01不動産型と融資型は、何が違うのか
どちらも「少額から、数か月〜数年、数%の利回りを狙う」商品です。表面的には似ていますが、投資家が引き受けているリスクの中身が違います。
| 不動産型 | 融資型 | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 不動産特定共同事業法 | 金融商品取引法+貸金業法 |
| 必要な登録・許可 | 不特事業の許可+電子取引業務 | 第二種金商業+貸金業登録 |
| 監督 | 国土交通省・都道府県 | 金融庁(財務局) |
| 審査の形 | 許可制 | 登録制 |
| 投資家のお金の行き先 | 不動産 | 企業への貸付 |
| 収益の出どころ | 賃料、または売却益 | 貸付金の利息 |
| 下落を先に受ける人 | 優先劣後(事業者の劣後出資) | 原則いない(担保がある案件は担保) |
| 元本が減る原因 | 物件の価値の下落、空室、売却の遅れ | 貸付先が返せなくなること |
| 投資対象の確認 | 物件の所在地・登記で確かめられる | 借り手の商号が出ていれば調べられる |
| 掲載社数 | 80社 | 20社 |
| 利回りの中央値(実案件) | 5.5% | 7.0% |
| 運用期間の中央値(実案件) | 10ヶ月 | 12ヶ月 |
7行目が最大の違いです。不動産型には、下落を先に引き受ける人がいます。事業者が同じ物件に劣後出資をしていて、価値が下がったときにその分から先に減ります。
当サイトが把握している範囲で、劣後出資の割合を公表しているのは不動産型50社(中央値25%)、融資型0社でした。
02損が出る道筋を、並べて確かめる
元本が減るまでの過程が違います。どこで止められるかを見てください。
| 段階 | 不動産型 | 融資型 |
|---|---|---|
| 1 | 物件を取得する | 借り手に貸し付ける |
| 2 | 賃料が入る/入らない | 利息が入る/入らない |
| 3 | 分配が減る | 分配が止まる |
| 4 | 運用の満了で売却する | 返済期日が来る |
| 5 | 売却額が取得額を下回る | 返済されない |
| 6 | 劣後出資から先に減る | 担保があれば処分して回収 |
| 7 | 劣後を超えた分が元本に及ぶ | 担保がなければ、回収は借り手の資産次第 |
6行目で不動産型には緩衝があり、融資型にはありません。その代わり融資型には担保という別の手当てがある案件があります。
| 手当て | 不動産型 | 融資型 |
|---|---|---|
| 優先劣後 | 多くの事業者が採用 | 原則なし |
| 不動産担保 | 物件そのものが対象なので概念が違う | 案件による |
| 連帯保証 | — | 案件による |
| マスターリース(賃料保証) | 案件による | — |
| 買取保証 | 案件による | — |
だから比べるときは、「不動産型には劣後がある」ではなく、「この案件に何の手当てがあるか」で見るのが正確です。劣後の割合は案件ごとに違いますし、融資型でも無担保の案件と不動産担保付きの案件では意味が違います。
03実案件の条件を、並べて比べる
当サイトが取得した実案件を種別ごとに分けて比べます。不動産型426件、融資型90件です。
| 不動産型 | 融資型 | |
|---|---|---|
| 取得できた件数 | 426件 | 90件 |
| 想定利回りの最小 | 2.4% | 1.0% |
| 中央値 | 5.5% | 7.0% |
| 最大 | 27.0% | 12.3% |
| 運用期間の中央値 | 10ヶ月 | 12ヶ月 |
- 3%未満4
- 3〜5%129
- 5〜7%168
- 7〜10%56
- 10〜15%35
- 15%以上33
- 3%未満2
- 3〜5%13
- 5〜7%25
- 7〜10%41
- 10〜15%9
- 15%以上0
融資型には構造的な上限があります。貸付金利には利息制限法の上限(元本に応じて年15〜20%)があり、そこから事業者の取り分を引いたものが投資家の利回りになるためです。国内の貸付で年15%を超える利回りを継続的に出すことはできません。
04どちらが向いているかを、条件で決める
優劣ではなく、何を確かめたいかで選ぶものです。
| こう考えるなら | 向いている | 理由 |
|---|---|---|
| 投資対象を自分の目で確かめたい | 不動産型 | 物件の所在地が分かれば、登記も周辺相場も調べられる |
| 下落の緩衝がほしい | 不動産型 | 優先劣後がある |
| 借り手の財務を自分で判断したい | 融資型 | 借り手が上場企業なら有価証券報告書を読める |
| 利回りの上限が読めるほうがよい | 融資型 | 利息制限法の上限がある |
| 短期で回したい | どちらも | 実案件の期間の中央値は種別より事業者による |
| 不動産市況の影響を避けたい | 融資型 | 貸付先の業種が不動産なら同じ影響を受ける |
| 登録の重さを重視する | 不動産型 | 許可制 |
| 金融庁の監督下にあるほうがよい | 融資型 | 処分が事例集で一覧になる |
6行目に注意してください。融資型でも、借り手が不動産事業者なら不動産市況の影響を受けます。「種別を分けたから分散した」とは限りません。借り手の業種まで見る必要があります。
05両方を持つ場合の配分
どちらか一方に決める必要はありません。両方を持つときの考え方を書きます。
| 配分の考え方 | 中身 | 効き方 |
|---|---|---|
| 金額を半々にする | 単純。迷わない | 要因の分散になる |
| 不動産型を厚く | 劣後の緩衝がある分、下落に強い | 不動産市況に寄る |
| 融資型を厚く | 期間が読みやすい | 借り手の信用リスクに寄る |
| 期間で分ける | 短期は融資型、長期は不動産型など | 資金の出入りを設計できる |
| 事業者で分ける | 種別より事業者の数を増やす | 事業者の破綻リスクの分散になる |
最後の行が、実務ではいちばん効きます。種別より先に、事業者を分ける。過去の事故で被害の大きさを決めたのは、種別ではなく1人がその1社にいくら入れていたかでした。
3社から5社に分け、そのうえで種別も混ぜる。これが管理できる範囲での現実的な形です。
06よくある質問
4種別のうち、どれがいちばん安全ですか。
どれも元本は保証されません。守られ方が違うだけです。不動産型には優先劣後があり、融資型には担保がある案件があり、株式投資型には何もありません。
種別をまたいで分散する意味はありますか。
あります。同じ不動産型の中で案件を分けても、不動産市況という同じ要因の影響を受けます。種別が違えば要因が違います。
同じ利回りなら、どれを選べばよいですか。
下落を先に受ける人がいる設計(優先劣後や担保)のほうが、投資家には有利です。ただし利回りの意味も種別で違います。
初心者はどれから始めればよいですか。
決まった答えはありません。ただし株式投資型は資金が戻る時期が決まっておらず、ゼロになる確率も高いので、無くなっても困らない範囲で出すものです。
07この記事の数字は、どこから取ったか
会社名を挙げて処分や事故を書くにあたっては、照合を法人番号の完全一致に限りました。社名の部分一致で突き合わせると、似た社名の別会社の記録を拾ってしまいます。当サイトが実際に試したところ、82件が一致したように見えてそのほとんどが別会社でした。
できていないことも書きます。不動産特定共同事業者への監督処分は国土交通省・都道府県の所管で、この事例集には含まれていません。また償還後の実績は、事業型を除いてどの事業者も公表していないため、不動産型・融資型については「戻らなかった件数」を外から数えられません。
数字はいずれも元本を保証するものではなく、この記事は特定の商品の勧誘ではありません。

次に読む
同じテーマ
同じテーマ
同じテーマ
同じテーマ