データの時点2026年8月までの値財務省 貿易統計の金の輸入単価と、財務省の国債金利(2026年9月まで)・毎週月曜に自動で更新
金の輸入単価を3か月の平均で見ると、1988年1月の水準を1988年2月に下回り、2000年11月に−50.1%まで下がって、元の水準に戻ったのは2006年1月でした。その18年あまり、金には利子が1円も付いていません。
- 01先に結論
- 025つの理由を、データで確かめた結果
- 03理由1:利子が付かない
- 04個人向け国債(変動10年)と比べると
- 05買った時の金利の高さで分けると
- 06全部を金にしなかった場合
- 071年で大きく下がった月
- 08年あたりに直すと、差はどれだけか
- 095年ごとの区切りで、金と国債を並べる
- 105年で比べると
- 11使うときは、売るしかない
- 12取り崩しの条件を変えると
- 13いまの国債金利なら、金はどれだけ上がれば利子に届くか
- 141988年1月の100万円は、どうなったか
- 15理由2:元の値段に戻るまで長い
- 16理由3:税金が分かりにくい
- 17税金を、過去の値に当てはめると
- 18消費税は、買うときも売るときも動く
- 19理由4:保管に手間と費用がかかる
- 20理由5:買う値段と売る値段に差がある
- 21売買の差の重さは、買った時期でも変わる
- 22金を持つ理由として語られることとの関係
- 23輸入単価と、店頭で売り買いする値段の違い
- 24国債の側にも、気をつける点がある
- 25「やめとけ」が当てはまらなかった時期
- 26自分に当てはまるかを確かめる
- 27この記事に出てくる言葉
- 28よくある質問
- 29この記事の数字は、どこから取ったか
01先に結論
「金投資はやめとけ」と言われる理由は、おおむね次の5つです。それぞれを、財務省の金の輸入単価と国債金利で確かめました。
- 利子が付かない。10年持った金と、同じ月に買った10年国債の税引後の利子を比べると、337か月のうち87か月(26%)で金のほうが下でした。そのほとんどは1980年代の終わりから1990年代に買った月です。
- 元の値段に戻るまで長い。1988年1月の水準に戻るまで216か月かかりました。同じ月に1年国債を毎年乗り換えていれば、その間に税引後で+32.9%の利子が付いていた計算です。
- 税金が分かりにくい。金の売却益は原則として総合課税で、給与などと合わせて税率が決まります。持った期間が5年を超えるかどうかで、課税される額が半分になります。
- 保管に手間と費用がかかる。地金を手元に置けば盗難や紛失の心配があり、貸金庫などを使えば毎年の費用がかかります。
- 買う値段と売る値段に差がある。往復5%の差を入れると、1年持って損だった月の割合は35%から49%に上がります。
一方で、1988年1月から2026年8月までに金の輸入単価は11.2倍になり、20年持った場合は217か月のどれも買値を下回っていません。「やめとけ」の理由はどれもデータで確かめられる事実ですが、当てはまるかどうかは、持つ期間・金利の水準・買い方で変わりました。この記事は、金を買うことも、やめることもすすめるものではありません。
025つの理由を、データで確かめた結果
| 言われる理由 | 確かめたこと | 結果 |
|---|---|---|
| 利子が付かない | 10年持った金と、10年国債の税引後の利子 | 337か月中87か月で金が下 |
| 元の値段に戻るまで長い | 1988年1月の水準に戻るまで(3か月平均) | 216か月 |
| 税金が分かりにくい | 国税庁の決まり(総合課税・5年超は2分の1・特別控除50万円) | 利益の額と持った期間で課税される額が変わる |
| 保管に手間と費用 | 保管料を例として置いた計算 | 100万円を持ち、年1万円なら10年で1割 |
| 売買の差がある | 往復の差を入れた損の割合 | 1年持って損:差なし35%→差5%で49% |
表の下から順に、どれも「金の値段が上がっていれば目立たないが、上がらなかった時期には重くのしかかる」性質を持っています。利子がないことは、金利が高い時期ほど、売買の差は持つ期間が短いほど、効き方が大きくなります。次の節から、1つずつ見ていきます。
03理由1:利子が付かない
金は持っているだけでは何も生みません。預金や国債には利子が付き、株には配当があることがありますが、金の収益は「買った値段と売った値段の差」だけです。そこで、金を10年持った場合と、同じ月に10年国債を買って満期まで持った場合の利子を比べました。国債は、その月の最初の営業日の10年国債の利回り(財務省)で額面で買い、利子は受け取ったまま足しただけで、増やし直していません。
| 買った年(1月) | 金:10年の増減 | 10年国債の利回り | 国債:10年の利子(税引後) | 多い方 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年 | +466% | 0.26% | 2.1% | 金が多い |
| 2015年 | +177% | 0.33% | 2.6% | 金が多い |
| 2014年 | +131% | 0.72% | 5.8% | 金が多い |
| 2012年 | +65% | 1.00% | 8.0% | 金が多い |
| 2011年 | +73% | 1.17% | 9.3% | 金が多い |
| 2010年 | +49% | 1.32% | 10.6% | 金が多い |
| 2009年 | +80% | 1.21% | 9.7% | 金が多い |
| 2008年 | +68% | 1.47% | 11.8% | 金が多い |
| 2007年 | +90% | 1.72% | 13.7% | 金が多い |
| 2006年 | +95% | 1.45% | 11.6% | 金が多い |
| 2005年 | +241% | 1.40% | 11.2% | 金が多い |
| 2004年 | +194% | 1.40% | 11.2% | 金が多い |
| 2003年 | +241% | 0.91% | 7.3% | 金が多い |
| 2002年 | +242% | 1.40% | 11.2% | 金が多い |
| 2001年 | +259% | 1.64% | 13.1% | 金が多い |
| 2000年 | +239% | 1.74% | 13.9% | 金が多い |
| 1999年 | +131% | 2.09% | 16.7% | 金が多い |
| 1998年 | +149% | 1.90% | 15.2% | 金が多い |
| 1997年 | +74% | 2.82% | 22.6% | 金が多い |
| 1996年 | +56% | 3.26% | 26.1% | 金が多い |
| 1995年 | +17% | 4.68% | 37.4% | 国債が多い |
| 1994年 | +1% | 3.46% | 27.7% | 国債が多い |
| 1993年 | +9% | 4.88% | 39.0% | 国債が多い |
| 1992年 | −8% | 5.55% | 44.4% | 国債が多い |
| 1991年 | −25% | 6.47% | 51.8% | 国債が多い |
| 1990年 | −49% | 5.71% | 45.7% | 国債が多い |
| 1989年 | −36% | 4.80% | 38.4% | 国債が多い |
| 1988年 | −36% | 4.37% | 35.0% | 国債が多い |
すべての月で比べると、337か月のうち、金の10年の増減が国債の利子を下回ったのは87か月でした。そのうち61か月は、金が買値そのものを下回っています。5年で同じ比べ方をすると(5年国債)、397か月のうち135か月で金が下でした。
| 買った年代 | 比べた月の数 | 金が国債の利子を下回った月の数 |
|---|---|---|
| 1980年代 | 24 | 24(100%) |
| 1990年代 | 120 | 63(52%) |
| 2000年代 | 120 | 0(0%) |
| 2010年代 | 73 | 0(0%) |
金が国債に負けたのは、1988年1月から1995年3月までに買った月に集まっています。負けた月の10年国債の利回りは3.46%〜7.98%で、10年の税引後の利子は+27.7%〜+63.8%でした。その一方で、金の値段は下がるか、ほとんど上がりませんでした。2000年代以降に買った月は、国債の利回りが低く、金の値段も上がったので、ほとんどで金が上回っています。
「利子が付かない」ことの重さは、金利の水準で変わります。2026年8月の10年国債の利回りは2.82%です。金利がゼロに近い時期には目立たなかった「利子がないこと」が、金利のある時期には、金を持つことの見えない費用になります。
04個人向け国債(変動10年)と比べると
個人が実際に買える個人向け国債の変動10年で、同じ比べ方をしました。財務省が公表する各回の利率(半年ごとに見直し)を、10年間(20回分)の税引後で足しています。いまと同じ利率の決め方(基準金利×0.66)になった第35回以降で、10年たった回だけです。
| 発行の月 | 金:10年の増減 | 利率(初めの半年→最後の半年) | 国債:10年の利子(税引後) | 多い方 |
|---|---|---|---|---|
| 2016年8月 | +379% | 0.05%→1.39% | 2.24% | 金が多い |
| 2016年7月 | +395% | 0.05%→1.23% | 2.12% | 金が多い |
| 2016年6月 | +402% | 0.05%→1.10% | 2.01% | 金が多い |
| 2016年5月 | +420% | 0.05%→1.08% | 1.94% | 金が多い |
| 2016年4月 | +435% | 0.05%→1.06% | 1.90% | 金が多い |
| 2016年3月 | +480% | 0.05%→0.97% | 1.79% | 金が多い |
| 2016年2月 | +451% | 0.17%→0.96% | 1.75% | 金が多い |
| 2016年1月 | +466% | 0.21%→1.00% | 1.71% | 金が多い |
| 2015年12月 | +399% | 0.21%→0.84% | 1.65% | 金が多い |
| 2015年11月 | +475% | 0.22%→0.93% | 1.59% | 金が多い |
| 2015年10月 | +519% | 0.28%→0.92% | 1.59% | 金が多い |
| 2015年9月 | +290% | 0.26%→0.83% | 1.51% | 金が多い |
| 2015年8月 | +266% | 0.34%→0.75% | 1.51% | 金が多い |
| 2015年7月 | +278% | 0.30%→0.71% | 1.43% | 金が多い |
| 2015年6月 | +242% | 0.28%→0.65% | 1.43% | 金が多い |
| 2015年5月 | +236% | 0.24%→0.57% | 1.32% | 金が多い |
| 2015年4月 | +210% | 0.26%→0.61% | 1.32% | 金が多い |
| 2015年3月 | +204% | 0.20%→0.61% | 1.26% | 金が多い |
| 2015年2月 | +200% | 0.20%→0.72% | 1.29% | 金が多い |
| 2015年1月 | +177% | 0.31%→0.69% | 1.27% | 金が多い |
| 2014年12月 | +178% | 0.29%→0.57% | 1.29% | 金が多い |
| 2014年11月 | +229% | 0.34%→0.50% | 1.23% | 金が多い |
| 2014年10月 | +203% | 0.34%→0.47% | 1.22% | 金が多い |
| 2014年9月 | +174% | 0.34%→0.49% | 1.15% | 金が多い |
| 2014年8月 | +179% | 0.37%→0.40% | 1.15% | 金が多い |
| 2014年7月 | +183% | 0.40%→0.46% | 1.16% | 金が多い |
| 2014年6月 | +184% | 0.40%→0.60% | 1.22% | 金が多い |
| 2014年5月 | +177% | 0.42%→0.51% | 1.20% | 金が多い |
| 2014年4月 | +169% | 0.40%→0.43% | 1.19% | 金が多い |
| 2014年2月 | +127% | 0.48%→0.28% | 1.18% | 金が多い |
| 2014年1月 | +131% | 0.43%→0.29% | 1.14% | 金が多い |
| 2013年10月 | +119% | 0.51%→0.33% | 1.22% | 金が多い |
| 2012年10月 | +72% | 0.53%→0.12% | 1.40% | 金が多い |
| 2012年7月 | +89% | 0.57%→0.05% | 1.54% | 金が多い |
| 2012年4月 | +84% | 0.64%→0.05% | 1.61% | 金が多い |
| 2012年1月 | +65% | 0.72%→0.05% | 1.81% | 金が多い |
| 2011年10月 | +55% | 0.72%→0.09% | 1.88% | 金が多い |
| 2011年7月 | +56% | 0.77%→0.05% | 2.10% | 金が多い |
比べられた38回のうち、金が国債の利子より多かったのは38回でした。これらの回の利率は、のべ760回の半年のうち52%が下限の0.05%で、その間に金の値段は大きく上がったので、差は大きく開いています。一方で、比べられるのは2011年から2016年ごろに買った回だけで、1990年代のように金利が高く金が下がった時期は、個人向け国債の発行前のため入っていません。
05買った時の金利の高さで分けると
金を買った月の10年国債の利回りで、買った月を4つに分けました。利回りが高い月ほど、金を選んだことで手放した利子は大きくなります。
| 買った月の10年国債の利回り | 比べた月の数 | 金が国債の利子を下回った月の数 | 金:10年の増減(真ん中) | 国債:10年の利子(真ん中・税引後) | その月の年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4%以上 | 83 | 83(100%) | −25% | 40.7% | 1988〜1995年 |
| 2〜4% | 39 | 4(10%) | +59% | 23.7% | 1993〜1999年 |
| 1〜2% | 153 | 0(0%) | +131% | 11.7% | 1997〜2012年 |
| 1%未満 | 62 | 0(0%) | +189% | 4.9% | 1998〜2016年 |
利回りが高い組ほど、金が国債の利子を下回った割合が高くなっています。ただし、金利の高かった月は1980年代の終わりから1990年代の前半に、低かった月は2000年代以降に集まっています。金利の高さそのものが金の値動きを決めたのか、たまたま同じ時期に金の値下がりが重なったのかは、この比べ方では分けられません。
06全部を金にしなかった場合
「やめとけ」か「買え」かの二択ではなく、お金の一部だけを金にした場合も計算しました。残りは1年国債を毎年乗り換え(税引後)、途中で割合を直さずに持ち続けたとしています。100%は全部を金にした場合、0%は全部を国債にした場合です。
| 持った期間 | 金の割合 | 比べた月の数 | 元本を割った月の数 | いちばん悪い結果 | 真ん中 | いちばん良い結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 5年 | 0% | 397 | 93(23%) | −1% | +1% | +24% |
| 5年 | 10% | 397 | 27(7%) | −2% | +6% | +33% |
| 5年 | 20% | 397 | 46(12%) | −5% | +10% | +67% |
| 5年 | 30% | 397 | 55(14%) | −8% | +11% | +100% |
| 5年 | 50% | 397 | 85(21%) | −13% | +17% | +166% |
| 5年 | 100% | 397 | 116(29%) | −38% | +33% | +331% |
| 10年 | 0% | 337 | 74(22%) | −1% | +2% | +32% |
| 10年 | 10% | 337 | 0(0%) | +4% | +13% | +51% |
| 10年 | 20% | 337 | 0(0%) | +4% | +18% | +103% |
| 10年 | 30% | 337 | 1(0%) | ±0% | +25% | +155% |
| 10年 | 50% | 337 | 44(13%) | −15% | +41% | +259% |
| 10年 | 100% | 337 | 61(18%) | −52% | +80% | +519% |
10年持った場合、全部を金にすると337か月のうち61か月で元本を割り、いちばん悪い結果は−52%でした。金を1割にすると、元本を割った月は0か月、いちばん悪い結果は+4%です。5年では、金を3割にすると元本を割った月が55か月、5割では85か月でした。
金の割合を小さくすると、値下がりの時期の損は小さくなる代わりに、値上がりの時期の増え方も小さくなります。どの割合がよいかは、このデータからは決まりません。「やめとけ」という言葉は全部か0かの話になりがちですが、割合を決めて持つという考え方もある、ということです。
071年で大きく下がった月
買ってから1年で、輸入単価がいちばん大きく下がった10か月です。100万円分を買っていた場合の額と、同じ1年のドルで見た金とドル円の動きを並べました。
| 買った月 | 1年後の増減 | 100万円あたり | ドルで見た金 | ドル円 |
|---|---|---|---|---|
| 1990年3月 | −36% | −363,678円 | −29% | −10% |
| 1990年1月 | −29% | −294,435円 | −23% | −8% |
| 1998年9月 | −29% | −293,010円 | −11% | −21% |
| 1990年9月 | −26% | −264,930円 | −24% | −3% |
| 1989年11月 | −26% | −264,139円 | −18% | −10% |
| 2014年10月 | −24% | −241,750円 | −32% | +11% |
| 1990年2月 | −24% | −236,101円 | −15% | −10% |
| 1998年8月 | −23% | −230,076円 | −2% | −22% |
| 1990年8月 | −23% | −226,747円 | −17% | −7% |
| 1998年7月 | −22% | −215,812円 | −7% | −15% |
大きく下がった月は1989年・1990年・1998年・2014年に買った月でした。1年で3割前後下がった時期があり、短い期間で使うお金を金に置くと、こうした年に当たる可能性があります。大きく下がった年は、ドルで見た金そのものの下落と、円高が重なっていることが多くありました。
08年あたりに直すと、差はどれだけか
10年持った金の増減を年あたりの率に直し、同じ月の10年国債の税引後の利回りを引きました。マイナスなら、その月に買った金は、1年あたりで国債の利子に届かなかったことになります。
- −8ポイント未満27
- −8〜−433
- −4〜028
- 0〜+448
- +4〜+885
- +8〜+1268
- +12ポイント以上48
337か月のうち、差がマイナスだったのは88か月、差の真ん中は+4.9ポイントでした。いちばん大きいマイナスは−13.1ポイント、いちばん大きいプラスは+19.7ポイントです。同じ「10年持った」でも、国債との差は年あたりで十数ポイント上にも下にも開いていて、金を持つことの結果の幅の広さを表しています。
095年ごとの区切りで、金と国債を並べる
1988年から5年ごとに区切り、各区切りの初めの1月に金を買って5年後の1月に売った場合と、同じ月に5年国債を買って満期まで持った場合の税引後の利子を並べました。
| 期間 | 金の増減 | 5年国債の利回り | 国債の利子(税引後) | 多い方 |
|---|---|---|---|---|
| 1988〜1993年 | −33% | 4.26% | 17.1% | 国債が多い |
| 1993〜1998年 | −4% | 4.24% | 17.0% | 国債が多い |
| 1998〜2003年 | +13% | 1.26% | 5.0% | 金が多い |
| 2003〜2008年 | +120% | 0.30% | 1.2% | 金が多い |
| 2008〜2013年 | +55% | 0.97% | 3.9% | 金が多い |
| 2013〜2018年 | +9% | 0.20% | 0.8% | 金が多い |
| 2018〜2023年 | +56% | −0.10% | −0.4% | 金が多い |
7つの区切りのうち、金が国債の利子より多かったのは5つでした。区切りの初めに国債の利回りが高かった時期ほど国債が有利で、利回りがほとんどゼロだった時期は、金の値動きだけで結果が決まっています。区切り方を1年ずらすだけで結果が変わる区切りもあるので、1つの区切りの結果を、金全体の評価にしないことが大切です。
105年で比べると
同じ比べ方を、5年で行いました。金を5年持った場合と、同じ月に5年国債を買って満期まで持った場合の、税引後の利子です。
| 買った年(1月) | 金:5年の増減 | 5年国債の利回り | 国債:5年の利子(税引後) | 多い方 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | +265% | −0.10% | −0.4% | 金が多い |
| 2020年 | +174% | −0.14% | −0.6% | 金が多い |
| 2019年 | +117% | −0.19% | −0.7% | 金が多い |
| 2017年 | +51% | −0.11% | −0.4% | 金が多い |
| 2016年 | +55% | 0.03% | 0.1% | 金が多い |
| 2015年 | +1% | 0.02% | 0.1% | 金が多い |
| 2014年 | +6% | 0.23% | 0.9% | 金が多い |
| 2013年 | +9% | 0.20% | 0.8% | 金が多い |
| 2012年 | +9% | 0.35% | 1.4% | 金が多い |
| 2011年 | +12% | 0.43% | 1.7% | 金が多い |
| 2010年 | +47% | 0.49% | 2.0% | 金が多い |
| 2009年 | +69% | 0.68% | 2.7% | 金が多い |
| 2008年 | +55% | 0.97% | 3.9% | 金が多い |
| 2007年 | +74% | 1.29% | 5.2% | 金が多い |
| 2006年 | +75% | 0.83% | 3.3% | 金が多い |
| 2005年 | +131% | 0.58% | 2.3% | 金が多い |
| 2004年 | +74% | 0.62% | 2.5% | 金が多い |
| 2003年 | +120% | 0.30% | 1.2% | 金が多い |
| 2002年 | +97% | 0.55% | 2.2% | 金が多い |
| 2001年 | +105% | 0.96% | 3.8% | 金が多い |
| 2000年 | +47% | 1.01% | 4.1% | 金が多い |
| 1999年 | +33% | 1.50% | 6.0% | 金が多い |
| 1998年 | +13% | 1.26% | 5.0% | 金が多い |
| 1997年 | −11% | 1.86% | 7.4% | 国債が多い |
| 1996年 | −24% | 2.22% | 8.9% | 国債が多い |
| 1995年 | −20% | 4.18% | 16.7% | 国債が多い |
| 1994年 | −24% | 2.35% | 9.4% | 国債が多い |
| 1993年 | −4% | 4.24% | 17.0% | 国債が多い |
| 1992年 | +4% | 5.55% | 22.2% | 国債が多い |
| 1991年 | −1% | 6.74% | 27.0% | 国債が多い |
| 1990年 | −36% | 5.92% | 23.7% | 国債が多い |
| 1989年 | −15% | 4.00% | 16.0% | 国債が多い |
| 1988年 | −33% | 4.26% | 17.1% | 国債が多い |
5年では、397か月のうち135か月(34%)で金が国債の利子を下回りました。10年より割合が高いのは、5年では金の値下がりの時期を抜け出す前に売る月が多くなるからです。持つ期間が短いほど、利子がないことよりも、値動きそのものの影響が大きくなります。
11使うときは、売るしかない
金には利子がないので、持っている金からお金を使うときは、その分を売ることになります。100万円を金で持ち、1年ごとに5万円分を売って使った場合と、100万円を1年国債で乗り換え(税引後)、毎年5万円を引き出した場合を、10年後の残りで比べました。
| 始めた年(1月) | 金:10年後の残り(万円) | 国債:10年後の残り(万円) | 残りが多い方 |
|---|---|---|---|
| 2016年 | 435.8 | 49.5 | 金が多い |
| 2015年 | 173.9 | 49.3 | 金が多い |
| 2014年 | 142.9 | 49.4 | 金が多い |
| 2013年 | 90.9 | 49.6 | 金が多い |
| 2012年 | 95.6 | 49.7 | 金が多い |
| 2011年 | 105.2 | 49.9 | 金が多い |
| 2010年 | 92.8 | 50.1 | 金が多い |
| 2009年 | 127.0 | 50.4 | 金が多い |
| 2008年 | 103.4 | 50.9 | 金が多い |
| 2007年 | 130.0 | 51.5 | 金が多い |
| 2006年 | 137.1 | 51.5 | 金が多い |
| 2005年 | 265.0 | 51.5 | 金が多い |
| 2004年 | 218.6 | 51.4 | 金が多い |
| 2003年 | 245.1 | 51.2 | 金が多い |
| 2002年 | 248.2 | 51.1 | 金が多い |
| 2001年 | 265.1 | 51.4 | 金が多い |
| 2000年 | 241.8 | 51.4 | 金が多い |
| 1999年 | 149.2 | 51.6 | 金が多い |
| 1998年 | 140.8 | 51.7 | 金が多い |
| 1997年 | 84.5 | 51.7 | 金が多い |
| 1996年 | 73.6 | 52.0 | 金が多い |
| 1995年 | 58.4 | 53.9 | 金が多い |
| 1994年 | 41.4 | 54.9 | 国債が多い |
| 1993年 | 51.3 | 57.5 | 国債が多い |
| 1992年 | 42.1 | 61.4 | 国債が多い |
| 1991年 | 32.9 | 66.9 | 国債が多い |
| 1990年 | 11.6 | 71.9 | 国債が多い |
| 1989年 | 23.7 | 74.1 | 国債が多い |
| 1988年 | 19.9 | 76.3 | 国債が多い |
すべての月で始めた338通りのうち、金の残りが国債の残りより少なかったのは76通りでした。金の残りがいちばん少なかったのは1990年9月に始めた場合で、10年後に8.6万円でした(国債は70.0万円)。残りが30万円を下回ったのは41通りです。
値段が下がった年にも同じ額を売ると、同じ5万円を得るために多くの量を手放すことになり、その後に値段が戻っても、戻る量が減っています。利子や分配のある資産なら、元本を売らずに使える部分がありますが、金ではそれがありません。金を「使うためのお金」の置き場所にするときに、この点が重くなります。
12取り崩しの条件を変えると
取り崩す額と年数を変えて、すべての月で始めた場合をまとめました。100万円から始め、1年ごとに決まった額を、金は売って、国債は引き出して使います。
| 年数 | 取り崩す額 | 比べた始め方の数 | 金の残りが少なかった数 | 途中で金を使い切った数 | 金の残り:いちばん少ない(万円) | 金の残り:真ん中(万円) | 国債の残り:真ん中(万円) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10年 | 毎年3万円 | 338 | 73(22%) | 0 | 24.4 | 140.7 | 71.6 |
| 10年 | 毎年5万円 | 338 | 76(22%) | 0 | 8.6 | 111.6 | 51.4 |
| 20年 | 毎年3万円 | 218 | 31(14%) | 0 | 28.8 | 224.0 | 42.6 |
| 20年 | 毎年5万円 | 218 | 41(19%) | 35 | 0.0 | 132.4 | 2.1 |
20年・毎年5万円の取り崩しでは、途中で金を使い切った始め方が35通りありました。値段が下がった時期に売り続けたため、20年たつ前に金が残らなくなった場合です。国債の側は、20年で100万円を引き出すので、利子がほとんどない時期には残りはほぼ0になります。
20年の取り崩しは、比べられるのが2000年代の前半までに始めた場合だけなので、1990年代の値下がりと、その後の大きな値上がりの両方を含みます。金の残りの真ん中が国債より多くても、いちばん少ない場合との開きが大きいことが、金で取り崩すことの不安定さを表しています。
13いまの国債金利なら、金はどれだけ上がれば利子に届くか
財務省の国債金利(2026年9月29日)で、いま国債を買って満期まで持った場合の税引後の利子の合計を出し、金が同じ期間でそれ以上に上がらないと利子に届かない「最低ライン」としました。売買の差5%を入れた場合のラインも並べています。右の2列は、過去のすべての月について、同じ年数で金がそのラインを超えた割合です(いまのラインを過去の値動きに当てはめたもので、これからの見込みではありません)。
| 年数 | 国債金利(いま) | 税引後の利子の合計 | 売買の差5%を入れた最低ライン | 過去に金が利子を超えた割合(比べた月の数) | 差5%のラインを超えた割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年 | 1.692% | 1.3% | 6.7% | 62%(438) | 47% |
| 3年 | 2.116% | 5.1% | 10.6% | 64%(416) | 57% |
| 5年 | 2.425% | 9.7% | 15.4% | 60%(397) | 55% |
| 10年 | 3.082% | 24.6% | 31.1% | 75%(337) | 74% |
| 20年 | 3.887% | 61.9% | 70.5% | 96%(217) | 94% |
国債の金利が上がるほど、金が超えなければならないラインは高くなります。金利がほとんどゼロだった時期には、金は「下がらなければ国債と同じ」でしたが、いまはそうではありません。過去に超えた割合は、金が大きく上がった時期を含む結果なので、そのまま将来に当てはまるものではありません。
141988年1月の100万円は、どうなったか
1988年1月に100万円で金を買った場合と、同じ100万円で1年国債を買い、満期のたびに税引後の利子ごと次の1年国債に乗り換えた場合を、毎年1月の時点で並べました(1月の値がない年は次の月)。
| 年(1月) | 金(万円) | 1年国債を乗り換え(万円) | 多い方 |
|---|---|---|---|
| 1988年 | 100 | 100.0 | 金が多い |
| 1989年 | 88 | 103.1 | 国債が多い |
| 1990年 | 101 | 106.2 | 国債が多い |
| 1991年 | 71 | 111.6 | 国債が多い |
| 1992年 | 68 | 117.9 | 国債が多い |
| 1993年 | 67 | 122.6 | 国債が多い |
| 1994年 | 75 | 126.0 | 国債が多い |
| 1995年 | 64 | 127.5 | 国債が多い |
| 1996年 | 70 | 130.0 | 国債が多い |
| 1997年 | 71 | 130.6 | 国債が多い |
| 1998年 | 64 | 131.0 | 国債が多い |
| 1999年 | 57 | 131.6 | 国債が多い |
| 2000年 | 52 | 132.2 | 国債が多い |
| 2001年 | 53 | 132.4 | 国債が多い |
| 2002年 | 63 | 132.8 | 国債が多い |
| 2003年 | 73 | 132.9 | 国債が多い |
| 2004年 | 75 | 132.9 | 国債が多い |
| 2005年 | 76 | 132.9 | 国債が多い |
| 2006年 | 109 | 132.9 | 国債が多い |
| 2007年 | 124 | 133.0 | 国債が多い |
| 2008年 | 160 | 133.7 | 金が多い |
| 2009年 | 131 | 134.4 | 国債が多い |
| 2010年 | 175 | 134.7 | 金が多い |
| 2011年 | 192 | 134.8 | 金が多い |
| 2012年 | 216 | 135.0 | 金が多い |
| 2013年 | 247 | 135.1 | 金が多い |
| 2014年 | 222 | 135.2 | 金が多い |
| 2015年 | 258 | 135.3 | 金が多い |
| 2016年 | 214 | 135.3 | 金が多い |
| 2017年 | 236 | 135.3 | 金が多い |
| 2018年 | 269 | 134.9 | 金が多い |
| 2019年 | 235 | 134.8 | 金が多い |
| 2020年 | 260 | 134.6 | 金が多い |
| 2021年 | 331 | 134.5 | 金が多い |
| 2022年 | 357 | 134.3 | 金が多い |
| 2023年* | 418 | 134.2 | 金が多い |
| 2024年 | 511 | 134.2 | 金が多い |
| 2025年 | 713 | 134.2 | 金が多い |
| 2026年 | 1,209 | 134.7 | 金が多い |
*の年は1月の値がないため、2023年2月の値です。
39回の時点のうち、国債の乗り換えが金を上回っていたのは20回でした。2010年1月以降は、ずっと金が上回っています。2026年8月の時点では、金が1,125万円、国債の乗り換えが135.3万円です。
同じ100万円でも、どの時点で比べるかで「どちらが良かったか」の答えは入れ替わります。1990年代に金を持っていた人にとっては「やめとけ」が当たっていて、2010年代以降まで持ち続けた人には当たらなかった、ということです。国債の乗り換えは値下がりがない代わりに、2000年代以降は利子がほとんど付かず、元本はほとんど増えていません。
15理由2:元の値段に戻るまで長い
金の値段は、一度下がると長く戻らないことがありました。月ごとのぶれをならすため、輸入単価を3か月の平均で見ると、1988年1月の水準を下回ったのは1988年2月、底は2000年11月(−50.1%)、元の水準に戻ったのは2006年1月で、216か月(18年)かかりました。
年の初めに買った人ごとに、3か月平均が買った時の水準を3%以上下回った後、元の水準に戻るまでに36か月以上かかった年を並べました。右の2列は、同じ月に10年国債を買っていた場合の、戻るまでの期間の税引後の利子(受け取ったまま足したもの)と、1年国債の乗り換えでの増え方です。
| 買った年(1月) | 戻った年/月 | 戻るまで | 途中のいちばん低い値 | 10年国債の利回り | 待つ間の利子:10年国債 | 待つ間の増え方:1年国債の乗り換え |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1988年 | 2006/1 | 216か月(18.0年) | −50% | 4.37% | +63.0% | +32.9% |
| 1990年 | 2006/1 | 192か月(16.0年) | −49% | 5.71% | +73.0% | +25.1% |
| 1992年 | 2004/1 | 144か月(12.0年) | −32% | 5.55% | +53.3% | +12.7% |
| 1997年 | 2003/11 | 82か月(6.8年) | −31% | 2.82% | +15.4% | +1.8% |
| 1998年 | 2002/3 | 50か月(4.2年) | −22% | 1.90% | +6.3% | +1.4% |
| 1999年 | 2002/1 | 36か月(3.0年) | −15% | 2.09% | +5.0% | +1.0% |
戻るまでがいちばん長かったのは1988年1月に買った場合の216か月でした。戻るまでに36か月以上かかった年は1988年・1990年・1992年・1997年・1998年・1999年です。戻るまで10年以上かかった3つの年では、その間に10年国債を持っていれば、税引後で+53.3%〜+73.0%の利子が付いていました。「元の値段に戻った」ことは、損がなかったことと同じではありません。
値段の下落の局面そのもの(最高値・底・戻った月の一覧)は金価格の推移の記事に、購入月ごとに最後に買値を下回った月は金の買い時の記事にあります。この記事は、待っている間に失った利子に絞りました。
16理由3:税金が分かりにくい
金地金や金貨を売って利益が出たときは、原則として譲渡所得として、給与などのほかの所得と合わせて税率が決まる総合課税になります(国税庁 No.3161)。預金や国債の利子が、受け取るときに20.315%が差し引かれて終わる(源泉分離課税)のとは、仕組みが違います。
- 持っていた期間が5年以内なら短期、5年を超えれば長期の譲渡所得です。長期の場合は、利益(特別控除の後)の2分の1だけが課税の対象になります。
- 譲渡所得には、1年に50万円の特別控除があります(その年のほかの譲渡所得と合わせて50万円まで)。
- 利益は、売った額から、買った額と売るときの手数料などを引いて計算します。
- 1回に200万円を超える金地金などを売ると、買い取った業者が税務署に支払調書を出します。
ほかに譲渡所得がないとして、利益の額ごとに「給与などに足して課税される額」を計算しました。税額は、ほかの所得と合わせた税率で決まるので、人によって違います。
| 売って出た利益 | 持った期間が5年以内:課税される額 | 5年を超える:課税される額 |
|---|---|---|
| 300,000円 | 0円 | 0円 |
| 500,000円 | 0円 | 0円 |
| 1,000,000円 | 500,000円 | 250,000円 |
| 2,000,000円 | 1,500,000円 | 750,000円 |
| 5,000,000円 | 4,500,000円 | 2,250,000円 |
利益が50万円以下なら、ほかに譲渡所得がなければ課税される額はありません。5年を超えて持つと、課税される額は半分になります。金のETF(上場投資信託)は上場株式などと同じく20.315%の申告分離課税で、NISAの成長投資枠の対象の銘柄もあります。持ち方で税金の扱いが変わることも、金が「分かりにくい」と言われる理由の1つです。
17税金を、過去の値に当てはめると
各年の1月に100万円分の金を買い、2026年8月に売ったとして、利益と「給与などに足して課税される額」を計算しました。輸入単価での計算で、手数料・消費税は入れていません。ほかに譲渡所得がないとしています。
| 買った年(1月) | 持った期間 | 区分 | 利益 | 課税される額(円) |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 0.6年 | 短期 | −69,850円 | 0 |
| 2025年 | 1.6年 | 短期 | +578,075円 | 78,075 |
| 2024年 | 2.6年 | 短期 | +1,201,232円 | 701,232 |
| 2023年 | 3.5年 | 短期 | +1,693,862円 | 1,193,862 |
| 2022年 | 4.6年 | 短期 | +2,146,788円 | 1,646,788 |
| 2021年 | 5.6年 | 長期 | +2,398,606円 | 949,303 |
| 2020年 | 6.6年 | 長期 | +3,323,531円 | 1,411,765 |
| 2019年 | 7.6年 | 長期 | +3,783,460円 | 1,641,730 |
| 2018年 | 8.6年 | 長期 | +3,189,265円 | 1,344,632 |
| 2017年 | 9.6年 | 長期 | +3,764,353円 | 1,632,176 |
| 2016年 | 10.6年 | 長期 | +4,263,738円 | 1,881,869 |
| 2015年 | 11.6年 | 長期 | +3,365,008円 | 1,432,504 |
| 2014年 | 12.6年 | 長期 | +4,078,004円 | 1,789,002 |
| 2013年 | 13.6年 | 長期 | +3,548,682円 | 1,524,341 |
| 2012年 | 14.6年 | 長期 | +4,200,335円 | 1,850,168 |
| 2011年 | 15.6年 | 長期 | +4,872,709円 | 2,186,354 |
| 2010年 | 16.6年 | 長期 | +5,431,818円 | 2,465,909 |
| 2009年 | 17.6年 | 長期 | +7,598,811円 | 3,549,405 |
| 2008年 | 18.6年 | 長期 | +6,045,251円 | 2,772,626 |
| 2007年 | 19.6年 | 長期 | +8,049,983円 | 3,774,991 |
| 2006年 | 20.6年 | 長期 | +9,288,402円 | 4,394,201 |
| 2005年 | 21.6年 | 長期 | +13,889,484円 | 6,694,742 |
| 2004年 | 22.6年 | 長期 | +13,948,524円 | 6,724,262 |
| 2003年 | 23.6年 | 長期 | +14,492,625円 | 6,996,312 |
| 2002年 | 24.6年 | 長期 | +16,796,342円 | 8,148,171 |
| 2001年 | 25.6年 | 長期 | +20,090,709円 | 9,795,355 |
| 2000年 | 26.6年 | 長期 | +20,832,265円 | 10,166,132 |
| 1999年 | 27.6年 | 長期 | +18,883,029円 | 9,191,514 |
| 1998年 | 28.6年 | 長期 | +16,533,261円 | 8,016,631 |
| 1997年 | 29.6年 | 長期 | +14,783,343円 | 7,141,672 |
| 1996年 | 30.6年 | 長期 | +15,052,159円 | 7,276,080 |
| 1995年 | 31.6年 | 長期 | +16,460,756円 | 7,980,378 |
| 1994年 | 32.6年 | 長期 | +14,085,245円 | 6,792,622 |
| 1993年 | 33.6年 | 長期 | +15,851,692円 | 7,675,846 |
| 1992年 | 34.6年 | 長期 | +15,455,027円 | 7,477,514 |
| 1991年 | 35.6年 | 長期 | +14,842,563円 | 7,171,282 |
| 1990年 | 36.6年 | 長期 | +10,177,953円 | 4,838,977 |
| 1989年 | 37.6年 | 長期 | +11,819,115円 | 5,659,557 |
| 1988年 | 38.6年 | 長期 | +10,249,427円 | 4,874,714 |
持った期間が5年以内で課税される額が出たのは4つの年、5年を超えて課税される額が出たのは34つの年でした。長く持った金ほど利益が大きく、課税される額も大きくなります。総合課税なので、同じ課税される額でも、給与などが多い人ほど税率は高くなります。金の売却益を1つの年にまとめて出すと、その年の税率が上がることもあります。
18消費税は、買うときも売るときも動く
金地金を店頭で買うときは、消費税がかかります。一方で、地金商の買取価格も、消費税を含んだ額で示されるのが一般的です。そのため、買った時と売る時で消費税の税率が違うと、その差が手取りに表れます。税抜の値段が買った時と売る時で同じだったとして、税率の時期ごとに計算しました(税抜100万円の金を買い、税抜100万円で売る例)。
| 買った時期 | その時の税率 | 買うときに払った額(万円) | 売るときに受け取る額(税率10%・万円) | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 1989年3月まで | 0% | 100 | 110 | +10.0% |
| 1989年4月〜1997年3月 | 3% | 103 | 110 | +6.8% |
| 1997年4月〜2014年3月 | 5% | 105 | 110 | +4.8% |
| 2014年4月〜2019年9月 | 8% | 108 | 110 | +1.9% |
| 2019年10月から | 10% | 110 | 110 | ±0.0% |
消費税の導入前や税率の低い時期に買った金を、いま売ると、税率の差の分だけ手取りが増える計算です。反対に、これから税率が下がるようなことがあれば、その差の分だけ減ります。消費税は、金そのものの値動きとは別に、手取りを動かす要素です。実際の買取価格の示し方は業者によるので、売る前に確かめてください。
19理由4:保管に手間と費用がかかる
地金や金貨を手元に置くと、盗難や紛失、火事への備えが自分の負担になります。銀行の貸金庫や、業者の保管サービスを使えば、毎年の費用がかかります。保管の費用を例として年1万円・年2万円とし、持っている額に対する重さを計算しました(実在のサービスの料金ではありません)。
| 持っている額 | 保管の費用(例・年) | 1年の割合 | 10年の合計 | 10年の合計の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000,000円 | 10,000円 | 1.0% | 100,000円 | 10.0% |
| 1,000,000円 | 20,000円 | 2.0% | 200,000円 | 20.0% |
| 3,000,000円 | 10,000円 | 0.3% | 100,000円 | 3.3% |
| 3,000,000円 | 20,000円 | 0.7% | 200,000円 | 6.7% |
| 5,000,000円 | 10,000円 | 0.2% | 100,000円 | 2.0% |
| 5,000,000円 | 20,000円 | 0.4% | 200,000円 | 4.0% |
100万円を持ち、保管に年1万円かかると、10年で持っている額の10%です。10年持った金の増減の真ん中は+80%でしたが、それは値上がりの大きかった時期を含む結果で、増えなかった時期には保管の費用がそのまま損になります。持っている額が小さいほど、決まった額の費用は重くなります。
純金積立やETFでは、保管は業者や信託の側が行いますが、その費用は年会費や信託報酬として払っています。保管の手間がない代わりに、業者の経営が傾いたときの扱いを確かめる必要があります。純金積立の費用の効き方は純金積立のデメリットと損の記事で計算しています。
20理由5:買う値段と売る値段に差がある
店頭の金には、業者が売る値段(販売価格)と、買い取る値段(買取価格)があり、その差が売買の費用になります。差の大きさは業者や商品の大きさで違うので、往復で2%・5%・8%の例を置き、輸入単価で計算した結果に当てはめました。「往復5%」は、買って売るまでに、値段の5%を差として払う、という意味です。
| 持った期間 | 比べた月の数 | 損だった月の数:差なし | 差2% | 差5% | 差8% |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年 | 438 | 154(35%) | 182(42%) | 215(49%) | 250(57%) |
| 3年 | 416 | 120(29%) | 136(33%) | 151(36%) | 169(41%) |
| 5年 | 397 | 116(29%) | 123(31%) | 143(36%) | 157(40%) |
| 10年 | 337 | 61(18%) | 64(19%) | 65(19%) | 68(20%) |
1年持った場合、差なしでは35%だった損の割合が、差5%で49%、差8%で57%になります。差5%を入れると、値上がりしていたのに損になった月が61か月ありました。10年持てば、差8%でも損の割合は18%から20%にしか上がりません。売買の差は、持つ期間が短いほど重くなります。
買った月から、値上がりが売買の差を初めて上回るまでに何か月かかったかも数えました(最後の5年に買った月は除く)。
| 往復の差 | 比べた月の数 | 差を上回るまでの月数(真ん中) | 1年以内に上回った月の数 | 5年たっても上回らなかった月の数 |
|---|---|---|---|---|
| 2% | 404 | 3 | 333 | 15 |
| 5% | 404 | 6 | 289 | 38 |
| 8% | 404 | 10 | 238 | 63 |
買ってすぐに売ると、値段が変わっていなくても、差の分だけ損になります。短い間に売り買いをくり返すほど、この差が何度もかかります。
21売買の差の重さは、買った時期でも変わる
往復5%の差を入れたときの損の割合を、買った年代ごとに分けました。矢印の左が差なし、右が差5%です。
| 買った年代 | 1年持った | 3年持った | 5年持った |
|---|---|---|---|
| 1980年代 | 58%→71%(24か月) | 100%→100%(24か月) | 100%→100%(24か月) |
| 1990年代 | 67%→82%(120か月) | 65%→74%(120か月) | 69%→80%(120か月) |
| 2000年代 | 14%→25%(120か月) | 0%→1%(120か月) | 0%→0%(120か月) |
| 2010年代 | 34%→52%(120か月) | 15%→31%(120か月) | 8%→20%(113か月) |
| 2020年代 | 4%→11%(54か月) | 0%→0%(32か月) | 0%→0%(20か月) |
値段が下がり続けた1990年代に買った月は、差がなくても損の割合が高く、差を入れるとさらに上がります。値上がりの続いた時期に買った月は、差を入れても損の割合はあまり上がりません。売買の差は、値上がりが小さい時期ほど、結果を損の側に押し出します。
22金を持つ理由として語られることとの関係
「やめとけ」の反対側には、「インフレに強い」「有事に強い」「円安に強い」といった、金を持つ理由として語られることがあります。当サイトは、それぞれを別の記事で確かめています。
- 物価が上がった年に、金は物価より上がったか:金はインフレに強いか
- 大きな出来事のあと、金は上がったか:有事に金は上がったか
- 円で見た金の値段のうち、どれだけがドル円の動きだったか:金価格の推移
どの記事でも、「いつも当てはまる」という結果にはなっていません。金を持つ理由も、やめる理由も、どの時期を見るかで強くも弱くもなります。この記事の「やめとけ」の5つの理由は、金を持つと決めた場合にも、費用と期間の見積もりとして使えるものです。
23輸入単価と、店頭で売り買いする値段の違い
この記事の金の値段は、財務省の貿易統計にある輸入単価です。卸に近い値で、個人が店頭で買う値段は、これに業者の利幅や手数料、消費税が加わって高くなり、売る値段は低くなります。この記事の結果は、店頭で売り買いした場合より良く出ています。売買の差の節で例を当てはめたのは、この違いを補うためです。
また、輸入単価は、その月に輸入された金の中身(大きさや品位、契約の時期)で、相場とは別にぶれます。相場と合わない値の月は除きましたが、1か月ごとの値には、店頭の値段にはない上下のぶれが残っています。3か月の平均を使った節があるのは、このぶれをならすためです。
24国債の側にも、気をつける点がある
この記事は金を国債と比べていますが、国債にも気をつける点があります。市場で売り買いする国債は、満期の前に売ると、金利の動きによっては買った値段より安くなります。個人向け国債は、発行から1年たつまでは原則として換金できず、換金するときは直前2回分の税引前の利子相当額(に0.79685を掛けた額)が差し引かれます。また、利子が物価の上がり方に届かなければ、元本が戻っても、買える物の量は減ります。
物価で見た国債の価値は個人向け国債の「元本保証」はどこまでか、金と物価の関係は金はインフレに強いかの記事で扱っています。「金はやめとけ」と同じように、「国債なら安心」も、物価や換金の時期を入れると条件付きの話になります。
25「やめとけ」が当てはまらなかった時期
ここまでの5つの理由は、どれも金の値段が上がらなかった時期に重くなるものでした。反対に、2000年代以降に買って長く持った場合は、利子がないことも、売買の差も、値上がりに隠れて目立ちませんでした。
輸入単価で、1年持って買値を下回ったのは438か月のうち154か月(35%)、20年持って下回ったのは217か月のうち0か月でした。持つ期間が長いほど損の割合は小さくなりましたが、20年の結果が出ているのは2000年代前半までに買った月だけで、その後の大きな値上がりをすべて含んでいます。同じ結果が、これからも続くとは限りません。
「やめとけ」と「買っておけばよかった」は、どちらも、どの時期を切り取るかで言えてしまいます。大切なのは、自分が使う予定のお金の時期と、金が何年も戻らなかった時期があったという事実を、並べて考えることです。
26自分に当てはまるかを確かめる
- 何年持つつもりか。数年のうちに使うお金なら、売買の差と値下がりの両方が重くなります。この記事の計算では、1年持って損だった月は、差5%を入れると49%ありました。
- 利子のつく置き場所と比べたか。同じお金を国債に置いた場合の利子を、金の値上がりの「最低ライン」として考えると、金を持つことの費用が見えます。いまの国債の利率は個人向け国債のページで確かめられます。
- 持ち方の費用を知っているか。地金は売買の差と保管、純金積立は手数料と年会費、ETFは信託報酬と売買手数料。どれが、いくらかかるか。
- 税金の扱いを知っているか。地金や純金積立の利益は総合課税で、5年を超えて持つかどうかで課税される額が変わります。ETFは申告分離課税です。
- 何年も戻らないことを受け止められるか。1988年1月の水準に戻るまで216か月かかった時期がありました。その間、使う予定のないお金かどうか。
27この記事に出てくる言葉
- 輸入単価
- 財務省の貿易統計で、輸入された金の金額を量で割った1グラムあたりの値。卸に近い値です。
- 3か月の平均
- その月と前の2か月の輸入単価の平均。1か月だけ飛んだ値の影響を小さくするために使いました。
- 10年国債の利回り
- 財務省が公表する、残りの期間が10年の国債の市場の利回り。この記事では、その月に額面で買えばこの率の利子が付くものとして計算しました。
- 総合課税・源泉分離課税・申告分離課税
- 総合課税はほかの所得と合計して税率を決める方法、源泉分離課税は受け取るときに一定の率が差し引かれて終わる方法、申告分離課税はほかの所得と分けて一定の率で申告する方法です。
- 譲渡所得の特別控除
- 譲渡所得から1年に50万円まで差し引ける額。金の売却益が小さいときは、課税される額が出ないことがあります。
- 支払調書
- 業者が、誰にいくら支払ったかを税務署に出す書類。金地金などは1回の売却が200万円を超えると出されます。
- 販売価格・買取価格
- 業者が金を売る値段と買い取る値段。その差が、売り買いの費用です。
28よくある質問
金投資は、本当にやめたほうがよいのですか。
この記事は、やめるかどうかを決めるものではありません。言われる理由はどれも事実ですが、当てはまり方は、持つ期間・その時の金利・買い方で変わりました。
金はなぜ利子が付かないのですか。
金は誰かにお金を貸しているわけではなく、物そのものを持っているだけだからです。預金や国債は、お金を貸した見返りとして利子が付きます。
金の値段が下がったら、何年待てば戻りますか。
過去には、1988年1月の水準に戻るまで216か月かかった時期があります。何年で戻るかは、その時々の値動きで決まり、このデータからは分かりません。
金を売ったら、必ず確定申告が必要ですか。
会社員などで、金の売却益を含む給与以外の所得が年20万円以下なら申告が要らない場合がありますが、条件があります。譲渡所得の特別控除(50万円)を引いて課税される額が出ないこともあります。くわしくは国税庁の案内や税務署で確かめてください。
金と国債は、どちらが得でしたか。
買った時期と持った期間で入れ替わりました。10年持った場合、金が国債の利子を下回ったのは337か月中87か月で、その多くは金利が高く、金が値下がりした1990年前後に買った月でした。
少しだけ金を持つのは意味がありますか。
この記事の計算では、金の割合を小さくすると、値下がりの時期の損は小さくなり、値上がりの時期の増え方も小さくなりました。どの割合がよいかは、このデータからは決まりません。
この記事の売買の差や保管料は、実際の値ですか。
どちらも計算のための例で、実在の業者やサービスの値ではありません。実際の差は業者の販売価格と買取価格で、保管の費用は契約で確かめてください。
29この記事の数字は、どこから取ったか
使ったのは次の3つの公表データだけです。
- 財務省「貿易統計」統計品別推移表(輸入・全国・世界計)統計品目7108.12(金のうち加工していないもの)の数量と金額。1グラムあたりの値段は、金額÷数量で当サイトが計算しました(1988年1月〜2026年8月)。2026年4月に統計品目が7108.12-010と-090に分かれたため、7108.12全体の合計でつないでいます。
- 米国連邦準備制度理事会(FRB)G.5/H.10「Foreign Exchange Rates」のドル円の月平均(1ドルあたり円)。
- 総務省統計局「消費者物価指数」(全国・総合、2025年=100)。物価で直した値は、すべて2026年8月の物価にそろえています。
輸入単価は、卸に近い値です。個人が地金を買うときの手数料、消費税、買値と売値の差は入っていません。月ごとの輸入の中身(大きさや品位の違い)によっても値がぶれます。また、前後6か月の中央値の半分を下回った7か月(2023年1月・2023年4月・2023年6月・2023年7月・2023年8月・2023年9月・2024年3月)は、相場と合わない値(品位の低いものの輸入などが混ざったと思われる値)として除き、その月は「値なし」として扱いました。
ドルで見た値(1トロイオンスあたりドル)は、輸入単価×31.1034768÷その月のドル円で当サイトが出した換算値で、海外の取引所の値段そのものではありません。
国債の比較は、財務省「国債金利情報」の年限ごとの利回り(1974年9月〜2026年9月)を使いました。その月の最初の営業日の利回りで額面で買い、利子は受け取ったまま足すとした簡単な計算で、実際の国債の値段の動きや、利子を増やし直した場合とは違います。利子の税金は、2012年までを20%、2013年からを20.315%としています。「1年国債の乗り換え」は、1年の利回りで1年置き、税引後の利子を足して次の1年に乗り換える計算です。売買の差・保管の費用は説明のための例です。税金の扱いは国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」によります。消費税の税率の時期は、国の税率の改定の時期です。
この記事は、金の売買や特定の商品・事業者をすすめるものではありません。過去の値動きは、これからの値動きを示すものではありません。

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