10 分で読める投資総研編集部

系統用蓄電池とは、送配電網に直接つなぎ、電気をためて出す力を市場で売る大きな蓄電池です。
工場や家庭の中にも置きません。
国の検討会の前提で1,000キロワットの設備を計算すると、1年目の収入は約1,427万円です(直近12か月の値段)。
電線につながって動いている系統用蓄電池の量です。
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系統用蓄電池とは?仕組みと収入を図で
結論から聞きたい。どうなんだ?
系統用蓄電池とは、送配電網に直接つなぎ、電気をためて出す力を市場で売る大きな蓄電池です。
数字で見る
数字で見ると、こうなります
系統用蓄電池とは、送配電網に直接つなぎ、電気をためて出す力を市場で売る大きな蓄電池です。
発電はしません。
工場や家庭の中にも置きません。
収入は3つの市場から来ます。
違いは、どこにつなぐかです。
系統用は電力会社の電線に直接つなぎ、社会全体の需給に合わせて…
「系統」とは、発電所から家庭までをつなぐ電線の網のことです。
太陽光や風力は天気で出力が変わるので、すき間を埋める設備が要…
すき間を埋める力を、国の制度では「調整力」と呼びます。
送配電会社が需給調整市場で買います。
POINT 3
なぜ、電気をためる設備にお金が払われるのか
なぜ、電気をためる設備にお金が払われるのか?
電気は、作る量と使う量を常に合わせる必要があり、ずれると周波数が乱れ、最悪の場合は停電につながります。
蓄電池の大きさには2つの数字があります。
水道にたとえると、kWは蛇口の太さ、kWhはタンクの大きさで…
国の試算は3時間率を前提にしています。
系統用蓄電池とは、送配電網に直接つなぎ、電気をためて出す力を市場で売る大きな蓄電池です。
工場や家庭の中にも置きません。
国の検討会の前提で1,000キロワットの設備を計算すると、1年目の収入は約1,427万円です(直…
まとめ
この記事のポイント
くわしい数字と出どころは、本文で確かめてください。
結論から聞きたい。どうなんだ?
系統用蓄電池とは、送配電網に直接つなぎ、電気をためて出す力を市場で売る大きな蓄電池です。
系統用蓄電池とは、送配電網に直接つなぎ、電気をためて出す力を市場で売る大きな蓄電池です。発電はしません。工場や家庭の中にも置きません。
収入は3つの市場から来ます。国の検討会の前提で1,000キロワットの設備を計算すると、1年目の収入は約1,427万円です(直近12か月の値段)。将来もこの額が続くという意味ではありません。
電気の流れの中で、系統用蓄電池がいる場所
太陽光や需要の動きに合わせて、充電と放電を切り替えます。
利回りの計算は利回りの記事、節税の要件は系統用蓄電池のページ、案件の一覧は案件一覧にあります。この記事は、はじめての人向けに仕組みだけを説明します。
系統用蓄電池は、家庭用の蓄電池と何が違うのか?
家庭用は家の中の電気を受け持ちます。
違いは、どこにつなぐかです。家庭用は家の中の電気を受け持ちます。系統用は電力会社の電線に直接つなぎ、社会全体の需給に合わせて動きます。「系統」とは、発電所から家庭までをつなぐ電線の網のことです。
電気事業法の上でも扱いが分かれており、単独で置く系統用は「蓄電所」として規制されます。国の調査は、置き方ごとに次のように整理しています。
| 置き方 | つなぎ先 | 法律上の位置づけ | 主な使い道 |
|---|---|---|---|
| 系統用 | 電力の系統に単独で接続 | 蓄電所 | 市場で調整力・供給力・電気を売る |
| 再エネ併設 | 太陽光・風力の発電所 | 発電所を構成する設備 | 売れない時間の電気をためて後で売る |
| 業務・産業用 | 工場やビルの構内 | 需要設備を構成する設備 | 電気代のピークを下げる |
| 変電所内 | 変電所の設備 | 変電所を構成する設備 | 主に一般送配電事業者が設置 |
記事や広告で「蓄電池投資」と書かれていても、どの置き方かで収入の仕組みはまるで違います。まず「単独で系統につなぐ設備か」を確かめます。
なぜ、電気をためる設備にお金が払われるのか?
電気は、作る量と使う量を常に合わせる必要があり、ずれると周波数が乱れ、最悪の場合は停電につながります。
電気は、作る量と使う量を常に合わせる必要があり、ずれると周波数が乱れ、最悪の場合は停電につながります。太陽光や風力は天気で出力が変わるので、すき間を埋める設備が要ります。
すき間を埋める力を、国の制度では「調整力」と呼びます。送配電会社が需給調整市場で買います。商品は反応の速さで分かれています。
| 商品 | 主な役割 | 指令から反応まで | 続ける時間 |
|---|---|---|---|
| 一次調整力 | 周波数の変動に瞬時に対応 | 10秒以内 | 5分以上 |
| 二次調整力① | 周波数を元に戻す | 5分以内 | 30分 |
| 二次調整力② | 比較的短い周期の需給調整 | 5分以内 | 30分 |
| 三次調整力① | 需給の予測はずれ・電源の脱落に対応 | 15分以内 | 30分 |
| 三次調整力② | 再エネの予測はずれに対応 | 60分以内 | 30分 |
電池は燃料を燃やさずに出力を動かせます。この点が火力との違いです。国の資料によると、需給調整市場は2024年度に全商品の取引が始まりました。
kWとkWhは、どう読めばいいか?
kW(キロワット)は一度に出せる力、kWh(キロワット時)はためられる量です。
蓄電池の大きさには2つの数字があります。kW(キロワット)は一度に出せる力、kWh(キロワット時)はためられる量です。水道にたとえると、kWは蛇口の太さ、kWhはタンクの大きさです。
国の試算は3時間率を前提にしています。1,000キロワットで3時間出し続けられる、つまり3,000kWhの設備です。3時間なのは、容量市場の入札に3時間率以上が求められるためです。
家庭の電気と比べると実感がわきます。環境省の調査では、1世帯の電気は年3,911kWhで、1日あたり約10.7kWhです。3,000kWhは、その約280世帯分の1日の電気にあたります。
| 出せる力 | ためられる量(3時間率) | 1日に使う電気に直すと | つなぐ電圧の目安 |
|---|---|---|---|
| 50kW | 150kWh | 約14世帯分 | 高圧(50キロワット未満なら低圧) |
| 1,000kW | 3,000kWh | 約280世帯分 | 高圧 |
| 2,000kW | 6,000kWh | 約560世帯分 | 特別高圧 |
| 10,000kW | 30,000kWh | 約2,800世帯分 | 特別高圧 |
| 100,000kW | 300,000kWh | 約28,000世帯分 | 特別高圧 |
広告で「○MW/○MWh」と並んでいたら、割り算をします。2MW/8MWhなら4時間率です。kWhが増えるほど値段は上がるので、kWだけで安さを比べると誤ります。
設備は、どんな部品でできているか?
大きなコンテナが並んだ施設を想像してください。
大きなコンテナが並んだ施設を想像してください。中身は大きく4つに分かれます。
| 部品 | 役割 | 2025年度の単価(万円/kWh・補助事業の加重平均) |
|---|---|---|
| 電池部分 | 電気をためる。蓄電設備と制御装置を含む | 3.2 |
| PCS(電力変換装置) | 電池の直流と電線の交流を変換する | 0.4 |
| その他 | 付帯設備など | 0.4 |
| 工事費 | 基礎・据付・電気工事など | 0.9 |
電池部分が全体の約65%を占めます。この表のほかに、受変電設備(電圧を変える設備)や接続の工事費負担金がかかります。金額は投資額の記事で計算しています。
何から収入を得るのか?
同じ設備で、売っているものがそれぞれ違います。
収入の柱は3つです。同じ設備で、売っているものがそれぞれ違います。
1,000キロワットの設備の1年目の収入(需給調整と容量を組む場合)
需給調整は2025年7月〜2026年6月の複合市場の平均6.0円、1.5ブロック・落札率60%で計算。容量は三菱総合研究所の前提。
手残りは1年目で約927万円です。投資額は、建設費を6.2万円/kWh(2023年度の補助事業のシステム価格の平均、工事費を含まない)とすると1.86億円なので、その5.0%にあたります。収入の組み方の違いはビジネスモデルの記事で比べています。
電気を売るだけの発電所と、どう違うのか?
発電所は電気を作って売ります。
発電所は電気を作って売ります。蓄電池は電気を作りません。買った電気を出すので、充電と放電の間で必ずロスが出ます。国の試算の充放電効率は90%です。
つまり、10kWhためても9kWhしか戻りません。値差で稼ぐなら、ロスを超える差が要ります。三菱総合研究所の計算では、1日の高い6コマと安い6コマの差は、2019年度4.45円、2022年度17.54円でした。
一方で、発電量が天気に左右されるわけではありません。代わりに、市場の値段と約定の量に収入が左右されます。太陽光との比較はメリット・デメリットの記事にあります。
いま、どれくらい動いているのか?
国の資料によると、連系済みは2023年12月の7万キロワットから2026年6月の128万キロワットまで増えました。
国の資料によると、連系済みは2023年12月の7万キロワットから2026年6月の128万キロワットまで増えました。2年半で18倍です。
連系済みの系統用蓄電池(高圧以上)
資源エネルギー庁の資料。線に触れると数字が出ます。
ただし、申し込みの量はこの比ではありません。接続検討は21,129万キロワット、契約申込みは4,087万キロワットです。接続検討から見ると、契約申込みは19%、連系済みは0.6%にあたります。国の注記のとおり、接続検討のすべてが接続に至るものではありません。
どの地域に集まっているかを見ると、偏りがあります。
| エリア | 接続検討 | 契約申込み | 検討に対する契約の割合 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 836万kW | 234万kW | 28% |
| 東北 | 8,396万kW | 658万kW | 8% |
| 東京 | 4,138万kW | 851万kW | 21% |
| 中部 | 2,013万kW | 519万kW | 26% |
| 北陸 | 542万kW | 92万kW | 17% |
| 関西 | 1,434万kW | 331万kW | 23% |
| 中国 | 2,324万kW | 525万kW | 23% |
| 四国 | 271万kW | 61万kW | 23% |
| 九州 | 1,176万kW | 816万kW | 69% |
| 9エリアの計 | 21,130万kW | 4,087万kW | 19% |
計が本文の21,129万キロワットと1だけ違うのは、四捨五入のためです。検討量は東北と東京が多く、九州は検討に対する契約の割合が高めです。この割合は同じ時点の残高どうしの比で、1件ずつ追った移行率ではありません。国の委託調査では、2023〜24年度に接続検討を受け付けた案件のうち、契約申込みに進んだのは7〜13%程度でした。
どんな規制がかかるのか?
つなぐ電圧の目安は、出力で見ると、50キロワット未満が低圧、50キロワット以上2,000キロワット未満が高圧、2,000キロワット以上が特別高圧です。
つなぐ電圧の目安は、出力で見ると、50キロワット未満が低圧、50キロワット以上2,000キロワット未満が高圧、2,000キロワット以上が特別高圧です。法令の低圧・高圧・特別高圧は電圧の区分で、ここでは目安として並べました。国の資料では、1万キロワット以上または8万kWh以上の蓄電所には工事計画や使用前自主検査が加わります。
規模が大きいほど、手続きと人の費用が増えます。逆に低圧は手続きが軽い一方、国が対策を議論しています。詳しくは低圧の記事に書きました。
接続の手続きは、高圧以上なら、接続検討を申し込み、回答を受けて契約を申し込み、工事費負担金を払って工事に進む流れです。接続検討料は1地点22万円(税込)で、国は引き上げを議論しています。
個人は、どんな形で関われるのか?
関わり方は大きく3つあります。
関わり方は大きく3つあります。すすめるものではなく、形の違いの整理です。
利回りの計算は利回りの記事、ファンドは投資信託・ファンドの記事にあります。
設備を買う形は金額が大きくなります。同じ「蓄電池」でも、リスクの中身は形で変わります。リスクはリスクの記事にまとめています。
よくある誤解は、どこにあるのか?
広告の短い言葉は、どれか1つの面だけを切り取っていることがあります。
| よくある言い方 | 実際のところ |
|---|---|
| 太陽光の電気をためる設備 | 単独の系統用は発電所と別。系統の電気を充放電 |
| 電気を売って稼ぐ事業 | 待機と約束の対価も収入。電気の値差だけではない |
| 国が買い取ってくれる | 固定価格の買取はなし。相手は市場 |
| 置けばすぐ動く | 高圧以上は接続の手続きと工事に年単位の例も |
| 大きいほど収入だけが増える | 規模に応じて手続き、保安、接続の費用も増加 |
| 家庭用の大きい版 | 目的も、つなぎ先も、法律上の区分も別物 |
広告の短い言葉は、どれか1つの面だけを切り取っていることがあります。言葉だけで判断せず、表の右側の点を書面で確かめます。
1日の中で、どう動くのか?
実際の運用は、入札の結果と市場の値段で決まります。
晴れた日の動きの一例です。実際の運用は、入札の結果と市場の値段で決まります。
| 時間帯 | 電線の様子 | 電池の動きの例 |
|---|---|---|
| 深夜 | 需要が小さく、値段は低め | 残量の調整、待機 |
| 朝 | 需要の立ち上がり、火力の出力増 | 放電、または調整力の待機 |
| 昼 | 太陽光の発電が増え、地域によっては値段が0.01円のコマも | 充電 |
| 夕方 | 太陽光の減少と需要の増加が重なる時間 | 放電、または調整力の待機 |
| 夜 | 需要の低下、発電の絞り込み | 待機、次の日に向けた残量の調整 |
「0.01円のコマ」とは、30分単位の卸電力の値段がほぼゼロになった時間のことで、余った電気の時間に充電できれば、値差の元になります。
制度は、どのように整ってきたのか?
記事や資料を読むときは、書かれた日付を確かめます。
若い制度なので、ルールの見直しが続いており、国の資料で確かめた節目を並べました。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2021年度 | 需給調整市場の開設 |
| 2022年4月 | 太陽光などの分割設置を抑える省令改正 |
| 2023年4月 | 電気事業法の改正で、蓄電用の電気工作物も発電等用電気工作物に |
| 2024年度 | 需給調整市場の全商品の取引開始 |
| 2026年3月14日 | 全商品の前日取引への移行 |
| 2026年4月 | 低圧リソースを束ねた需給調整市場への応札が可能に |
| 2026年8月 | 1事業者あたりの接続検討の申込件数に上限 |
| 2026年10月 | 接続検討料の引き上げと、低圧の分割対策の議論 |
記事や資料を読むときは、書かれた日付を確かめます。2024年ごろの説明のままでは、いまの市場の形と合わないことがあります。
よく出てくる言葉は、どういう意味か?
どれも案件の説明で普通に使われる言葉です。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 系統 | 発電所から需要家までをつなぐ電線の網 |
| 連系 | 設備を電線につなぎ、一緒に動かすこと |
| 一般送配電事業者(一送) | 地域の電線を運用する会社。東京電力パワーグリッドなど |
| 調整力 | 需給のずれを埋めるために、出力を上下させる力 |
| ΔkW(デルタキロワット) | 指令があれば動かせる出力の余力 |
| アグリゲーター | 複数の設備を束ね、入札や運用を担う事業者 |
| PCS | 直流と交流を変換するパワーコンディショナー |
| 時間率 | 最大の出力で何時間出し続けられるかの目安 |
| 充放電深度 | 満充電に対して、実際に出し入れする割合 |
| 工事費負担金 | 接続のための電線の工事で、事業者が負担する費用 |
| 接続検討 | 接続の可否や工事費を電力会社に調べてもらう有料の手続き |
どれも案件の説明で普通に使われる言葉です。分からないまま話を進めないでください。
ほかに、よく聞かれることは?
よく聞かれることを、ここにまとめました。
送配電網に直接つなぐ大型の蓄電池で、電気をためて出す力を市場で売り、収入を得ます。発電はしません。
単独で系統につなぐ蓄電池は、電気事業法上は蓄電所として規制されます。系統用蓄電池を法律の側から呼んだ言葉と考えて差し支えありません。
いいえ。需給調整市場では、実際に放電しなくても、待機する力に対して支払いがあります。
国の試算の前提は20年で、容量は年1%ずつ減るとしています。実際は使い方と製品で変わるので、保証の条件を確かめます。税務上の年数は耐用年数の記事を見てください。
技術基準への適合が求められ、安全に関するJIS規格もあります。ただ、リスクがゼロとは言えません。立地の条例も自治体ごとに違うので、案件ごとに確かめます。
「世帯分」は kWh を全国平均の1日あたりの消費量で割った目安です。実際に何世帯に送れるかを示すものではありません。金額は過去の値段で計算したもので、将来の収入を予想したものではありません。特定の商品や会社をすすめるものでもありません。
「計算の例」は実際の商品の条件ではありません。出口(売却・契約終了)で戻る額は、帳簿の価値がほぼ0になっているので、そのまま利益として課税されるとしています。 法人は実効税率30%の例です。手数料・出口の額・出口の税率を変えた詳しい計算は減価償却の繰り延べ計算で。