01ふるさと納税の上限は、所得で決まる
ふるさと納税で自己負担2,000円に収まる寄付の上限額は、住民税の所得割額を基準に計算されます。所得が増えれば上限も増えるので、分配金を受け取ると上限が上がります。
| 上限額を決める要素 | 効き方 |
|---|---|
| 住民税の所得割額 | 上限のほとんどを決める。所得が増えると増える |
| 所得税率 | 控除の内訳が変わる |
| 家族構成 | 扶養控除などで課税所得が変わる |
| 他の控除 | 医療費控除、住宅ローン控除などがあると上限が下がる |
| 分配金(雑所得) | 総合課税なので、上限が上がる |
| 株式投資型の譲渡益(申告分離) | 申告すれば上限が上がる。申告しなければ変わらない |
5行目と6行目が、この記事の中身です。雑所得は総合課税なので、確定申告をすれば住民税の所得割が増え、ふるさと納税の上限も上がります。
02分配金があると、上限はどれだけ上がるか
給与収入別に、分配金を受け取ったときの上限の変化を概算します。独身または共働き(扶養なし)の前提です。あくまで目安で、実際の上限は各自の控除によって変わります。
| 給与収入 | 分配金なしの上限の目安 | 分配金10万円 | 分配金30万円 | 分配金50万円 | 分配金100万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約28,000円 | 約31,000円 | 約37,000円 | 約43,000円 | 約58,000円 |
| 400万円 | 約42,000円 | 約45,000円 | 約51,000円 | 約57,000円 | 約73,000円 |
| 500万円 | 約61,000円 | 約64,000円 | 約71,000円 | 約78,000円 | 約95,000円 |
| 600万円 | 約77,000円 | 約81,000円 | 約89,000円 | 約97,000円 | 約117,000円 |
| 700万円 | 約108,000円 | 約113,000円 | 約123,000円 | 約133,000円 | 約158,000円 |
| 800万円 | 約129,000円 | 約134,000円 | 約145,000円 | 約156,000円 | 約183,000円 |
| 1,000万円 | 約180,000円 | 約186,000円 | 約199,000円 | 約212,000円 | 約244,000円 |
おおよそ、分配金の3割前後が上限の増加になります。分配金10万円なら3,000円前後、100万円なら30,000円前後です。
正確な額は、各自治体やふるさと納税サイトのシミュレーターで「給与以外の所得」の欄に分配金を入れて計算してください。医療費控除や住宅ローン控除がある人は、それも入れないと上限を超えます。
03ワンストップ特例が使えなくなる場合
ふるさと納税には、確定申告をしなくても控除を受けられるワンストップ特例があります。ただし条件があります。
| 条件 | 分配金がある場合 |
|---|---|
| 確定申告をしないこと | 分配金の申告が必要なら、ワンストップ特例は使えない |
| 寄付先が5自治体以内 | 分配金とは関係ない |
| 各自治体に申請書を出すこと | 同上 |
| 給与所得者であること | 同上 |
1行目が効きます。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。分配金を申告するなら、ふるさと納税も確定申告で申告し直す必要があります。忘れると、寄付金控除が受けられません。
| あなたの状況 | ふるさと納税の手続き |
|---|---|
| 分配金が20万円以下で、確定申告をしない | ワンストップ特例が使える |
| 分配金が20万円超で、確定申告をする | 確定申告で寄付金控除も申告する |
| 還付を受けるために任意で確定申告をする | 同上。ワンストップ特例は無効になる |
| 医療費控除などで確定申告をする | 同上 |
実務的には、確定申告をするなら、ふるさと納税の受領証明書も一緒に用意すると覚えておけば足ります。e-Taxなら、寄付金控除の欄に入力するだけです。
04上限を計算する順番
分配金がある年のふるさと納税は、次の順番で考えます。
- その年の分配金の見込みを立てる。運用中の案件の満了日と、想定利回りから概算できます。
- 年末までに分配される分だけを数える。翌年に持ち越される分は、その年の所得になりません。
- シミュレーターに入れる。「給与以外の所得」の欄に、税引前の金額を入れます。
- 他の控除を入れる。医療費控除、住宅ローン控除、iDeCoの掛金など。これらがあると上限は下がります。
- 余裕をみて、上限の9割くらいに抑える。見込みが外れたときに自己負担が増えるのを防げます。
- 確定申告で、寄付金控除も忘れずに申告する。
2行目が実務で効きます。分配のタイミングは事業者が決めます。運用終了が12月でも、分配が翌年1月になれば、その年の所得にはなりません。年末に近い案件は、見込みに入れないほうが安全です。
05株式投資型の譲渡益がある年
株式投資型でEXITがあり、譲渡益が出た年は扱いが変わります。申告分離課税だからです。
| 雑所得(分配金) | 株式等の譲渡益 | |
|---|---|---|
| 課税の方法 | 総合課税 | 申告分離課税 |
| 住民税の所得割 | 増える | 増える(申告した場合) |
| ふるさと納税の上限 | 上がる | 上がる |
| 申告しない選択 | 20万円以下なら所得税は不要 | 特定口座(源泉徴収あり)なら申告不要。ただし未上場株式は原則として申告が必要 |
| 申告しない場合の上限 | 変わらない | 変わらない |
譲渡益が大きい年は、ふるさと納税の上限も大きく上がります。100万円の譲渡益なら、上限は3万円前後増える計算です。
ただし、譲渡益は毎年出るものではありません。EXITが起きた年だけの一時的な所得です。その年だけ上限が上がるので、寄付の額もその年だけ増やすことになります。翌年に同じ額を寄付すると、自己負担が増えます。
06分配金の額ごとに、上限の増加を概算する
ふるさと納税の上限は、住民税の所得割額の約2割が基準になります。分配金が増えれば所得割も増えるので、上限も上がります。おおよそ分配金の3割前後が増加の目安です。
| 給与収入\分配金 | 0円 | 100,000円 | 200,000円 | 300,000円 | 500,000円 | 1,000,000円 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約6,000円 | 約34,000円 | 約62,000円 | 約90,000円 | 約146,000円 | 約286,000円 |
| 400万円 | 約8,000円 | 約36,000円 | 約64,000円 | 約92,000円 | 約148,000円 | 約288,000円 |
| 500万円 | 約10,000円 | 約38,000円 | 約66,000円 | 約94,000円 | 約150,000円 | 約290,000円 |
| 600万円 | 約12,000円 | 約40,000円 | 約68,000円 | 約96,000円 | 約152,000円 | 約292,000円 |
| 700万円 | 約14,000円 | 約42,000円 | 約70,000円 | 約98,000円 | 約154,000円 | 約294,000円 |
| 800万円 | 約16,000円 | 約44,000円 | 約72,000円 | 約100,000円 | 約156,000円 | 約296,000円 |
| 1,000万円 | 約20,000円 | 約48,000円 | 約76,000円 | 約104,000円 | 約160,000円 | 約300,000円 |
| 1,500万円 | 約30,000円 | 約58,000円 | 約86,000円 | 約114,000円 | 約170,000円 | 約310,000円 |
独身または共働き(扶養なし)の目安です。実際の上限は、家族構成、社会保険料、生命保険料控除、住宅ローン控除、医療費控除、iDeCoの掛金などによって変わります。必ずシミュレーターで確認してください。
表を見ると、分配金10万円で上限は3,000円前後しか増えません。ふるさと納税の上限を増やすために投資型クラウドファンディングを始める、という発想は成り立ちません。
07上限を超えるとどうなるか
上限を超えて寄付した分は、控除されずに自己負担になります。返礼品はもらえますが、実質的には通常の買い物と同じです。
| 上限 | 寄付額 | 控除される額 | 自己負担 | 返礼品の価値(3割として) | 差し引き |
|---|---|---|---|---|---|
| 60,000円 | 40,000円 | 38,000円 | 2,000円 | 12,000円 | +10,000円 |
| 60,000円 | 60,000円 | 58,000円 | 2,000円 | 18,000円 | +16,000円 |
| 60,000円 | 80,000円 | 58,000円 | 22,000円 | 24,000円 | +2,000円 |
| 60,000円 | 100,000円 | 58,000円 | 42,000円 | 30,000円 | -12,000円 |
| 60,000円 | 150,000円 | 58,000円 | 92,000円 | 45,000円 | -47,000円 |
上限を超えても、返礼品の価値が自己負担を上回っていれば損にはなりません。ただし「2,000円の負担で返礼品がもらえる」という制度の利点は失われます。
分配金の見込みが外れると上限も下がるので、上限の9割くらいに抑えるのが安全です。
08分配の時期が、年をまたぐ場合
ふるさと納税の上限は、その年の所得で決まります。分配が翌年になれば、その年の上限は増えません。
| 場面 | その年の所得になるか | ふるさと納税の上限 |
|---|---|---|
| 12月に運用終了、12月中に分配 | なる | その年の上限が増える |
| 12月に運用終了、1月に分配 | ならない | 翌年の上限が増える |
| 運用中(まだ分配されていない) | ならない | 影響なし |
| 償還されたが、分配は運用期間中に受け取り済み | 受け取った年の所得 | 受け取った年の上限が増える |
| 運用期間が延長された | 分配の時期がずれる | ずれた年の上限が増える |
2行目と5行目が問題になります。分配の時期は事業者が決めるので、投資家には選べません。運用終了が年末に近い案件は、その年の見込みに入れないほうが安全です。
実務的には、10月から11月に、その時点で受け取った分配を集計してふるさと納税の額を決めるのがいちばん確実です。年末に近い分配は当てにしない。これで上限を超えるリスクがほぼなくなります。
09控除の内訳を知っておく
ふるさと納税の控除は、3つの部分に分かれます。仕組みを知っておくと、上限の計算の意味が分かります。
| 控除の種類 | 計算 | 上限 |
|---|---|---|
| 所得税からの控除 | (寄付額-2,000円)×所得税率 | 総所得金額等の40%まで |
| 住民税からの控除(基本分) | (寄付額-2,000円)×10% | 総所得金額等の30%まで |
| 住民税からの控除(特例分) | (寄付額-2,000円)×(90%-所得税率×1.021) | 住民税の所得割額の20%まで |
3行目の上限が、ふるさと納税の上限を決めている本体です。住民税の所得割額の20%を超えると、特例分の控除が頭打ちになり、自己負担が2,000円を超えます。
だから上限を計算するときは、住民税の所得割額が分かればほぼ計算できます。前年の住民税の通知書(6月ごろに届くもの)に所得割額が書いてあります。そこから今年の所得の増減を調整すれば、かなり正確な上限が出ます。
10分配金があるときの、年間の段取り
ふるさと納税と確定申告を両方やる年の段取りです。
| 時期 | やること | 注意 |
|---|---|---|
| 1〜6月 | 分配の記録をつける | — |
| 6月 | 住民税の通知書で前年の所得割額を確認する | 上限の計算の基礎になる |
| 7〜9月 | 今年の分配の見込みを立てる | 運用中の案件の満了日から |
| 10〜11月 | その時点の分配の実績で上限を計算する | 年末に近い分配は当てにしない |
| 11〜12月 | ふるさと納税をする | 上限の9割程度に抑える |
| 12月 | ワンストップ特例の申請書を出さない | 確定申告をするなら不要。出しても無効になる |
| 1〜2月 | 各社から年間取引報告書を集める | — |
| 2〜3月 | 確定申告で、分配金と寄付金控除を両方申告する | 寄付金の受領証明書が必要 |
6行目と8行目が対応しています。確定申告をするなら、ワンストップ特例は無効です。確定申告で寄付金控除も申告し直す必要があります。忘れると、寄付金控除が受けられません。
逆に、分配金が20万円以下で確定申告をしないなら、ワンストップ特例が使えます。ただしその場合、源泉徴収された分の還付も受けられません。どちらが得かは、金額を計算して決めてください。
11よくある質問
分配金は確定申告が必要ですか。
給与所得者で、給与以外の所得の合計が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。ただし住民税の申告は別に必要になることがあります。
20.42%が引かれていました。これは何ですか。
所得税の源泉徴収です(所得税20%+復興特別所得税0.42%)。前払いなので、所得が低ければ確定申告で戻ることがあります。
損が出たら他の所得と相殺できますか。
雑所得の場合、他の所得とは相殺できません。同じ年の他の雑所得とだけ相殺できます。
損失を翌年に繰り越せますか。
雑所得の損失は繰り越せません。その年で切り捨てになります。
住民税はどうなりますか。
分配金にも住民税がかかります。税率は一律10%です。源泉徴収されているのは所得税だけで、住民税は別です。
12この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
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数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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