01融資型と株式投資型は、お金の戻り方が根本的に違う
融資型は貸したお金が返ってくる商品、株式投資型は会社の一部を買う商品です。ここがすべての違いの出発点です。
| 融資型 | 株式投資型 | |
|---|---|---|
| 投資家の立場 | 貸し手に近い(匿名組合を通じて) | 株主 |
| 戻る仕組み | 期日に元本と利息が返る | 上場かM&Aが起きたときだけ |
| 期間 | 決まっている(数か月〜数年) | 決まっていない。来ないこともある |
| 利回り | あらかじめ提示される | ない |
| 上限 | 利息制限法により年15〜20%が上限 | 理論上なし |
| 元本が戻らない原因 | 貸付先が返せない | 会社が倒産する、または上場もM&Aもない |
| 投資の上限 | なし | 1社あたり年間50万円 |
| 途中で売る | 原則できない | 原則できない(譲渡制限) |
| 所得区分 | 雑所得(総合課税) | 譲渡所得(申告分離20.315%) |
| 損益通算 | できない | 株式等の譲渡益と相殺できる |
| 掲載社数 | 20社 | 5社 |
3行目が決定的です。融資型には期限があり、株式投資型にはありません。株式投資型で出したお金は、5年経っても10年経っても何も起きない可能性があります。
02リスクの形を、数字で比べる
株式投資型の実績を並べます。当サイトが集めた募集は839件、調達した企業は665社、公表されているEXITと倒産は8件でした。
| 項目 | 融資型 | 株式投資型 |
|---|---|---|
| 結果が確定する時点 | 返済期日 | 上場・M&A・倒産のいずれか。来ないことが多い |
| 元本が全額戻る確率 | 貸付先が返済すれば全額。デフォルトすれば回収次第 | 全額戻るという概念がない |
| 利益の上限 | 提示された利回りまで | 上限なし |
| 損失の上限 | 出資額まで | 出資額まで |
| 公表されているEXITの倍率 | — | 1.4倍〜2.69倍 |
| 公表されている倒産 | — | 4件 |
5行目が重要です。国内の株式投資型で公表されている倍率は1.4倍から2.69倍で、10倍や100倍ではありません。「当たれば何十倍」というのは、少なくとも国内の実績とは合っていません。
| プラットフォーム | 募集件数 | 成立 | 不成立 | 累計調達額 | 最初の募集 | 直近の募集 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FUNDINNO | 696件 | 455件 | 173件 | 142.7億円 | 2017-04 | 2026-05 |
| イークラウド | 62件 | 47件 | 6件 | 13.2億円 | 2020-07 | 2026-04 |
| ユニコーン | 40件 | 25件 | 14件 | 10.1億円 | 2019-07 | 2022-10 |
| CF Angels | 36件 | 21件 | 13件 | 3.9億円 | 2020-08 | 2024-11 |
| AngelNavi | 5件 | 5件 | 0件 | 5,057万円 | 2020-02 | 2023-05 |
03期待値ではなく、結果の形で考える
2つの商品は、結果の散らばり方がまったく違います。10件に出したときに何が起きるかを想像してみます。
| 10件に10万円ずつ(計100万円) | 融資型(想定利回り6%・1年) | 株式投資型 |
|---|---|---|
| 想定どおりの結果 | 10件すべてが償還され、約6万円の利益 | ほとんどの会社で何も起きない |
| うまくいった場合 | 同上(上限がある) | 1〜2件が数倍になり、残りは動かない |
| 悪かった場合 | 1〜2件が遅延・回収不能。数万円〜数十万円の損 | 数件が倒産してゼロ。残りは動かない |
| 結果が出るまで | 1年 | 5〜10年、または永久 |
| 途中で確認できること | 分配の入金 | ほぼ何もない |
この違いは、投資として比べるものではないことを示しています。融資型は「決まった期間、決まった利回りを狙う」商品、株式投資型は「無くなってもよいお金で、大きく増える可能性に賭ける」商品です。
04制度が、それぞれのリスクをどう扱っているか
制度の違いにも、リスクの差が表れています。
| 制度上の扱い | 融資型 | 株式投資型 | 意味すること |
|---|---|---|---|
| 投資の上限 | なし | 1社あたり年間50万円 | 制度が集中を禁じている |
| 発行者の調達の上限 | なし | 年間1億円未満 | 小口の枠に収める |
| 事業者の登録 | 第二種金商業+貸金業 | 第一種少額電子募集取扱業務 | — |
| 自主規制 | 第二種金商業協会 | 日本証券業協会(必須) | 非上場株式の勧誘は原則禁止で、その例外 |
| 投資者保護基金 | 対象外 | 事業者の預かり資産は対象 | — |
| 審査の義務 | — | 発行会社の事業計画の妥当性を審査 | 最低限の確認がされる |
1行目を強調します。株式投資型にだけ投資の上限があるのは、ゼロになる確率が高い商品だからです。制度が明示的に「1社に集中させるな」と言っています。
05両方を持つなら、金額の桁を変える
性質が違うので、同じ金額を出すのは合理的ではありません。
| 資金の性格 | 融資型 | 株式投資型 |
|---|---|---|
| 1〜3年で使う予定がない | 向く | 向かない |
| 5〜10年使わない | 向く | 向く |
| 無くなっても困らない | — | これが前提 |
| 生活費に影響する | 向かない | 絶対に向かない |
| 1社あたりの目安 | 資産の状況による | 最低出資額の1〜2口 |
| 社数の目安 | 3〜5社 | 5〜10社 |
株式投資型の1社あたりを小さくするのは、ゼロになる確率が高いからです。5万円×10社なら、3社がゼロになっても損は15万円です。50万円×1社なら、その1社の結果がすべてになります。
そして、2つを足して「投資型クラウドファンディング」として一括りに考えないでください。同じ言葉でくくられていますが、別の商品です。配分はまったく別に決めるべきです。
06よくある質問
4種別のうち、どれがいちばん安全ですか。
どれも元本は保証されません。守られ方が違うだけです。不動産型には優先劣後があり、融資型には担保がある案件があり、株式投資型には何もありません。
種別をまたいで分散する意味はありますか。
あります。同じ不動産型の中で案件を分けても、不動産市況という同じ要因の影響を受けます。種別が違えば要因が違います。
同じ利回りなら、どれを選べばよいですか。
下落を先に受ける人がいる設計(優先劣後や担保)のほうが、投資家には有利です。ただし利回りの意味も種別で違います。
初心者はどれから始めればよいですか。
決まった答えはありません。ただし株式投資型は資金が戻る時期が決まっておらず、ゼロになる確率も高いので、無くなっても困らない範囲で出すものです。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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