10 分で読める投資総研編集部

回収の年数は、建設費と需給調整の値段でほぼ決まります。
販売の案内には「4〜5年で回収」のような数字が見られます。
その数字が成り立つ条件を逆算します。
国の検討会の前提で、需給調整の値段が直近12か月の平均6.0円のまま続くとした場合です。
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系統用蓄電池の投資回収期間|何年で元が取れる
結論から聞きたい。どうなんだ?
回収の年数は、建設費と需給調整の値段でほぼ決まります。
数字で見る
数字で見ると、こうなります
回収の年数は、建設費と需給調整の値段でほぼ決まります。
この記事の前提で「5年で回収」に要る値段は、建設費6.2万円…
販売の案内には「4〜5年で回収」のような数字が見られます。
その数字が成り立つ条件を逆算します。
ここでの手残りは、収入から運転維持費を引いた税引き前の額です…
建設費6.2万円なら、投資額は1kWあたり186,000円で…
1年目の手残りは9,270円なので、割り算だけなら約20年で…
1.5ブロック・落札率60%・容量の収入8,348円/kWの…
横にスクロールすると残りの列が見えます直近12か月の複合の平…
建設費6.2万円で5年回収なら35.1円、10年回収でも16…
安い値段の範囲では、少しの違いで結果が大きく変わります。
需給調整の値段と回収の年数建設費6.2万円建設費4万円建設費…
20年で届かない値段は線がありません。
回収の年数は、建設費と需給調整の値段でほぼ決まります。
販売の案内には「4〜5年で回収」のような数字が見られます。
その数字が成り立つ条件を逆算します。
まとめ
この記事のポイント
くわしい数字と出どころは、本文で確かめてください。
結論から聞きたい。どうなんだ?
回収の年数は、建設費と需給調整の値段でほぼ決まります。
回収の年数は、建設費と需給調整の値段でほぼ決まります。この記事の前提で「5年で回収」に要る値段は、建設費6.2万円で35.1円、直近の平均の5.8倍です。
販売の案内には「4〜5年で回収」のような数字が見られます。その数字が成り立つ条件を逆算します。成り立たないと言いたいのではなく、何を前提にした数字かを読めるようにするための記事です。
前提別の回収の年数(1,000kW)
20年で届かない組み合わせは棒を出していません。1.5ブロック・落札率60%・容量の収入あり。青は直近の値段6.0円、橙は15円。
投資回収期間とは、何を数えた年数か?
投資回収期間は、毎年の手残りを足して投資額に届くまでの年数です。
投資回収期間は、毎年の手残りを足して投資額に届くまでの年数です。ここでの手残りは、収入から運転維持費を引いた税引き前の額です。
建設費6.2万円なら、投資額は1kWあたり186,000円です。1年目の手残りは9,270円なので、割り算だけなら約20年です。実際には電池の傷みで手残りが減り、20年で累計164,847円にしかなりません。21,153円足りない計算です。
お金は運転開始より先に出ていくので、支払いから数えれば工期の分だけ回収は延びます(工期の見方は施工会社の記事)。
回収の年数はわかりやすい物差しですが、弱点が2つあります。回収した後のことが分からないことと、お金の時間の価値が入らないことです。そこで、利回りと合わせて読みます。
5年で回収するには、値段がいくら必要か?
建設費と回収の年数を決めて、要る値段を逆算しました。
建設費と回収の年数を決めて、要る値段を逆算しました。1.5ブロック・落札率60%・容量の収入8,348円/kWの計算です。
| 建設費 | 5年で回収 | 7年で回収 | 10年で回収 | 15年で回収 | 20年で回収 |
|---|---|---|---|---|---|
| 6.2万円 | 35.1円 | 24.3円 | 16.2円 | 9.9円 | 7.2円 |
| 5万円 | 27.6円 | 18.9円 | 12.4円 | 7.3円 | 5.1円 |
| 4万円 | 21.4円 | 14.4円 | 9.2円 | 5.1円 | 3.3円 |
| 3万円 | 15.2円 | 9.9円 | 6.0円 | 2.9円 | 1.5円 |
| 2万円 | 9.0円 | 5.5円 | 2.8円 | 0.7円 | 0.0円 |
直近12か月の複合の平均は6.0円です。建設費6.2万円で5年回収なら35.1円、10年回収でも16.2円が要ります。2024年7〜8月の蓄電池の約定価格は28〜39円でした。上限価格は、複合が2026年9月1日の実需給分から1時間あたり20円(30分で10円)です。一次・二次①は20円、二次②・三次①は14.42円、三次②は設定がありません。20円を超える値は、いまの複合の上限では届きません。
ブロック数を増やせば、要る値段は下がります。1.5ブロックで落札率60%の収入は、2ブロックで100%落札なら2.2倍です。ただ、国の試算は落札率が下がると想定して60%と置いています。5年回収の試算を見たら、値段・ブロック数・落札率のどれが高いのかを確かめます。
値段が変わると、回収の年数はどう動くか?
値段を上げると、回収の年数は急に短くなり、やがて変化が緩やかになります。
値段を上げると、回収の年数は急に短くなり、やがて変化が緩やかになります。安い値段の範囲では、少しの違いで結果が大きく変わります。
需給調整の値段と回収の年数
横軸は需給調整の値段(円/ΔkW・時間)。20年で届かない値段は線がありません。20円より右は、いまの複合の上限を超える値です。線に触れると数字が出ます。
たとえば、建設費4万円なら、直近の値段で13.5年で、建設費2万円まで下がれば6.6年です。建設費がいくらかは投資額の記事で確かめてください。エリアによる収入の差はビジネスモデルの記事にあります。
割り算の回収年数と、どれくらい違うのか?
売り手の資料では「投資額÷年間の手残り」で回収年数を出すことがあり、電池の傷みを入れると、少し長くなります。
売り手の資料では「投資額÷年間の手残り」で回収年数を出すことがあり、電池の傷みを入れると、少し長くなります。さらに、お金の時間の価値を入れると、もっと長くなります。
| 建設費 | 割り算(1年目の手残りで) | 傷みを入れた回収 | 国債3.89%で割り引いた回収 |
|---|---|---|---|
| 4万円 | 12.9年 | 13.5年 | 20年で届かず |
| 3万円 | 9.7年 | 10.0年 | 13.0年 |
| 2万円 | 6.5年 | 6.6年 | 7.8年 |
割り引くとは、将来の100円を今の価値に直すことです。同じ20年の国債(3.89%、2026-09-29)で割り引きました。国債に置いても増えたはずのお金を差し引いて考える数字です。値段は直近の平均6.0円で計算しています。
はじめの数年だけ値段が高いと、どうなるか?
2024年夏の蓄電池の約定は1時間あたり28〜39円でした。
2024年夏の蓄電池の約定は1時間あたり28〜39円でした。こうした高い時期の収入で早く回収する、という説明はあり得ます。そこで、はじめの数年だけ15円で、その後は直近の平均6.0円になる場合を計算しました。15円は国の試算の上の感度の値で、予想ではありません。
| 15円の続く期間 | 建設費6.2万円 | 建設費4万円 | 建設費3万円 |
|---|---|---|---|
| はじめから直近の値段 | 20年で届かず | 13.5年 | 10.0年 |
| 3年 | 18.2年 | 10.4年 | 7.0年 |
| 5年 | 16.2年 | 8.5年 | 5.1年 |
| 10年 | 11.3年 | 6.8年 | 5.0年 |
| 20年 | 10.7年 | 6.8年 | 5.0年 |
高い値段がどれだけ続くかで、回収は大きく変わります。「足元の実績」で回収を計算している場合は、それが何年続く前提なのかを聞きます。
もう1つは、毎年少しずつ下がる場合です。はじめ15円で、毎年同じ割合で下がるとして計算しました。下がる率は影響を見るための仮の数字です。
| 値段の下がり方(仮) | 建設費6.2万円 | 建設費4万円 | 建設費3万円 |
|---|---|---|---|
| 年0% | 10.7年 | 6.8年 | 5.0年 |
| 年5% | 13.6年 | 7.8年 | 5.5年 |
| 年10% | 20年で届かず | 9.3年 | 6.2年 |
| 年15% | 20年で届かず | 11.7年 | 7.2年 |
電池の寿命より先に回収できるか?
回収が済む前に電池が使えなくなると、元が戻りません。
回収が済む前に電池が使えなくなると、元が戻りません。国の試算は20年使える前提です。値段を15円として、使える年数を変えて計算しました。「届かず」は、その年数のうちに回収できないという意味です。
| 使える年数 | 建設費6.2万円 | 建設費4万円 | 建設費3万円 |
|---|---|---|---|
| 10年で終わる | 届かず | 6.8年 | 5.0年 |
| 15年で終わる | 10.7年 | 6.8年 | 5.0年 |
| 20年で終わる | 10.7年 | 6.8年 | 5.0年 |
メーカーの保証は、期間だけでなくサイクル数や使い方の条件がついていることがあります。保証の年数が回収の年数より短いときは、切れた後の交換の費用を計算に入れます。メーカーの見方はメーカーの記事にあります。
累計の手残りは、何年目にいくらになるのか?
1,000kWの設備で、5年おきの累計です。
1,000kWの設備で、5年おきの累計です。値段は直近の平均6.0円のままで、投資額を引く前の金額を並べました。
| 時点 | 建設費6.2万円 | 建設費4万円 | 建設費3万円 | 建設費2万円 |
|---|---|---|---|---|
| 投資額 | 1.86億円 | 1.20億円 | 9,000万円 | 6,000万円 |
| 5年目までの手残り | 4,576万円 | 4,576万円 | 4,576万円 | 4,576万円 |
| 10年目までの手残り | 9,003万円 | 9,003万円 | 9,003万円 | 9,003万円 |
| 15年目までの手残り | 1.33億円 | 1.33億円 | 1.33億円 | 1.33億円 |
| 20年目までの手残り | 1.65億円 | 1.68億円 | 1.70億円 | 1.71億円 |
20年目の行は撤去の費用を引いたあとの額で、投資額の行を超えた時点が回収です。
借入を使うと、手元のお金はいつ戻るか?
銀行から借りた場合の、自己資金の回収を計算しました。
銀行から借りた場合の、自己資金の回収を計算しました。借入8割、元利均等15年の例で、金利は実際の条件ではありません。
| 前提 | 自己資金 | 毎年の返済 | 1年目に手元に残る額 | 自己資金が戻る年 |
|---|---|---|---|---|
| 建設費3万円・値段6.0円・金利3% | 18,000円 | 6,031円 | 3,239円 | 5.8年 |
| 建設費3万円・値段15.0円・金利3% | 18,000円 | 6,031円 | 12,099円 | 1.5年 |
| 建設費6.2万円・値段15.0円・金利3% | 37,200円 | 12,464円 | 5,666円 | 7.1年 |
返済の分だけ毎年の手元の額が減るので、借入なしの回収より短くなるとは限りません。自己資金が戻った時点でも、借入の残りは続いています。1年目の額がマイナスなら、毎年お金を足す計算です。
回収した後は、どうなるのか?
回収後の手残りが、その投資の増えた分です。
回収はゴールではありません。回収後の手残りが、その投資の増えた分です。建設費3万円で直近の値段なら10.0年で回収し、20年の累計の手残りは投資額を引いて79,647円(1kWあたり)、利回りは7.4%です。
ただ、最後の年には撤去の費用がかかります。国の試算は建設費の5%です。売却して手放す場合の値段は、公的な統計が確認できません。売却の記事を見てください。
税金もこの計算の外です。即時償却をうたう説明では、税が減る分で早く回収できると言われることがあります。ただ、償却で減る税は売却時などに戻ることがあり、回収が早くなる分をそのまま利益と見ることはできません。要件は系統用蓄電池のページ、税金の全体は税金の記事にあります。
何を確かめればいいんだ?
下の表と図で、順に見ていきましょう。
ほかに、よく聞かれることは?
よく聞かれることを、ここにまとめました。
公的な相場はありません。この記事の前提では、建設費6.2万円は20年で届かず、4万円は13.5年、3万円は10.0年です。
嘘とは言えません。建設費が安い、値段が高い、ブロック数や落札率が高いなどの前提なら計算上は成り立ちます。その前提が続くかを確かめます。
両方です。回収年数は分かりやすいのですが、回収後の分が見えません。利回りは20年全体を見られます。
投資額が減る分だけ早くなります。建設費が6.2万円から4万円に下がったのと同じなら、20年で届かずが13.5年になります。補助の条件は補助金の記事を見てください。
自己資金に対する回収は早く見えることがありますが、返済の分だけ毎年の手残りが減ります。元の利回りが金利より低いと、逆に苦しくなります。
回収の年数は、年の途中は均等に手残りが入るとして小数で表しました。税金・借入の利息・手数料・電池の交換は入っていません。値段が下がる率や15円の続く年数は影響を見るための仮の数字で、将来を予想したものではありません。特定の商品や会社をすすめるものでもありません。
「計算の例」は実際の商品の条件ではありません。出口(売却・契約終了)で戻る額は、帳簿の価値がほぼ0になっているので、そのまま利益として課税されるとしています。 法人は実効税率30%の例です。手数料・出口の額・出口の税率を変えた詳しい計算は減価償却の繰り延べ計算で。