10 分で読める投資総研編集部

施工会社は、値段の前に「見積もりの範囲」と「遅れたときの負担」を比べるのが大切です。
工事費そのものより、範囲の外の費用と運転開始の遅れのほうが、利回りに大きく効くことがあるからです。
三菱総研の整理では、蓄電システムの施工に精通したEPC企業や施工会社が相対的に少ないことが課題に挙げられています。
2023年度の国の補助事業の平均で、システム価格6.2万円/kWh(工事費を含まない)に対して工事費は1.4万円/kWhです(三菱総研の資料 p.8)。
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系統用蓄電池の施工会社の選び方|比較する7項目
結論から聞きたい。どうなんだ?
施工会社は、値段の前に「見積もりの範囲」と「遅れたときの負担」を比べるのが大切です。
数字で見る
数字で見ると、こうなります
施工会社は、値段の前に「見積もりの範囲」と「遅れたときの負担」を比べるのが大切です。
工事費そのものより、範囲の外の費用と運転開始の遅れのほうが、…
三菱総研の整理では、蓄電システムの施工に精通したEPC企業や…
EPCは、設計・調達・建設をまとめて請け負うことです。
工事費は基礎・据付・電気・付帯の工事を含みます。
規模ごとの工事費(万円/kWh)10MWh未満の工事費1.5…
令和3年度補正・令和4年度補正・令和5年度の補助事業データか…
例外は軽微な工事だけです。
電気工事などの建築一式以外では、1件の請負代金が500万円未…
金額は税込みで、注文者が材料を出す場合はその市場価格と運賃も…
工場や家庭に置く蓄電池と、送電網につなぐ蓄電所では、工事の中…
同じ電圧(低圧・高圧・特別高圧)の実績か、同じメーカーの機器…
この4つを聞くと、受注の数字と完成の数字を分けて読めます。
施工会社は、値段の前に「見積もりの範囲」と「遅れたときの負担」を比べるのが大切です。
工事費そのものより、範囲の外の費用と運転開始の遅れのほうが、利回りに大きく効くことがあるからです…
三菱総研の整理では、蓄電システムの施工に精通したEPC企業や施工会社が相対的に少ないことが課題に…
まとめ
この記事のポイント
くわしい数字と出どころは、本文で確かめてください。
結論から聞きたい。どうなんだ?
施工会社は、値段の前に「見積もりの範囲」と「遅れたときの負担」を比べるのが大切です。
施工会社は、値段の前に「見積もりの範囲」と「遅れたときの負担」を比べるのが大切です。工事費そのものより、範囲の外の費用と運転開始の遅れのほうが、利回りに大きく効くことがあるからです。
三菱総研の整理では、蓄電システムの施工に精通したEPC企業や施工会社が相対的に少ないことが課題に挙げられています。EPCは、設計・調達・建設をまとめて請け負うことです。
7項目は当サイトの整理です。番号の順で、重要度の順ではありません。
投資家が直接施工会社を選ぶ案件は多くありません。完成品や分譲を買うときは、売り手にこの7つを質問する形で使えます。
工事費は、いくらぐらいが目安か?
国の補助事業のデータでは、規模が大きいほど単価が下がります。
国の補助事業のデータでは、規模が大きいほど単価が下がります。工事費は基礎・据付・電気・付帯の工事を含みます。
規模ごとの工事費(万円/kWh)
三菱総研の資料 p.9。令和3年度補正・令和4年度補正・令和5年度の補助事業データからの推計で、ばらつきも大きい数字です。3事業の平均は1.3万円で、この記事の1.4万円は2023年度だけの平均(同 p.8)です。
| 規模 | システム(万円/kWh) | 工事費(万円/kWh) | 工事費の割合 |
|---|---|---|---|
| 10MWh未満 | 5.9 | 1.5 | 20% |
| 10〜50MWh未満 | 5.8 | 1.5 | 21% |
| 50MWh以上 | 5.2 | 0.9 | 15% |
この数字に受変電設備は入っていません。大きな案件の単価を小さな案件にそのまま当てはめることもできません。低圧の案件はこの表の範囲より小さく、データの外にあります。
1. 建設業の許可は、どう確かめるか?
建設業法は、建設業を営む人に許可を求めています。
建設業法は、建設業を営む人に許可を求めています。例外は軽微な工事だけです。電気工事などの建築一式以外では、1件の請負代金が500万円未満の工事です。金額は税込みで、注文者が材料を出す場合はその市場価格と運賃も足します。
低圧でも総額は1,000万円台からなので、工事の範囲によっては500万円の線を超えます。元請けが下請けに出す総額が5,000万円以上(建築一式は8,000万円)になると、特定建設業の許可が必要です(2025年2月1日の改正の後の金額)。
確かめる先は、国土交通省の建設業者の検索です。許可の番号と業種を見ます。蓄電所は電気工事が中心ですが、造成や基礎が多いなら土木などの業種も関わります。実際に工事をする下請けがどこかも聞いておきましょう。どの許可や登録が必要かは工事の中身で変わるので、個別の案件の判断は専門家と所管の窓口に確かめてください。
2. 実績は、どこまで聞くか?
「蓄電池の実績○件」だけでは足りません。
「蓄電池の実績○件」だけでは足りません。工場や家庭に置く蓄電池と、送電網につなぐ蓄電所では、工事の中身が違うからです。同じ電圧(低圧・高圧・特別高圧)の実績か、同じメーカーの機器か、運転開始まで終えたのは何件か、その地域の消防と協議したことがあるか。この4つを聞くと、受注の数字と完成の数字を分けて読めます。
上場企業なら、有価証券報告書で事業の説明を確かめられます。当サイトで全上場企業の報告書を検索した結果は関連銘柄の記事にあります。ただ、規模の大きな会社だからといって、小さな案件を受けてくれるとは限りません。
3. 見積もりに、何が入っていないか?
国の補助事業のデータでは、受変電設備の費用は対象外でした。
いちばん差が出る項目です。国の補助事業のデータでは、受変電設備の費用は対象外でした。事業者への聞き取りでは、案件の規模によりますが、受変電設備に数億〜十億円前後を要するとされています。
同じ金額でも、規模が小さいほど1kWhあたりの負担は重くなります。
| 蓄電所の容量(MWh) | 受変電など1億円(万円/kWh) | 3億円 | 5億円 | 10億円 |
|---|---|---|---|---|
| 8 | 1.2 | 3.8 | 6.2 | 12.5 |
| 20 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 5.0 |
| 50 | 0.2 | 0.6 | 1.0 | 2.0 |
| 100 | 0.1 | 0.3 | 0.5 | 1.0 |
| 240 | 0.0 | 0.1 | 0.2 | 0.4 |
8MWhの案件に3億円が乗ると3.8万円/kWhで、システムの平均6.2万円の60%にあたります。金額の組み合わせは計算の例で、実際の見積もりではありません。
見積もりで見る費目
この表は確認項目の例です。
| 費目 | 中身と確かめる理由 |
|---|---|
| 造成・基礎 | 伐採、整地、機器の基礎。土地の条件で変わる |
| 据付・電気工事 | 搬入と固定、配線、接地。「一式」なら内訳を頼む |
| 受変電設備 | 変圧器や保護の装置。案件によって大きく変わる |
| 工事費負担金 | 電力会社に払う。接続の協議で決まり、増えることがある |
| 専用線・電圧調整 | エリアで要件が異なり、追加費用になることがある |
| 通信の設備 | 市場の指令を受けるのに必要 |
| 消防の設備と申請 | 地域の解釈で追加になることがある |
| 試運転・消費税 | 試験の範囲。税別か税込みかを揃える |
開発の段階から関わる場合は、複数の会社に同じ条件で見積もりを頼みます。出力・容量・機器の型式・設置する場所を揃え、この費目の表を渡して、入っているかどうかを書いてもらうと比べやすくなります。完成品や分譲では相見積もりはできないので、売り手に施工会社の名前と工事請負契約の範囲を聞きましょう。
4. 工事費が増えると、利回りはどれだけ下がるか?
工事費だけが増えた場合を計算しました。
工事費だけが増えた場合を計算しました。2023年度の平均のシステム価格6.2万円/kWhに工事費を足した額を建設費とし、需給調整の値段を15円にしています。
| 工事費の増え方 | 工事費(万円/kWh) | 建設費(万円/kWh) | 20年の利回り |
|---|---|---|---|
| 見積もりどおり | 1.40 | 7.60 | 3.8% |
| +10% | 1.54 | 7.74 | 3.6% |
| +20% | 1.68 | 7.88 | 3.4% |
| +30% | 1.82 | 8.02 | 3.2% |
| +50% | 2.10 | 8.30 | 2.8% |
| +100% | 2.80 | 9.00 | 1.8% |
工事費が2倍になっても、建設費の増え方は18%程度です。工事費の見積もりの1割の差を値切るより、範囲の外の費用を減らすほうが効きます。
追加費用の決まりも見ておきます。地盤の状態がわかって費用が増えたとき、どちらが負担するのか。資源価格や為替で機器の値段が動いたときはどうか。「一式」で書かれた項目が多いほど、後から増える余地があります。機器の価格の補正はメーカーの記事で計算しています。
5. 運転開始が遅れると、どうなるか?
蓄電所は、お金を払ってから収入が始まるまでに時間がかかります。
蓄電所は、お金を払ってから収入が始まるまでに時間がかかります。東京都の出資案件では、投資が2025年5月30日、運転開始の予定が2028年9月で、40か月後です。
建設費を最初に払い、運転開始だけが遅れる計算をしました。実際は支払いが段階的なので、これは厳しめの計算です。下の表の建設費6.2万円/kWhは、2023年度の補助事業のシステム価格の平均で、工事費を含みません。
運転開始の遅れと20年の利回り(需給調整15円のとき)
20年分の収入は遅れた後に受け取る前提。遅れの間の金利は入っていません。
| 建設費(万円/kWh) | 遅れなし | 1年遅れ | 2年遅れ | 3年遅れ |
|---|---|---|---|---|
| 6.2 | 6.4% | 5.7% | 5.1% | 4.7% |
| 4 | 13.1% | 11.3% | 10.0% | 9.0% |
| 3 | 18.7% | 15.7% | 13.7% | 12.2% |
建設費4万円なら、1年の遅れで13.1%から11.3%に下がります。接続の待ちや機器の納期の遅れは、施工会社のせいとは限りません。誰の理由の遅れを誰が負担するのかは、契約書で分けておく必要があります。
契約書で探す言葉
この表は確認項目の例です。
| 起きること | 論点 | 探す言葉 |
|---|---|---|
| 地盤が想定より悪い | 追加の造成や杭の費用 | 現場条件の相違、追加工事 |
| 資材・機器の値上がりや為替 | 価格の据え置きか補正か | 物価変動、スライド、為替 |
| 電力会社の工事の遅れ | 工期の延長と費用 | 工期の変更、不可抗力 |
| 機器の納期の遅れ | 手配した側か、元請けか | 支給品、納期 |
| 消防の指導で設備を追加 | 追加の費用と工期 | 法令変更、指導対応 |
| 台風や地震 | 工事中の損害 | 不可抗力、工事保険 |
| 検査で不合格 | やり直しの費用と期限 | 試運転、検収、遅延損害金 |
国の補助事業の採点でも、連系協議の進み具合と工期の妥当性は最初の項目に置かれています。なお、低圧は申込みから連系までの期間が短く、早ければ1か月ほどとされています。
6. 保安と消防は、誰がやるのか?
50kW未満の扱いは、下の注のとおり確かめが必要です。
意外に見落とされる項目です。規模で手続きが変わるので、次の表を入口にしてください。50kW未満の扱いは、下の注のとおり確かめが必要です。
| 蓄電所の規模 | 技術基準の適合と維持 | 主任技術者の選任・保安規程の届出 | 工事計画・使用前自主検査 |
|---|---|---|---|
| 1万kW以上 または 8万kWh以上 | 要 | 要 | 要 |
| 1万kW未満 かつ 8万kWh未満(2,000kW以上の特別高圧) | 要 | 要 | 不要 |
| 2,000kW未満 50kW以上(高圧) | 要 | 要 | 不要 |
| 50kW未満(低圧) | 要 | 表では枠あり。所管に確認 | 不要 |
第13回WG p.22 の表では、電気主任技術者の選任と保安規程の届出の枠が50kW未満の行まで伸びています。ただ、国の委託調査には一般用電気工作物とする整理があるので、低圧の扱いは所管の産業保安監督部に確かめてください。
東京都の出資案件は80,475kWhなので、容量の基準の8万kWhをわずかに超えます。規模の線の近くでは手続きが変わるので、計画の段階で確かめる必要があります。電力貯蔵装置の事故は、2025年11月20日の施行から、容量20kWh超が報告の対象です。
具体的にどの手続きが要るかは、案件の所在地の産業保安監督部に確かめてください。主任技術者が必要な場合は、誰が手配し、月々の費用がいくらで、それが試算の運転維持費に入っているかも聞いておきたいところです。
消防は、消防法や火災予防条例の扱いが地域で異なることがあります。三菱総研の整理では、類焼や延焼の対策の基準が明確でないため、保守的な対応で費用が増える点も課題に挙げられています。事前の協議が済んでいるかを聞いておくと安心です。
7. 引き渡しの後は、誰が面倒を見るのか?
工事の会社の仕事は、引き渡しで終わる場合があります。
工事の会社の仕事は、引き渡しで終わる場合があります。そこから20年の運転が始まります。どの数字を満たしたら引き渡しなのか、工事の不具合の保証は何年でどこまで無償か、保守は年いくらで何年まで決まっているか、警報が出たら何時間で現地に来るのか、主要部品の在庫はどこにあるか。これらを引き渡しの前に聞いておきましょう。
販売会社の中には、20年の保守や容量の保証を案内する例もあります。ただし、保守の費用が試算のどこに入っているかは別に確かめる必要があります。国の試算は運転維持費を年5,000円/kW、撤去の費用を建設費の5%としていて、保守の見積もりと比べる目安になります。
完成品を買うときも、完成図、試験成績書、工事請負契約書、保証書、保守契約書があるかで、工事の中身を確かめられます。一括のEPCなら窓口は1つですが、機器と工事を分けて発注すると、不具合が機器か工事かで責任が分かれます。契約の形も合わせて見ておくとよいでしょう。
ほかに、よく聞かれることは?
よく聞かれることを、ここにまとめました。
公的な順位は確認できませんでした。当サイトも順位をつけません。実績を比べるときは、規模と段階を揃えて聞いてみてください。
EPCは設計・調達・建設をまとめて請け負うことです。実際の工事は下請けが担う場合もあるので、工事をする会社の名前も聞いておきましょう。
工事が簡単とは限りません。電気主任技術者については、第13回WG p.22 の表では50kW未満の行まで枠が伸びていますが、委託調査に一般用電気工作物とする整理があるので、所管の産業保安監督部に確かめてください。
範囲を揃えてからです。範囲の外の費用が後から増えると、安さの意味がなくなります。上の計算のとおり、遅れの影響も大きいです。
案件によります。完成品の売買では売り手が窓口になることが多いので、書面で施工の範囲を確かめることになります。
利回りは、三菱総研の試算に合わせた利回りの記事の前提で当サイトが計算しました。需給調整の値段の15円は計算の例で、受変電設備の金額も例です。法律の適用は工事の内容で変わるので、個別の判断は専門家と所管の窓口に確かめてください。特定の会社をすすめるものでも、将来を予想するものでもありません。
「計算の例」は実際の商品の条件ではありません。出口(売却・契約終了)で戻る額は、帳簿の価値がほぼ0になっているので、そのまま利益として課税されるとしています。 法人は実効税率30%の例です。手数料・出口の額・出口の税率を変えた詳しい計算は減価償却の繰り延べ計算で。