01会社員が気にするのは、税より「会社に知られるか」
投資型クラウドファンディングは副業にあたるのか。結論から書くと、一般に投資は副業には当たりません。労務を提供するものではないからです。
| 副業(就業規則の対象になりうる) | 投資(通常は対象外) | |
|---|---|---|
| 性質 | 労務を提供して対価を得る | 資産を運用して収益を得る |
| 例 | アルバイト、業務委託、フリーランスの仕事 | 株式、投資信託、不動産、投資型クラウドファンディング |
| 就業規則 | 許可制・届出制を定める会社が多い | 通常は対象外 |
| 本業への影響 | 時間を取られる | 取られない |
| 公務員 | 原則として禁止(許可が要る) | 投資は原則として可。ただし不動産の「事業的規模」は制限がある |
最後の行に注意してください。公務員は、不動産の賃貸が一定の規模を超えると許可が必要になります(5棟10室など)。ただしこれは不動産を自ら所有して貸す場合で、クラウドファンディングの出資持分は通常この規模の判定には入りません。心配なら、所属の規程を確認してください。
それでも会社に知られたくない場合、気にするのは住民税の通知です。
02住民税の通知で分かるのか
会社に副収入が知られる経路は、実務上ほぼ1つです。住民税の特別徴収の通知です。
| 段階 | 何が起きるか | 会社に見えるもの |
|---|---|---|
| 確定申告をする | 所得の情報が市区町村に渡る | — |
| 市区町村が住民税を計算する | 給与以外の所得も合算される | — |
| 会社に通知が届く(特別徴収) | 給与から天引きする住民税の額が会社に伝わる | 住民税の額 |
| 会社が金額を見る | 給与に対して住民税が多いと気づかれうる | 所得の内訳までは分からないことが多い |
回避する方法があります。確定申告書で、給与以外の所得の住民税を「自分で納付(普通徴収)」に指定することです。
| 確定申告書の欄 | 選ぶもの | 結果 |
|---|---|---|
| 住民税・事業税に関する事項 | 給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法 | — |
| 特別徴収 | 給与から天引き | 会社に通知が行く |
| 自分で納付 | 納付書で自分が納める | 給与以外の分は会社に通知されない |
自治体によっては、給与所得者について普通徴収を認めない運用をしている場合があります。確実を期すなら、お住まいの市区町村に確認してください。
03年間の手取りを、金額で確かめる
会社員が副業的に投資型クラウドファンディングを使った場合の手取りです。課税所得ごとに出します。
| 年間の分配金 | 課税所得300万円 | 課税所得500万円 | 課税所得800万円 |
|---|---|---|---|
| 30,000円 | 23,937円 | 20,874円 | 19,955円 |
| 50,000円 | 39,895円 | 34,790円 | 33,258円 |
| 100,000円 | 79,790円 | 69,580円 | 66,517円 |
| 200,000円 | 159,580円 | 139,160円 | 133,034円 |
| 300,000円 | 239,370円 | 208,740円 | 199,551円 |
| 500,000円 | 398,950円 | 347,900円 | 332,585円 |
| 1,000,000円 | 797,900円 | 695,800円 | 665,170円 |
この表は「手取り」です。20万円以下なら所得税の確定申告は不要ですが、住民税は本来かかります。また源泉徴収されている分は、申告すれば戻ることがあります。
| 年間の分配金 | 所得税の確定申告 | 住民税 | おすすめ |
|---|---|---|---|
| 20万円以下・源泉徴収あり | 不要(任意) | 本来は申告が必要 | 確定申告をする。還付があり、住民税の申告も不要になる |
| 20万円以下・源泉徴収なし | 不要 | 申告が必要 | 住民税の申告をする |
| 20万円超 | 必要 | 確定申告をすれば不要 | 確定申告をする |
04会社員が、この商品を使う場面
給与所得者にとって、この商品がどこにはまるかを整理します。
| 場面 | 向くか | 理由 |
|---|---|---|
| NISAの枠がまだ余っている | 向かない | 先にNISAを埋めるほうが税で有利 |
| NISAとiDeCoを使い切っている | 向く | 次の置き場所として |
| 毎日の値動きを見たくない | 向く | 運用期間中は価格が付かない |
| 1〜3年で使う予定がある資金 | 向かない | 運用期間中は引き出せない |
| ボーナスの一部を置いておきたい | 向く | 期間が決まっているので、使う時期に合わせられる |
| 手間をかけたくない | 条件つきで向く | 1〜2社なら手間は小さい。社数が増えると確定申告が重くなる |
6行目が実務的です。会社員にとっての最大のコストは、確定申告の手間です。社数を絞れば、年に1回30分ほどで済みます。10社に分けると、書類を集めるだけで数時間かかります。
05始めるときの、具体的な手順
会社員が最初の1件を出すまでの流れです。
- 就業規則を確認する。「副業」の定義に投資が含まれていないかを見ます。通常は含まれませんが、念のため。
- 生活防衛資金を確保する。半年から1年分の生活費は預金に置きます。ここができていなければ投資は早い。
- NISAの枠を確認する。使い切っていなければ、先にそちらを埋めるほうが税で有利です。
- 金額の上限を決める。「投資に回せる資金の何%まで」を先に決めます。案件を見てから決めると、金額が膨らみます。
- 2〜3社に口座を作る。本人確認に数日かかります。
- 最低投資額で1件出してみる。1万円から出せる事業者が多くあります。
- 管理表を作る。事業者名、案件名、金額、満了予定日。4列でよい。
- 年明けに年間取引報告書を集める。確定申告の準備です。
4行目がいちばん大事です。金額の上限を先に決める。募集ページを見てから決めると、「この案件は良さそうだから多めに」という判断になります。それを繰り返すと、気づいたときには1社に集中しています。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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