が、売り買いの費用です。

28よくある質問

金投資は、本当にやめたほうがよいのですか。

この記事は、やめるかどうかを決めるものではありません。言われる理由はどれも事実ですが、当てはまり方は、持つ期間・その時の金利・買い方で変わりました。

金はなぜ利子が付かないのですか。

金は誰かにお金を貸しているわけではなく、物そのものを持っているだけだからです。預金や国債は、お金を貸した見返りとして利子が付きます。

金の値段が下がったら、何年待てば戻りますか。

過去には、1988年1月の水準に戻るまで216か月かかった時期があります。何年で戻るかは、その時々の値動きで決まり、このデータからは分かりません。

金を売ったら、必ず確定申告が必要ですか。

会社員などで、金の売却益を含む給与以外の所得が年20万円以下なら申告が要らない場合がありますが、条件があります。譲渡所得の特別控除(50万円)を引いて課税される額が出ないこともあります。くわしくは国税庁の案内や税務署で確かめてください。

金と国債は、どちらが得でしたか。

買った時期と持った期間で入れ替わりました。10年持った場合、金が国債の利子を下回ったのは337か月中87か月で、その多くは金利が高く、金が値下がりした1990年前後に買った月でした。

少しだけ金を持つのは意味がありますか。

この記事の計算では、金の割合を小さくすると、値下がりの時期の損は小さくなり、値上がりの時期の増え方も小さくなりました。どの割合がよいかは、このデータからは決まりません。

この記事の売買の差や保管料は、実際の値ですか。

どちらも計算のための例で、実在の業者やサービスの値ではありません。実際の差は業者の販売価格と買取価格で、保管の費用は契約で確かめてください。

29この記事の数字は、どこから取ったか

使ったのは次の3つの公表データだけです。

輸入単価は、卸に近い値です。個人が地金を買うときの手数料、消費税、買値と売値の差は入っていません。月ごとの輸入の中身(大きさや品位の違い)によっても値がぶれます。また、前後6か月の中央値の半分を下回った7か月(2023年1月・2023年4月・2023年6月・2023年7月・2023年8月・2023年9月・2024年3月)は、相場と合わない値(品位の低いものの輸入などが混ざったと思われる値)として除き、その月は「値なし」として扱いました。

ドルで見た値(1トロイオンスあたりドル)は、輸入単価×31.1034768÷その月のドル円で当サイトが出した換算値で、海外の取引所の値段そのものではありません。

国債の比較は、財務省「国債金利情報」の年限ごとの利回り(1974年9月〜2026年9月)を使いました。その月の最初の営業日の利回りで額面で買い、利子は受け取ったまま足すとした簡単な計算で、実際の国債の値段の動きや、利子を増やし直した場合とは違います。利子の税金は、2012年までを20%、2013年からを20.315%としています。「1年国債の乗り換え」は、1年の利回りで1年置き、税引後の利子を足して次の1年に乗り換える計算です。売買の差・保管の費用は説明のための例です。税金の扱いは国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」によります。消費税の税率の時期は、国の税率の改定の時期です。

この記事は、金の売買や特定の商品・事業者をすすめるものではありません。過去の値動きは、これからの値動きを示すものではありません。

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