01投資型クラウドファンディングは、家族に見つけてもらいにくい
証券会社なら1つの口座に資産がまとまっていますが、この商品は事業者ごとに別のサイト、別のログイン、別の口座です。5社に出していれば、5か所に分散しています。
| 証券口座 | 投資型クラウドファンディング | |
|---|---|---|
| 口座の数 | 1〜2社にまとまることが多い | 事業者の数だけ |
| 残高の確認 | 1か所で全部見える | 事業者ごとにログイン |
| 郵送物 | 取引報告書などが届く | ほぼ電子のみ |
| 家族が気づく手がかり | 郵送物、通帳の入出金 | 通帳の入出金だけ |
| 死亡後の連絡 | 証券会社から届くことがある | 届かないことがある |
4行目と5行目が問題です。紙が届かないので、家族が存在に気づく手がかりがほとんどありません。通帳に「○○ファンド」からの入金があれば手がかりになりますが、運用中は入金もありません。
02残しておく一覧の、最小限の項目
1枚の紙かファイルに収まります。パスワードは書かないのが原則です。
| 項目 | 書く内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| サービス名 | COZUCHI、CREALなど | どこにあるか |
| 運営会社名 | 法人名 | 連絡先を調べるため |
| ログインのURL | — | 同上 |
| 登録したメールアドレス | — | 本人確認に使われる |
| おおよその金額 | 1万円単位でよい | 全体像の把握 |
| 出金先の銀行口座 | 銀行名と口座番号の下4桁 | 資金がどこに戻るか |
| 最終確認日 | この一覧をいつ更新したか | 情報の鮮度 |
| パスワード | 書かない | アクセスさせるための一覧ではない |
最後の行を補足します。相続の手続きは、ログインではなく事業者への連絡から始まります。相続人が事業者に連絡し、死亡の事実を伝え、所定の書類を出す形で進みます。パスワードは要りません。
むしろパスワードを書き残すと、紛失や盗難のときの危険が増えます。パスワードはパスワード管理ソフトか、別の安全な場所に。
03どこに置き、誰に伝えるか
一覧を作っても、存在が伝わらなければ意味がありません。
| 置き場所 | 利点 | 注意 |
|---|---|---|
| 紙にして、通帳や保険証券と一緒に保管 | 家族が探す場所にある | 更新を忘れやすい |
| エンディングノート | 他の情報とまとまる | 同上 |
| クラウドストレージ | 更新しやすい | アカウントに家族がアクセスできるか |
| 家族と共有しているフォルダ | 更新が反映される | — |
| 貸金庫 | 安全 | 開けるのに手続きが要る |
| 誰にも言わない | — | 放置される |
いちばん確実なのは、紙に印刷して、通帳や保険証券と同じ場所に置き、家族にその場所を伝えておくことです。相続の場面で家族が最初に探すのは、そこだからです。
| 伝えること | 言い方の例 |
|---|---|
| 投資をしていること | 「いくつかネットで投資をしている」 |
| 一覧の場所 | 「通帳と一緒に一覧を入れてある」 |
| 金額の規模感 | 「全部で○百万円くらい」 |
| すぐには現金化できないこと | 「運用期間が終わるまで引き出せない」 |
| 相続のときは事業者に連絡すること | 「一覧の会社に連絡して」 |
04相続が発生したあと、家族がすること
相続人の側の手順です。投資している本人がこの手順を知っておくと、一覧に何を書くべきかが分かります。
- 一覧または手がかりを探す。通帳の入出金、メール、パソコンやスマートフォンのブックマーク。
- 各事業者に連絡する。公式サイトの問い合わせ先から、相続が発生した旨を伝えます。
- 必要な書類を確認する。戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人の本人確認書類など。事業者によって違います。
- 運用中の案件の扱いを確認する。満了まで運用が続くのか、中途で精算されるのか。事業者と契約によります。
- 相続税の評価額を確認する。出資持分としての評価が必要になります。
- 名義変更または解約の手続きをする。
- 準確定申告を検討する。亡くなった年の所得について、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内。
4行目が実務的に効きます。運用中の案件は、すぐに現金化できないことが多い。相続税の納付は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内なので、売れない資産に税金がかかる状況が生じえます。
05本人が生きている間にできる、もう一段の備え
一覧を作る以外にできることです。
| 備え | 中身 | 効き方 |
|---|---|---|
| 社数を絞る | 3〜5社に抑える | 相続人が手続きする先が減る |
| 金額を把握しておく | 管理表で総額を見る | 全体像が伝えやすい |
| 登録した住所を最新にする | 引っ越したら各社で変更 | 通知が届く |
| メールを家族が見られるようにしておく | 共有のアカウント、または端末の開き方 | 手がかりが残る |
| 運用期間の長い案件を避ける | 短い案件のほうが、相続の時点で運用中の額が少ない | 手続きが軽くなる |
| 他の資産で納税資金を用意しておく | 相続税は現金で払う | 売れない資産の問題を避ける |
1行目が、いちばん効く備えです。10社に分散していると、相続人は10社と手続きすることになります。戸籍謄本を10通用意し、10通りの書式に記入する。分散の効果と、家族の手間を天秤にかけてください。
そして、投資していること自体を家族に伝えておくのがいちばん簡単な対策です。金額の細かい内訳より、「ネットでいくつか投資をしていて、一覧はここにある」という一言のほうが実務では役に立ちます。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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