01再投資と受け取りで、何が変わるのか
償還されたお金を次の案件に回すか、銀行口座に戻すか。複利が効くかどうかが違います。
| 再投資する | 受け取る | |
|---|---|---|
| 資金の動き | 償還→次の案件へ | 償還→銀行口座へ |
| 利回りの効き方 | 複利 | 単利 |
| 手取りの使い道 | 投資に戻る | 生活費、他の用途 |
| 税 | 分配のたびに課税される | 同左 |
| 空き期間 | 次の案件が出るまでの期間がある | — |
| 手間 | 案件を探して申し込む | 何もしない |
4行目が重要です。投資信託と違い、分配のたびに税金が引かれます。再投資に回せるのは税引後の金額なので、複利の効きは投資信託より弱くなります。
02複利の効果を、金額で確かめる
100万円を年6%で運用したとき、再投資するかどうかで10年後にどれだけ違うかを計算します。税は20.42%の源泉徴収を仮定します。
| 年 | 単利(受け取る) | 複利(税引後を再投資) | 差 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 1,047,748円 | 1,047,747円 | +0円 |
| 3年目 | 1,143,244円 | 1,150,192円 | +6,948円 |
| 5年目 | 1,238,740円 | 1,262,653円 | +23,913円 |
| 10年目 | 1,477,480円 | 1,594,293円 | +116,813円 |
| 15年目 | 1,716,220円 | 2,013,040円 | +296,820円 |
| 20年目 | 1,954,960円 | 2,541,773円 | +586,813円 |
10年で約3万円、20年で約20万円の差です。思ったより小さいと感じるかもしれません。理由は3つあります。
| 複利が効きにくい理由 | 中身 |
|---|---|
| 分配のたびに課税される | 税引後の金額しか再投資できない |
| 空き期間がある | 償還から次の出資まで日数が空くと、その間は利回りゼロ |
| 最低投資額の単位 | 分配金だけでは次の案件の最低額に届かないことがある |
03空き期間が、実効利回りをどれだけ下げるか
再投資の効果を打ち消すのが空き期間です。償還されてから次の案件に出すまでの日数です。
| 運用期間 | 空きなし | 1か月空く | 2か月空く | 3か月空く |
|---|---|---|---|---|
| 3ヶ月の案件を回す | 年6.0% | 年4.5% | 年3.6% | 年3.0% |
| 6ヶ月の案件を回す | 年6.0% | 年5.1% | 年4.5% | 年4.0% |
| 12ヶ月の案件を回す | 年6.0% | 年5.5% | 年5.1% | 年4.8% |
| 24ヶ月の案件を回す | 年6.0% | 年5.8% | 年5.5% | 年5.3% |
3ヶ月の案件を回す場合、1か月空くだけで実効利回りは6%から4.5%に落ちます。短期の案件ほど、空き期間の影響が大きい。
これが、短期高利回りを回すより、中期の案件を寝かせるほうが実効利回りが高くなることがある理由です。募集の頻度と、抽選の当たりやすさが実は効いています。
| 戦略 | 向く場面 | 注意 |
|---|---|---|
| 短期を回転させる | 募集が頻繁で、先着方式の事業者 | 空き期間が実効利回りを削る |
| 中期を寝かせる | 案件が少ない事業者 | 資金の拘束が長い |
| 複数社で時期をずらす | どちらも | どこかで案件が出ていれば回せる |
| デポジットに置いておく | 次の案件を待つ間 | 事業者側に資金がある時間が長くなる |
04受け取りを選ぶべき場面
再投資が常に有利とは限りません。受け取るべき場面を挙げます。
| 場面 | 受け取る理由 |
|---|---|
| 生活費の一部に充てる | そのために投資している |
| 投資の総額が上限に近い | 決めた上限を超えないため |
| 1社に偏ってきた | 配分を戻すため |
| その事業者の案件の条件が悪くなった | 無理に同じ事業者に戻す必要はない |
| 募集がしばらく出ていない | 他の事業者に回す |
| 税の計算を単純にしたい | 出入りが少ないほうが記録が楽 |
| 生活の状況が変わった | 資金が必要になる可能性がある |
2行目が実務的には重要です。再投資を続けると、投資の総額がじわじわ増えます。「償還されたから次に回す」を繰り返すと、当初決めた上限を超えていることがあります。
年に一度、管理表で総額を確かめてください。上限を超えていれば、その分は受け取って別の場所に置く。これが配分を維持する方法です。
05実務的な回し方
再投資を選ぶ場合の、具体的な運用です。
- 複数社に口座を持つ。どこかで案件が出ていれば回せます。1社だけだと、募集がない期間は資金が遊びます。
- 満了の時期をずらす。同じ月に全部が償還されると、そのタイミングで全額を動かすことになります。
- 募集の通知を受け取る設定にする。メールやアプリの通知で、募集の開始を知る。
- デポジット口座を使うかを決める。次の案件にすぐ出せますが、事業者側に資金がある時間が長くなります。
- 年に一度、総額を確かめる。決めた上限を超えていないか。
- 超えていたら、その分は受け取る。
4行目については、使わない資金は出金しておくのが安全です。デポジット口座の資金は分別管理の対象ですが、事業者側にある時間が長いほどその仕組みに依存することになります。
そして、再投資は義務ではありません。案件の条件が悪いと思ったら、出さずに置いておく。それも一つの判断です。「資金を遊ばせたくない」という気持ちで条件の悪い案件に出すのは、順序が逆になっています。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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