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ソーシャルレンディングの貸金業登録はなぜ要るのか

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01投資家の資金を貸し付けるには、貸金業登録が要る

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)は、投資家から集めた資金を企業に貸し付けて、その利息を分配する仕組みです。この「貸し付ける」行為が貸金業に当たります。

行為必要な登録根拠
匿名組合出資持分の募集を扱う第二種金融商品取引業金融商品取引法
集めた資金を貸し付ける貸金業登録貸金業法
両方をやる(融資型CF)両方が必要—

だから融資型の事業者は2つの登録を持っています。片方しかない事業者が融資型の募集をしていれば、それ自体が問題です。

貸金業登録の要件内容
純資産5,000万円以上
貸金業務取扱主任者営業所ごとに設置。国家試験に合格した者
財産的基礎業務を的確に遂行するに足りる財産的基礎
欠格事由登録取消しから5年以内でない、暴力団員でないなど
更新3年ごと
登録先都道府県知事または財務局長(営業所の所在による)

純資産5,000万円は、第二種金商業の1,000万円より高い。融資型の参入の壁は、実質的に貸金業登録のほうで決まっています。

02掲載している融資型20社の登録

公表されている登録番号と、金融庁の一覧との照合結果です。貸金業登録は「登録貸金業者情報検索サービス」で商号から検索できます。

サービス種別運営会社公表されている登録番号金商業の一覧で確認できた種別法人番号
Funds融資型ファンズ株式会社関東財務局長(金商)第3103号第二種5040001120111
クラウドバンク融資型日本クラウド証券株式会社関東財務局長(金商)第115号第一種、第二種2010001077101
Bankers融資型株式会社バンカーズ関東財務局長(金商)第3216号—5021001013620
AGクラウドファンディング融資型AGクラウドファンディング株式会社関東財務局長(金商)第3272号第二種3010401154911
Alterna Bank融資型SAMURAI証券株式会社関東財務局長(金商)第36号第一種、第二種6010401097182
LENDEX融資型株式会社LENDEX関東財務局長(金商)第2460号/貸金業登録番号:東京都知事(2)第31859号/宅地建物取引業証番号:東京都知事(2)第104491号/貸金業:東京都知事(2)第31859号/宅地建物取引業者免許証番号:東京都知事(1)第104491号第二種5010001135789
OwnersBook融資型ロードスターインベストメンツ株式会社関東財務局長(金商)第3202号/貸金業者登録番号東京都知事(4)第31574号/宅地建物取引業東京都知事(2)第104014号/貸金業者東京都知事(4)第31574号第二種、投資助言・代理業、投資運用業3010001203655
COMMOSUS融資型株式会社コモサス関東財務局長(金商)第2973号第二種4010001172115
COOL融資型株式会社COOL関東財務局長(金商)第2229号第二種、投資助言・代理業1010001173561
Pocket Funding融資型ソーシャルバンクZAIZEN株式会社—第二種3360001015553
J.LENDING融資型株式会社ジャルコ関東財務局長(金商)第2871号/貸金業:関東財務局長(2)第01530号第二種3010001111395
CAPIMA融資型アバンダンティアキャピタル株式会社関東財務局長(金商)第3347号/宅地建物取引業東京都知事(1)第107825号第二種4010601056147
Funvest融資型Fintertech株式会社関東財務局長(金商)第3249号第二種4010001190769
日本マリタイムバンク融資型日本マリタイムバンク株式会社関東財務局長(金商)第3308号/貸金業者東京都知事(2)第31818号第二種9010001207568
NGI融資型日本元気インベストメント株式会社———
NEXT SHIFT FUND融資型ネクストシフト株式会社中国財務局長(金商)第48号第二種8270001007076
高島屋ファンディング融資型高島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社貸金業者:関東財務局長(8)第01325号貸金業5010001049428
ヤマワケ融資型WeCapital株式会社関東財務局長(金商)第2768号/宅地建物取引業/東京都知事(2)第103303号第二種7011101066385
WealthPark融資型WealthPark株式会社関東財務局長(金商)第2963号—4010001060360
Sunny Proud融資型株式会社JRF Global Capital Investments関東財務局長(金商)第3469号/貸金業者:東京都知事(2)第31924号第二種7010401158363
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貸金業登録の番号は「○○県知事(1)第○号」または「関東財務局長(1)第○号」の形です。括弧の中の数字は更新の回数で、3年ごとに1つ増えます。

括弧の数字経過年数の目安
(1)0年以上3年未満
(2)3年以上6年未満
(3)6年以上9年未満
(4)9年以上12年未満
(5)12年以上15年未満
(6)15年以上18年未満
(7)18年以上21年未満

03貸金業法が投資家を守っている部分

貸金業法は借り手を守る法律ですが、結果として投資家にも効いています。

規制内容投資家への効き方
上限金利元本に応じて15〜20%(利息制限法)貸付金利の上限が決まる=利回りの上限が決まる
過剰貸付の禁止返済能力を超える貸付をしてはならない無理な貸付が抑制される
取立て行為の規制威迫、深夜の取立てなどの禁止回収の方法が適正になる
書面の交付契約書、受取証書の交付貸付の記録が残る
業務改善命令行政が体制の改善を命じられる問題のある業者が是正される
帳簿の備付け貸付の記録を保存する義務検査の対象になる

1行目が重要です。貸付金利には上限があります。元本100万円以上なら年15%、10万円以上100万円未満なら年18%、10万円未満なら年20%。ここから事業者の取り分を引いたものが投資家の利回りになります。

だから融資型の想定利回りには、構造的な上限があります。年15%を超える利回りを継続的に出すことは、国内の貸付では原則として不可能です。海外案件や、貸付以外の収益を含む案件では別ですが、その場合は何で稼いでいるのかを確かめる必要があります。

042019年の見解変更で、何が変わったか

融資型クラウドファンディングの歴史でいちばん大きな転換点です。

時期貸付先の開示理由結果
〜2018年匿名が原則借り手が特定されると、投資家が貸金業に当たるおそれがあるとされた投資家が貸付先を確かめられなかった
2019年3月金融庁が見解を示す一定の条件のもとで、借り手の情報を開示しても投資家が貸金業に該当するわけではないことが明確になった開示する事業者が現れる
2019年〜開示が広がる—借り手の商号を公表する事業者が増えた
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2017年から2019年にかけて起きた事故は、いずれも貸付先が匿名で、外から実在すら確かめられなかったことが共通していました。集めた資金が募集時の説明とは別のところに回っていても、投資家には分かりませんでした。

いま借り手を公表している事業者があります。当サイトが収集できた借り手は131社、そのうち上場企業が78社でした。

プラットフォーム公表されている借り手の数累計の調達額
Funds126社1406.7億円
Bankers7社18.7億円

05投資家が確かめる手順(融資型)

融資型の事業者と案件を確かめる順番です。

  1. 第二種金融商品取引業の登録を確かめる。金融庁の「金融商品取引業者登録一覧」で照合します。
  2. 貸金業登録を確かめる。金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で商号から検索します。両方がなければ、融資型の募集はできません。
  3. 借り手の情報が出ているかを見る。商号が出ていれば、その会社を自分で調べられます。記号だけなら、確かめる手段がありません。
  4. 借り手が上場企業なら、有価証券報告書を読む。返済能力を自分で判断できます。
  5. 担保・保証の内容を確かめる。契約締結前交付書面に書いてあります。不動産担保なら、登記を確認できることがあります。
  6. 同じ借り手への貸付の累計を見る。案件を分けても、借り手が同じなら分散になりません。
  7. 資金使途を見る。何に使い、何から返すのか。

6行目が、過去の事故から学ぶべき点です。「分散しているように見えて、実際は関係の深い一社に集中していた」というのが、2017〜2019年の事故に共通する構図でした。

06貸金業登録がない事業者は何をしているのか

融資型に見えるが貸金業登録がない場合、別の仕組みかもしれません。整理します。

仕組み貸金業登録中身
事業者が自ら貸し付ける(典型的な融資型)必要投資家→事業者→借り手
既に実行された貸付債権を買い取る場合による投資家→事業者→債権の譲受
事業者のグループ会社が貸し付ける貸し付ける会社に必要契約の相手方がどこかを確認する
海外の貸付国内法の適用の範囲による確認が必要
事業への出資(貸付ではない)不要事業型。返済ではなく事業の収益から分配

最後の行が重要です。「事業型」は貸付ではありません。事業の売上から分配するので、貸金業登録は要りません。第二種金商業の登録だけで成立します。

ただし投資家から見ると、返済の義務がないという決定的な違いがあります。貸付なら借り手に返す義務がありますが、事業への出資は売上が立たなければ分配もありません。同じ「利回り」でも、性質がまったく違います。

07よくある質問

登録や許可があれば安全ですか。

違います。登録・許可は最低限の体制と財産的基礎を確かめたもので、集めた資金が正しく使われることの保証ではありません。過去に事故を起こした事業者も、全社が登録業者でした。

登録番号はどこで確かめられますか。

金融商品取引業者は金融庁の「金融商品取引業者登録一覧」、不動産特定共同事業者は国土交通省の一覧で照合できます。どちらも無料で公開されています。

不動産型と融資型で、監督する役所は違いますか。

違います。不動産特定共同事業は国土交通省と都道府県、金融商品取引業と貸金業は金融庁(財務局)です。

元本を保証する商品はありますか。

ありません。出資を集めて元本を保証することは出資法で禁じられています。「元本保証」と書いてある業者には関わらないでください。

08この記事の数字は、どこから取ったか

会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。

できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。

数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

自分の数字で確かめる:分けて買うと安心?

はじめての人へ

1つの案件に全部入れず、いくつかに分けて買うと、1件で損が出たときの痛みが小さくなります。

分けて減るのは「1件の事故」の影響です。金利の上昇や不動産価格の下落のように、すべての案件に同時に効く損は、件数を増やしても減りません。同じ事業者の案件を何件買っても、事業者の倒産には備えられません。

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