10 分で読める投資総研編集部

低圧の系統用蓄電池は、出力50kW未満で電線につなぐ小さな設備です。
手続きが軽い代わりに、容量市場の収入を当てにしにくく、国が対策を議論しています。
同じ前提で容量の収入を満額入れると76%(20年の利回りは−2.7%)、半分なら37%です。
1kW(3kWh)を建設費7.2万円/kWh、需給調整6.0円で計算した値です。
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低圧の系統用蓄電池とは?利回りとデメリット5つ
結論から聞きたい。どうなんだ?
低圧の系統用蓄電池は、出力50kW未満で電線につなぐ小さな設備です。
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数字で見ると、こうなります
低圧の系統用蓄電池は、出力50kW未満で電線につなぐ小さな設備です。
手続きが軽い代わりに、容量市場の収入を当てにしにくく、国が対…
同じ前提で容量の収入を満額入れると76%(20年の利回りは−…
結果は、誰と組んでどこまで市場に出せるかで大きく変わります。
低圧の系統用蓄電池は、この50kW未満で一般の配電線につなぐ…
工場の中の蓄電池や家庭用とは別で、電池を単独で電線につなぎ、…
国の資料によると、低圧の申込みは急に増えました。
「早く、安く始められる」というのが低圧の売り文句になる理由で…
一方で、国がこの手軽さを問題として議論している点が、次の節に…
一般送配電事業者への聞き取りでは、1事業者が同時期に数百件申…
当面の対策の案は3つです。
昇圧を避ける目的の敷地分割への対策1事業者が多数申し込む事案…
低圧の系統用蓄電池は、出力50kW未満で電線につなぐ小さな設備です。
手続きが軽い代わりに、容量市場の収入を当てにしにくく、国が対策を議論しています。
同じ前提で容量の収入を満額入れると76%(20年の利回りは−2.7%)、半分なら37%です。
まとめ
この記事のポイント
くわしい数字と出どころは、本文で確かめてください。
結論から聞きたい。どうなんだ?
低圧の系統用蓄電池は、出力50kW未満で電線につなぐ小さな設備です。
低圧の系統用蓄電池とは、どの大きさの設備か?
国の資料では、出力50kW未満が低圧、50kW以上が高圧以上です。
国の資料では、出力50kW未満が低圧、50kW以上が高圧以上です。低圧の系統用蓄電池は、この50kW未満で一般の配電線につなぐ設備です。工場の中の蓄電池や家庭用とは別で、電池を単独で電線につなぎ、市場に出す目的のものを指します。
国の資料によると、低圧の申込みは急に増えました。資料の文は「8月末時点で約13万kW、約2,800件」としています。割り算すると1件あたり約46kWで、多くが上限の50kWに近い大きさだと分かります。
なお、同じページの図を見ると、この数字は2026年8月単月の新規受付の棒とほぼ同じ高さです。エリア別の累計の図(2025年4月〜2026年8月)では、東北だけで約20万kWあり、累計は文の数字より大きいと読めます。図から読み取った概数です。
増えたきっかけは2026年4月の制度変更です。低圧の設備をアグリゲーターが束ねて、需給調整市場に入札できるようになりました。1台ごとに小さいので、束ねて1つの調整力として扱います。
高圧と比べて、手続きはどう違うのか?
違いは大きく、国の資料に次のように書かれています。
違いは大きく、国の資料に次のように書かれています。
| 比べる点 | 高圧以上(50kW以上) | 低圧(50kW未満) |
|---|---|---|
| 接続検討 | 必要。検討料は1地点22万円(税込) | プロセスがない |
| 契約申込みの保証金 | 必要 | 支払いなしで申し込める |
| 土地の使用権原の提出 | 求められる | 求められない |
| 申込みから連系まで | 工事の想定工期の中央値は高圧で18か月 | 早ければ1か月ほど |
| 事故後の再連系 | 停電解消後に一送から連絡 | 自動復帰 |
「早く、安く始められる」というのが低圧の売り文句になる理由です。一方で、国がこの手軽さを問題として議論している点が、次の節につながります。
国は、低圧のどこを問題にしているのか?
2026年10月の資料で、国は低圧の系統用蓄電池に関する課題を挙げました。
2026年10月の資料で、国は低圧の系統用蓄電池に関する課題を挙げました。一般送配電事業者への聞き取りでは、1事業者が同時期に数百件申し込む例や、低圧にするために敷地を分割する例があるとしています。
当面の対策の案は3つです。
分割については、具体的な見直しの方向が示されています。
| 見直しの点 | いまの運用 | 資料が示す方向 |
|---|---|---|
| 土地の名義を分けた場合 | 地権者の同一性を1年さかのぼって確認 | 蓄電設備では5年さかのぼる |
| 異なる種類の設備を隣に置く場合 | 分割設置の例外(特段の理由5) | 蓄電設備を例外の対象外にする |
これらは議論中の案で、決定ではありません。太陽光の隣の土地に低圧の蓄電池を置く形や、土地を分けて複数台並べる形の案件は、この議論の影響を受ける可能性があり、契約の前に、最新の扱いを売り手と電力会社に確かめます。
低圧だと、利回りはいくらになるのか?
低圧そのものの建設費の公的な統計は確認できませんでした。
低圧そのものの建設費の公的な統計は確認できませんでした。国の調査の最も小さい区分は10MWh未満で、設備6.5万円+工事費0.7万円です(1kWhあたり)。高圧(2MW未満)も同じ7.2万円です。50kWの設備は、その区分の中でもかなり小さい方です。
そこで7.2万円を下限として、10・12・15万円を仮に置きました。49.9kW(150kWh)の1台の金額は次のとおりで、容量の収入は入れていません。
| 建設費(仮) | 投資額 | 1年目の需給調整の収入 | 運転維持費を引いた額 | 20年で戻る割合 |
|---|---|---|---|---|
| 7.2万円 | 1,078万円 | 30万円 | 5万円 | −2% |
| 10.0万円 | 1,497万円 | 30万円 | 5万円 | −3% |
| 12.0万円 | 1,796万円 | 30万円 | 5万円 | −3% |
| 15.0万円 | 2,246万円 | 30万円 | 5万円 | −3% |
容量の収入がないと、運転維持費の5,000円/kWを需給調整の収入だけで払う形で、手残りが小さいので、投資を戻すのに時間がかかります。元本が戻るのに要る値段は、建設費7.2万円で18.3円、20年国債(3.89%)に並ぶには23.3円です。容量の収入を満額入れる場合の9.0円より高くなります。上限価格は、複合が2026年9月1日の実需給分から1時間あたり20円(30分で10円)です。一次・二次①は20円、二次②・三次①は14.42円、三次②は設定がありません。20円を超える値は、いまの複合の上限では届きません。
需給調整の値段と20年の利回り(容量の収入なし)
横軸は需給調整の値段(円/ΔkW・時間)。20円より右は、いまの複合の上限を超える値です。線に触れると数字が出ます。
| 建設費(仮) | 6.0円 | 10.0円 | 15.0円 | 20.0円 |
|---|---|---|---|---|
| 7.2万円 | 算出できず | −12.2% | −3.3% | 1.4% |
| 10.0万円 | 算出できず | 算出できず | −6.7% | −2.2% |
| 12.0万円 | 算出できず | 算出できず | −8.7% | −4.1% |
| 15.0万円 | 算出できず | 算出できず | −11.4% | −6.4% |
表の見出しは需給調整の値段で、6.0円は直近12か月の複合の平均です。15円や20円は、仮に高い値段が20年続くとした場合です。「算出できず」は、手残りが途中から(または最初から)マイナスになり、利回りが1つに定まらない場合です。元本は戻りません。
容量市場の収入は、低圧にも入るのか?
容量市場に単独で参加するには、期待容量1,000kW以上が必要です。
容量市場に単独で参加するには、期待容量1,000kW以上が必要です。49.9kWの設備なら、設備容量で単純に割ると21台です。期待容量では調整係数の分だけ増えます。まとめて参加する形なら収入の道はありますが、受け取る額は組む会社の条件で決まります。
国の試算の8,348円/kWは、全国平均の想定です。売り手の試算で低圧の設備に同じ額が入っていたら、どの会社が、どの年度の容量市場に、どの条件で入札するのかを聞いてください。上の図のとおり、ここだけで戻る割合が77ポイント動きます。
手数料と運転維持費は、どれくらい効くのか?
低圧は1台が小さいので、束ねて運用する会社の手数料と、1台ごとの管理の費用が重くなりがちです。
低圧は1台が小さいので、束ねて運用する会社の手数料と、1台ごとの管理の費用が重くなりがちです。国の試算の運転維持費5,000円/kWは、1万kW以上の案件などを参照した前提で、小さい設備に同じ額が当てはまるかは確認できませんでした。
次の表は、建設費7.2万円、値段15円、容量の収入なしでの20年の利回りで、手数料の率と運転維持費は、影響を見るための仮の数字です。
| 手数料(仮) | 運転維持費 5,000円/kW | 8,000円/kW | 12,000円/kW |
|---|---|---|---|
| 0% | −3.3% | −8.2% | 算出できず |
| 10% | −5.1% | −12.3% | 算出できず |
| 20% | −7.4% | 算出できず | 算出できず |
| 30% | −10.6% | 算出できず | 算出できず |
「算出できず」は、手残りが途中から(または最初から)マイナスになり、利回りが1つに定まらない場合です。元本は戻りません。売り手の収支表で、遠隔監視、通信、草刈り、保険、点検、手数料が別に書かれているかを見ます。「管理費込み」なら、何が含まれるかを聞きます。
安全の規制は、どこまでかかるのか?
ここは資料どうしで読み方に注意が要ります。
ここは資料どうしで読み方に注意が要ります。第13回WG資料 p.22 の表では、蓄電所の列で、50kW未満の行まで「電気主任技術者の選任・保安規程の届出」の枠が伸びています。一方、国の委託調査には、50kW未満を一般用電気工作物とする整理があります。どちらが当てはまるかは、所管の産業保安監督部に確かめてください。
必要であれば、1台ごとの費用が収支に効くので、契約の前に済ませます。消防や立地の条例も自治体ごとに違います。
高圧の設備と、収支はどこが違うのか?
どの項目も、低圧の案件を高圧の平均の数字で計算してはいけない理由です。
| 項目 | 高圧の前提(この計算) | 低圧で変わりうる点 |
|---|---|---|
| 容量の収入 | 8,348円/kW | 単独では参加不可。組む会社の条件しだい |
| 需給調整 | 直近の複合の平均 | 束ねた後の取り分で決まる |
| 運転維持費 | 5,000円/kW | 小規模の相場は不明 |
| 建設費 | 6.2万円/kWh(2023年度の補助事業のシステム価格の平均、工事費を含まない) | 規模が小さく、単価は高めの可能性 |
| 接続 | 工事費負担金あり | 負担の有無は地点による。確認が必要 |
| 地点の数 | 1か所 | 同じ出力なら多数の地点 |
どの項目も、低圧の案件を高圧の平均の数字で計算してはいけない理由です。
分割設置のルールは、どこまで決まっているのか?
分割の話は、太陽光で先に問題になりました。
分割の話は、太陽光で先に問題になりました。流れを押さえると、なぜ蓄電池にも及ぶのかが分かります。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2012年〜 | FIT開始後、50kW未満に分けた太陽光の「分割案件」が増加 |
| 2014年〜 | FIT制度の中で、分割の抑止を開始 |
| 2021年〜 | 非FITの太陽光でも、分割とみられる案件が急増 |
| 2022年4月 | 電気事業法施行規則の改正。特段の理由がない隣接の設置は「一の構内」 |
| 2023年4月 | 発電等設備への読み替え。蓄電池も同じ枠組みに |
| 2026年4月 | 低圧の需給調整市場への参加開始、申込みの急増 |
| 2026年10月 | 蓄電設備の分割対策の見直しをWGで議論 |
国が懸念として挙げているのは、保安規制の回避という不公平、管理費用の託送料金への転嫁、不要な電柱やメーターの設置で、資料が示す相談の例は2つの型です。
| 型 | 中身 | いまの扱いと論点 |
|---|---|---|
| 土地を複数の名義に分ける | 1つの土地を分割し、各区画に低圧の電池 | 申込みの1年以上前の分割なら、名義が違うとして分割に当たらない場合も |
| 既設の発電所の敷地の活用 | 分筆、柵での区切り、隣地に低圧の電池 | 異種の設備は例外の扱い。昇圧回避や上位系統への影響が懸念 |
| 発電所の敷地内に併設 | 同じ構内で変動の調整や市場参加 | 資料では特段の懸念なし |
売り手の図面で、同じ名義の土地に同じ形の設備が並んでいたら、この論点に触れないかを必ず聞いてください。
台数を増やすと、金額はどう変わるのか?
低圧の案件は、複数の台数をまとめて売られることがあります。
低圧の案件は、複数の台数をまとめて売られることがあります。1台49.9kW・建設費7.2万円で単純に掛けました。分割に当たらないことが前提で、単価の値引きは考えていません。
| 台数 | 出力の合計 | 投資額 | 容量市場の1,000kWとの比 |
|---|---|---|---|
| 1台 | 49.9kW | 1,078万円 | 5% |
| 2台 | 99.8kW | 2,156万円 | 10% |
| 5台 | 249.5kW | 5,389万円 | 25% |
| 10台 | 499.0kW | 10,778万円 | 50% |
| 21台 | 1,047.9kW | 22,635万円 | 105% |
同じ金額でも、1か所の高圧と多数の低圧では、管理の手間と地点の数が違います。地点ごとに土地、通信、点検が要ります。
低圧のデメリットを整理すると、何があるか?
単独では参加できず、組む会社の条件しだいです。
単独では参加できず、組む会社の条件しだいです。
単独参加は1,000kW以上。49.9kWなら設備容量で21台分
国の資料でも、容量が大きいほど単価が下がる傾向があります。
10MWh未満 7.2万円、50MWh以上 5.0万円/kWh(2025年度)
分割の扱いや多数の申込みへの対策が議論されています。
地権者の確認を1年→5年さかのぼる案(2026年10月のWG)
国の資料は、同じ系統に多数つながると電圧や事故復旧に影響しうるとしています。
低圧の設備は事故後に自動で再連系
単独では入札できないので、その会社が続くことが前提になります。
2026年4月から、アグリゲーターが束ねる形で応札
良い面もあります。金額が小さく、手続きが軽く、連系が早い場合があります。どちらを重く見るかは、買う人の判断です。節税の説明を受けたときは、系統用蓄電池のページの要件もあわせて見てください。
「低圧の案件で、売り手に聞くこと」って、どういうことだ?
下の表と図で、順に見ていきましょう。
ほかに、よく聞かれることは?
よく聞かれることを、ここにまとめました。
公的な相場はありません。この記事の前提では、容量の収入なしだと20年の手残りの合計がマイナスで、満額でも投資額の76%です。建設費と値段で大きく変わります。
いまの手続きでは、低圧に接続検討のプロセスはなく、契約申込みから始まります。国は接続検討を求めるかどうかも論点に挙げています。
特段の理由がなく隣接して置くと一の構内と扱われることがあり、国が蓄電設備の扱いの見直しを議論しており、個別に電力会社と専門家に確かめてください。
異なる種類の設備は例外とされてきましたが、蓄電設備を例外から外す方向が資料に示されており、議論中の案なので、最新の扱いを確かめてください。
どちらとも言えません。手続きは軽い一方、容量の収入と単価で不利になりやすい構造です。
計算の49.9kWは、低圧の上限の手前の値として置いたものです。10・12・15万円、手数料の率、運転維持費8,000円と12,000円は、影響を見るための仮の値で、実際の相場ではありません。3時間率で計算しているので、時間率が違う設備はkWhに直して読み替えます。
確認できなかったこと:低圧の建設費の統計、手数料の水準、50kW未満の蓄電所の保安の扱いの確定。過去の値段による計算で、将来を予想したものではありません。特定の商品や会社をすすめるものでもありません。
税金を引いた後の金額です(単利)。満期が先に来るものは同じ利率で入れ直したとします。元本割れ・遅延・中途換金は含みません。 預金は日本銀行の平均金利(2026年9月)、国債は今月の利率、社債は個人向け社債29本の利率の中央値、クラファンは不動産型の実案件1173件の想定利回りの中央値です。 クラファンの分配金は雑所得なので、所得税×1.021+住民税10%で計算しています。年収からの税率は、独身の会社員で社会保険料を年収の15%とした目安です(扶養やiDeCoなどがあると下がります)。