01優先劣後方式とは
優先劣後方式は、ひとつの案件への出資を優先出資と劣後出資に分け、損失を劣後出資から先に負担させる仕組みです。不動産特定共同事業で広く使われています。
投資家が出すのが優先出資、事業者が出すのが劣後出資です。運用の結果、投資対象の価値が下がったとき、まず劣後出資が減り、それを使い切ってから優先出資に及びます。利益が出たときは、先に優先出資に想定利回りまで分配されます。
この仕組みが成り立つ前提は、事業者が実際に劣後出資を出していることです。書面に書いてあっても、事業者が破綻すればその資金も一緒に失われます。劣後は物件の値下がりへの手当てであって、事業者リスクへの手当てではありません。
02優先劣後方式は、どこに書かれているか
この言葉が出てくる場所と、そこでの書かれ方を並べます。
| どこに出てくるか | 書かれ方 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| 募集ページ | 「優先劣後方式を採用」 | 採用しているかどうか |
| 契約締結前交付書面 | 優先出資と劣後出資の金額と割合 | ここが実際の値 |
| 事業者の案内 | 仕組みの図解 | — |
| 運用報告 | 精算時の内訳 | 実際にどう配分されたか |
03優先劣後方式で、誤解されやすい点
| よくある誤解 | 実際は |
|---|---|
| 事業者が損を全部かぶる | 劣後の範囲まで。超えれば投資家に及ぶ |
| 元本保証に近い | まったく違う。保証ではない |
| 事業者が破綻しても効く | 効かない。劣後出資も一緒に失われる |
| 利益も優先的にもらえる | 想定利回りまで。それを超える利益は劣後に回る設計が多い |
| すべての不動産型にある | 採用していない事業者・案件もある |
04優先と劣後で、損の受け方がどう変わるか
物件価値が下がったときに、優先出資と劣後出資がどうなるかを金額で出します。1億円の物件に、劣後20%(2,000万円)の場合です。
| 下落率 | 物件の価値 | 劣後出資(2,000万円) | 優先出資(8,000万円) | 優先出資の元本 |
|---|---|---|---|---|
| 0% | 1億円 | 2,000万円 | 8,000万円 | 100% |
| 5% | 9,500万円 | 1,500万円 | 8,000万円 | 100% |
| 10% | 9,000万円 | 1,000万円 | 8,000万円 | 100% |
| 15% | 8,500万円 | 500万円 | 8,000万円 | 100% |
| 20% | 8,000万円 | 0円 | 8,000万円 | 100% |
| 25% | 7,500万円 | 0円 | 7,500万円 | 93.8% |
| 30% | 7,000万円 | 0円 | 7,000万円 | 87.5% |
| 40% | 6,000万円 | 0円 | 6,000万円 | 75.0% |
| 50% | 5,000万円 | 0円 | 5,000万円 | 62.5% |
| 70% | 3,000万円 | 0円 | 3,000万円 | 37.5% |
| 100% | 0円 | 0円 | 0円 | 0.0% |
| 劣後の割合 | 30%下落時の元本 | 40%下落時 | 50%下落時 |
|---|---|---|---|
| 5% | 73.7% | 63.2% | 52.6% |
| 10% | 77.8% | 66.7% | 55.6% |
| 15% | 82.4% | 70.6% | 58.8% |
| 20% | 87.5% | 75.0% | 62.5% |
| 25% | 93.3% | 80.0% | 66.7% |
| 30% | 100.0% | 85.7% | 71.4% |
| 40% | 100.0% | 100.0% | 83.3% |
| 50% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
05優先劣後方式と一緒に読む語
この記事は法令の定めと公表されている数字だけで書いています。優先劣後方式の実際の扱いは契約締結前交付書面(不動産型では契約成立前書面)に書かれていて、募集ページの表現と食い違う場合は書面が優先します。制度は改正されることがあります。
06よくある質問
この用語は、どこで確認できますか。
契約締結前交付書面(不動産型では契約成立前書面)です。法令で交付が義務づけられていて、記載すべき事項も決まっています。
募集ページと書面で書き方が違う場合は。
書面が優先します。募集ページは広告で、書面は契約の説明です。
用語が分からないまま投資してもよいですか。
おすすめしません。分からない言葉があるまま同意すると、あとで「知らなかった」と主張するのが難しくなります。
元本は保証されますか。
されません。どの種別にも公的な元本補償の仕組みはなく、出資について元本を保証することは出資法で禁じられています。
用語の一覧はありますか。
用語集のページにまとめています。この記事からも関連する語に移動できます。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

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