01数分で埋まる案件には、埋まる理由がある
先着方式の案件が短時間で満額になるのは、投資家が多いからだけではありません。条件の側に理由があります。
| 埋まりやすい条件 | なぜ | 投資家にとっての意味 |
|---|---|---|
| 募集額が小さい | 分母が小さいので早く埋まる | 人気の指標にはならない |
| 最低投資額が低い | 申し込む人が多くなる | 同上 |
| 運用期間が短い | 資金の拘束が短く、申し込みやすい | 同上 |
| 想定利回りが高め | 分かりやすい魅力 | 理由を確かめる |
| 先着方式 | 早い者勝ちなので、開始に集中する | 方式の問題であって、案件の質ではない |
| 告知期間があった | 開始時刻に人が集まる | 同上 |
1行目が実は最大の理由です。募集額1,000万円の案件は、100人が10万円ずつ申し込めば埋まります。10億円の案件なら、同じ100人では1%にしかなりません。
つまり「数分で埋まった」は、案件の質ではなく募集額の小ささを表していることがよくあります。
02応募率を、実際の数字で見る
当サイトが取得できた案件のうち、応募率が分かるのは218件でした。中央値は156%、最高は2224%です。
- 50%未満5
- 50〜100%11
- 100〜200%114
- 200〜300%28
- 300〜500%35
- 500%以上25
| 応募率 | 件数 | 構成比 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 50%未満 | 5件 | 2.3% | 募集額の半分も集まらなかった |
| 50〜100% | 11件 | 5.0% | 満額に届かなかった |
| 100〜200% | 114件 | 52.3% | 満額を超えた。先着なら早い者勝ち |
| 200〜300% | 28件 | 12.8% | 2〜3倍の申し込み |
| 300〜500% | 35件 | 16.1% | 3〜5倍 |
| 500%以上 | 25件 | 11.5% | 5倍以上。抽選なら当選確率20%以下 |
2行目に注目してください。満額に届かない案件もあります。すべての案件が数分で埋まるわけではありません。
03応募率は、運用の結果とは関係がない
はっきり書きます。応募率が高い案件が、よい運用結果になるという関係はありません。
| 応募率が高い理由 | 運用の結果と関係があるか |
|---|---|
| 募集額が小さい | ない |
| 最低投資額が低い | ない |
| 運用期間が短い | ない |
| 想定利回りが高い | ない。むしろリスクが高い可能性 |
| キャンペーンがあった | ない |
| 物件が分かりやすい(有名な地名) | ない |
| 優先劣後が厚い | 少しある(設計として有利) |
| 情報開示が丁寧 | 少しある(判断しやすい) |
下の2行だけが、わずかに関係します。条件がよいから人が集まったという場合です。ただしこれも、結果を保証するものではありません。
事業型の実データで確かめると、出資者の数と償還率の間に明確な関係は見られませんでした。人が集まったことと、事業がうまくいったことは別です。
04申し込めなかったときの、現実的な対処
間に合わなかった場合の選択肢です。焦って別の案件に出すのがいちばんよくない対処です。
| 対処 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 次の募集を待つ | これでよい | 案件は次も出る。逃した損失はない |
| 他の事業者の案件を見る | よい | 条件を比べる機会になる |
| 条件の悪い案件に出す | 悪い | 資金を遊ばせたくないという気持ちで判断している |
| 抽選方式の事業者に口座を作る | よい | 先着の競争から離れられる |
| 募集額の大きい案件を選ぶ | よい | 埋まるのが遅いので、読む時間がある |
| デポジットに入金して次に備える | 条件つきでよい | 使わない資金を事業者に置くことになる |
5行目が実務的です。募集額の大きい案件は、埋まるまでに時間がかかります。数億円の案件なら、募集期間の数日を使って書面を読んでから申し込めます。
小さい案件を追いかけるより、大きい案件をじっくり選ぶほうが、判断の質は上がります。
05競争しない選び方
先着方式の競争から距離を置く方法を並べます。
| やり方 | 中身 | 向く人 |
|---|---|---|
| 抽選方式の事業者を使う | 期間内に申し込めばよい | 開始時刻に画面を開けない人 |
| 募集額の大きい案件を選ぶ | 埋まるのが遅い | 書面を読んでから決めたい人 |
| 運用期間の長い案件を選ぶ | 資金の拘束が長いので、競争率が下がる | 長期で置ける資金がある人 |
| 最低投資額の高い事業者を使う | 申し込む人が絞られる | まとまった金額を出せる人 |
| 複数社に口座を持つ | どこかで案件が出ている | 誰にでも有効 |
| 新しい事業者を見る | 投資家がまだ少ない | 実績が少ないことを受け入れられる人 |
5行目が、いちばん確実な対処です。1社だけだと、その事業者の募集に間に合うかどうかで投資できるかが決まります。4〜5社に口座があれば、どこかで案件が出ています。
そして最後に。投資は競争ではありません。早く申し込んだ人がよい結果を得るわけではなく、全員が同じ運用の結果を受け取ります。急ぐ理由は、「申し込めるかどうか」だけです。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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