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投資詐欺の年利はどこから不自然か|月利3%は年42.6%

読む目安:「先に結論」だけなら1分/全部で約35分(21千字)

データの時点2026年10月19日取得財務省の個人向け国債の利率(令和8年10月8日からの募集)・国債金利(2026年9月29日まで)、EDINETの社債884本・毎週月曜に自動で更新

年42.6%月利3%を複利で年に直すと

「月3%の配当」は、増えた分をそのまま預け続けると1年で42.6%になる約束です。いま募集されている個人向け国債(第199回債 変動金利型10年満期)の初回の利率2.05%の21倍、国内で発行された社債884本で最も高い利率(4.75%)の9倍です。

国債 2.0%2.0%国債社債最高 4.8%4.8%社債最高月1% 12.7%12.7%月1%月2% 26.8%26.8%月2%月3% 42.6%42.6%月3%月5% 79.6%79.6%月5%
1年に直した利率(月利は複利で換算。国債は個人向け国債 変動10年の初回の利率、社債はEDINETの発行書類の最高)

約束された利率と金額で計算する →

この記事の内容29の見出し

01先に結論

どこからが詐欺かを、利率だけで決めることはできません。ただ、国が借りるときの利率、会社が借りるときの利率と並べると、約束の大きさがどれだけ離れているかは数字で分かります。この記事は特定の商品や会社をすすめたり、避けるよう求めたりするものではありません。数字は過去と現在の公表値で、将来の予想ではありません。

02約束された利率と金額で計算する

言われた利率を選び、出すつもりの金額を切り替えると、約束どおりなら1年でいくら増えるか、同じ金額を個人向け国債に置いたらいくらかを並べます。

月利3% 年に直すと42.6%(複利)・個人向け国債(変動10年)の21倍・2倍になるまで2.0年

約束どおりなら1年で増える額(増えた分も預け続ける)425,761円
毎月受け取る場合の1年の合計360,000円
個人向け国債(第199回債・初回2.05%)の1年の利息20,500円
国内の社債で最も高い利率(4.75%)の1年の利息47,500円
約束の額と国債の利息の差405,261円

税・手数料の前の額です。国債の利息は、変動10年の初回の利率が1年続いたとした場合です。約束の額は「約束どおり払われたら」の額で、払われることを意味しません。

03月利を年利に直す

「月3%」「月利5%」のように、月単位の利率で約束される話がよくあります。年単位に直すと、約束の大きさがはっきりします。直し方は2通りあります。

「配当をそのまま再投資すれば、もっと増えます」と勧められる場合は、複利の数字が約束の大きさです。

月の利率年に直す(単利)年に直す(複利)個人向け国債(変動10年)の何倍2倍になるまで
月0.3%3.6%3.7%2倍231か月
月0.5%6%6.2%3倍139か月
月0.8%9.6%10.0%5倍87か月
月1%12%12.7%6倍70か月
月1.5%18%19.6%10倍47か月
月2%24%26.8%13倍35か月
月2.5%30%34.5%17倍28か月
月3%36%42.6%21倍23か月
月4%48%60.1%29倍18か月
月5%60%79.6%39倍14か月
月6%72%101.2%49倍12か月
月8%96%151.8%74倍9か月
月10%120%213.8%104倍7か月
月20%240%791.6%386倍4か月
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月1%でも、複利なら年12.7%です。2倍になるまでの月数は、月1%なら約70か月(約6年)、月3%なら約23か月、月10%なら約7か月です。同じ計算を個人向け国債の2.05%で行うと、2倍になるまで34年かかります。

04年利で言われたら、月にいくらか

反対に、「年利20%」のように年で言われた約束を、月あたりに直しました。毎月配当を受け取る形の話では、この月あたりの額が実際に振り込まれる額です。

年の約束月あたり(複利で割り戻す)月あたり(12で割る)100万円で毎月の配当(12で割る)個人向け国債(変動10年)の何倍
年5%0.41%0.42%4,167円2.4倍
年10%0.80%0.83%8,333円4.9倍
年15%1.17%1.25%12,500円7.3倍
年20%1.53%1.67%16,667円9.8倍
年30%2.21%2.50%25,000円14.6倍
年50%3.44%4.17%41,667円24.4倍
年100%5.95%8.33%83,333円48.8倍
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年20%は月にすると約1.53〜1.67%で、100万円なら毎月16,667円ほどです。「月に数万円もない」と感じやすい額ですが、年に直すと国債の約10倍で、法律で決まっている貸付の上限と同じ水準です。月の額で考えると小さく見え、年で考えると大きさが分かる、という点は、月利で言われた約束と同じです。

05日利・週利の約束を年に直す

暗号資産やFXの自動売買をうたう話では、「日利」「週利」で約束されることもあります。数字が小さく見えますが、年に直すと次のとおりです。

約束年に直す(単利)年に直す(複利)1年後の倍率(複利)
日利0.1%36.5%44%1.4倍
日利0.3%109.5%198%3.0倍
日利0.5%182.5%517%6.2倍
日利1%365.0%3,678%37.8倍
週利1%52.0%68%1.7倍
週利2%104.0%180%2.8倍
週利5%260.0%1,164%12.6倍
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日利1%は、単利でも年365%、複利なら1年で約38倍です。こうした数字が1年続くと約束されたら、それは国債や社債とは比べようのない大きさです。「毎日少しずつ」という言い方は、年に直した大きさを見えにくくします。

06国債の利率は、どこまで上がったことがあるか

国が借りるときの利率が、いちばん安全な利率の目安です。個人向け国債の変動10年は、半年ごとに利率が見直されます。財務省が公表する初回の利率は、197回のうち1%以上だったのが18回でした。

利率回
いま募集中の変動10年(初回)2.05%第199回債 変動金利型10年満期
変動10年の初回の利率で最も高い2.05%第199回
変動10年の初回の利率で最も低い0.05%第141回ほか
いま募集中の固定5年2.39%第187回債 固定金利型5年満期
固定5年で最も高い2.39%第187回
いま募集中の固定3年2.07%第197回債 固定金利型3年満期

もっと長い目で見るために、財務省の国債金利(市場で取引される10年の国債の利回り)を年代ごとにまとめました。1986年7月5日から2026年9月29日までの値です。

年代最も高い最も低い平均
1980年代6.662%3.462%5.09%
1990年代8.105%0.772%3.95%
2000年代1.996%0.433%1.45%
2010年代1.404%-0.297%0.48%
2020年代3.082%-0.153%0.77%
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年ごとに見ると次のとおりです(新しい年から)。右端は、その年の最高の利回りと比べて、月3%の約束(複利で年に直した値)が何倍かです。

年その年の最高その年の最低その年の平均月3%の約束は最高の何倍
2026年3.082%2.083%2.56%13.8倍
2025年2.073%1.129%1.54%20.5倍
2024年1.119%0.563%0.91%38.0倍
2023年0.959%0.281%0.57%44.4倍
2022年0.517%0.098%0.24%82.4倍
2021年0.168%0.007%0.07%253.4倍
2020年0.104%-0.153%0.01%409.4倍
2019年0.029%-0.286%-0.09%1,468.1倍
2018年0.158%0.013%0.08%269.5倍
2017年0.110%-0.012%0.05%387.1倍
2016年0.264%-0.297%-0.05%161.3倍
2015年0.524%0.206%0.36%81.3倍
2014年0.725%0.314%0.55%58.7倍
2013年0.937%0.442%0.71%45.4倍
2012年1.056%0.682%0.86%40.3倍
2011年1.352%0.961%1.12%31.5倍
2010年1.404%0.848%1.18%30.3倍
2009年1.549%1.212%1.35%27.5倍
2008年1.869%1.177%1.49%22.8倍
2007年1.957%1.440%1.68%21.8倍
2006年1.996%1.423%1.74%21.3倍
2005年1.620%1.174%1.38%26.3倍
2004年1.888%1.204%1.50%22.6倍
2003年1.624%0.433%0.99%26.2倍
2002年1.565%0.906%1.27%27.2倍
2001年1.639%1.061%1.33%26.0倍
2000年1.946%1.551%1.75%21.9倍
1999年2.430%1.223%1.74%17.5倍
1998年2.117%0.772%1.53%20.1倍
1997年2.869%1.850%2.37%14.8倍
1996年3.479%2.538%3.12%12.2倍
1995年4.679%2.790%3.46%9.1倍
1994年4.829%3.364%4.36%8.8倍
1993年4.968%3.365%4.35%8.6倍
1992年5.794%4.831%5.35%7.3倍
1991年6.803%5.575%6.38%6.3倍
1990年8.105%5.707%6.87%5.3倍
1989年5.661%4.791%5.15%7.5倍
1988年5.731%4.138%4.97%7.4倍
1987年6.662%3.462%5.00%6.4倍
1986年5.897%5.073%5.41%7.2倍
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0%2%4%6%8%19901995200020052010201520202025国債10年 3.0%

この期間で最も高かったのは1990年9月28日の8.105%です。直近は3.082%です。年の最高が5%を超えた年は7年、10%を超えた年は0年でした。国の借入でも、利率が年10%に届いた日はこのデータの中にありません。

07個人向け国債の利率は、年ごとにどうだったか

個人向け国債の3種類について、発行の年ごとに、初回の利率の幅をまとめました(変動10年は最初の利払いの期間が始まる年、固定5年・固定3年は発行の年)。

年変動10年(初回)固定5年固定3年
2003年0.05〜0.77%——
2004年0.55〜0.74%——
2005年0.45〜0.73%——
2006年0.68〜1.10%——
2007年0.84〜1.01%——
2008年0.57〜1.00%0.81〜1.22%—
2009年0.50〜0.73%0.60〜0.82%—
2010年0.25〜0.53%0.23〜0.48%—
2011年0.39〜0.77%0.32〜0.52%0.17〜0.32%
2012年0.53〜0.72%0.17〜0.33%0.07〜0.18%
2013年0.42〜0.57%0.06〜0.30%0.05〜0.14%
2014年0.29〜0.48%0.08〜0.17%0.05〜0.09%
2015年0.20〜0.34%0.05〜0.09%0.05%
2016年0.05〜0.21%0.05%0.05%
2017年0.05〜0.06%0.05%0.05%
2018年0.05〜0.09%0.05%0.05%
2019年0.05%0.05%0.05%
2020年0.05%0.05%0.05%
2021年0.05〜0.09%0.05%0.05%
2022年0.05〜0.17%0.05%0.05%
2023年0.17〜0.60%0.05〜0.42%0.05〜0.19%
2024年0.40〜0.72%0.18〜0.61%0.05〜0.49%
2025年0.71〜1.10%0.71〜1.22%0.60〜1.01%
2026年1.23〜2.05%1.35〜2.39%1.10〜2.07%
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直近12回の利率です(発行日の新しい順)。

発行日変動10年(初回)固定5年固定3年
2026/11/162.05%(第199回)2.39%(第187回)2.07%(第197回)
2026/10/151.95%(第198回)2.24%(第186回)1.96%(第196回)
2026/9/151.87%(第197回)2.06%(第185回)1.71%(第195回)
2026/8/171.80%(第196回)1.95%(第184回)1.56%(第194回)
2026/7/151.74%(第195回)1.86%(第183回)1.51%(第193回)
2026/6/151.67%(第194回)1.89%(第182回)1.57%(第192回)
2026/5/151.55%(第193回)1.79%(第181回)1.51%(第191回)
2026/4/151.40%(第192回)1.58%(第180回)1.34%(第190回)
2026/3/161.48%(第191回)1.66%(第179回)1.39%(第189回)
2026/2/161.39%(第190回)1.59%(第178回)1.30%(第188回)
2026/1/151.23%(第189回)1.35%(第177回)1.10%(第187回)
2025/12/151.10%(第188回)1.19%(第176回)0.99%(第186回)
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変動10年の初回の利率回数割合
0.05%63回32%
0.06〜0.49%67回34%
0.5〜0.99%49回25%
1〜1.49%11回6%
1.5%以上7回4%

変動10年の初回の利率は、197回のうち63回が0.05%でした。0.05%は、個人向け国債の利率の下限として決められている値です。固定5年でも95回が0.05%です。国が「最低でもこの利率は払う」と決めているのは、この0.05%だけです。それより上の利率は、市場の金利に合わせて回ごとに変わります。

個人向け国債の利子には約20%の税がかかります。いまの変動10年の初回の利率2.05%は、税を引くと1.63%です。個人向け国債は、国が元本と利子を払う債券で、発行から1年たてば国に買い取ってもらう形で途中で換金できます(直前2回分の利子に相当する額が差し引かれます)。それでも利率は、この表の幅に収まってきました。「元本が守られて、しかも年10%」という話は、国が借りるときの条件より大幅に良いことになります。

08国債の利率は、式で決まっている

個人向け国債の利率は、だれかが自由に決めているのではなく、市場の金利(基準金利)から決まった式で計算されます。財務省が公表している基準金利と初回の利率で、式に合うかを全部の回で確かめました。

種類式基準金利の分かる回式に合った回
変動10年基準金利×0.66(以前の回は基準金利−0.80%)。下限0.05%197回197回
固定5年基準金利−0.05%。下限0.05%178回178回
固定3年基準金利−0.03%。下限0.05%186回186回
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変動10年は、2011年4月11日に始まる回までは「−0.80%」の式だけに合い、2011年7月11日に始まる回からは「×0.66」の式だけに合っていました。式が途中で変わったことが、数字からも分かります。

つまり国の利率は、市場の金利が上がれば上がり、下がれば下がります。どの回でも、払う利率の理由が式で説明できます。一方、月数%を約束する話には、こうした式がありません。市場の金利が何%でも同じ月3%、という約束は、その利率がどこから来るのかを説明していないことになります。

09会社の社債の利率は、どこまで高いか

国より信用の低い会社が借りるときは、利率が上がります。EDINETに出された社債の発行書類(発行登録追補書類)から、2024年5月〜2026年9月に条件が決まった円建ての社債884本の利率を数えました(外貨建ての1本は、利率の意味が円と違うので除いています)。

利率本数割合うち個人向けに売られたものうち劣後債
1%未満29本3.3%5本0本
1〜2%402本45.5%69本15本
2〜3%348本39.4%61本37本
3〜4%96本10.9%15本29本
4〜5%9本1.0%1本4本
5%以上0本0.0%0本0本
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利率の高い順に30本です。

発行した会社社債の名前利率年数個人向け劣後
ソフトバンクグループ第70回無担保社債4.750%7年○—
イーレックス第5回無担保社債4.516%5年——
東京電力パワーグリッド第92回無担保社債4.382%15年——
住友林業第3回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債4.343%40年—○
パナソニックホールディングス第5回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債4.188%30.1年—○
関西電力第586回無担保社債4.159%20年——
東京電力パワーグリッド第90回無担保社債4.143%15年——
日本航空第2回利払繰延条項・任意償還条項付無担保永久社債4.124%——○
三菱UFJフィナンシャル・グループ第32回任意償還条項付無担保永久社債4.072%——○
光通信第59回無担保社債3.977%7年○—
JFEホールディングス第4回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債3.924%40年—○
ソフトバンクグループ第69回無担保社債3.886%5年——
みずほフィナンシャルグループ第28回任意償還条項付無担保永久社債 3.885%——○
日本貨物鉄道第10回社債3.850%20年——
GMOインターネットグループ第14回無担保社債3.842%7年——
三井住友フィナンシャルグループ第27回任意償還条項付無担保永久社債3.834%——○
住友林業第2回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債3.824%37年—○
東京電力パワーグリッド第91回無担保社債3.734%10年——
電源開発第99回無担保社債 3.709%20年——
プレミアムウォーターホールディングス第13回無担保社債3.660%4年○—
LINEヤフー第30回無担保社債3.654%10年——
DMG森精機第6回利払繰延条項・任意償還条項付無担保永久社債3.632%——○
ソフトバンク第35回無担保社債 3.589%10年——
SBIホールディングス第47回無担保社債3.562%8年——
野村ホールディングス第9回任意償還条項付無担保永久社債3.553%——○
イオン第33回無担保社債3.551%10年——
三菱UFJフィナンシャル・グループ第30回任意償還条項付無担保永久社債3.542%——○
東京電力パワーグリッド第89回無担保社債3.519%10年——
光通信第57回無担保社債3.510%7年○—
電源開発第102回無担保社債 3.510%10.5年——
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最も高い社債でも4.75%で、5%を超えるものは0本でした。個人向けに売られた151本に限ると、最も高いのはソフトバンクグループの4.75%です。個人向けの151本の利率の中央値は2.00%です。返済の順番が後になる劣後債(85本)は、その分利率が高めで、中央値は2.79%でした。

社債の利率は、会社がつぶれて返ってこない危険の大きさを映します。それでも上場会社などが出す社債の利率は、このくらいの幅に収まっています。社債の利率の決まり方と銘柄ごとの数字は社債のページにまとめています。

10外国の国債なら、もっと高いか

「海外で運用するので高い利回りが出る」と説明されることもあります。米国財務省が公表する米国債の利回り(10年)は、1990年1月2日から2026年9月29日までで最も高い日が9.09%(1990年5月2日)、直近は5.26%でした。30年債でも、最も高い日は9.18%(1990年9月24日)です。年の最高が5%以上だった年は16年、8%以上だった年は3年でした。

年米国債10年の年の最高年の最低月3%の約束は最高の何倍
1990年9.09%7.91%4.7倍
1995年7.89%5.58%5.4倍
2000年6.79%5.02%6.3倍
2005年4.66%3.89%9.1倍
2010年4.01%2.41%10.6倍
2015年2.50%1.68%17.0倍
2020年1.88%0.52%22.6倍
2025年4.79%3.97%8.9倍
2026年5.26%3.97%8.1倍
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米国債の利回りは、日本の国債より高い時期が長く続いてきました。それでも10%には届いていません。しかも米国債はドル建てなので、円に戻すときの為替の動きで、円での結果は大きく上下します。「海外だから高い」は、年10%や月数%の約束の説明にはなりません。米国債と個人向け国債を同じ期間で比べた結果は米国債と個人向け国債、100万円を5年置いたらにあります。

11約束どおりに増え続けたら、いくらになるか

約束の利率が何年も続いたら、100万円がいくらになるかを計算しました。配当を毎月元本に足し続ける場合(複利)です。

約束1年後2年後3年後5年後10年後
月1%113万円127万円143万円182万円330万円
月2%127万円161万円204万円328万円1,077万円
月3%143万円203万円290万円589万円3,471万円
月5%180万円323万円579万円1,868万円34,891万円
国債 年2.05%102.0万円104.1万円106.3万円110.7万円122.5万円
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月3%が10年続くと、100万円は3,471万円、つまり35倍になる計算です。月5%なら10年で349倍です。もしこんな運用が本当にできるなら、運用する側は人から集めるより、自分のお金や銀行から借りたお金で運用したほうがずっともうかります。国債の数%で借りられる大きな会社でさえ、他人から月数%の約束でお金を集める理由はありません。わざわざ個人から高い利率で集めること自体が、説明の要る点です。

12「3か月で10%」のような言い方を年に直す

月利ではなく、「3か月で10%」「半年で30%」のように、期間ごとの利回りで約束されることもあります。期間が短いほど、年に直したときの大きさが見えにくくなります。

約束年に直す(単利)年に直す(複利)個人向け国債(変動10年)の何倍
1か月で10%120%213.8%104倍
3か月で5%20%21.6%11倍
3か月で10%40%46.4%23倍
3か月で20%80%107.4%52倍
半年で10%20%21.0%10倍
半年で30%60%69.0%34倍
1年で2倍100%100.0%49倍
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「3か月で10%」は控えめに聞こえますが、同じ条件で1年続けると、複利で年46.4%です。期間を区切った約束は、「その期間が終わったら、また同じ条件で出資しませんか」と続けられることが多く、そのたびに複利で考えるのが実態に近い計算です。

13利率の段階で見る、どこから離れていくか

国債・社債・法律の上限と、よく聞く約束の利率を、1つの表に並べました。「社債でこれ以上の本数」は、884本のうち利率がその値以上の本数です。

目安年の利率国債(変動10年・いま)の何倍社債884本でこれ以上2倍になるまで
個人向け国債 変動10年(第199回債の初回)2.05%1.0倍417本34.2年
個人向け国債 固定5年(いま)2.39%1.2倍283本29.3年
国内の社債884本の中央値2.01%1.0倍442本34.8年
国内の社債884本で最も高い4.75%2.3倍1本14.9年
年10%10.0%4.9倍0本7.3年
年15%(利息制限法の上限の1つ)15.0%7.3倍0本5.0年
年20%(出資法の上限)20.0%9.8倍0本3.8年
月利1%を年に直すと12.7%6.2倍0本5.8年
月利2%を年に直すと26.8%13.1倍0本2.9年
月利3%を年に直すと42.6%20.8倍0本2.0年
月利5%を年に直すと79.6%38.8倍0本1.2年
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社債の最高(4.75%)を超えたところから、表の「社債でこれ以上」は0本になります。国内の社債の世界には、年10%を約束する社債はありません。年15%と年20%は、お金を貸す側が受け取れる利息の上限です(利息制限法は元本に応じて年15〜20%、出資法の刑事罰の上限は年20%)。月利2%以上を約束する話は、どんな貸付でも合法には得られない利益を、毎年出資者に払い続けると言っていることになります。

もちろん、株や暗号資産のように、1年で大きく値上がりすることのある資産はあります。けれどもそれは値下がりもある「結果」であって、毎月決まった利率で払うと「約束」できるものではありません。高いことよりも、高い利率を「約束」していることが不自然なのです。

14ポンジスキームとは、配当を新しい出資金で払う仕組み

  1. 出資を集める「月3%の配当」などをうたって、出資を集める
  2. 運用していない実際にはほとんど運用せず、集めたお金をそのまま持つ
  3. 後の出資で配当後から入った人の出資金を、前からいる人の配当に回す
  4. 払えなくなる新しい出資が配当に追いつかなくなった時点で行き詰まる

ポンジスキームは、運用で得た利益ではなく、新しく集めた出資金を配当に回す仕組みです。名前は、1920年ごろに米国でこの手口を使ったチャールズ・ポンジに由来します。

最初のうちは約束どおり配当が払われるので、出資者は「本当にもうかっている」と感じます。配当を受け取った人が知人を誘い、出資がさらに集まります。けれども、配当の元手は新しい出資だけなので、出資の伸びが止まった時点で払えなくなります。払えなくなるまでの間に配当を受け取った人もいるため、最初は被害に気づきにくいのが特徴です。

見かけの特徴は、①高い利率を毎月決まって払うと約束する、②どう運用しているかの説明があいまい、③知人を紹介すると報酬がある、④出金を求めると理由をつけて先延ばしにされる、などです。ただし、これらは見分けの手がかりで、1つ当てはまれば必ずポンジスキームだというものではありません。

15約束の利率と新しい出資の伸びから、いつ払えなくなるか

配当を新しい出資だけで払う場合に、何か月目で払えなくなるかを計算しました。最初の出資を100とし、毎月の新しい出資の入り方を5通りに変えています。配当は、それまでに集めた出資の合計に約束の月利を掛けた額です。集めたお金は運用せず、そのまま持っているとします。

新しい出資の入り方月1%月2%月3%月4%月5%月8%
新しい出資なし101か月目51か月目34か月目26か月目21か月目13か月目
毎月、最初の5%が一定10年以上続く85か月目53か月目38か月目29か月目17か月目
毎月、最初の5%から月5%ずつ増える10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く21か月目
毎月、最初の10%から月10%ずつ増える10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く
月10%ずつ増えて、2年で止まる116か月目66か月目49か月目41か月目36か月目28か月目
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新しい出資が無ければ、月3%の配当は34か月目で払えなくなります(最初の100を毎月3ずつ払うと、33.3か月分で尽きる)。新しい出資が毎月同じ額だけ入っても、配当は出資の合計に比例して増えていくので、いずれ追いつかれます。新しい出資が月10%ずつ増え続ける間は払えますが、2年で止まると、月3%の約束は49か月目で行き詰まりました。

新しい出資なし毎月5%が一定月10%ずつ増えて2年で止まる
02004006008000612182430364248月10%ずつ増えて2年で止まる 10毎月5%が一定 5新しい出資なし 1

最後の例(月3%・新しい出資が月10%ずつ増えて2年で止まる)を、3か月ごとに追いました。単位は最初の出資を100とした値です。

時点その月の新しい出資その月に払う配当出資の合計配当を払った後の手元
3か月目12.13.6133.1123.2
6か月目16.14.8177.2154.0
9か月目21.46.4235.8195.1
12か月目28.58.6313.8249.7
15か月目38.011.4417.7322.4
18か月目50.515.2556.0419.2
21か月目67.320.2740.0548.0
24か月目89.526.9985.0719.5
25か月目0.029.5985.0689.9
27か月目0.029.5985.0630.8
30か月目0.029.5985.0542.2
33か月目0.029.5985.0453.5
36か月目0.029.5985.0364.9
39か月目0.029.5985.0276.2
42か月目0.029.5985.0187.6
45か月目0.029.5985.098.9
48か月目0.029.5985.010.3
49か月目0.029.5985.0足りない(-19.2)
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新しい出資が増えている間は、手元のお金も増えていきます。外から見ると、順調に運用されているように見える時期です。新しい出資が止まった25か月目から、手元のお金は配当の分だけ毎月減り始め、やがて足りなくなります。

新しい出資が月10%ずつ増えたあと、ある時点で止まった場合に、止まってから何か月で行き詰まるかを、約束の月利ごとに数えました。

約束の月利6か月で止まる12か月で止まる24か月で止まる36か月で止まる
月1%96か月94か月92か月91か月
月2%46か月44か月42か月41か月
月3%29か月27か月25か月24か月
月4%21か月19か月17か月16か月
月5%16か月14か月12か月11か月
月8%9か月6か月4か月3か月
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出資が長く増え続けたほど、止まった時点の手元のお金は多くなります。それでも、配当の額も出資の合計に比例して大きくなっているので、止まってから持ちこたえる月数は延びず、この計算ではむしろ少しずつ短くなりました。増えている時期が長いほど「この仕組みは長く続いている」という安心感が生まれますが、止まったあとの残り時間はほとんど変わらない、ということです。月の約束が高いほど、止まってから行き詰まるまでは短くなります。長く続いた仕組みほど、破綻したときに配当を受け取れなくなる人の数も多くなります。

運営者が新しい出資の2割を自分の取り分にすると、次のように早まります。

新しい出資の入り方(2割を運営者が取る)月1%月2%月3%月4%月5%月8%
新しい出資なし81か月目41か月目27か月目21か月目17か月目11か月目
毎月、最初の5%が一定10年以上続く66か月目41か月目29か月目23か月目13か月目
毎月、最初の5%から月5%ずつ増える10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く33か月目15か月目
毎月、最初の10%から月10%ずつ増える10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く
月10%ずつ増えて、2年で止まる96か月目56か月目42か月目36か月目32か月目26か月目
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表の「10年以上続く」は、計算の上で新しい出資が増え続ける場合です。現実には、出資が毎月10%ずつ増え続けることは長くは続きません。出資者の数には限りがあり、伸びが鈍った時点で、表の下の行のように行き詰まります。この計算は仕組みを示すための仮の数字で、特定の事件や商品の予想ではありません。

16配当を払い続けるには、出資者が何人要るか

ポンジスキームが配当を払い続けるのに、新しい出資者がどれだけ要るかを人数で見ました。最初に100人が100万円ずつ出資し、その後も1人100万円ずつ出資するとします。手元の蓄えは無く、毎月の配当をちょうど新しい出資だけでまかなう、という最も控えめな条件です。

約束の月利12か月目に要る新しい出資者24か月目36か月目60か月目
月1%1人(合計113人)1人(合計127人)1人(合計143人)2人(合計182人)
月3%4人(合計143人)6人(合計203人)9人(合計290人)18人(合計589人)
月5%9人(合計180人)16人(合計323人)29人(合計579人)93人(合計1,868人)
月10%31人(合計314人)98人(合計985人)309人(合計3,091人)3,045人(合計30,448人)
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配当は出資の合計に比例するので、毎月要る新しい出資者の数も、出資者の合計と同じ割合で増え続けます。月10%の約束なら、60か月目には出資者が合計30,448人に膨らみ、その月だけで3,045人の新しい出資が要ります。これは、配当を受け取る人がだれも元本を引き出さない場合の計算です。元本を返してほしいという人が出れば、要る人数はもっと増えます。出資する人の数には限りがあるので、どこかで新しい出資が足りなくなり、行き詰まります。

17元本を引き出す人が出ると、どれだけ早まるか

前の節の計算は、だれも元本を引き出さない場合でした。実際には、配当に満足した人も、不安になった人も、元本を返してほしいと言い出します。月3%の約束で、毎月、出資の合計の一部を引き出す人が出る場合を計算しました。

新しい出資の入り方(月3%の約束)引き出しなし毎月1%が引き出す毎月2%毎月5%
新しい出資なし34か月目29か月目26か月目20か月目
毎月、最初の5%が一定53か月目47か月目42か月目34か月目
毎月、最初の5%から月5%ずつ増える10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く
毎月、最初の10%から月10%ずつ増える10年以上続く10年以上続く10年以上続く10年以上続く
月10%ずつ増えて、2年で止まる49か月目44か月目41か月目36か月目
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引き出しが増えるほど、行き詰まるのは早くなります。新しい出資が勢いよく増えている間は持ちこたえても、伸びが止まった時点で、配当と引き出しの両方を払えなくなります。ポンジスキームの破綻が「出金が止まる」という形で表に出やすいのは、このためです。出金の申し込みが集まった時点で、手元のお金が足りないことが明らかになります。

18紹介で出資者を広げると、何段階で行き詰まるか

出資者を増やすために、「知り合いを紹介すると報酬が出る」仕組みを使う話もあります。1人が2人ずつ誘い、誘われた人がまた2人ずつ誘うと、人数は段階ごとに2倍になります。

この増え方を続けると、27段階目で1億人を超えます。1人が3人ずつ誘う場合は17段階目です。つまり、紹介で広げる仕組みは、ごく短い段階で誘える相手がいなくなります。後から入った人ほど、誘う相手が見つからず、配当も元本も受け取れないまま残されます。

紹介の報酬を出資金から払っている場合、その分だけ手元のお金も減ります。前の節の「運営者の取り分」と同じく、行き詰まるのを早める要因です。

19配当を受け取った人の手元は、どうなるか

ポンジスキームでも、早くから参加した人は配当を受け取ります。毎月受け取る場合(単利)に、元本と同じ額を受け取るまでの月数は次のとおりです。

約束の月利元本と同じ額を受け取るまで年に直すと
月1%100か月8.3年
月2%50か月4.2年
月3%34か月2.8年
月5%20か月1.7年
月10%10か月0.8年

月3%なら、34か月受け取ってようやく元本と同じ額です。それより前に配当が止まれば、受け取った配当を足しても元本に届きません。さらに、「配当を再投資すればもっと増える」と勧められて受け取らずにいた場合は、手元に入ったお金がほとんどないまま行き詰まります。

また、ポンジスキームが破綻したあと、早く参加して元本以上を受け取った人が、受け取った配当の返還を求められることがあります。受け取った配当は、ほかの出資者のお金だったからです。

20金利が高かった時代でも、約束の利率は離れていた

「昔は金利が高かったから、年10%くらいは普通だった」と言われることがあります。財務省の国債金利(10年)の、5年ごとの年の最高と、約束の利率を比べました。

年国債10年の年の最高月1%(年12.7%)は何倍月3%(年42.6%)は何倍月5%(年79.6%)は何倍
1990年8.105%1.6倍5.3倍9.8倍
1995年4.679%2.7倍9.1倍17.0倍
2000年1.946%6.5倍21.9倍40.9倍
2005年1.620%7.8倍26.3倍49.1倍
2010年1.404%9.0倍30.3倍56.7倍
2015年0.524%24.2倍81.3倍151.9倍
2020年0.104%121.9倍409.4倍765.2倍
2025年2.073%6.1倍20.5倍38.4倍
2026年3.082%4.1倍13.8倍25.8倍
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国債の利回りが最も高かった1990年9月28日の8.105%と比べても、月3%の約束は5.3倍です。金利の高い時代でも、毎月数%の約束は、国の借入の利率から大きく離れていました。いまの時代に限った話ではありません。

21お金を貸すときの上限金利

約束の利率が不自然かどうかを考えるもう1つの物差しが、法律の上限金利です。お金を貸して利息を受け取る場合、受け取れる利息には上限があります。

決まり上限超えるとどうなるか
利息制限法(元本10万円未満)年20%超えた部分の利息の約束は無効
利息制限法(元本10万円以上100万円未満)年18%超えた部分の利息の約束は無効
利息制限法(元本100万円以上)年15%超えた部分の利息の約束は無効
出資法(業として貸す場合)年20%刑事罰の対象

「集めたお金を事業者に貸して、その利息で配当する」と説明される話で、配当が月2%(年26.8%)なら、貸付先からはそれ以上の利息を取らなければ払えません。貸す側の上限が年15〜20%なので、法律の範囲の貸付では、この配当は出せない計算です。運営の費用や貸し倒れを考えれば、なおさらです。

融資型のクラウドファンディングの想定利回りが年数%台に集まっているのも、貸付の利率にこの上限があり、そこから事業者の取り分や貸し倒れへの備えが差し引かれるためです。分布は年利何%なら現実的かにあります。

22高い利率の理由として語られる説明

高い利率の約束には、たいてい理由の説明が付いています。よく聞く説明と、そのときに確かめたい点を並べました。どれも、説明そのものがうそだと決めつけるものではありません。説明が本当でも、毎月決まった利率を「約束」できるかどうかが問題です。

よく聞く説明確かめたい点
FXや暗号資産の自動売買(AI・ロボット)取引の結果は相場で変わり、決まった利率を約束できるものではない。売買の記録を第三者が確かめているか
取引所の値段の差を使う取引(アービトラージ)値段の差は小さく、すぐに消える。月数%を毎月出し続けられる理由になっているか
海外の不動産・事業への投資どの国のどの物件・事業か。為替の動きをどう扱うか。現地の登記や契約を確かめられるか
新しい暗号資産・トークンの先行販売国内の登録業者の取扱い一覧に載っているか。上場の予定を、だれが決めているか
機械・設備を買って預ける(オーナー制度)モノは本当にあるか。預かった業者が収益を上げている証拠は何か。販売預託は原則禁止
紹介すると報酬が出る報酬の元手は何か。新しい出資金から払っていないか

説明が具体的でも、出資する側が外から確かめられなければ、確かめようがありません。確かめられない部分が大きいほど、利率の高さではなく、確かめられなさのほうを重く見る必要があります。

23出資法が禁じていること

高い利率の約束そのものとは別に、法律は次のことを禁じています。

投資の勧誘を仕事にするには、金融商品取引業などの登録が要ります。登録の無い業者への金融庁の警告は、無登録業者の見分け方でまとめています。

24金融庁の警告リストと、利率の約束

金融庁は、登録を受けずに金融商品取引業を行っていた業者に警告書を出し、リストを公表しています。当サイトが取得したリストは1,220件でした。そのうち、当サイトが内容の文言から「ファンド持分の募集・運用」に分類したものが136件、登録業者の名前や番号を詐称していたものが56件あります。

掲載の年ファンド持分の募集・運用の警告
2012年12件
2013年17件
2014年42件
2015年19件
2016年12件
2017年4件
2018年7件
2019年5件
2020年2件
2024年4件
2025年2件
2026年10件

一方で、リストの内容・備考の欄に、利回り・利率・配当・元本保証などの言葉が出てくるのは4件だけでした。リストには「どんな勧誘をしていたか」が短く書かれるだけで、約束していた利率はほとんど記録されていません。リストを見ても「年何%なら怪しい」は分からないので、利率は国債や社債と自分で比べる必要があります。

消費者庁は、モノを買わせて預かり、収益を配当として払うとする「販売預託」の業者にも処分を出しています。公表資料に人数と金額のある例では、株式会社リア・エイド(本店:大阪市)が650人と総額18.4億円の契約を結んでいました(1人あたり約283万円)。販売預託は2022年6月1日から原則として禁止されています。処分の一覧は小口の事業投資(オーナー制度)のページにあります。

25高い利率の話を聞いたときの確かめ方

  1. 年に直す。月利・日利・週利で言われたら、複利で年に直します。月1%で年12.7%、月3%で年42.6%です。
  2. 国債と社債と並べる。いまの個人向け国債(2.05%)と、国内の社債の最高(4.75%)を物差しにします。それを大きく超えるなら、なぜ超えられるのかの説明を求めます。
  3. 「約束」か「見込み」かを確かめる。値上がりの見込みなのか、決まった配当の約束なのか。約束なら、そのお金がどこから出るのかを確かめます。
  4. 相手の登録を確かめる。金融庁の登録一覧で、会社の名前(法人名)を探します。名前や登録番号の詐称もあるので、番号と名前の両方を照らし合わせます。
  5. 出金を試すことは、確かめ方にならない。ポンジスキームは初めのうち出金に応じます。少額が出金できたことは、仕組みが健全な証拠にはなりません。
  6. 迷ったら相談する。金融庁の金融サービス利用者相談室、消費者ホットライン(188)、警察相談専用電話(#9110)があります。

実際の投資型クラウドファンディングの想定利回りの分布は年利何%なら現実的か、高い利回りの案件が集まった事業者のその後は高利回り案件が集中した事業者のその後で数えています。

26計算の前提と、この記事で分からないこと

27この記事に出てくる言葉

月利・年利
1か月あたり・1年あたりの利率。月利を12倍したものは単利の年利で、複利の年利はそれより大きくなります。
単利・複利
単利は元本にだけ利息が付く計算、複利は付いた利息も元本に足して次の利息を計算する方法です。
個人向け国債
国が個人向けに出す国債。変動10年・固定5年・固定3年の3種類があり、利率は財務省が毎月公表します。
社債
会社が借金をするために出す債券。利率は会社の信用の高さで変わります。
劣後債
会社がつぶれたとき、返済の順番がほかの借金より後になる社債。その分、利率が高めです。
ポンジスキーム
運用の利益ではなく、新しい出資金で配当を払う仕組み。出資の伸びが止まると行き詰まります。
出資法
出資の受け入れ、預り金、金利の上限などを定めた法律。元本保証での出資の募集や、年20%を超える金利の貸付を禁じています。
販売預託
モノを売り、そのモノを預かって運用し、収益を払うとする取引。2022年6月から原則として禁止されています。

28よくある質問

年利何%からが詐欺ですか。

利率だけで詐欺かどうかは決まりません。目安として、いまの個人向け国債は2.05%、国内の社債884本で最も高い利率は4.75%でした。これを大きく超える利率を毎月決まって払うと約束する話は、その利益がどこから出るのかを確かめる必要があります。

月利3%は年何%ですか。

毎月の配当を元本に足して預け続ける場合(複利)は年42.6%、毎月受け取る場合(単利)は年36%です。

配当がちゃんと振り込まれているので、大丈夫ですか。

ポンジスキームでは、初めのうちは約束どおりに配当が払われます。配当が払われていることは、運用で利益が出ている証拠にはなりません。

ポンジスキームは、なぜ必ず行き詰まるのですか。

配当の元手が新しい出資だけだからです。配当は出資の合計に比例して増えるので、新しい出資が増え続けない限り、いずれ配当に追いつかなくなります。出資する人の数には限りがあるので、増え続けることはできません。

元本保証で高配当という話は、法律上どうなりますか。

出資法は、不特定多数の人から元本の返還を約束して出資を集めることを禁じています。銀行など法律で認められた者以外が、業として預り金をすることも禁じられています。

月利1%なら現実的ですか。

月1%は、複利で年12.7%です。いまの個人向け国債(2.05%)の約6倍で、国内の円建ての社債884本で最も高い利率(4.75%)も大きく上回ります。毎月決まって払うと約束しているなら、その利益がどこから出るのかを確かめる必要があります。

長く続いている仕組みなら、信用できますか。

続いている期間の長さは、仕組みが健全な証拠になりません。この記事の計算では、新しい出資が増え続けている間は何年でも配当が払え、止まってからは約束の月利に応じて数十か月で行き詰まりました。

日利1%は年何%ですか。

単利なら年365%、毎日の利益を元本に足し続ける複利なら、1年で約38倍です。国債や社債の利率とは比べようのない大きさです。

ポンジスキームで受け取った配当は、返さなければなりませんか。

破綻したあと、元本を超えて配当を受け取った人が、ほかの出資者のお金だったとして返還を求められることがあります。個別の事情によるので、弁護士などの専門家に相談してください。

国債より高い利率の商品は、すべて怪しいのですか。

そうではありません。社債や投資信託など、国債より高い利回りの商品はあります。ただし高い利回りには、元本が減る危険などの理由があります。理由が説明されず、高い利率だけが約束されている話に注意してください。

29この記事の数字は、どこから取ったか

使ったのは次の一次資料です。

月利・日利の年への換算と、ポンジスキームの計算は、当サイトが式から計算した仮の数字です。法律の説明は、出資法・利息制限法の決まりのうち、確かなものだけを書きました。日本銀行の金利の値は使っていません。

一覧はいずれも取得した時点のもので、その後の登録・廃業・処分は反映していません。最新の状況は、金融庁・各財務局の一覧で確かめてください。当サイトは金融商品取引業者ではなく、特定の事業者をすすめたり、避けるよう求めたりするものではありません。

自分の数字で確かめる:分けて買うと安心?

はじめての人へ

1つの案件に全部入れず、いくつかに分けて買うと、1件で損が出たときの痛みが小さくなります。

分けて減るのは「1件の事故」の影響です。金利の上昇や不動産価格の下落のように、すべての案件に同時に効く損は、件数を増やしても減りません。同じ事業者の案件を何件買っても、事業者の倒産には備えられません。

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