01確定申告を「しなくてよくする」選択肢は、限られている
面倒を減らす方法を、効果の大きい順に並べます。先に結論を書くと、いちばん効くのは社数を絞ることです。
| 方法 | 効果 | 代償 |
|---|---|---|
| 社数を絞る | 大きい | 分散が弱くなる |
| 年間の所得を20万円以下に抑える | 大きい | 投資額を抑えることになる |
| e-Taxを使う | 中くらい | 初回の設定 |
| 前年のデータを引き継ぐ | 中くらい(2年目から) | — |
| 管理表を作っておく | 中くらい | 月5分 |
| 株式投資型に寄せる | 小さい | リスクの性質がまったく違う |
| 申告しない | 選択肢ではない | 必要なのにしなければ無申告 |
7行目は選択肢ではありません。事業者は支払調書を税務署に提出しています。マイナンバーで名寄せもできます。申告が必要なのにしなければ、無申告加算税と延滞税の対象です。
02社数と、申告の手間の関係
社数が増えると、集める書類の数がそのまま増えます。
| 社数 | 集める書類 | 入力の手間 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1社 | 1通 | 1社ぶん | 20分 |
| 3社 | 3通 | 3社ぶん | 40分 |
| 5社 | 5通 | 5社ぶん | 1時間 |
| 10社 | 10通 | 10社ぶん | 2時間以上 |
給与所得者で、分配金以外に特別な所得がない場合の目安です。2年目以降は前年のデータを引き継げるので短くなります。
時間の大半は書類を集める段階です。10社のマイページにログインし、「書類」「レポート」の場所を探し、ダウンロードする。事業者ごとに場所が違うので、毎回探すことになります。
| 時間を減らす工夫 | 中身 |
|---|---|
| ブックマークを作る | 各社の「書類」ページへの直リンクを保存する |
| 管理表にURLを書く | 探す時間がなくなる |
| 毎年同じ時期にまとめてやる | 1〜2月。分散させない |
| 投資用のメールアドレスを使う | 書類の案内メールが1か所に集まる |
| 前年の申告書の控えを見る | 入力する項目が同じ |
0320万円以下に抑えるという選択
給与所得者で、給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。これを利用する考え方です。
| 想定利回り | 20万円の分配になる投資額(12ヶ月) |
|---|---|
| 3% | 約6,666,666円 |
| 4% | 約5,000,000円 |
| 5% | 約4,000,000円 |
| 6% | 約3,333,333円 |
| 7% | 約2,857,142円 |
| 8% | 約2,500,000円 |
| 10% | 約2,000,000円 |
想定利回り6%なら、約333万円までなら年間の分配が20万円以下に収まります。
ただし注意点があります。
| 注意 | 中身 |
|---|---|
| 住民税の申告は別に必要 | 20万円の特例は所得税だけ |
| 他の雑所得と合算する | 副業、暗号資産などがあれば合計で判断 |
| 源泉徴収された分は戻らない | 申告しなければ還付も受けられない |
| 他の理由で確定申告をするなら含める | 医療費控除、ふるさと納税など |
| 投資額を制限することになる | 手間を避けるために投資を制限するのは、順序として本末転倒 |
3行目が重要です。課税所得が550万円以下の人は、申告すれば源泉徴収された分が戻ります。20万円の分配なら数千円から2万円程度の還付になることがあります。申告しないほうが損という場合があります。
04e-Taxで、どれだけ楽になるか
国税庁の確定申告書等作成コーナーをスマートフォンかパソコンで使います。
| 段階 | 紙で提出 | e-Tax |
|---|---|---|
| 申告書の作成 | 手書きまたは印刷 | 画面に入力 |
| 計算 | 自分で計算 | 自動 |
| 提出 | 税務署に持参または郵送 | オンラインで完結 |
| 添付書類 | 原本を添付 | 省略できるものが多い |
| 還付の時期 | 1〜2か月 | 3週間程度 |
| 翌年 | また最初から | 前年のデータを引き継げる |
| 必要なもの | — | マイナンバーカードとスマートフォン |
6行目が、2年目以降の手間を大きく減らします。前年の申告データを読み込めば、事業者名などは入力済みの状態から始められます。金額を書き換えるだけです。
マイナンバーカードがあれば、スマートフォンで読み取ってそのまま送信できます。税務署に行く必要はありません。
05面倒さと、分散のどちらを取るか
最後に、この記事の主題に戻ります。手間を減らすと、分散が弱くなります。どこで釣り合わせるかです。
| 社数 | 分散の効果 | 申告の手間 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1社 | なし | 20分 | 手間は軽いが危険 |
| 2社 | 限定的 | 30分 | まだ集中 |
| 3社 | 最低限 | 40分 | ここが下限 |
| 4〜5社 | 十分 | 1時間 | 推奨 |
| 10社 | ほぼ頭打ち | 2時間以上 | 管理できるなら |
年に1時間で、1社の破綻の影響を20%に抑えられる。この取引をどう見るかです。
100万円を投資しているなら、1社に集中していれば最悪100万円を失います。5社に分ければ20万円です。その差が80万円で、払うコストが年1時間。
そして、2年目からはもっと短くなります。手間を理由に1社に集中させるのは、割に合いません。
06よくある質問
いくらから始められますか。
最低投資額は事業者によって違い、中央値は1万円です。1万円から出せる事業者が多くあります。
確定申告は必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら所得税の申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
何社に分けるのがよいですか。
4社から6社が、分散の効果と管理の手間の釣り合う範囲です。10社を超えると確定申告の書類集めが重くなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはありません。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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